恋の居場所

桜庭 葉菜

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放課後の楽しみ 2

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 帰りのHRは私の気持ちが先生に通じたのか、いつもよりも早く終わった。

「あきら! 早く行くよ!」

 彼のカバンを奪って教室を出る。

「あっ、おい!」

 階段を降りるところでカバンを奪われた。

「まったく……転ぶぞ。そんなに急がなくてもゆりのお父さんが予約してくれたんだから大丈夫だろ」

 それは正論だ。

 だが「まったく」と言いたいのはこっちだ。

 待ちに待ったゲームがやっと発売されたというのに、どうしてそんなに落ち着いていられるんだろうか。

「早くやりたいの! 転ばないから大丈夫!」

 大きめの声で言う。

 あきらは一瞬呆れ顔をしたが、すぐに微笑んでくれ、私のあとをかけてきた。

「やったー!」

 あまりの嬉しさにゲームソフトの入った袋を掲げる。

 お父さんが学校の近くにあるお店で予約してくれたので、こうして学校帰りに寄ることが出来た。

 受け取りもスムーズに出来たし、順調だ。

 このまま早く家に帰って遊びたい!

「そんな持ち上げて……せっかく手に入れたのに落として壊すなよ~」

「人が喜んでるのになんてこと言うのよ~」

 とは言いつつも確かにせっかく買ったものをこんなにすぐ壊してしまってはならない。

 私はちょっと大げさに両手でそのゲームを抱えた。

「じゃあ早く帰って一緒にやるか!」

「仕方ない。お隣さんと一緒にやりますかー」

「はいはい、お隣さんですよー」

 イタズラな笑みを浮かべた私に同じように笑い返すあきら。

 まあ、お隣さんとやるのも案外悪くないかな。

 なんて思えてきた。

「じゃあ、1時間後ね!」

「おう」

 私達は家の前で別れた。

 帰り道はずっとゲームの話をしていた。

 こういう時、家が近いと長いこと話ができるし便利だ。

「ただいまー!」

 玄関に入るなり大きな声でそう言うと、まず先に出迎えてくれたのは飼い猫のメロ。

 猫種はアメリカンショートヘア。

 私が高校に入るときに飼い始めたので今年で2年目になる。

「おかえりー」

 その次にリビングのドアからひょっこりと顔を出したのがお父さん。

 体型がかなり細めで、いつも優しそうな顔をしている。

 性格も見た目通りの優しいお父さんだ。

 お母さんはキッチンで料理でもしているのだろうか。

 少しだけいい匂いがしてきた。

「どう? ゲームちゃんと買えた?」

 お父さんが不安そうな表情で聞いてくる。

「ちゃんと買えたよ! ありがとう!」

 私はお父さんに買ってきた袋を掲げて見せてあげる。

「よかった」

 お父さんはホッと胸を撫で下ろした。
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