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《5/23》
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《5/23》
病院の厨房で作る食事は、毎日1日3回朝・昼・夕と、病院職員(医者)の当番の方に食事のチェックをしてもらうため、検食という1人分の食事を配膳する。
この日もその検食を配膳するため、私は上司Hがいる事務所を通り過ぎ、エレベーターへ向かった。
その時、突然上司Hが声を上げた。
「靴履きかえて下さい。」
(は?何だ急に。)
そして、ついでのように、
「事務所側のエレベーター使わずに、別のエレベーター使えばどうですか。」
理由も告げずに言った。
いい大人で、しかも上司が、理由も告げずに言い放つという事は、コレはもう職務上の伝達事項じゃない。ただの嫌がらせだ。顔つきもなかなかの顔つきだった。
そんなんじゃ、憧れの寿退社はどんどん遠ざかるばかりぞ~。
これは基本だが、厨房内で履く靴と、外履きの靴(院内や外用)は衛生的な理由で、分けて使用しなければならない。しかしこの病院の建物の構造上、外履きと厨房の靴がどうしても同じ通路を通るしかない場所があるし、出退勤時など私服で厨房内を出入りするしかない。なので、実際衛生面は保たれていない。
私が入社した頃からそうだったので気にも止めていなかったが、検食を持っていく際、靴は履きかえなかったし、事務所側エレベーターを使ってきた。そう教わったからだ。
そして今まで幾度となく履きかえずに事務所側エレベーターを使用しているというのに、このタイミングで言い出したのは、最近の私とのいざこざが響いているとしか思えない。
[今まではそうでしたけど、今日からは靴履きかえて、別のエレベーター使って下さい。]なら、理由はなんであれ受け入れられる。だが上司Hは、何の前置きもなく頭ごなしに[靴履きかえて下さい。]、[別のエレベーター使えばどうですか。]と、苦虫を噛みつぶしたような顔で言ってきた。
「えぇーこのエレベーター使わないと、私(道)迷っちゃうなぁ~。大丈夫かなぁ。」
素直に受け入れるには、嫌がらせが過ぎる意地の悪い言い方だったので、冗談ぽく小さな抵抗をしてみた。すると上司Hは、
「迷わない。」
と、苛ついたように一言。
(いや、迷ったんだよ実際。なんだ君は?予言が当たった試しが無いのにデカイ態度を取る予言者か?)
そして後日。上司Hは、[(病院の)総務から言われた。]という取って付けたような理由で、私以外の従業員にも伝えていた。
私は、事実とは思えなかった。事実なら、私だけに注意してきた時、自信持って理由を告げられたはずだからだ。
ちなみに、事務所側エレベーターは直通で検食を届ける事が出来るが、他エレベーターは、エレベーター+階段を使うため、時間がかかる。そういった面からみても、やはり上司Hの部下全体に対する嫌がらせとしか思えなかった。
その後、上司Hが休みの日に、事務所側エレベーターを使用し、時々総務の方と会ったが、特に注意も何も無く、何なら開ボタンを押して[先にどうぞ]と促してくれる、一部親切な方もいた。
となると、やはり・・・個人的な嫌がらせとしか思えない。
そんなもんに、部下全員巻きこむなんて、仕事をなんだと思ってるんだか。
こんな風に、私の精神は、ほんの少しずつ、ほんの少しずつ、悪霊に浸食されていった。
病院の厨房で作る食事は、毎日1日3回朝・昼・夕と、病院職員(医者)の当番の方に食事のチェックをしてもらうため、検食という1人分の食事を配膳する。
この日もその検食を配膳するため、私は上司Hがいる事務所を通り過ぎ、エレベーターへ向かった。
その時、突然上司Hが声を上げた。
「靴履きかえて下さい。」
(は?何だ急に。)
そして、ついでのように、
「事務所側のエレベーター使わずに、別のエレベーター使えばどうですか。」
理由も告げずに言った。
いい大人で、しかも上司が、理由も告げずに言い放つという事は、コレはもう職務上の伝達事項じゃない。ただの嫌がらせだ。顔つきもなかなかの顔つきだった。
そんなんじゃ、憧れの寿退社はどんどん遠ざかるばかりぞ~。
これは基本だが、厨房内で履く靴と、外履きの靴(院内や外用)は衛生的な理由で、分けて使用しなければならない。しかしこの病院の建物の構造上、外履きと厨房の靴がどうしても同じ通路を通るしかない場所があるし、出退勤時など私服で厨房内を出入りするしかない。なので、実際衛生面は保たれていない。
私が入社した頃からそうだったので気にも止めていなかったが、検食を持っていく際、靴は履きかえなかったし、事務所側エレベーターを使ってきた。そう教わったからだ。
そして今まで幾度となく履きかえずに事務所側エレベーターを使用しているというのに、このタイミングで言い出したのは、最近の私とのいざこざが響いているとしか思えない。
[今まではそうでしたけど、今日からは靴履きかえて、別のエレベーター使って下さい。]なら、理由はなんであれ受け入れられる。だが上司Hは、何の前置きもなく頭ごなしに[靴履きかえて下さい。]、[別のエレベーター使えばどうですか。]と、苦虫を噛みつぶしたような顔で言ってきた。
「えぇーこのエレベーター使わないと、私(道)迷っちゃうなぁ~。大丈夫かなぁ。」
素直に受け入れるには、嫌がらせが過ぎる意地の悪い言い方だったので、冗談ぽく小さな抵抗をしてみた。すると上司Hは、
「迷わない。」
と、苛ついたように一言。
(いや、迷ったんだよ実際。なんだ君は?予言が当たった試しが無いのにデカイ態度を取る予言者か?)
そして後日。上司Hは、[(病院の)総務から言われた。]という取って付けたような理由で、私以外の従業員にも伝えていた。
私は、事実とは思えなかった。事実なら、私だけに注意してきた時、自信持って理由を告げられたはずだからだ。
ちなみに、事務所側エレベーターは直通で検食を届ける事が出来るが、他エレベーターは、エレベーター+階段を使うため、時間がかかる。そういった面からみても、やはり上司Hの部下全体に対する嫌がらせとしか思えなかった。
その後、上司Hが休みの日に、事務所側エレベーターを使用し、時々総務の方と会ったが、特に注意も何も無く、何なら開ボタンを押して[先にどうぞ]と促してくれる、一部親切な方もいた。
となると、やはり・・・個人的な嫌がらせとしか思えない。
そんなもんに、部下全員巻きこむなんて、仕事をなんだと思ってるんだか。
こんな風に、私の精神は、ほんの少しずつ、ほんの少しずつ、悪霊に浸食されていった。
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