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幸せって 2
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ついた場所は前に行ったファミレスだった。
「早く帰らなきゃだからさ」
そう言って三郷はドリンクバーを2つ頼む。
飲み物を取りに行った三郷に続いて、俺は慌てて席を立った。
三郷に手を引かれてから、俺はまともに口をひらいていなかった。
「あの、さっきは助けてくれて、ありがとう、ございます……」
感謝と同時に申し訳なさも込み上げてきた。
「迷惑をかけるつもりはなくて、その──」
敬語で言い訳のようなものを並べる俺に、三郷ははっきりと言い放った。
「この前も言ったけど、もう私に関わらないで」
凛々しいようなその姿が、どうして悲しく見えるんだろう。
「三郷、今幸せか?」
「え?」
急な問いかけに明らかな困惑を見せる三郷。
「俺さ、病気になってから初めて自分の人生について真剣に考えたんだ。たった半年しかないけど自由に生きてみようって決めてさ、そんなの最期がわかってる人間だからできてることなんだろうけど、でも、三郷には、俺の初恋の人には幸せでいてほしいって思うんだ」
さらに告白まがいのことまで言われ、三郷は表情をコロコロと変える。
「もし本当に、本当に誰でもいいから助けてほしいって思ったら俺に連絡してほしい。どんな時でも、どんな場所でも、絶対に駆けつけるから」
そう言ってファミレスのペーパーに電話番号を書いて、ドリンクバーのお金と一緒に渡し、小走りでファミレスを出た。
ファミレスが見えなくなるまで小走りを続けたせいで息が上がった。
近くに見えた公園の自動販売機で飲み物を買い、ベンチに腰掛けた。
空を見上げる。
あれでよかったんだろうか。
これでもう俺からは連絡したり会いに行ったりできなくなった。
電話が来なければ幸せでいてくれてるのか?
もし電話が来たら?
わからない、わかんねえよ。
無性にイライラしてきた。
勢いに任せた自分の行動のせいで、思考が追いついていない。
「今幸せか、なんてな」
自分自身を鼻で笑った。
まだ俺自身の幸せすらわかってないのに、生意気なことを言ってしまった。
空に一筋の光が通った。
「三郷が幸せになれますように」
流れた星に乾杯をして、家に帰った。
「早く帰らなきゃだからさ」
そう言って三郷はドリンクバーを2つ頼む。
飲み物を取りに行った三郷に続いて、俺は慌てて席を立った。
三郷に手を引かれてから、俺はまともに口をひらいていなかった。
「あの、さっきは助けてくれて、ありがとう、ございます……」
感謝と同時に申し訳なさも込み上げてきた。
「迷惑をかけるつもりはなくて、その──」
敬語で言い訳のようなものを並べる俺に、三郷ははっきりと言い放った。
「この前も言ったけど、もう私に関わらないで」
凛々しいようなその姿が、どうして悲しく見えるんだろう。
「三郷、今幸せか?」
「え?」
急な問いかけに明らかな困惑を見せる三郷。
「俺さ、病気になってから初めて自分の人生について真剣に考えたんだ。たった半年しかないけど自由に生きてみようって決めてさ、そんなの最期がわかってる人間だからできてることなんだろうけど、でも、三郷には、俺の初恋の人には幸せでいてほしいって思うんだ」
さらに告白まがいのことまで言われ、三郷は表情をコロコロと変える。
「もし本当に、本当に誰でもいいから助けてほしいって思ったら俺に連絡してほしい。どんな時でも、どんな場所でも、絶対に駆けつけるから」
そう言ってファミレスのペーパーに電話番号を書いて、ドリンクバーのお金と一緒に渡し、小走りでファミレスを出た。
ファミレスが見えなくなるまで小走りを続けたせいで息が上がった。
近くに見えた公園の自動販売機で飲み物を買い、ベンチに腰掛けた。
空を見上げる。
あれでよかったんだろうか。
これでもう俺からは連絡したり会いに行ったりできなくなった。
電話が来なければ幸せでいてくれてるのか?
もし電話が来たら?
わからない、わかんねえよ。
無性にイライラしてきた。
勢いに任せた自分の行動のせいで、思考が追いついていない。
「今幸せか、なんてな」
自分自身を鼻で笑った。
まだ俺自身の幸せすらわかってないのに、生意気なことを言ってしまった。
空に一筋の光が通った。
「三郷が幸せになれますように」
流れた星に乾杯をして、家に帰った。
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