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私だけ 2
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「あ、ごめん。なんか話したい気分になちゃって。行こうか」
そう言ってこうちゃんが歩き始めた。
私もそれを追うように歩き始めた時──
「久しぶりじゃん!」
こうちゃんの前から知らない声が聞こえてきた。
「お前もしかして……ひろゆき!」
こうちゃんが大きな声を出す。
「久しぶり! 家近いのに会わないなーって思ってたんだよ」
「ちょっと今遠くにいてさ、夏休みだから久々に帰って来たんだ」
こうちゃんとひろゆきくんの話が勝手に盛り上がっていく。
ひろゆきくん……
私はなんだかその名前に聞き覚えがあった。
「あれ、もしかして後ろにいるのって、ことね?」
私の名前を呼ばれた気がして顔を上げた。
「やっぱりことねじゃん! 久しぶり! 俺のこと覚えてる?」
「──あ!」
思い出した。
小学生のころ、こうちゃんと一緒にいた友達だ。
ひろゆきくんの家には何度かみんなで遊びに行ったっけかな。
なんて、色々と小学生の頃のことを思い出してきた。
「ことね?」
こうちゃんが私の名前を口にする。
「お前ら今でも付き合いあったんだな! 俺たちずっと遊んでたもんな、懐かしいよな」
「あー、ことね! そうなんだよ、またみんなで集まりたいよな!」
もう一度私の名前を呼ぶ。
もしかしてこうちゃん、ひろゆきくんに会ったおかげで私のことを思い出した……?
私は2人に駆け寄った。
「あ、俺そろそろ行かなきゃ。またな!」
もっと話そうと思っていたのに、ひろゆきくんは忙しいようだ。
でもひろゆきくんのおかげで、こうちゃんとまた昔のように出来ると思うと嬉しくてたまらなかった。
ひろゆきくんが走り去り、2人で公園の前に取り残された。
私がこうちゃんの前に行き顔を覗き込むと、なんだかこうちゃんの様子がおかしかった。
「こうちゃ──」
「ごめん、鈴木さん」
──え?
「私のこと、思い出してくれたんじゃ……?」
「あの時はひろゆきが居たから、つい……でも、本当にわからないんだ。
俺たちはどこで出会ってるんだ?
鈴木さんは、俺にとってなんなんだ?」
こうちゃんが今まで見たことないほどに焦っている。
でもそれ以上に私の方が戸惑っていて、そんなこと気にしていられなかった。
「私とこうちゃんは、ここで出会ったんだよ……この、公園で……」
目の前に広がる何一つ変わらぬ公園。
私たちはここで出会った。
「今のひろゆきくんも、こうちゃんも私も、他にも……みんなでここで遊んでて……」
なんで、こんなことを話しているんだろう。
「中学に上がってから、あそこのマンションに住んでた私のお母さんの家にも行ったんだよ……?」
今度は公園と逆の方向にあるマンションを見る。
何も変わっていない。
「なんで、何も覚えていないの……?」
変わってしまったのはこうちゃんだけ。
忘れてしまったのはこうちゃんだけ。
「私はこんなにもこうちゃんが大好きで、ずっと会いたかったのに!」
もう止まってよ私。
「こんななら、文化祭のあの日、会わなきゃ良かった!」
それ以上言っちゃダメ。
「連絡先も交換しなきゃよかった!」
涙が溢れて止まらない。
「あの時……逆上がりを教えてもらわなきゃよかった……」
もう何も止めることは出来なかった。
呆然と立ち尽くすこうちゃんを残し、私は1人、来た道を走った。
そう言ってこうちゃんが歩き始めた。
私もそれを追うように歩き始めた時──
「久しぶりじゃん!」
こうちゃんの前から知らない声が聞こえてきた。
「お前もしかして……ひろゆき!」
こうちゃんが大きな声を出す。
「久しぶり! 家近いのに会わないなーって思ってたんだよ」
「ちょっと今遠くにいてさ、夏休みだから久々に帰って来たんだ」
こうちゃんとひろゆきくんの話が勝手に盛り上がっていく。
ひろゆきくん……
私はなんだかその名前に聞き覚えがあった。
「あれ、もしかして後ろにいるのって、ことね?」
私の名前を呼ばれた気がして顔を上げた。
「やっぱりことねじゃん! 久しぶり! 俺のこと覚えてる?」
「──あ!」
思い出した。
小学生のころ、こうちゃんと一緒にいた友達だ。
ひろゆきくんの家には何度かみんなで遊びに行ったっけかな。
なんて、色々と小学生の頃のことを思い出してきた。
「ことね?」
こうちゃんが私の名前を口にする。
「お前ら今でも付き合いあったんだな! 俺たちずっと遊んでたもんな、懐かしいよな」
「あー、ことね! そうなんだよ、またみんなで集まりたいよな!」
もう一度私の名前を呼ぶ。
もしかしてこうちゃん、ひろゆきくんに会ったおかげで私のことを思い出した……?
私は2人に駆け寄った。
「あ、俺そろそろ行かなきゃ。またな!」
もっと話そうと思っていたのに、ひろゆきくんは忙しいようだ。
でもひろゆきくんのおかげで、こうちゃんとまた昔のように出来ると思うと嬉しくてたまらなかった。
ひろゆきくんが走り去り、2人で公園の前に取り残された。
私がこうちゃんの前に行き顔を覗き込むと、なんだかこうちゃんの様子がおかしかった。
「こうちゃ──」
「ごめん、鈴木さん」
──え?
「私のこと、思い出してくれたんじゃ……?」
「あの時はひろゆきが居たから、つい……でも、本当にわからないんだ。
俺たちはどこで出会ってるんだ?
鈴木さんは、俺にとってなんなんだ?」
こうちゃんが今まで見たことないほどに焦っている。
でもそれ以上に私の方が戸惑っていて、そんなこと気にしていられなかった。
「私とこうちゃんは、ここで出会ったんだよ……この、公園で……」
目の前に広がる何一つ変わらぬ公園。
私たちはここで出会った。
「今のひろゆきくんも、こうちゃんも私も、他にも……みんなでここで遊んでて……」
なんで、こんなことを話しているんだろう。
「中学に上がってから、あそこのマンションに住んでた私のお母さんの家にも行ったんだよ……?」
今度は公園と逆の方向にあるマンションを見る。
何も変わっていない。
「なんで、何も覚えていないの……?」
変わってしまったのはこうちゃんだけ。
忘れてしまったのはこうちゃんだけ。
「私はこんなにもこうちゃんが大好きで、ずっと会いたかったのに!」
もう止まってよ私。
「こんななら、文化祭のあの日、会わなきゃ良かった!」
それ以上言っちゃダメ。
「連絡先も交換しなきゃよかった!」
涙が溢れて止まらない。
「あの時……逆上がりを教えてもらわなきゃよかった……」
もう何も止めることは出来なかった。
呆然と立ち尽くすこうちゃんを残し、私は1人、来た道を走った。
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