恋の居場所

桜庭 葉菜

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ルーネシア王国 1

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「あ、また草原でログアウトしてた」

 まず最初にモンスターが目に入るというのは正直怖い。

 これからは出来るだけ街の中でログアウトしようと思った。

 また1人で街の中まで歩く。

 街の中に着いた時には21時55分。

 5分あれば道具屋まで行って回復ポーションを買ってくることも可能だと思い、急いで行ってくることにした。

 結局追加で5個買い、残っていた分も合わせて回復ポーションが6個になった。

 約束の場所に着いた時にはぴったり22時で、アキラもすぐに見つかった。

「いやあ、びっくりしたよ。俺、草原でログアウトしたんだ。目の前にモンスターがいて、いきなり戦う羽目になったよ」

 私とおんなじことになっていて、思わず吹き出してしまった。

「だね。これからは街の中でログアウトしようか」

「だな」

 アキラに私が1人でプレイしていた時のことを話すと、アキラが「俺も欲しい」と言うので、まずは地図を手に入れて、その後に回復ポーションを買いに行くことになった。

 こうなるなら先に1人で買いに行かずに一緒に行けばよかったかな。

 なんて思いながら一緒に行った。

 3度目の道具屋。

 中にいる女の店員さんも変わらないままだ。

 アキラが回復ポーションを買う間に、私は違うものを見ることにした。

 解毒ポーション、MPポーション、その他のアイテムも色々あったが、まだ必要ない気がして今は見るだけにしておいた。

「え、な︎、なにっ!?」

 アキラがいきなり大きな声を上げた。

 私もびっくりしてアキラの方を見ると、何やらアキラは自分の手を見ている。

 も、もしかして……

「ユリ! 回復ポーションが消えたよ!」

 もう笑うしかなかった。

「いやぁ、まさか回復ポーションが消えるなんて思わないよな~」

「ほんとにね。私も最初はびっくりしちゃったもん」

 ルーネシア王国への道を歩きながら道具屋でのことを話す。

 あのあと私がしっかり説明をして、アキラは無事に回復ポーションを買うことができた。

 あの時のアキラの反応ときたら──

「くっ……だめだ、笑いが……」

 多分私よりも面白い反応だったと思う。

 あのアキラの間抜けな顔は鮮明に覚えている。

 これはしばらくの間思い出し笑いが止まらなくなりそうだ。

「ったく、そんなに笑うなよ。ユリのも見れたら俺も笑ってやったのに」

 ……それは勘弁して欲しい。
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