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心の声 1

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 あれから何日が経っただろう。

 幸か不幸か、三郷からの電話は来ていない。

 自己満足、善意の押し付け、ただの迷惑。

 悪い言葉ばかりが俺の頭に浮かんできて、今更後悔の念さえ抱き始めていた。

「いくら名前も書いていないとはいえ、あの紙がもしあの旦那に見つかったら、三郷が何をされるか……」

 やっぱり俺がやったことはダメだったんじゃないか。

 そのことを三郷に謝ることさえできない現状で罪悪感だけが膨らむ。

「ダメだ!」

 こんなことを考えていても何も変わらない。

 俺は気分を入れ替えるためにもコンビニに向かった。

「さむ……」

 秋にもなると流石に夜中は寒いな。

 いくら長袖を着ているとはいえ、もう一枚羽織ってくればよかったと後悔。

 しかし、たった数歩だが、わざわざ上着を取りに家へ戻る気にはならなかったので、俺は腕を組んで寒さを凌ぎながらコンビニに向かった。

 店内で真っ先にコーラを手に取り、それからお菓子コーナーで自分の今の気分と会話する。

 結局、ポテトチップスとクッキーを手に取った。

 しょっぱいものを食べたら甘いものを食べたくなるのは必然。

 両方買ってしまうのがいいに決まっているのだ。

 俺はそれらをレジに持って行き、袋詰めまでしてもらってコンビニを出た。

 また5分ほど肌寒さを我慢しなくては。

 いらぬ気合いを入れた時、スマホが震えた。

 そういえば母さんに何も言わずに出てきたので心配しているのかもしれない。

 そう思ってすぐにスマホを見ると、そこには知らない番号が並んでいた。

 電話帳にも登録されてない。

「え、これって……」

 わずかな可能性が俺の頭の中によぎった。

 いや、まずは電話を取ってみないと。

 震える指先で画面に触れた。

「はい、二宮、です」

 一文字ずつ慎重に発する。

「助けて!」

 たった一言。

 それだけ聞いて俺は袋を手放して走り出した。

「今どこ!?」

「駅の近くの公衆電──待って、ごめんなさい、許して!」

 電話はそこで切れてしまった。

 三郷は駅の近くの公衆電話と言った。

 幸運なことに、コンビニは家から駅に向かう途中のところだ。

 このまま全力で走れば1、2分で駅に着く。

 元々運動していないし、さらに病気でダメになってきた体には1、2分でもだいぶきつい。

「くっ、そ」

 でもここで走らないわけにはいかない。

 三郷が助けてって言ってくれたんだ。

 こんな俺に。
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