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第36話 ドラコ三姉妹
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「ふっふっふっ! 待っていたぞ、人族代表! お前の噂は聞いている! なんでもあの獣人族、オーク族、オーガ族、ウォーレム族、更にはエルフ族相手に完勝したと! だーが! それもここまでだ! いかにお前が人族の超人と言えども、このドラゴン族を統べる赤き三姉妹の長女! ディアーナ=ドラコ様には勝てないぞ!」
そう言って高らかにオレを指さしたのは中央に立つ身長およそ百四十センチほどの女の子。
赤い髪に爛々と輝く金の瞳。頭からは角を出し、背には翼、お尻には尻尾とドラゴン族の特徴を持った活発そうな少女であった。
しかし、その小柄な体躯はオレがこの街ですれ違ったドラゴン族と比べると明らかに小さい。
えっと、本当にこの子がドラゴン族の代表なの?
というか、見た目だけならオレ達をここまで案内してくれた人達のほうがよほど選手っぽいのだが……。
そんなオレの疑問の声が聞こえたのか、ディアーナと名乗った女の子が顔を赤くするとオレの方に詰め寄る。
「貴様! なんだその表情は! もしかしてあれか!? 私の身長がちっこいとか思ったのか!?」
「えっと、いや、それはあの、その……」
意外と鋭い。しかし、さすがに「そうです」と答えるわけにはいかず気まずい雰囲気のまま目線をそらしていると、少女の後ろに控えていた金髪の女性がこちらに近づく。
「あらあら~、ごめんなさいね~。うちのディアーナお姉ちゃんってば身長が短いのがコンプレックスで、自分をジロジロ見る人がいるとすぐにそうやって絡んじゃうんですの~。もお、お姉さま、迷惑かけてはダメですよ~」
「こら! 何をするシスティナ! ええい、離せ! 私はお姉さんだぞ! もっと姉らしく扱えー!」
「はいはい~」
見ると、システィナと呼ばれたその金髪の女性は身長百八十センチはあろうかという長身の女性。
目の前のディアーナと呼ばれた少女と同じく、竜の角と翼、尻尾を持っているが、その雰囲気はまるで異なる。
ディアーナが活発そうな少女に対し、こちらはおっとりとしたお嬢様な雰囲気だ。
というかこの場合は、ゆるふわ系という言うべきなのだろうか?
彼女も代表選手の一人なのだろうが、ディアーナと同じくとてもスポーツをしそうには見えない。
そして、残る一人は……。
「じーっ」
「え?」
見るとオレの隣に見知らぬ青髪のちっこい少女がまとわり付いていた。
身長は先ほどのディアーナと名乗った少女より少し小さいくらい。およそ百三十センチほどで小学生と思わしき外見をしている。
だが、その頭や背中には竜の角や翼が生えており、彼女もドラゴン族であることが分かる。
またちっこいと言っても先ほどのディアーナと比べると明らかに大きい部分があった。
それは他ならぬ胸なのだが、小柄で小さな体に似合わずまるでメロンのような大きな胸をその子はしている。
そして、身長にそぐわないその大きな胸をオレの腕に押しつけると、ジト目のまま少女は呟いた。
「……お前、見た目は華奢だけど、内はすごく鍛えられてる。……気に入った。この勝負に私達が勝ったらお前、私の物にならないか?」
「へ?」
「はああああああああ!? ちょ、何を勝手な事を言ってるんですかー!?」
少女の突然の発言にオレは息を呑み、それを隣で聞いていたミーティアは身を乗り出す勢いで叫び声をあげる。
やがて、そんな少女の背中から先ほどのディアーナと名乗った少女が近づき、少女の腕を引っ張る。
「こら! メルティナ! 勝手なことをするな! これは練習試合だ! そういう要望は後にしておけ!」
「……欲しいのに」
ボソリと文句を言う妹――メルティナという子を引きずりながら、三姉妹が改めてオレ達と向かい合う。
この子達がオレ達と戦うドラゴン族の代表か。本当に大丈夫なんだろうかと、色々と不安になってきた。
「さて、紹介はこれくらいでいいだろう。すでに知っていると思うが我々はお前たちに対し三対三のドッチボールを要求する。覚悟はいいか?」
「構わないよ。すぐに始めるかい?」
オレがそう答えると中央にいたディアーナが一瞬驚いた表情をするが、すぐに面白そうにくつくつと笑い出す。
「くくく、これは面白い。我々ドラゴン族とドッチボールをするというのにまったくビビっていないとはな。いいぞ、お前。噂通りの超人なら少しは楽しめるかもな。おい! ボールを持て!」
そう言うと先ほどオレ達を案内したドラゴン族の貴族らしい人がボールを持ってくる。
どうやら見た目はオレが知るドッチボールの球そのもののようだ。
「ルールはわかっているな。陣の中に三人がいて、このボールを投げ合う。ボールが当たったらそいつはアウト。相手側の外野に移動。そして全員がいなくなれば負け。ちなみにボールをキャッチした場合はそいつのボールとなる」
「質問。ボールが誰にも当たらずそのまま陣の外に出たらどうなる?」
「ん? その時は相手側のボールになる。もしも外野に選手がいれば、そいつが拾って続行だが、最初は全員陣に入って打ち合うからな」
「それじゃあ、ボールが内野でバウンドして相手選手に当たった場合は?」
「その場合は当たった選手はアウトだ。受け止めればセーフだが。ちなみにボールを受け止めようとしてそれを落とせばそいつはアウトになる」
「なるほどね。そういうルールか。オーケー、了解」
ルールがオレの知るドッチボールとほぼ同じと分かって安心した。
なら久しぶりにボールの投げ合いを楽しむとしよう。
そうしてオレを含むセルゲイ、リーシャが陣に入り、それに対するように相手の陣にドラコ三姉妹が入っていく。
「さて、それじゃあ始めようか。ドラグニアが誇るドラコ三姉妹による地獄のドッチボールの……開幕だぁ!!」
そう言って高らかにオレを指さしたのは中央に立つ身長およそ百四十センチほどの女の子。
赤い髪に爛々と輝く金の瞳。頭からは角を出し、背には翼、お尻には尻尾とドラゴン族の特徴を持った活発そうな少女であった。
しかし、その小柄な体躯はオレがこの街ですれ違ったドラゴン族と比べると明らかに小さい。
えっと、本当にこの子がドラゴン族の代表なの?
というか、見た目だけならオレ達をここまで案内してくれた人達のほうがよほど選手っぽいのだが……。
そんなオレの疑問の声が聞こえたのか、ディアーナと名乗った女の子が顔を赤くするとオレの方に詰め寄る。
「貴様! なんだその表情は! もしかしてあれか!? 私の身長がちっこいとか思ったのか!?」
「えっと、いや、それはあの、その……」
意外と鋭い。しかし、さすがに「そうです」と答えるわけにはいかず気まずい雰囲気のまま目線をそらしていると、少女の後ろに控えていた金髪の女性がこちらに近づく。
「あらあら~、ごめんなさいね~。うちのディアーナお姉ちゃんってば身長が短いのがコンプレックスで、自分をジロジロ見る人がいるとすぐにそうやって絡んじゃうんですの~。もお、お姉さま、迷惑かけてはダメですよ~」
「こら! 何をするシスティナ! ええい、離せ! 私はお姉さんだぞ! もっと姉らしく扱えー!」
「はいはい~」
見ると、システィナと呼ばれたその金髪の女性は身長百八十センチはあろうかという長身の女性。
目の前のディアーナと呼ばれた少女と同じく、竜の角と翼、尻尾を持っているが、その雰囲気はまるで異なる。
ディアーナが活発そうな少女に対し、こちらはおっとりとしたお嬢様な雰囲気だ。
というかこの場合は、ゆるふわ系という言うべきなのだろうか?
彼女も代表選手の一人なのだろうが、ディアーナと同じくとてもスポーツをしそうには見えない。
そして、残る一人は……。
「じーっ」
「え?」
見るとオレの隣に見知らぬ青髪のちっこい少女がまとわり付いていた。
身長は先ほどのディアーナと名乗った少女より少し小さいくらい。およそ百三十センチほどで小学生と思わしき外見をしている。
だが、その頭や背中には竜の角や翼が生えており、彼女もドラゴン族であることが分かる。
またちっこいと言っても先ほどのディアーナと比べると明らかに大きい部分があった。
それは他ならぬ胸なのだが、小柄で小さな体に似合わずまるでメロンのような大きな胸をその子はしている。
そして、身長にそぐわないその大きな胸をオレの腕に押しつけると、ジト目のまま少女は呟いた。
「……お前、見た目は華奢だけど、内はすごく鍛えられてる。……気に入った。この勝負に私達が勝ったらお前、私の物にならないか?」
「へ?」
「はああああああああ!? ちょ、何を勝手な事を言ってるんですかー!?」
少女の突然の発言にオレは息を呑み、それを隣で聞いていたミーティアは身を乗り出す勢いで叫び声をあげる。
やがて、そんな少女の背中から先ほどのディアーナと名乗った少女が近づき、少女の腕を引っ張る。
「こら! メルティナ! 勝手なことをするな! これは練習試合だ! そういう要望は後にしておけ!」
「……欲しいのに」
ボソリと文句を言う妹――メルティナという子を引きずりながら、三姉妹が改めてオレ達と向かい合う。
この子達がオレ達と戦うドラゴン族の代表か。本当に大丈夫なんだろうかと、色々と不安になってきた。
「さて、紹介はこれくらいでいいだろう。すでに知っていると思うが我々はお前たちに対し三対三のドッチボールを要求する。覚悟はいいか?」
「構わないよ。すぐに始めるかい?」
オレがそう答えると中央にいたディアーナが一瞬驚いた表情をするが、すぐに面白そうにくつくつと笑い出す。
「くくく、これは面白い。我々ドラゴン族とドッチボールをするというのにまったくビビっていないとはな。いいぞ、お前。噂通りの超人なら少しは楽しめるかもな。おい! ボールを持て!」
そう言うと先ほどオレ達を案内したドラゴン族の貴族らしい人がボールを持ってくる。
どうやら見た目はオレが知るドッチボールの球そのもののようだ。
「ルールはわかっているな。陣の中に三人がいて、このボールを投げ合う。ボールが当たったらそいつはアウト。相手側の外野に移動。そして全員がいなくなれば負け。ちなみにボールをキャッチした場合はそいつのボールとなる」
「質問。ボールが誰にも当たらずそのまま陣の外に出たらどうなる?」
「ん? その時は相手側のボールになる。もしも外野に選手がいれば、そいつが拾って続行だが、最初は全員陣に入って打ち合うからな」
「それじゃあ、ボールが内野でバウンドして相手選手に当たった場合は?」
「その場合は当たった選手はアウトだ。受け止めればセーフだが。ちなみにボールを受け止めようとしてそれを落とせばそいつはアウトになる」
「なるほどね。そういうルールか。オーケー、了解」
ルールがオレの知るドッチボールとほぼ同じと分かって安心した。
なら久しぶりにボールの投げ合いを楽しむとしよう。
そうしてオレを含むセルゲイ、リーシャが陣に入り、それに対するように相手の陣にドラコ三姉妹が入っていく。
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