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はじめまして 2
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映画の上映中はお互いのことを気にせずに楽しんだ。
映画の監督さんは去年の映画でとても有名になった人で、主演の女優さんも最近人気のある人。
やっぱり女優さんは綺麗だと思った。
涙を流すシーンも怒るシーンも何でもないようなシーンも。
どんな顔をしていても綺麗で、誰よりも目立っている。
きっと私がこんな人だったらこうちゃんに忘れられることもなかったんだろう。
映画を見ていてもこんなことを思ってしまう私は本当にどうかしてしまっている。
映画館を出て明るくなる前に、私は気持ちを切り替えた。
「すごくよかったな」
グッズを見ながらこうちゃんが言ってくる。
「そうだね」
それ以外に何か感想を探したが、さっきの女優さんのことを思い出してしまい、何も言えなくなってしまった。
こうちゃんもグッズを見るのに必死になっているので大丈夫だろう。
こうちゃんが私を見ていないであろうところで、私はこうちゃんのことをしっかりと目に焼き付けていた。
こうちゃんがグッズを買った後は、軽くお店を見て回ったりした。
こうちゃんは高校でもサッカーを続けているようで、サッカーの道具が売っているお店にも行った。
今日1日でこうちゃんの色んな話が聞けて、すごく仲良くなれたと思う。
私のことを思い出してくれないことも、今日1日の間で少しずつ気にならなくなってきた。
気がつくと辺りはだんだんと暗くなってきて、帰る時間がやってきた。
別れの場所も集合の時と同じ駅前。
来た時は同じくらいの学生が目立っていたのに、今はスーツの人が多く見える。
「今日はありがとう」
私の方から言う。
「こちらこそありがとう。あの、これ今日のお礼なんだけど……」
そう言って今日行った映画館のロゴが入った袋を渡される。
「映画見た後に何かお礼をしようって考えててさ、本人に聞くのも違う気がして1人ですげぇ迷ってた」
あの時、グッズを真剣に見ていたのは私のためだったんだ……
「ありがとう!」
今すぐ開けたい衝動をなんとか抑えながらお礼をする。
「じゃあ、また」
そう言ってこうちゃんは私が改札に入るまで見送ってくれた。
家に帰ってすぐにこうちゃんにもらったものを開けてみると、中にはリボンのキーホルダーが入っていた。
映画の中で女優さんがつけていたキーホルダーが売っていて、かわいいなと思って少しだけ見ていたのだ。
もしそれを見ていた私のことをこうちゃんが見ていてくれたのだとしたら……
そう考えた瞬間、顔が真っ赤になるのを感じた。
「嬉しすぎるー!」
なんだか声に出さずにはいられなかった。
そのキーホルダーを携帯につけ、少しの間眺めながら今日のことを振り返った。
今日はすごく楽しかった。
行く前は不安の方が勝っていたが、やっぱりこうちゃんといるのは楽しい。
それに、今まで知らなかったこうちゃんのことを知ることもできた。
案外恋愛映画も見るんだなぁとか。
あのグッズを見ていた姿が私のためだったと考えると、本当に悩んでいたなぁと思う。
今日のお礼って、そういうところは案外真面目というか、義理深いというか。
よく考えれば、他にもりんごジュースとかりんごジュースとか……それしかないけど。
こうちゃんから貰うだけで、私から何かあげたことが無かったことに気がついた。
「次会うときには私も何かあげようかな」
また次の楽しみを作ることができた。
映画の監督さんは去年の映画でとても有名になった人で、主演の女優さんも最近人気のある人。
やっぱり女優さんは綺麗だと思った。
涙を流すシーンも怒るシーンも何でもないようなシーンも。
どんな顔をしていても綺麗で、誰よりも目立っている。
きっと私がこんな人だったらこうちゃんに忘れられることもなかったんだろう。
映画を見ていてもこんなことを思ってしまう私は本当にどうかしてしまっている。
映画館を出て明るくなる前に、私は気持ちを切り替えた。
「すごくよかったな」
グッズを見ながらこうちゃんが言ってくる。
「そうだね」
それ以外に何か感想を探したが、さっきの女優さんのことを思い出してしまい、何も言えなくなってしまった。
こうちゃんもグッズを見るのに必死になっているので大丈夫だろう。
こうちゃんが私を見ていないであろうところで、私はこうちゃんのことをしっかりと目に焼き付けていた。
こうちゃんがグッズを買った後は、軽くお店を見て回ったりした。
こうちゃんは高校でもサッカーを続けているようで、サッカーの道具が売っているお店にも行った。
今日1日でこうちゃんの色んな話が聞けて、すごく仲良くなれたと思う。
私のことを思い出してくれないことも、今日1日の間で少しずつ気にならなくなってきた。
気がつくと辺りはだんだんと暗くなってきて、帰る時間がやってきた。
別れの場所も集合の時と同じ駅前。
来た時は同じくらいの学生が目立っていたのに、今はスーツの人が多く見える。
「今日はありがとう」
私の方から言う。
「こちらこそありがとう。あの、これ今日のお礼なんだけど……」
そう言って今日行った映画館のロゴが入った袋を渡される。
「映画見た後に何かお礼をしようって考えててさ、本人に聞くのも違う気がして1人ですげぇ迷ってた」
あの時、グッズを真剣に見ていたのは私のためだったんだ……
「ありがとう!」
今すぐ開けたい衝動をなんとか抑えながらお礼をする。
「じゃあ、また」
そう言ってこうちゃんは私が改札に入るまで見送ってくれた。
家に帰ってすぐにこうちゃんにもらったものを開けてみると、中にはリボンのキーホルダーが入っていた。
映画の中で女優さんがつけていたキーホルダーが売っていて、かわいいなと思って少しだけ見ていたのだ。
もしそれを見ていた私のことをこうちゃんが見ていてくれたのだとしたら……
そう考えた瞬間、顔が真っ赤になるのを感じた。
「嬉しすぎるー!」
なんだか声に出さずにはいられなかった。
そのキーホルダーを携帯につけ、少しの間眺めながら今日のことを振り返った。
今日はすごく楽しかった。
行く前は不安の方が勝っていたが、やっぱりこうちゃんといるのは楽しい。
それに、今まで知らなかったこうちゃんのことを知ることもできた。
案外恋愛映画も見るんだなぁとか。
あのグッズを見ていた姿が私のためだったと考えると、本当に悩んでいたなぁと思う。
今日のお礼って、そういうところは案外真面目というか、義理深いというか。
よく考えれば、他にもりんごジュースとかりんごジュースとか……それしかないけど。
こうちゃんから貰うだけで、私から何かあげたことが無かったことに気がついた。
「次会うときには私も何かあげようかな」
また次の楽しみを作ることができた。
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