異世界で僕…。

ゆうやま

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2話 その2

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「その理由で悩んでいるなら相談してはどうだ、頼りになる女神が目の前にいるぞ?」

自分に相談してはどうかと勧められてちょっと悩んだが、ルルさんから心配の眼差しと真剣な表情をしていて僕の秘密を明かす事にした。

それに幽霊になら何かわかるかもと少し期待もして胸のうちを明かした。

「9歳の時からおかしい現象が起き始めてから中学生になってすぐ交通事故で両親を亡くし、奇跡的にハルト君は無傷…それ以降、更におかしい現象が頻繁になったと…例えば?」

「体調が悪い時や落ち込んでいる時は自分の周りが歪んで見えたり、極端に興奮すると周りの物が壊れたり…色々…」

「続けてくれるか?」

「はい…」

僕が人と関わりを拒む決定的な出来事は高校に入って間も無く不良グループに絡まれてリンチにあった。

ちなみに僕は喧嘩などした事もなく武術の心得もない。

手加減なしで殴られた僕は意識を失って病院に運ばれたがお見舞いにきた先生からその不良グループ全員中傷でまだ一人意外、意識もない取り戻してないと聞いた。

その不良は僕にやられたと言ってたが全く記憶になくて、相手が大人数で先に手を出した事がわかって正当防衛でその件は終わった。

しかし、正当防衛といえ大事件だったので僕も一ヶ月停学になった。

だが、停学が終わってその噂がかなり広まって他の生徒は僕を怖がって孤立し、その噂を聞いた不良三人が興味半分で僕に喧嘩を吹っかけてきた。

抵抗も出来ず意識ぐ朦朧となった時、気付けばその3人は血だらけで倒れていて、椅子やテーブルが歪に曲がっていた。

それに関係ないクラスメイト達まで怪我をして僕は退学し、家に引き篭もって夜遅く買い物に出かけたり、用事を済ませていた。

「椅子やテーブルが変な形に曲がった?おおー!凄いSF的な話しじゃない?それって超能力?凄い!ねね!スプーン曲げてみてよ!透視も出来るの?私の下着見たんじゃないだろうね?」

「……」

まあ、こんな話し信じてもらえるはずはないとわかっていたが…ルルさんにまで馬鹿にされた感じで何故か泣きそうな気分だった。

「す、すみません…もう、帰ります」

虚しさと少しでも期待した自分に嫌気がさして涙まで出てこの場から離れようとした。

「ま、待て!お願い!」

ベンチから立った僕を止めたルルさんの声はとても慌ただしく切ない声のように聞こえて一瞬止まってしまった。

「ごめんね…真剣に悩みを打ち明かしてくれたのについ、私って面白かってしまって…」

「いや、いいんです、自分にも訳わからないし、ひょっとしたら精神的な病気がも知りません、気にしないでください」

「ハルト君は正常だよ、それに私にはわかるんだ、君が嘘ついてない事…今まで沢山苦しんで辛かったよね」

それが嘘でも社交辞令的な事でも何故か少しだけ心のしこりがとれたような感じで僕は我慢していた感情を抑えきれず泣いてしまった。

ルルさんも泣きそうな顔して僕の側から黙って泣き止むまで待ってくれた。

「きっとハルト君には特別ながあると思う、何故なら見えるはずがない私を見て、意思疎通までしている…こんな事はありえないんだよ」

確かに幽霊が見えたり、話しができるのは普通じゃないと思ったが、それが何かかわからなければこれからも同じで何の意味もないと思った。

「だから、調べてみる…」

「はい?どうやって調べられるんですか?」

「言ったでしょ!私はこれでも女神なの!」

「まだその設定…いきてますか?」

「なに?設定って?」

「いや、なんでもないです」

「とにかく、私の手を見ておれ」

「はい?手をですか?」

小さくて柔らかそうなずっと見ていたいほど綺麗な手であった。
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