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出会い 1
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「きゃああああああ!」
全力で走って洞窟の外に逃げる。
なぜこんなに全力で逃げる羽目になったのか。
数分前に1人で洞窟に来たところまではよかった。
しかし、ダークウルフの動きが速すぎて遠距離武器の私には攻撃を与える隙がなく、一方的に攻撃を受け続けてしまった。
気づけば目の前がほんのり赤色に変わっていて、HPが2割を切っていた。
こんなにやられたのは初めてで、こうして逃げる羽目になった。
「はぁ、はぁ……やっぱり1人は、まずかったかな……」
洞窟から逃げ出し、草原の上で1人反省した。
やはり遠距離武器が1人で戦うのは難しい。
周りに敵がいないことを確認してから回復ポーションを飲み、視界の悪さを治した。
「よかったら一緒に行きましょうか?」
知らない声でそう言われる。
まだ息を整えている途中だが、前方から話しかけてきた人に返事をするため顔を上げた。
目の前にウエスタンな剣士が立っている。
比べるのは申し訳ないが、アキラよりも背の高い男の人だ。
赤と黒を基調とした服と、茶色い皮のブーツと手袋をしている。
頭に被っている羽根帽子がやけに似合っているように感じた。
「あのー……?」
その声を聞いて初めて目線を合わせた。
「あ、すみません! 出来れば、その、よろしくお願いします!」
深々と頭を下げる。
その頭を上げて再び彼の顔を見ると、彼は笑顔を見せてくれた。
「じゃあ、パーティ誘いますね」
そう言って彼が素早くウィンドウを開いた。
『ユーキさんからパーティに誘われました』
「ユーキ、さん」
初めて見たその名前を声に出してみた。
「はい、ユーキです。よろしくお願いします、ユリさん」
私はウィンドウに表示されている承認に触れた。
「じゃあ、早速行きましょうか!」
ユーキさんが赤と黒のマントを翻し、張り切って歩き出した。
後ろから青い髪が少し見える。
私とアキラは現実とほぼ変わらない色にしているけど、こうやってゲームならではの色を楽しんでいる人もいるんだよなぁ。
気が向いたらこの世界の美容室で髪を染めてみるのもいいかもしれないと思った。
ほんの少し前に1人で逃げ出したばかりの洞窟に、今度はユーキさんと2人で入る。
ユーキさんがいるおかげか、さっきよりも洞窟の暗さが多少はマシに感じた。
「ここには何しにきたんですか? 国王にダークウルフの毛皮を頼まれてるとか?」
「それです!」
「それならすぐ終わりますね。行きましょう」
全力で走って洞窟の外に逃げる。
なぜこんなに全力で逃げる羽目になったのか。
数分前に1人で洞窟に来たところまではよかった。
しかし、ダークウルフの動きが速すぎて遠距離武器の私には攻撃を与える隙がなく、一方的に攻撃を受け続けてしまった。
気づけば目の前がほんのり赤色に変わっていて、HPが2割を切っていた。
こんなにやられたのは初めてで、こうして逃げる羽目になった。
「はぁ、はぁ……やっぱり1人は、まずかったかな……」
洞窟から逃げ出し、草原の上で1人反省した。
やはり遠距離武器が1人で戦うのは難しい。
周りに敵がいないことを確認してから回復ポーションを飲み、視界の悪さを治した。
「よかったら一緒に行きましょうか?」
知らない声でそう言われる。
まだ息を整えている途中だが、前方から話しかけてきた人に返事をするため顔を上げた。
目の前にウエスタンな剣士が立っている。
比べるのは申し訳ないが、アキラよりも背の高い男の人だ。
赤と黒を基調とした服と、茶色い皮のブーツと手袋をしている。
頭に被っている羽根帽子がやけに似合っているように感じた。
「あのー……?」
その声を聞いて初めて目線を合わせた。
「あ、すみません! 出来れば、その、よろしくお願いします!」
深々と頭を下げる。
その頭を上げて再び彼の顔を見ると、彼は笑顔を見せてくれた。
「じゃあ、パーティ誘いますね」
そう言って彼が素早くウィンドウを開いた。
『ユーキさんからパーティに誘われました』
「ユーキ、さん」
初めて見たその名前を声に出してみた。
「はい、ユーキです。よろしくお願いします、ユリさん」
私はウィンドウに表示されている承認に触れた。
「じゃあ、早速行きましょうか!」
ユーキさんが赤と黒のマントを翻し、張り切って歩き出した。
後ろから青い髪が少し見える。
私とアキラは現実とほぼ変わらない色にしているけど、こうやってゲームならではの色を楽しんでいる人もいるんだよなぁ。
気が向いたらこの世界の美容室で髪を染めてみるのもいいかもしれないと思った。
ほんの少し前に1人で逃げ出したばかりの洞窟に、今度はユーキさんと2人で入る。
ユーキさんがいるおかげか、さっきよりも洞窟の暗さが多少はマシに感じた。
「ここには何しにきたんですか? 国王にダークウルフの毛皮を頼まれてるとか?」
「それです!」
「それならすぐ終わりますね。行きましょう」
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