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第一話 朝?
しおりを挟むある日朝起きると、見知った天井があった。
ひどく倦怠感がある。
昨日のことは・・・・・・思い出せない。
飲みすぎたか?疲れすぎているのか?頭がぼーっとしながら、もう一度瞼を閉じようとした。
だめだ寝れない。
何かやろうとしていたことがあった気がして、体を起こした。
変わりないいつもの部屋。8畳くらいの普通の寝室だ。
俺はあまり物を置かない主義で、ほとんどのものをクローゼットにしまってあるから部屋がスッキリしている。
今日は仕事か?あるいは休み?
それすらもおぼつかない・・・。
昨日は休みだった気がするから、今日は仕事か?やばい、寝坊かもしれない・・・。
寝ぼけ眼をこすりながらベッドから離れ、顔を洗おうとドアノブに手を掛けた。
あれ?そういえばスマホが見当たらないな・・・・と思いつつドアを開けた。
ゆっくりとドアが開いた。
が
その空間は、真っ黒な闇だった。
踏み出そうとした足が動かない。
まだ夢の中にいたみたいだ。早く目を覚まそう。
「なんで言われたことも出来ねぇんだ、やる気ないなら辞めちまえ」
そんな心がえぐられるような言葉を受けながら俺は6年間仕事を熟していた。
いや、熟していたわけではなく淡々と命令に従っていただけなのかもしれない。
スーパーマーケットでの仕事は思っていたよりも複雑で、体力も頭も使う。
なんで入社したか?それは受かったからとしか言えない・・・。
いつものように仕事を終えて帰って食って寝てを繰り返す。
はずだった。
俺はベッドに腰かけたまま漫画の内容を思い出すかのように、断片的に今までのことを思い出していた。
ここはいつもの俺の部屋だ。
何も変わったところはない。
ドアを開ければそのままダイニングに繋がっていたはずだろう。なんなんだ。あの暗闇の空間は。
暫く経っても夢から覚めない。頭を抱え、寝ぐせのついた髪の毛をさらにぐしゃぐしゃとかきあげた。
ハッと気が付いた。そうだ、窓の外はどうなっている?
掃き出しの大きな窓があり、そこからベランダに出ることができる。
そうだよ、ここから外の様子がわかるじゃないか。
カーテンに手を伸ばしながら、いつもより光が入ってこないと不安になりながらも、布一枚を払いのけた。
雨戸が締まっている。
あ、だからいつもより暗いのか。
それはそうだ、少し納得するが改めて思う。
俺は雨戸なんか閉めた覚えはない・・・・。
いや、そもそも昨日の記憶が曖昧なんだ。
訳も分からず閉めたのだろうと、窓を開けて雨戸を上に上げようと手をかけた。
思い切り力は入れた。スーパーの仕事で荷下ろしなどしているから、筋力にも自信がある。
しかし、びくともしない。
何度も力を加えて、開けようとしたがダメだ。無理だ。なんだこれ。
はぁーっとため息をついてベッドに腰かける。そこでもう一つの不安点を思い出す。
スマホがない。
誰かに連絡を取ってみるか、そもそも時間もわからない。
部屋には時計は置かない主義で、いつもスマホが時計代わり。
アラームをセットするため、寝る時は枕の横に充電しながら置いてあるはず・・・なんだが。
部屋のどこを見渡しても見つからない。
クローゼットは・・・・やっぱり開かない。
あとはベッド上に備え付けの小さな引き出ししかない。
ここには、充電器とかティッシュしか入ってないんだが・・・・。
二つあるうちの左側の引き出しをあけると、案の定ティッシュが入っていた。
ふう、まぁそうだよな。
なにも気にせずにもう一つの引き出しを開けた。
黒っぽい塊。
スマホだ
っと思ったのは、そこにあるはずじゃないものが入っていたからだ。
拳銃・・・・?
お願いだ
早く夢よ、覚めてくれ。
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