異世界で僕…。

3話 その3

「ふん！今までずっと霊体のままだが汚れてなどない！」

「なるほど！わかりました」

そう言って僕は掃除グッズを持ってそのまま風呂に入った。

「へぇ…人の話し聞いてた？これは力を行使するしかないね」

「うわっ！ルルさん何を！や、やめてくださいよ」

「うへへへ、女のプライドをかけて絶対あのお湯に浸かってもらうからな！」

「うんぎゃー！わかりましたよ！入ります、だからやめて！」

「うほぉ……あとちょっと、ゴクリ！」

「どこみてますかぁぁあ！」

僕は風呂場でルルさんに襲われて装備と道具を全て剥ぎ取られてそのお湯に放り込まれた。

「ふう…無駄な抵抗をして、思い知ったか」

ルルさんは華奢な体をしているがまるで歯が立たないほど力が強かった。

「いいか？女神が浸かった水は聖水と化して、その水に浸かるとあらまあー！肌ツルツル！飲む枯れた魔力回復にも効く大変貴重な水だ」

うむ…何かの通販みたいな感じがするのは置いとくとして女神が浸かった水は聖水と化す話は初耳で少し驚いた。

それに後者の言葉が凄く気になってしかたなくて勇気を出して質問した。

「の、飲むんですか…」

「あ……た、たとえばの話した！とにかくゆっくり浸かるんだぞ！」

「はい…」

ルルさんは顔を赤くして客室に戻ると僕はじっとお湯を見つめた。

確かにいつも浸かっていたお湯とは少し違う、なんか柔らかくサラサラした感じがした。

ふむ…聖水って魔力回復に効くらしいじゃないか…いやいや！

うむ…しかし、聖水ってどんな味か気になる…いやいや！

思春期の僕としては大変な悩み事であり、しばらく聖水との睨めっこが続いた。

そして、やっとお風呂を済ましてリビングに出るとルルさんが夜食で使った食器を洗ってくれていた。

「あら…もう上がったの？」

「はい、僕熱さに弱くて長く湯に浸かると逆上せてしまうんですよ」

「そうなのか？」

キッチンはいつも母がいた場所だったのでルルさんがそこにいると不思議な気持ちになってにやけてしまった。

「なににやけてるのよ？」

「いや、エプロン姿が似てると思って」

「そう？風呂上がりで熱いでしょ？はい、どうぞ」

ルルさんからコップ一杯の水を出された。

「お、お水はもういいです……」

「ん？そう？」

僕は行ってはいけない場所に一歩足を踏み入れた気がして後悔した。