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出会い 3
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あんなに優しそうな顔をしていた国王様が真剣な話をしている。
なんだか私も表情が固くなってしまう。
「調査の結果、私のところに来たものの中で竜の退治に向かっていたものはほとんどいなかったのだ。
そのものたちは隣国へ行くための通行証を私からもらい、隣国で遊び呆けておったのだ」
国王様がため息をついた。
なるほど、だから初めてお城に来た時、あんなに警戒されていんだ。
「竜を退治すると言ってくれたものには簡単に隣国への通行証を渡していたからな。
いつしかそれが広まり、誰でももらえるものという認識をさせてしまったのかも知れん。
それ以来、通行証を渡すには必ずダークウルフの毛皮を持ってきてもらうことにしたのだ」
「そうだったんですか」
なんか、それ以上に言える言葉が出てこない……
「だがそなたは私の話を聞き、ダークウルフの毛皮を持ってきた。
さあ、この通行証を受け取ってくれ」
いつの間に持ってきたのか、近衛兵が赤いクッションに置かれた通行証を国王様に渡した。
そして国王様直々に通行証を手渡される。
「隣国の王とは古くからの友人でな、その友人が今、例の竜に困らされている。
助けてはもらえないだろうか?」
私の目を真っ直ぐと見ながらそう言われた。
「た、助けます!」
私も国王様の目を見ながらはっきりと答える。
国王様に助けますなんて偉そうなこと言っちゃったかな……?
口に出したあとで不安になった。
しかし私の不安とは裏腹に国王様は「ありがとう」と、優しく目を細めてくれた。
『隣国への通行証を手に入れました』
と、ウィンドウが表示される。
私は最後に国王様にお礼をして、お城を出た。
なんだか私も表情が固くなってしまう。
「調査の結果、私のところに来たものの中で竜の退治に向かっていたものはほとんどいなかったのだ。
そのものたちは隣国へ行くための通行証を私からもらい、隣国で遊び呆けておったのだ」
国王様がため息をついた。
なるほど、だから初めてお城に来た時、あんなに警戒されていんだ。
「竜を退治すると言ってくれたものには簡単に隣国への通行証を渡していたからな。
いつしかそれが広まり、誰でももらえるものという認識をさせてしまったのかも知れん。
それ以来、通行証を渡すには必ずダークウルフの毛皮を持ってきてもらうことにしたのだ」
「そうだったんですか」
なんか、それ以上に言える言葉が出てこない……
「だがそなたは私の話を聞き、ダークウルフの毛皮を持ってきた。
さあ、この通行証を受け取ってくれ」
いつの間に持ってきたのか、近衛兵が赤いクッションに置かれた通行証を国王様に渡した。
そして国王様直々に通行証を手渡される。
「隣国の王とは古くからの友人でな、その友人が今、例の竜に困らされている。
助けてはもらえないだろうか?」
私の目を真っ直ぐと見ながらそう言われた。
「た、助けます!」
私も国王様の目を見ながらはっきりと答える。
国王様に助けますなんて偉そうなこと言っちゃったかな……?
口に出したあとで不安になった。
しかし私の不安とは裏腹に国王様は「ありがとう」と、優しく目を細めてくれた。
『隣国への通行証を手に入れました』
と、ウィンドウが表示される。
私は最後に国王様にお礼をして、お城を出た。
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