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アキラとユリ 2
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街の外に出る。
足元にはずっと遠くまで続いている1本の砂利道。
その他は辺り一面、綺麗な草原。
そしてその草原の上で静かに寝ている──モンスター。
名前はブルーボア。
名前の通り、青いイノシシだ。
メニューウィンドウの出し方は知らなかったが、戦い方は公式サイトに少し載っていたから覚えている。
例えば敵の攻撃を避ける動きはプレイヤーの動き次第だが、スキルは発動してしまえば勝手に体が動くようになっている。
普通の攻撃も基本はプレイヤーの動きが反映されるが、多少は当たるように調整されるらしい。
つまり、弓なんて使ったことがない私でも、ある程度弓を構えて矢を放つことが出来れば当たるようになっているということ。
ゲームの中だけかもしれないけれど、何度も戦闘で弓を使っていればきっとうまくなるだろう。
今はとりあえずゲームの動きに任せて弓の使い方を学ぼう。
アキラもきっと同じことを考えているはず。
そう思ってアキラの方を見た。
──あれ?
なんだかアキラの様子がおかしいような……
「なあ、ユリ。どうやって戦うんだ……?」
ドウヤッテタタカウンダ?
その言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
私がNDOのことを話したら私よりハマって調べていたのに。
まさかアキラに知らないことがあったなんて。
ちょっと意外だったが、私は公式に載っていた通りのことを教えてあげた。
「私も文を読んだだけだから、一緒に戦って勉強しよう」
アキラはさっきよりも柔らかい表情になった。
「じゃあ試しにそこにいる奴と戦ってみるか。街のすぐそばだから無理そうだったら帰ろう」
「そうだね!」
普通のゲームの時とは比べ物にならない緊張感が漂う。
ただボタンを押したりコマンドを選択して戦うゲームじゃない。
自分の動き方1つで戦いが変わってくる。
考えれば考えるほど怖くなってくるかもしれない。
とにかく、今は何も考えずに戦ってみよう。
弓を手に取りゆっくり近づくとブルーボアが体を起こした。
アキラがすぐに短剣で切りつける。
怯んだブルーボアに向かって私もすかさず矢を放つ。
初めてにしては順調だ。
再びアキラが短剣を振る。
2度、3度と攻撃が入る。
すると、今度はブルーボアの方が攻撃を仕掛けてきた。
アキラを目がけて突進してくる。
それを避けきることが出来ず、アキラが尻もちを着いた。
「アキラ!」
急いで弓を引き絞り、矢を放つ。
──当たった!
ブルーボアは次に私の方に矛先を向けた。
足元にはずっと遠くまで続いている1本の砂利道。
その他は辺り一面、綺麗な草原。
そしてその草原の上で静かに寝ている──モンスター。
名前はブルーボア。
名前の通り、青いイノシシだ。
メニューウィンドウの出し方は知らなかったが、戦い方は公式サイトに少し載っていたから覚えている。
例えば敵の攻撃を避ける動きはプレイヤーの動き次第だが、スキルは発動してしまえば勝手に体が動くようになっている。
普通の攻撃も基本はプレイヤーの動きが反映されるが、多少は当たるように調整されるらしい。
つまり、弓なんて使ったことがない私でも、ある程度弓を構えて矢を放つことが出来れば当たるようになっているということ。
ゲームの中だけかもしれないけれど、何度も戦闘で弓を使っていればきっとうまくなるだろう。
今はとりあえずゲームの動きに任せて弓の使い方を学ぼう。
アキラもきっと同じことを考えているはず。
そう思ってアキラの方を見た。
──あれ?
なんだかアキラの様子がおかしいような……
「なあ、ユリ。どうやって戦うんだ……?」
ドウヤッテタタカウンダ?
その言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
私がNDOのことを話したら私よりハマって調べていたのに。
まさかアキラに知らないことがあったなんて。
ちょっと意外だったが、私は公式に載っていた通りのことを教えてあげた。
「私も文を読んだだけだから、一緒に戦って勉強しよう」
アキラはさっきよりも柔らかい表情になった。
「じゃあ試しにそこにいる奴と戦ってみるか。街のすぐそばだから無理そうだったら帰ろう」
「そうだね!」
普通のゲームの時とは比べ物にならない緊張感が漂う。
ただボタンを押したりコマンドを選択して戦うゲームじゃない。
自分の動き方1つで戦いが変わってくる。
考えれば考えるほど怖くなってくるかもしれない。
とにかく、今は何も考えずに戦ってみよう。
弓を手に取りゆっくり近づくとブルーボアが体を起こした。
アキラがすぐに短剣で切りつける。
怯んだブルーボアに向かって私もすかさず矢を放つ。
初めてにしては順調だ。
再びアキラが短剣を振る。
2度、3度と攻撃が入る。
すると、今度はブルーボアの方が攻撃を仕掛けてきた。
アキラを目がけて突進してくる。
それを避けきることが出来ず、アキラが尻もちを着いた。
「アキラ!」
急いで弓を引き絞り、矢を放つ。
──当たった!
ブルーボアは次に私の方に矛先を向けた。
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