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《11/21》
しおりを挟む《11/21》
昼食は、患者用・検食当番用の食事以外に、病院職員用のお弁当も作る。希望者は、設置した食券箱に食券を入れるといシステム。その食券箱を9時半前後になると、ゴミ出しついでに回収して、弁当を作る数が決まる。
上司Hが入社してから、患者用のみならず、職員用のお弁当も細かい個人食対応が始まった。[ご飯大盛り]・[ご飯少なめ]・[ご飯2/3]・[椎茸アレルギー]・[キウイ×]等々、職員の好き嫌いまで言われるがままに受け入れていた。
ちなみに患者用の食事は、流動食(ヨーグルト1個)も、普通の食事も同料金。かなりぼったくり。
病院職員用の弁当も、普通に頼んでも個人的な注文を受けても同料金。
上司Hは、[患者の食事も職員のお弁当も一緒です]というが、それは違うと思う。
この病院はホスピスで、患者の殆どは緩和ケアを受けている方達だ。体に影響が出ない程度のワガママは、受け入れられるべきだと思う。
しかし病院職員の弁当に関しては、患者の食事より1品多く料理が付くし、患者の食事に果物の代わりにデザートが付く日は、職員の弁当には果物もデザートも付けている。
つまり、職員用の弁当は上司Hの入社前と比べ、そして患者の食事と比べ、上司Hによる独断でかなり優遇されているのだ。
恐らく、ワガママを受け入れることで、自分の株でも維持しようという狙いがあるのではないかと私はふんでいる。
何故なら上司Hの仕事は、メインが病院側と関わる仕事。少しでも病院側とうまくやっていきたいという保身が、以前から要所要所態度に表れていたからだ。
そして、いつしか本来会社から病院へ貸し出している、レンタル管理栄養士という立場でありながら、病院側の管理栄養士という勘違いを引き起こすようになっていった。
それが現在の、部下に対する態度に表れている。
まぁこの話はまた別の機会に記すとして、今回はその職員用の弁当の話をしよう。
今日の弁当希望者には、[椎茸アレルギー]の人がいた。その人が食べ終えた弁当を私が片付けようとした時、いつも完食してくれているのに、今日は1品だけ手つかずで残してあった。よく見たら、椎茸が入っていた。
調理は私がしたが、弁当盛り付け担当者は上司Tだった。椎茸アレルギーの為に、椎茸抜きの料理を別皿に用意しておいたのだが、上司Tはその意図を気にも止めずに盛り付けてしまったのだろうか。もしくは、弁当希望者は常連が多いため、ゴム紐の付いた名札が用意してあり、裏面には個人注文の内容が記されている。それを確認しなかったか、料理に椎茸が入っていることすら確認せずに盛り付けてしまったのだろう。
前回(11/20)の件から、上司Tは私と挨拶も会話も交わさなくなっていたが、一応報告するために、上司Tに声をかけた。
「上司Tさん。椎茸アレルギーの弁当に、椎茸入ってたみたいです。」
「えぇ~・・・?」
力無い、情けない返事が返ってくるだけで、弁解も何もしてこなかった。
「アレルギー用に、別皿に分けておいたんですけど気づきませんでした?」
「分かんない・・・。」
ここで会話終了。何じゃそら。
とりあえず、次はアレルギー用と付箋を貼って、間違いを防ごうと対策を心に決めた。
上司Tには報告したのだから、言いつけたくて仕方がなかったが、あえて上司Hには報告しなかった。[患者の食事も職員の弁当も一緒]というなら、本件はインシデントに該当する。インシデントになれば、後日厨房職員全員が知ることになるが、この件は明るみに出なかった。つまり、上司Tは上司Hへ報告しなかったということだ。これが部下のミスだったら、上司Tは喜んで報告していたことだろう。誠に残念なことに、そういう人間なのだ。
ちなみに、上司Tの私に対する挨拶・会話無し状態は、来月の始めまで続いたのでした。
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