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最悪な再会 1

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 次の日、今日は病院に行く日だ。

 薬のおかげで今のところ問題なく暮らせているが、もちろん治っていってるわけじゃない。

 病気はゆっくりと進行しているらしい。

 医者には、どこかで急激に進行することもあると忠告された。

 薬ももらって、帰る頃にはだいぶ経っていた。

 母さんに買い物を頼まれていたので、俺は駅前のスーパーに向かう。

 するとそこで目の前の女性が目に入る。

 なんというか、これは、どういうことなんだ……?

 その女性と目が合う。

 彼女は目を見開き、やがて逃げ出した。

 しかし、俺もそこまで衰えたわけではない。

 すぐに彼女の手首を掴む。

「三郷──」

「離して」

 発せられた言葉は彼女のものとは思えないほど低くて、そして震えていた。

 昨日の三郷とはまるで別人だった。

 髪も服も乱れていて、ただの休みの日ならば適当な格好をしていることもあるだろうが、そういう雰囲気ではない。

 俺を見つけてすぐに逃げ出そうとしたのもそうだ。

 ああ、なんでこういう時ばっかり勘が冴えるんだろうか。

 今思えば昨日急いで帰ったのだって違和感があった。

 三郷……

 なんて言ったらいいのかわからない。

 言葉が思いつかない。

 ただこの手だけは離しちゃいけないと、それだけはわかった。

 でも、どうしたらいいんだ?

 俺がすべきことは?

 俺にできることは?

 三郷にとって迷惑になるだけかもしれない。

 でも、それでも、ここで何もしないという選択肢は俺の中にはなかった。

「あ、あのさ、連絡先交換しない? 実は俺、昨日からずっとそればっかり考えちゃってたんだ」

「……いいよ」

 三郷はまだ俺のことを警戒してはいたものの、あっさりと連絡先は交換してくれた。

「じゃあまた、何かあったらいつでも連絡してきて」

 それだけ言って今度は俺が逃げるようにその場を去る。

 母さんに頼まれたものだけは忘れずに買ってすぐに家に帰った。

 それからというもの、俺はスマホと睨めっこを続けていた。

 俺から三郷に連絡すべきか?

 いや、ここは向こうから来るのを待つべきか?

 でも、やっぱり──

「わっからん!!」

 頭の中がぐちゃぐちゃだ。

 昨日ナンパした人が初恋の人で、そのままご飯に行って、今日また偶然会ってみたら……

「DV、だよな」

 いやまだ断定はできない。

 でも、可能性は高いと思う。

 だって昨日の今日であんなになるのはおかしいだろ?

 DVじゃなかったとしても、何かある。

 で、何かあったとして、俺に何ができる?

 思考のループにはまった。

 だめだ、考え方を変えよう。

 俺はどうしたい?

 俺は三郷がもし困っているなら力になりたい。

 ならなんでもいい、俺から連絡しよう。

 その先はまた考える。
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