恋の居場所

桜庭 葉菜

文字の大きさ
上 下
1 / 26

放課後の楽しみ 1

しおりを挟む
 Nineナイン Dragonsドラゴンズ Onlineオンライン──通称『NDO』

 今日発売のVRMMORPGの名前だ。

 今すぐ買いに行きたいところだが、あいにくまだ6時限目の授業中。

 もう何回時計を見ただろうか。

 前回見た時から5分しか進んでいない。

 授業が終わるまであと15分。

 机の中にスマホを隠しながらゲームの公式サイトを開く。

 キャラクター名は何にしよう?

 どんな見た目で作ろう?

 妄想がどんどん膨らんでしまう。

 私の席は前から5番目なのでこんなことをしていても先生にバレることはない、が──

「ゆり、ニヤニヤするな」

 隣の席のあきら。

 彼には毎回バレてしまう。

 正直先生よりも嫌になっちゃう。

 そんなあきらとは幼稚園の頃からの幼なじみ。

 なんだかんだで高校まで同じところに通うことになってしまった。

 そして2年になって初めて同じクラスになり、すでに3ヶ月以上が経過した。

「もー、いいでしょ? 我慢できないんだもんっ」

「あと10分くらい我慢しろよ」

 あ、もう5分経ったんだ。

 一瞬そう思ったが私にはその残りの10分も長い。

 私は再び携帯に目を落とした。

 ──Nine Dragons Online。

 ある日、世界中に九匹の竜が舞い降りる。

 その竜たちのせいで壊れてゆく世界……

 そこでルーネシア王国の国王がその竜たちを倒してくれる人を募った。

 これは九匹の竜を倒そうと立ち上がった主人公の物語──

「起立!」

 キリツ? 周りを見るとみんなが立っている。

 どうやら授業が終わるようだ。

 私1人だけ座っていることに気づき、慌てて立ち上がった。
 
 チャイムが鳴ると同時に、私は誰よりも早く帰りの支度を始めた。

 残るは帰りのHRのみ。

 それが終わればこのまま予約してあるお店に直行だ。

 ──あきらと一緒に。

 私がNDOの話をずっとしていたらやりたくなってしまったらしい。

 それで私のお父さんが私とあきらの分を予約してくれた。

 私たちは家が隣で、親同士もとても仲がいいので何かと2人セットで扱われてしまう。

 あきらはそれを全然嫌がってはいない。

 まあ、私も嫌なわけではないけれど。

 でも今回はオンラインゲームだから、知らない人とも仲良くなりたいなーなんて思っているのに。

 仕方ない、初日くらいは一緒にやってあげようと思う。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R18】お父さんは娘に夢中

ねんごろ
恋愛
 いけない関係のお話。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...