異世界で僕…。

ゆうやま

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6話 その2

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一章 7話

僕はルル姉の世界、アルケーミュスに行くと決めた。

ルル姉は体が動かない僕を背負って原点と言っていた場所向かった。

「はぁはぁ…お、重い、だが!この私がこれしきの事で負けてたまるか!ウンギャー!」

ルル姉は僕の重さに耐えきれず何十回も倒れて傷だらけになっだ。

勿論…倒れる方向は僕の方で僕も傷だらけになった…痛い…。

「ああー!倒れる!あわわわ!」

ルル姉のフラつく体はまた後ろに傾いた。

「る、ルル姉!危な…かっ!」

「あわわわ!」

そして…倒れた僕の後頭部に何か硬い物が当たる感触がして目の前が真っ白になった。

「ハルト君!大丈夫?」

「うう…痛い」

アルケーミュスへの道のりは険しい…僕は生きてそこに辿り着くか心配になった。

「こ、こめん…ご飯抜いたせいか力が入らなくて…へへ」

「うん…大丈夫、重くてごめんね」

墓地を通り過ぎて僕は墓の方向に向けて頭を下げて別れ告げた。

少し進んだ先からルル姉が急に止まって一度僕を下ろした。

「どうしたの?」

「この先が時空原点だ…本当にいいの?」

「正直、ちょっと不安感はあるけど迷いはないよ」

「そうか…わかった、では原点に入るまでは絶対寝ているふりをして…絶対だぞ」

「どうして」

「あそこは原点のせいであの世の境目があやふやになっているし、それに門番の奴がいるからハルト君が起きていたら話がややこしくなる」

「わ、わかった…」

また僕を背負って山を上り初めて少し、凄い寒気がした。

「ハルト君、原点は目の前だ、寝たふりして」

「わかった」


僕が寝たふりしてルル姉はまた山を登り始めるとこっちをみるぞくっとした視線を感じた。

「はぁはぁ……や、やっと着いた!」

原点に着いた時…微かに光る丸い発光体が近づいて来た。

「あ?…お主ら…まだ成仏しとらんかったか?」

[私達の息子を宜しくお願いします…]

「心配症だな…分かっておる!誓って立派な男に育ってみせよ!」

[はい…信じております]

「うむ…輪廻の巡りにまた会えるよう祈ろう…」

[元気に頑張って…ハルトちゃん…ゲームで無駄使いしたのは後でお仕置きよ」

夢でもいいから会いたいと思った母の声が聞こえてうっかり叫びそうになったがルル姉の言いつけを思い出して泣きそうな気持ちを必死に抑えた。

声だけでもこの世界から別れるまえに母の声を聞いて嬉しかった。

「行ったか、ハルト君、長生きしないと母君にお仕置きされるよ?しかしだな…あの着ぐるみ本当に普段着だったのね…死に装束まで……すげー!」

お金の事で母が忘れる訳ないがとにかく長生きしてちょっとでも許して貰えるように長生きしないといけなくなった。

その後…また、先の冷たく鋭い視線を感じた。

「なに隠れてじっと見てる?そこに居るであろう!門番…ガウルヤヌースよ!」

「あはは、バレましたか、はい…ここに」

歪んだ空間が現れてそこから黒づくめの鎧姿の不気味な男が現れた。

「いつからこの世界に来た?」

「貴方様がここに飛ばされてから主神の命ですぐに…」

「なるほど…貴様も長年の退屈だったであろ?原点の維持、大儀であった」

「いいえ…長くはありましたがそれほど退屈ではなかったですよ」

「ん?」

「ここを通らないようずっと人々を脅かしていたのですが…逆に次々来る人が増えて…まあー♪それはそれは本当に楽しい時間でしたよ♪」

「ハルト君が言ってた心霊スポットの原因は貴様だったのかい!」

「それに…神々も恐れる破壊の女神様の転ぶ姿、その必死な表情!2000年程払う価値がありました!いやはや…記録して何回みても飽きないほどでしたね…」

カウルヤヌスはここに辿り着くまでの僕達を見ていたようで腹を抱えて笑った。

私有地を無断侵入して神霊スポットにした事を文句でも言いたかったが言いつけを守らないとルル姉を困らせてしまうと思って堪えた。

「この…見てたなら助けろや」

「主神の命で[手助け禁止]と厳命されておりまして…」

「ちっ…相変わらずだな!あの鬼め…もういい…帰る!道を開けろ」

「御意…ちょっと待って下さいね」

原点の入り口に向かうと門の神カウルヤヌスに止められて僕に近づいてきた。

「なんだ?どけよ…急いでる」

「この少年も連れ行かれるですか?…おや?先頭を打って気絶でもしたか?」

「ああ…文句あるか?」

「私は関係ないし、構いませんが…主神は激怒するでしょうね……」

「ふん!その程度!慣れておる!」

「あはは…そうでしたね」

ガウルヤヌスは納得した表情でルルを止めなかった。

それにその程度は慣れてるというルル姉の言葉が凄く気になった。

「到着場所は分かるか?」

「いいえ…場所はランダムです」

「ふん!だと思った…」

「良い旅を…ではお気をつけてお帰り下さい…ククク」

「ああ…」

カウルヤヌスは何故か不気味に笑っていたがルル姉は気にもせずに急ぎ原点にに飛び込んだ。
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