6 / 16
初恋の人 1
しおりを挟む
今まで1人で色んなところにいってきた。
てことで、今日からは人と関わっていこうと思う。
手始めにナンパから。
いや、最初にすることじゃないかもしれないけど。
でも、東京での友人とはもう会うことは難しいだろうし、こっちの友人とは上京してからみんな疎遠になってしまった。
つまり、今の俺には友達が1人もいないことに等しい。
ってことは作るしかない。
だからナンパする。
そういうこと。
ナンパするならやっぱ駅前。
仕事帰りくらいの時間を狙う。
まあ、やったことないんだけどもさ。
人生初ナンパ。
東京の駅とかでやった方が成功しそうだけど、仕方ない。
やるだけやってみるんだ!
そう考えながら改札から出てくる人をもう何人も見つめている。
どうせナンパするならやっぱ綺麗な人がいいよなぁ……
という言葉を言い訳に、本当は声をかける勇気が出ない俺。
そんな俺の視界の隅に映ったもの。
一瞬見えた横顔。
長い髪。
メリハリのあるボディライン。
まさしく俺が求めていたもの!
さっきまでの勇気の話とかはもうすっ飛んで、俺は勢いで話しかけていた。
「あの、お姉さん!」
そう声をかけると、その人は黙ってこちらに振り向いた。
綺麗な瞳とばっちり目が合う。
「二宮くん?」
目の前の美人は確かにそう言った。
「えっ、と……?」
それはそうなんだが、どういうことなんだ?
「私、ずっと学校一緒だった三郷だよ!」
三郷……思い出した。
「三郷茜!」
俺の、初恋の人。
「そうだよ、久しぶりだね。まさかこんな所でナンパでもしようとしてたわけじゃあ、ないでしょうね?」
ズイズイと近付いて顔を覗き込まれる。
「う……その、まさかです……」
語尾がだんだんと小さくなった。
恥ずかしい。
まさか同級生、ましてや初恋の相手をナンパしてしまうなんて。
「せっかく会えたんだし、どこかお店入ってお話ししない? 奢ってくれたら許します!」
「もちろん、奢ります!!」
そう言って俺たちは歩き出した。
三郷は去年職場の人と結婚したこと、今でもその仕事を続けていることなど、ファミレスにつく間、軽く話してくれた。
店につくなり、俺はドリンクバーとペペロンチーノ。
三郷は同じくドリンクバーと、オムライスを注文した。
「飲み物、取りに行く?」
「あ、う、うん!」
三郷に言われて、俺は慌ててついて行った。
正直、緊張してる。
まさか昔の同級生に会うなんて思わなかった。
しかも何度も言うが、初恋の人だ。
三郷とは小学校から高校までずっと学校が一緒だった。
彼女を好きになったことに、これといった特別な理由はなかった。
小学生の頃。
仲が良かったから、可愛かったから、優しくしてもらったから。
それくらいの理由。
その頃は付き合いたいとかいう気持ちもなかった。
てことで、今日からは人と関わっていこうと思う。
手始めにナンパから。
いや、最初にすることじゃないかもしれないけど。
でも、東京での友人とはもう会うことは難しいだろうし、こっちの友人とは上京してからみんな疎遠になってしまった。
つまり、今の俺には友達が1人もいないことに等しい。
ってことは作るしかない。
だからナンパする。
そういうこと。
ナンパするならやっぱ駅前。
仕事帰りくらいの時間を狙う。
まあ、やったことないんだけどもさ。
人生初ナンパ。
東京の駅とかでやった方が成功しそうだけど、仕方ない。
やるだけやってみるんだ!
そう考えながら改札から出てくる人をもう何人も見つめている。
どうせナンパするならやっぱ綺麗な人がいいよなぁ……
という言葉を言い訳に、本当は声をかける勇気が出ない俺。
そんな俺の視界の隅に映ったもの。
一瞬見えた横顔。
長い髪。
メリハリのあるボディライン。
まさしく俺が求めていたもの!
さっきまでの勇気の話とかはもうすっ飛んで、俺は勢いで話しかけていた。
「あの、お姉さん!」
そう声をかけると、その人は黙ってこちらに振り向いた。
綺麗な瞳とばっちり目が合う。
「二宮くん?」
目の前の美人は確かにそう言った。
「えっ、と……?」
それはそうなんだが、どういうことなんだ?
「私、ずっと学校一緒だった三郷だよ!」
三郷……思い出した。
「三郷茜!」
俺の、初恋の人。
「そうだよ、久しぶりだね。まさかこんな所でナンパでもしようとしてたわけじゃあ、ないでしょうね?」
ズイズイと近付いて顔を覗き込まれる。
「う……その、まさかです……」
語尾がだんだんと小さくなった。
恥ずかしい。
まさか同級生、ましてや初恋の相手をナンパしてしまうなんて。
「せっかく会えたんだし、どこかお店入ってお話ししない? 奢ってくれたら許します!」
「もちろん、奢ります!!」
そう言って俺たちは歩き出した。
三郷は去年職場の人と結婚したこと、今でもその仕事を続けていることなど、ファミレスにつく間、軽く話してくれた。
店につくなり、俺はドリンクバーとペペロンチーノ。
三郷は同じくドリンクバーと、オムライスを注文した。
「飲み物、取りに行く?」
「あ、う、うん!」
三郷に言われて、俺は慌ててついて行った。
正直、緊張してる。
まさか昔の同級生に会うなんて思わなかった。
しかも何度も言うが、初恋の人だ。
三郷とは小学校から高校までずっと学校が一緒だった。
彼女を好きになったことに、これといった特別な理由はなかった。
小学生の頃。
仲が良かったから、可愛かったから、優しくしてもらったから。
それくらいの理由。
その頃は付き合いたいとかいう気持ちもなかった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ゼンタイリスト! 全身タイツなひとびと
ジャン・幸田
ライト文芸
ある日、繁華街に影人間に遭遇した!
それに興味を持った好奇心旺盛な大学生・誠弥が出会ったのはゼンタイ好きの連中だった。
それを興味本位と学術的な興味で追っかけた彼は驚異の世界に遭遇する!
なんとかして彼ら彼女らの心情を理解しようとして、振り回される事になった誠弥は文章を纏められることができるのだろうか?
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる