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◇ 感想 ◇

イルマの東へ 2

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※ 唯一、感想を受け付けてみた他サイト【カクヨム】でいただいたレビューです。




☆『鮮やか神視点で描き出す冒険小説。期待を裏切らない続編 』

 手に汗握る緊迫感。巧みな心理描写と息もつかせぬ展開。かと思いきや、ふっと微笑まずにはいられないシーンがあったり、美しい情景描写に癒されたり。鮮やかな神視点で描かれる様々な人間模様は、美しく織り上げられた叙事詩のようです。

 丁寧な日本語とすっきりした言いまわしは、配慮の行き届いた繊細な描写でありながらテンポよく読めてしまうという、一見正反対の魅力を兼ね備えていて、ついつい頁をめくる手が止まらなくなります。

 また日本の武士道とは違った騎士道精神なるものも作品の至るところに垣間見えて、地に足のついた騎士としての描写が、それぞれの人間らしさに繋がっています。

 読後感さわやかな、平和への祈りが込められた、優しい物語です。




☆『前作との、絶妙な連携!王道ファンタジー、新たな世界へ』

 前作は王弟アベルが仲間と共に様々な困難を乗り越え、兄王と再会する話で、視点は殆どアベルとその仲間たちのものでした。今作はその続編であり、なおかつ中学生以上を対象としているというのもあり、視野がぐぐっと広がったのが特徴です。つまり、アベルたちの旅では見えなかった、兄王の苦悩、敵国との関係などが描かれる群像劇となっております。

 私がいいな、と思ったのは、前作でチームとなっていたアベルとその仲間たちが、最初はあまり出てこないことです。何故いいのかというと、前作に描かれなかった上記の要素にしっかり入り込めたのです。でも、出てこないわけではありません、というより、絶妙なタイミングで、前作のメンバーが集結するのです。それが遅すぎず、早すぎず、新しく広がった世界と、前作の凝縮された世界とをうまくつないでいるのです。

 


☆『前作とは趣の異なった魅力。でも、変わらず優しい物語』

 前作『イルマの東へ』より、対象年齢が上がったということで、ストーリーの構成も前作とは異なっています。

 『イルマの東へ』は、主人公、アベルの視点が主でしたが、今作はさまざまな人物の視点から物語が紡がれ、その分、世界の奥行きが感じられるようになっています。

 そして、主人公側を追い詰めるのが上手な作者様……。ついつい、どうなるの? どうなってしまうの!? と読むのをやめられなくなってしまいます。

 外交や戦争、謀略だけでなく、恋愛模様もあり、一作で何粒もおいしい作品です。




☆『続編の面白い部分が詰まってる』

 
 登場人物が増えて、1作目の主人公たちの出番は少なくなっていますが、1作目で目立たなかったあの人やあの人やあの人も活躍します。

 今回は、兄王の活躍で物語が終わりますが、子どもたちに「善とは正義とは何か?」を考えさせてくれますね。

 優しい続編を期待してしまう所です。




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