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最悪な再会 2

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 ようやく俺の脳内会議が終わって、三郷に連絡した。

『改めて、連絡先交換してくれてありがとう』

 たったそれだけの文だけど、これをきっかけに何か進んでくれればと祈りながら送った。

 スマホの振動に敏感になる。

 画面に表示された「三郷」の文字を見て、俺は飛び上がった。

 タップしようとする指に少しの緊張が帯びる。

 押すんだ、俺!

 勢いよく画面をタップして、三郷とのトーク画面を開く。

『こちらこそ、ありがとう!』

 文面は全然明るそうだ。

 それが逆にあの怯え切った三郷の表情を思い起こさせる。

『この通り俺は暇だからさ、暇つぶし相手にでも、いつでも呼んで。なんかあったらいつでも言って』

 最後の文は余計だったか?

 送った文を見直してそう思ってしまった。

 いかん、またあの脳内永遠会議が開催されるところだった。

 これくらい送っても大丈夫……なはず!

 トーク画面を閉じて、俺はようやく夕飯と風呂にありつけた。

 寝るまでの諸々の準備をしてからスマホを見る。

「三郷」の2文字が見えた瞬間、心臓が止まるかと思った。

 ついいつもの癖でサラッとスマホを見てしまい、不意打ちを喰らった気分だ。

 今度は恐る恐る画面を開く。

『ありがとう。でも、私に構うばっかりじゃなくて、自分の時間も大切にするんだよ?』

 え、これは遠回しに断られてるやつですか?

 一瞬のフリーズの後、通知音が鳴って、三郷から新たなメッセージがきた。

『ひとつ聞いておきたいんだけど。昨日のこと、他に誰か知ってる人はいる?』

 ああ、そう言うことか。

 三郷は断ったわけじゃなくて、単純に俺の残りの時間が少ないことを気遣ってくれたんだ。

『まだ家族と三郷くらいしか知らない』

 そう返信するとすぐに既読がついて、返事が来た。

『わかった、ありがとう。おやすみ』

 俺も『おやすみ』とだけすぐに返事をした。

 数分待ったが既読はつかなかった。
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