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〈1/5〉
年が明けてから出勤3日目。
この日初めて上司Hと会ったが、新年の挨拶は無し。まぁ年末年始など関係なく現場は回っているので、しない感覚の人もいるだろう。
でもあなたは年末年始(30~3日まで)しっかり休んでいるよね?あと、日本人だよね?前の職場は外国人が多かったけど、新年の挨拶ちゃんとしていたよ?上司Tすら挨拶してきたよ?もしやあれか?部下のお前から挨拶してこいって事?上司Tすら自分から挨拶してきたのに、上司Hにだけこちらから挨拶するのはおかしいので、お断りでーす。
まぁそれはさておき、その日私が早朝出勤したら、冷蔵庫に貼り紙があり、[倉庫の鍵がなくなった]ことを知った。
そしてその1・2時間後、母親から連絡が入り、私が3日に作業着のポケットに入れたまま、倉庫の鍵を持ち帰ってしまった事が判明。
しまったぁ~と思いつつ、その場にいた同僚と上司Tに報告して、昼休憩時に1度帰宅して回収することにした。
昼休憩時なり、即帰宅して回収し、職場へ戻って鍵を指定の場所に戻した。
「どうもお騒がせしました。すいません。」
と謝罪すると、
「(私)さん、鍵のしまい忘れが多いです。」
と上司Hが指摘してきたので、確かに事実で、言われて当然だったので、
「すいません。気をつけます。」
ともう一度謝罪して、休憩時間終了間近だったので、更衣室へ作業着に着替えに行った。
着替えて厨房へ戻り、仕事を始めると上司Hが来て、
「鍵に紐を付けたのでポケットに入れないで使ったらすぐしまって下さい。」
と声をかけてきたので返事をして、私が流し台で洗い物を続けていると、まだまだ言い足りないとばかりに、その背中に向かって上司Hが話を続けた。
「この鍵すごく大事な物なんですよ。病院の鍵なので。」
言いたいことは凄く分かるが、鍵というものは、何処のだろうと誰のだろうと大事な物なんですよ。
「うん。気をつけます。」
「気をつけますじゃなくて、どんなに重要な物か分かってないからしまい忘れるんですよ。何回も。」
おいおい数えてんのかい?こわ~っ。
「だから気をつけますって言ってるじゃん。」
仕事中にチクチクとしつこい事言ってくるので、ついイラつきが声に出てしまった。でも、うちの管理栄養士様は動じません。
「気をつけますじゃ済まないです。」
その発言にビックリして、私の方が動じちゃいました。
「え?気をつけますじゃ済まないの!?」
「済まないです。」
「じゃあなんて言えばいいの?」
[すいません]・[気をつけます]。職場で重要な物を持ち帰ってしまった事を反省して、その意を伝えるために謝罪の言葉を選んだつもりだが、一体どんな言葉をかければこの管理栄養士様は納得するのか。
この先の事や、上司Hの人間性をもっと知るためにも、是非聞いておきたかったので私は質問した。
「(私)さんは軽く考え過ぎ・・・」
と言い始め、またグダグダで心にも記憶にも残らないが、ただ嫌な気分だけが残る、ワケの分からない話へ逸れていった。上司Hの短所だ。
何となく上司Hのパターンが読めてきた。返す言葉が浮かばなくなると、少しずつ話をズラしていくのだ。そして逸らせば逸らすほど、人格否定的話題になる。
[気をつけますでは済まないです]などとデカいこと言うからには、その先の言葉、何故済まないのか、何て言えば済むのかまで用意しておくべきでは?
勢いに任せ過ぎだ。
そしてしまいには・・・。
「家に帰ったらお母さんに聞いてみて下さい。」
はぁ?
「事情を話して、私そんな重大なミスしたのかなぁ?って。」
さすがに、堪えきれず吹き出してしまった。洗い物をしていたし、マスクしてたので上司Hには聞こえてないと思うが、聞こえてももう全然構わなかった。
この人はどこまで人を馬鹿にした発言が出来るのだろう?30代前半で成人をとうに迎えておる人間が、40前後の人間にかける言葉か?ここまで来ると、親の顔が見てみたい。
「親に話すような事じゃないでしょう。」
呆れきってしまい、半笑いで返してしまった。
「故意に持ち帰ったわけじゃ無いし、いつも帰りにポケットチェックしてるよ。今回は持ち帰ってしまったけれど、軽く考えてもないし、気をつけようって思ってる。」
そう言い加えると、
「気持ちは関係ないです。他の人はしまい忘れてないし、(私)さんだけですよ、年に3回も。」←今1月だけど、どこから数えてるんだろ?
その後も話は続いたが、仕事中にいつまでも聞いてられないので、殆どスルーした。
やがて、いつものパターンで、職務上の注意ではなく、ただ上司Hが言いたいことを言って終わった。
言い返したって良いこと無いが、今の私の気持ちを素直に返してみた。
「じゃあもう鍵触らないわ。怖くて触れないもん。」
すると、急に勢いを失った上司Hは、
「それじゃ仕事放棄になる・・・。」
自信なさげに、小声でモゴモゴ呟いて、事務所へ引っ込んだ。
それにしても、よくまぁ部下がやらかしたミスを数える暇がありますなぁ。管理栄養士ってそんなに仕事ないのだろうか?
いや、世の管理栄養士として働く方々に失礼だ。ごめんなさい。
この職場を離れてから知ることになるのだが、世の管理栄養士様は職場の組織体制によるかもしれないが、次の勤務先では厨房作業のフォローもするし、仕事に追われ毎日忙しく走り回っていた。
しかも、上司Hによる鍵持ち帰り調査、調査不十分です。私以外にも持ち帰っちゃった人いますから。あなたに可笑しな圧をかけられたくないから、報告しないで黙って指定の場所へ戻してるだけです。確かな調査も無しで、厨房の事も関係ないのなら、病院側の仕事に専念してればどうですか?管理栄養士様。
この件が済むまでの間、実はその場には店長の上司Tもいて、私たちのやり取りを一部始終ただ見ているだけだった。
自分の立場さえ保てれば良いような人間なので、期待なんてしちゃいなかったが、本当に何のフォローもしてこなかった。上司H側にもつかなかったので、まぁフェアな状況ではあったが、しれっと何も無かったような顔で仕事する態度が腹が立ち、今のやり取りをどんなつもりで聞いていたのか気になったので聞いてみた。上司Tはこう答えた。
[確かに(上司Hの)言い方はキツい]←他人事かい
[自分が間に入ってもこじれそうだから、嵐が過ぎるのを待っていた]←店長辞めてしまえ
今回が初めての事じゃないし、毎回これじゃもう精神的にキツいです。と伝えると、
[(私)さんが辛いなら、体のことを考えて辞めても仕方がないと思う]←つまりあなたは何もしないって事ね
[でも辞めるって言うなら、全力で引き止めます]←嘘つけや。気に入らなくて挨拶も返事も返さないくせに
[何とか折り合いつけて下さい]←折り合い付けるためにも、店長として少しは動いてください。
以上。
それから、上司Hに[家に帰ったらお母さんに聞いてみて下さい]と言われたので、そんなにうちの母が何て言うか知りたいならと、私は母に事情を話して一応聞いてみた。
「すいませんや気をつけますじゃ済まないなら、辞めるしかないね。」
という答えが返ってきたので、そう記したメモを、上司Hのロッカーに貼っておいたが、お返事メモも直接コメントも無かった。
私が明確な攻撃を受けるようになってから、もう半年以上経っていた。
上司2人とも、上司として環境改善のために、自身の表現見直しも、対人トラブルが起きた際、上司として間に立つ事もしない。
1月現在、私が特に被害を受けているが、実は以前から同僚達もそれぞれ上司2人から被害を受けていた。
私は我慢の限界にきてしまい、今回は彼らの上司Sへ相談した。すると、1部の同僚達も、既に上司2人に対する苦情を、上司Sへ入れていることが判明した。
その後、上司Hは7月に入るまで、しきりに突っかかってくることはなくなった。
年が明けてから出勤3日目。
この日初めて上司Hと会ったが、新年の挨拶は無し。まぁ年末年始など関係なく現場は回っているので、しない感覚の人もいるだろう。
でもあなたは年末年始(30~3日まで)しっかり休んでいるよね?あと、日本人だよね?前の職場は外国人が多かったけど、新年の挨拶ちゃんとしていたよ?上司Tすら挨拶してきたよ?もしやあれか?部下のお前から挨拶してこいって事?上司Tすら自分から挨拶してきたのに、上司Hにだけこちらから挨拶するのはおかしいので、お断りでーす。
まぁそれはさておき、その日私が早朝出勤したら、冷蔵庫に貼り紙があり、[倉庫の鍵がなくなった]ことを知った。
そしてその1・2時間後、母親から連絡が入り、私が3日に作業着のポケットに入れたまま、倉庫の鍵を持ち帰ってしまった事が判明。
しまったぁ~と思いつつ、その場にいた同僚と上司Tに報告して、昼休憩時に1度帰宅して回収することにした。
昼休憩時なり、即帰宅して回収し、職場へ戻って鍵を指定の場所に戻した。
「どうもお騒がせしました。すいません。」
と謝罪すると、
「(私)さん、鍵のしまい忘れが多いです。」
と上司Hが指摘してきたので、確かに事実で、言われて当然だったので、
「すいません。気をつけます。」
ともう一度謝罪して、休憩時間終了間近だったので、更衣室へ作業着に着替えに行った。
着替えて厨房へ戻り、仕事を始めると上司Hが来て、
「鍵に紐を付けたのでポケットに入れないで使ったらすぐしまって下さい。」
と声をかけてきたので返事をして、私が流し台で洗い物を続けていると、まだまだ言い足りないとばかりに、その背中に向かって上司Hが話を続けた。
「この鍵すごく大事な物なんですよ。病院の鍵なので。」
言いたいことは凄く分かるが、鍵というものは、何処のだろうと誰のだろうと大事な物なんですよ。
「うん。気をつけます。」
「気をつけますじゃなくて、どんなに重要な物か分かってないからしまい忘れるんですよ。何回も。」
おいおい数えてんのかい?こわ~っ。
「だから気をつけますって言ってるじゃん。」
仕事中にチクチクとしつこい事言ってくるので、ついイラつきが声に出てしまった。でも、うちの管理栄養士様は動じません。
「気をつけますじゃ済まないです。」
その発言にビックリして、私の方が動じちゃいました。
「え?気をつけますじゃ済まないの!?」
「済まないです。」
「じゃあなんて言えばいいの?」
[すいません]・[気をつけます]。職場で重要な物を持ち帰ってしまった事を反省して、その意を伝えるために謝罪の言葉を選んだつもりだが、一体どんな言葉をかければこの管理栄養士様は納得するのか。
この先の事や、上司Hの人間性をもっと知るためにも、是非聞いておきたかったので私は質問した。
「(私)さんは軽く考え過ぎ・・・」
と言い始め、またグダグダで心にも記憶にも残らないが、ただ嫌な気分だけが残る、ワケの分からない話へ逸れていった。上司Hの短所だ。
何となく上司Hのパターンが読めてきた。返す言葉が浮かばなくなると、少しずつ話をズラしていくのだ。そして逸らせば逸らすほど、人格否定的話題になる。
[気をつけますでは済まないです]などとデカいこと言うからには、その先の言葉、何故済まないのか、何て言えば済むのかまで用意しておくべきでは?
勢いに任せ過ぎだ。
そしてしまいには・・・。
「家に帰ったらお母さんに聞いてみて下さい。」
はぁ?
「事情を話して、私そんな重大なミスしたのかなぁ?って。」
さすがに、堪えきれず吹き出してしまった。洗い物をしていたし、マスクしてたので上司Hには聞こえてないと思うが、聞こえてももう全然構わなかった。
この人はどこまで人を馬鹿にした発言が出来るのだろう?30代前半で成人をとうに迎えておる人間が、40前後の人間にかける言葉か?ここまで来ると、親の顔が見てみたい。
「親に話すような事じゃないでしょう。」
呆れきってしまい、半笑いで返してしまった。
「故意に持ち帰ったわけじゃ無いし、いつも帰りにポケットチェックしてるよ。今回は持ち帰ってしまったけれど、軽く考えてもないし、気をつけようって思ってる。」
そう言い加えると、
「気持ちは関係ないです。他の人はしまい忘れてないし、(私)さんだけですよ、年に3回も。」←今1月だけど、どこから数えてるんだろ?
その後も話は続いたが、仕事中にいつまでも聞いてられないので、殆どスルーした。
やがて、いつものパターンで、職務上の注意ではなく、ただ上司Hが言いたいことを言って終わった。
言い返したって良いこと無いが、今の私の気持ちを素直に返してみた。
「じゃあもう鍵触らないわ。怖くて触れないもん。」
すると、急に勢いを失った上司Hは、
「それじゃ仕事放棄になる・・・。」
自信なさげに、小声でモゴモゴ呟いて、事務所へ引っ込んだ。
それにしても、よくまぁ部下がやらかしたミスを数える暇がありますなぁ。管理栄養士ってそんなに仕事ないのだろうか?
いや、世の管理栄養士として働く方々に失礼だ。ごめんなさい。
この職場を離れてから知ることになるのだが、世の管理栄養士様は職場の組織体制によるかもしれないが、次の勤務先では厨房作業のフォローもするし、仕事に追われ毎日忙しく走り回っていた。
しかも、上司Hによる鍵持ち帰り調査、調査不十分です。私以外にも持ち帰っちゃった人いますから。あなたに可笑しな圧をかけられたくないから、報告しないで黙って指定の場所へ戻してるだけです。確かな調査も無しで、厨房の事も関係ないのなら、病院側の仕事に専念してればどうですか?管理栄養士様。
この件が済むまでの間、実はその場には店長の上司Tもいて、私たちのやり取りを一部始終ただ見ているだけだった。
自分の立場さえ保てれば良いような人間なので、期待なんてしちゃいなかったが、本当に何のフォローもしてこなかった。上司H側にもつかなかったので、まぁフェアな状況ではあったが、しれっと何も無かったような顔で仕事する態度が腹が立ち、今のやり取りをどんなつもりで聞いていたのか気になったので聞いてみた。上司Tはこう答えた。
[確かに(上司Hの)言い方はキツい]←他人事かい
[自分が間に入ってもこじれそうだから、嵐が過ぎるのを待っていた]←店長辞めてしまえ
今回が初めての事じゃないし、毎回これじゃもう精神的にキツいです。と伝えると、
[(私)さんが辛いなら、体のことを考えて辞めても仕方がないと思う]←つまりあなたは何もしないって事ね
[でも辞めるって言うなら、全力で引き止めます]←嘘つけや。気に入らなくて挨拶も返事も返さないくせに
[何とか折り合いつけて下さい]←折り合い付けるためにも、店長として少しは動いてください。
以上。
それから、上司Hに[家に帰ったらお母さんに聞いてみて下さい]と言われたので、そんなにうちの母が何て言うか知りたいならと、私は母に事情を話して一応聞いてみた。
「すいませんや気をつけますじゃ済まないなら、辞めるしかないね。」
という答えが返ってきたので、そう記したメモを、上司Hのロッカーに貼っておいたが、お返事メモも直接コメントも無かった。
私が明確な攻撃を受けるようになってから、もう半年以上経っていた。
上司2人とも、上司として環境改善のために、自身の表現見直しも、対人トラブルが起きた際、上司として間に立つ事もしない。
1月現在、私が特に被害を受けているが、実は以前から同僚達もそれぞれ上司2人から被害を受けていた。
私は我慢の限界にきてしまい、今回は彼らの上司Sへ相談した。すると、1部の同僚達も、既に上司2人に対する苦情を、上司Sへ入れていることが判明した。
その後、上司Hは7月に入るまで、しきりに突っかかってくることはなくなった。
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