両親が勇者と魔王だなんて知らない〜平民だからと理不尽に追放されましたが当然ざまぁします〜

コレゼン

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第1章 ゴブリン討伐編

第17話 更なる高みへ

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「リース、俺ら宛てに領主様から、特別報酬が届いてるって聞いたんだけど」
「ああ、届いてました。ちょっと待って下さいね」

 俺たちは予定通りギルドに報酬の受け取りにきていた。

「ありました、こちらの特別報酬で白金貨3枚ですね」
「白金貨3枚!?」
「皆さん、おめでとうございます! それではどうぞこちらです」

 そういってリースから、俺は白金貨を受け取る。
 俺はそれぞれ、ミミとソーニャに一枚ずつ分配した。

「「やったー!」」

 二人共、手を取り合って飛び上がって喜んでいる。

「えっとー、あれ買ってー、あれも買ってー、って買いたいものが全部買えちゃう! はあぅあー!」
「白金貨、これが白金貨ー! 白金貨ーー!! おイェイ!」

 白金貨一枚あれば、一人なら数年は食べていける金額だ。
 二人は若干、正気を失いかけているようにもみえるが……。

「報酬が白金貨とは、ゴブリンキングが相手じゃったか」

 その声の方を振り向くと、そこには盲目の老賢者ベイリーが座っていた。

「ああ、ゴブリンキングが相手だった。なんとか勝てたよ」
「なんとか? お前のそのスキルがあれば楽勝じゃろう?」
「お前のそのスキルって、俺が何のスキル持ってんのか、じいさん知ってるのか?」

 ベイリーとの共通の知人は今の所、把握している限りではいないはずだが……。

「ユニークスキルは瞬神しゅんしん皇帝時間エンペラータイムじゃろ」
「……どうして知ってる?」
「まあ、お前ら突っ立ってないで、そこにでも座れ」

 俺たちは訝しみながらも席につく。

「わしは大賢者だと以前言ったじゃろう。大賢者のユニークスキルに、真鑑定というものがある。真鑑定は、人物ならその人物が習得しているスキルに魔法が分かるのじゃよ」
「真鑑定……じゃあ俺のスキルは、これからも賢者にはバレバレって事か?」
「いや、ただの賢者には鑑定しかできん。大賢者だけの真鑑定じゃ。そして大賢者は滅多におらん」

 なるほど、まあスキルがばれたからといって、別に不都合もないけど。
 だけど、まだ疑問はある。

「なんで瞬神しゅんしん皇帝時間エンペラータイムがあれば楽勝なんだ?」
「瞬神を持っていて苦戦したという事は、ゴブリンキングの硬さに剣の強度が耐えられなかった、ということじゃろう」

 ご名答だ。俺は頷く。

「そんなものは魔法剣を少しでもかじっておれば、楽勝じゃ。お前、魔法剣も使えんのか」
「魔法剣どころか、魔法も使えないよ」
「なんじゃと! なぜ覚えようとせん?」
「覚えようって俺に適正あるのか?」

 なにせ自分は適無しだ。

「なんじゃ、そんなくだらん理由で覚えておらんのか。心配せずとも、お前には魔法適正はあるよ」
「え!? ほんとか!」

 ずっと魔法を使えない、と思っていた俺には嬉しい驚きだ。

「……お主らこれからの予定は?」
「1ヶ月後にさいがあるから、マクルーハン卿の専属としてそれに参加する予定だよ」
さいか……そういえばわしにも使者がきておったの」
「なんだじいさんも参加するのか?」
「いや、わしは特別顧問としてな。まあ、エデンバラ王国とは、昔からいろいろ付き合いがあっての」

 特別顧問って魔術師なら宮廷筆頭魔術師クラスじゃないか?
 やっぱ、このじいさん只者じゃないな。

「お前さえよければこのわしが、魔法と魔法剣を教えてやるぞ。ついでにそちらの二人も鍛えてやる」
「……魔法を教えてもらえるのはうれしいけど、なんでまた俺を?」
「その理由は来たるべき時が来たら伝えよう、とだけ今は言っておくかの。安心しろ。邪な理由じゃないとだけは言っておく」
「報酬は?」
「いらん。わしはこう見えても金には困っとらん」

 ボロボロのように見えるローブを身にまとっていて、そうは見えないのだが。
 俺はミミとソーニャと顔を見合わせる。
 二人は一様にちょっと困った顔をしていた。
 うーん、とりあえず教えを受けてみるでいいかな。
 なんかおかしいようなら、そこで辞退すればいいし。

「分かった、教えてくれ、魔法と魔法剣を」
「よし、それでは明朝、日が昇るくらいの時間にしばらく野宿できる準備をして、このギルドの前に来い」
「野宿?」
「ああ、訓練は荒野でやる。それではの」

 ベイリーはそういうとその場から去っていった。

「ミミとソーニャはよかった? ダメなら、俺一人でもとりあえず行ってみるけど」
「ミミは大丈夫。懸念は、あのじじいのセクハラだけ」
「私も大丈夫です。聖魔法関連なんかを、もし強化できるならありがたいですし」

 よかった。
 という事で、俺達はそれぞれ野宿の準備をする為、別れて明日の出発準備をする事にした。



「よし、揃ったの。それでは行くぞ」

 街の東から太陽が登り始めていた。
 オレンジに輝く太陽とそれに染まる大空。
 日の出から続くオレンジのグラデーションが、薄いオレンジに変化しながら街を幻想的な風景に染めている。
 俺たちはそんな日の出の太陽に照らされ、それぞれの身に光をまといながら、目的地の荒野へと向けて歩を進めていった。
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