異世界で僕…。

ゆうやま

文字の大きさ
上 下
16 / 250

4話 その3

しおりを挟む
ルルさんが我が家来てから四日が経った。

環境適応能力が高いのか、無神経なのか…ここの生活にもうなれたようで今や兄弟のように接している。

女性に免疫がない僕としては助かるが…なんか複雑な気分だ。

昨日は夜遅くまで一緒にゲームやアニメ鑑賞をして寝不足であるが、今日から本格的に初売りが始まるのルルさんが必要な物を買い物に出ようと思った。

「ルルさん、もう昼ですよ…起きてますか?」

ノックしても呼んでも返事がなくてそのまま部屋に入った。

「ルルさん…ちょっと聞きたい事が…」

呼んでも布団から出て来る素振りがなくて、布団を取り上げると…そこにはベットにしがみ付き起きようとしない大きいウサギ一匹がいた。

着ぐるみ服にすっかり馴染んでるようだ。

「ルルさん…起きてよ」

「うう…まだ眠い…あと50年」

「は、はい?あの…ルルさんが起きたら世界ぎ変わってますよ?僕、ヨボヨボな爺さんになってますよ?」

……このダメ女神、時間感覚が途轍もなくズレてる。

「あ?仕方ないな…じよあと5年」

桁一つ減らす大出血サービス!ありがとうございます!

「それでもながいわ!起きろー!」

「いやだ…」

布団を取り上げたり、フライパンを叩くなど僕の催促に抵抗を続けたが渋々諦めて起きてくれた。

「聞きたい事ってなに?」

「今から買い出しに行くんですが必要な物があれは支度終わるまでメモに書いて下さい」

引きこもりの僕が、ルルさんの為に人混みに紛れようとしている。

人は人と出会い変わって成長していく…。

とこの誰か言ったその言葉がふと思い出してちょっと笑ってしまった。

「か、買い物?私も行く!」

「あ、あれ?急にどうしました?」

「いや…人間達の買い物や娯楽にちょっと興味があってね」

「そうですか」

しかし、一緒に行くのはいいんだが問題が一つあった。

その問題とは洋服…我が家に女性服は着ぐるみ服しかないのだ。

「あの…着ぐるみ服しかないんですがそれでもいいなら…」

「はぁ?今すぐ探せ…」

「はい…」

倉庫部屋に何かないか探すとタグがついたままの新品の服があった。

洋服が入った袋には父が母へ手紙があって母への誕生日プレゼントだった。

父は着ぐるみ服以外の服も着て欲しかったようだ。

しかし、あの頑固な母が着る訳ない。

「お買い物♪お買い物♪」

「よかったですね…普通の服もあって」

「本当だよ…なかったらそのまま行くつもりだったけど」

「あはは…」

「どう?似合うか?」

「はい…とってもいい感じです」

「そかそか…私は何を着ても似合う罪な女よ、オホホ」

ふわふわな白いロングニットワンピースに白いニーハイソックスと黒いサンダル…。

少し子供ぽいコーディだが…ボンキュッボン!ウルトラダイナミックボディのルルさんが着る事で大人の魅力が漂った。

ふむふむ…父の趣味がなんとなくわかる気がする。

最初はあの薄着しかないルルさんの洋服を買う事にした。

幾つか気になる服を試着室で着替える定番のファションショーが始まった。

「うーん、このブラウス胸がきつい…サイズ間違えたかな?」

ルルさんの胸の弾力でブラウスを千切れそうになって期待以上の物見て満足した。

その時、糸が切れてブラウスのボタンが僕の頭の横に銃弾のように飛んできてそのままコンクリートの壁に刺さった。

ちょっと目の保養をしようと思ったが危うくあの世に行くところだった。

洋服を買い揃えてから次の目的地はなんと…ランゼリーショップ。

ここは流石に入りづらくてルルさんに任せたが一時過ぎても出て来なくて心配になって店に入った。

「ちょっと…また切れたよ」

「またですか…」

「まさか…不良品なの?」

「こんな数の不良品などあり得ないですが…一体なにがなんだか…」

ストラップが切れてカップの形が変形したブラジャー山の前でルルさんが店員と揉めていた。

きっとルルさんの胸の弾力に耐え切れなかったようで一度この店から退散して下着はストラップとワイヤーをティターン制にした特注品を取り寄せる事にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

約束の子

月夜野 すみれ
ファンタジー
幼い頃から特別扱いをされていた神官の少年カイル。 カイルが上級神官になったとき、神の化身と言われていた少女ミラが上級神官として同じ神殿にやってきた。 真面目な性格のカイルとわがままなミラは反発しあう。 しかしミラとカイルは「約束の子」、「破壊神の使い」などと呼ばれ命を狙われていたと知る事になる。 攻撃魔法が一切使えないカイルと強力な魔法が使える代わりにバリエーションが少ないミラが「約束の子」/「破壊神の使い」が施行するとされる「契約」を阻む事になる。 カタカナの名前が沢山出てきますが主人公二人の名前以外は覚えなくていいです(特に人名は途中で入れ替わったりしますので)。 名無しだと混乱するから名前が付いてるだけで1度しか出てこない名前も多いので覚える必要はありません。 カクヨム、小説家になろう、ノベマにも同じものを投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

処理中です...