私に取り憑く、2体のパワハラ上司達

Green hand

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〈11/3〉〈11/10〉〈11/14〉

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〈11/3〉

今月も出勤日数は10日。腹立たしい状況だが、1つだけ良い事がある。
今月上司Tと顔を合わせるのは今日1日だけということだ。
今日を我慢すれば、今月はとりあえず私のペースを乱す者は1人だけとなる。

今日も上司Tは機嫌が悪く、物に当たりながら働いている。しょっ中そんな無駄な力を使って疲れないのだろうか。まぁ、まだまだ血気盛んな50代男性だ。きっと体力が有り余っているのだろう。勿体ないから、もっと大規模の忙しい施設へ異動して、有り余った力を有意義に使えばいい。

昼食配膳前、配膳まで少し時間があったので、私は乾燥庫内にある洗浄済みの調理器具を取り出して、戸棚へ片付けて戸を閉じた。そしてその場からすぐ移動して、別の作業をしていたら、背後(戸棚付近)で大きな物音がした。ビックリして振り向くと、戸棚の傍に上司Tがいたので、どうせまた物に当たっているのだろうと思い、放っといて作業を続けた。
作業を終え、通りすがりに戸棚を見ると、閉めたはずの戸が開いていたので、[閉め忘れた]と思い、ついでに戸を閉めてその場を離れようとした。その時、上司Tが勢いよくすっ飛んできて、人1人通れる細い通路でするっと私を避けてすれ違い、大きな音を立てて戸を開けた。
さっき聞こえた音は、私が閉めた戸棚を上司Tが勢いよく開けた音だったらしい。それなのに私がまた閉めたものだから、目聡いのか耳聡いのかそれを察知して、ぶつかる勢いでわざわざやって来て開けたというわけだ。
へぇ~、店長様はホントに体力有り余ってるんだね。あと見張りご苦労様。

それから約2時間半後、私はお茶ゼリーを作るために、お茶をゼリー状に固める粉末を計量し、お茶のカップを並べて準備していた。
すると、上司Tがチラッと計量済みの粉末を見て、

「コレじゃ多い。計ったの。」

ふて腐れたような声で言ってきた。[(粉の量)見ただけで分かるか?]と思いながら、計り直したが合っていた。やっぱ分かってなかったか。しょうがないよね。王様の耳はロバの耳だけど、店長様の目は節穴だもんね。

今日1日の辛抱なので、私は何とか心の中で上司Tを嘲笑して乗りきった。




〈11/10〉

今日、休憩中に大先輩の同僚との会話で判明したこと。

日付は不明だが、今月の始めに上司Hから、

「消費期限切れのロールケーキを患者につけてあり、気づかずに配膳してしまった。」

と報告を受けたらしい。そして、[本社へインシデントを送らないといけないから書いてくれ]と大先輩の同僚に頼んできた。
同僚にはいつの話か見当がつかず、上司Hに聞くと、1ヶ月以上前に起きたミスだった。

何故1ヶ月以上経ってからミスの報告があり、今になってインシデントを同僚が書かなくてはならないのか。
全く腑に落ちない話だ。しかも、同僚に直接頼んできたということは、当時誰がロールケーキを患者に提供したかを分かっているということか、もしくは誰だか不明だがとりあえず同僚に責任を負わせようと声をかけてきたのか。どちらにせよ、これは上司Hのミスとしかいえない。インシデントを書くべきは上司Hの方だ。
1ヶ月以上も前に起きたミスを、今になってインシデントの記入を求められても、同僚は覚えていないのだから書きようがない。しかし、上司Hはミスの内容を知っている。知っているなら上司Hが書くべきだし、1ヶ月以上提出が遅れたのも上司Hの報告ミスだ。管理栄養士様に対して失礼ですが、その程度のこと自分で始末出来ないのは、柔軟性が無い・融通が利かない証拠。
しかも同僚が聞くまで、いつの話か打ち明けなかった所からして、上司H自身がミスを自覚していた可能性がある。そして、インシデントを書くことを拒むのは、上司H本人のミスとして記録上残す事を避けたいから。どんな些細な事でも、上司Hの言う[アホくさいミス]で自分の経歴に傷をつけたくない。そんな懐の狭さを感じる。
でも大丈夫。病院や会社に記録が残らなくても、あなたが私達のミスをノートに記録するように、私はあなたのミスを暴言とともに記録してますから。
そうやって自分に都合良く事を運んだり、あわよくば己の非を隠そうとするスケベ根性は、上司2人の共通するところである。すぐにバレる事を隠すので、意味が無いし格好もいいもんじゃない。

こうしてどこまでも人のせいにする、上司2人の意識が変わらない限り、この職場の環境は悪化する一方だろう。



〈11/14〉

この日私は休みで、後から同僚から聞いた話。

3階病棟の昼食配膳は、昇降機を使って行う。この日も配膳に昇降機を使ったのだが、同僚が少しだけ早く配膳したらしい。それがたまたま上司Hの目に入り、

「ご飯(昼食)上げるの早過ぎます。時間が守れないなんて、社会人としてどうかと思います。」

上司Hより何十年と年上の同僚は、上司Hの台詞に呆れと驚きで頭が真っ白となり返す言葉もなく、聞いていた上司Tは相変わらず他人事で全くフォロー無しだったそうだ。

その日は店長予定の人も出勤していた。その人(男性)と上司H(女性)の着替えが重なってしまい、先に店長予定の人が着替え、1つしか無い更衣室の前で上司Hを待たせる形になった。すると上司Hに、

「チャッチャと着替えて下さい。」

と扉の向こうから苛ついた様子で急かされたらしい。
まだ大して馴染みの無い人間によく言えたものだ。その上その人は、ただの正社員ではなく、別の施設とはいえ上司Tと同じ立場の人だ。
上司Hのいう[社会人としての常識]が、全く理解できない。
店長予定の人は、上司Sや私達から上司2人の情報を事前に耳に入れた上で11月からここへ来ているので、数日上司2人の様子を見ていて、[これが話に聞いていたものなんだな]と思ったらしい。私達に言わせれば、こんなのまだまだカワイイもんですよ。
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