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第15話 空の荷台
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「ヒヒヒィーーーーン!!」
突如、馬車の馬が声を上げて急に止まる。
何事かと道の先を見ると、一人の少年がとうせんぼするように急に飛び出してきたようだった。
「おい、いきなり危ないぞガキ!」
運び人の怒声が飛ぶ。
「ごめんなさい、でも俺たちの村が盗賊に襲われて! お願いします、助けてください!」
「盗賊? そんなこと俺に言われても……」
そういって運び人は荷台の方へと視線を向ける。
その視線が向けられる前にフェリシアは、荷台を降りて少年の方へと駆け寄っていた。
「村はどこにあるの?」
少年は無言で指差す。
「近くまで案内してくれる?」
少年は頷き、駆け出す。
俺も後に続こうかと逡巡している時にフェリシアと目があった。
「ふんっ!」
フェリシアは感じ悪く俺から目線を外すと、少年の後を追っていった。
「なんだよ……」
出鼻を挫かれたようになった俺はそのまま荷台で佇む。
すると運び人は厄介事から早めに退散しようと思ったのか、何も言わずに馬車を走らせはじめた。
なんとも言えない空気が荷台に広がる。
「聞いた話しなんじゃがの……」
しばらく馬車が進んだ所で、荷台に寝転がりながらエドワードが話しはじめた。
「とある場所では盗賊が偽装の依頼を出すことがあるらしい。冒険者の装備は剥ぎ取って売ればそれなりの金になることが多いからな。他にも盗賊に乗っ取られた村なんかも中にはあるらしいの。そんな村の宿には絶対泊まりたくないのう。一体どんな歓待を受けることになるやら。さっきの少年、もうしばらくしたら陽も落ちるようなこの時間まで、ずっと一人で待ち構えていたのかのう? たまたま住んでいる村が盗賊に襲われて。だとしたらすごい確率じゃ。まあ真実は小説よりも奇なりともいう。そういうこともあるのかのう」
そこまで述べるとエドワードは瞑目する。
俺の脳裏に盗賊の罠に嵌って、殺害されるフェリシアの姿が浮かんだ。
いい気味だとは思えなかった。
罠であるのが低い可能性ではあるが、無視はできない。
荷台で立ち上がる。
「ちょっと、先ほど獲物を横取りされたんで仕返しにいってやろうかと思います。色々とご教授ありがとうございました。後、紅茶美味しかったです」
「そうか、仕返しにのう。無理はせんようにのう」
微笑みながらエドワードが述べる。
「よかったらまた紅茶飲ませてあげるっす」
俺は一礼したのち、その場を後にした。
先ほどの少年が向かった方に走る。
そして、エドワードとロイの二人っきりになった荷台がそれからしばらく進んだ後――
「ロイ、ちょっと寄り道しようと思うんじゃが、いいかのう」
「そう言うと思ったっす」
結局、その送迎用の馬車は生きた人間は一人もいない空の荷台を引いて、帝都まで向かうことになった。
突如、馬車の馬が声を上げて急に止まる。
何事かと道の先を見ると、一人の少年がとうせんぼするように急に飛び出してきたようだった。
「おい、いきなり危ないぞガキ!」
運び人の怒声が飛ぶ。
「ごめんなさい、でも俺たちの村が盗賊に襲われて! お願いします、助けてください!」
「盗賊? そんなこと俺に言われても……」
そういって運び人は荷台の方へと視線を向ける。
その視線が向けられる前にフェリシアは、荷台を降りて少年の方へと駆け寄っていた。
「村はどこにあるの?」
少年は無言で指差す。
「近くまで案内してくれる?」
少年は頷き、駆け出す。
俺も後に続こうかと逡巡している時にフェリシアと目があった。
「ふんっ!」
フェリシアは感じ悪く俺から目線を外すと、少年の後を追っていった。
「なんだよ……」
出鼻を挫かれたようになった俺はそのまま荷台で佇む。
すると運び人は厄介事から早めに退散しようと思ったのか、何も言わずに馬車を走らせはじめた。
なんとも言えない空気が荷台に広がる。
「聞いた話しなんじゃがの……」
しばらく馬車が進んだ所で、荷台に寝転がりながらエドワードが話しはじめた。
「とある場所では盗賊が偽装の依頼を出すことがあるらしい。冒険者の装備は剥ぎ取って売ればそれなりの金になることが多いからな。他にも盗賊に乗っ取られた村なんかも中にはあるらしいの。そんな村の宿には絶対泊まりたくないのう。一体どんな歓待を受けることになるやら。さっきの少年、もうしばらくしたら陽も落ちるようなこの時間まで、ずっと一人で待ち構えていたのかのう? たまたま住んでいる村が盗賊に襲われて。だとしたらすごい確率じゃ。まあ真実は小説よりも奇なりともいう。そういうこともあるのかのう」
そこまで述べるとエドワードは瞑目する。
俺の脳裏に盗賊の罠に嵌って、殺害されるフェリシアの姿が浮かんだ。
いい気味だとは思えなかった。
罠であるのが低い可能性ではあるが、無視はできない。
荷台で立ち上がる。
「ちょっと、先ほど獲物を横取りされたんで仕返しにいってやろうかと思います。色々とご教授ありがとうございました。後、紅茶美味しかったです」
「そうか、仕返しにのう。無理はせんようにのう」
微笑みながらエドワードが述べる。
「よかったらまた紅茶飲ませてあげるっす」
俺は一礼したのち、その場を後にした。
先ほどの少年が向かった方に走る。
そして、エドワードとロイの二人っきりになった荷台がそれからしばらく進んだ後――
「ロイ、ちょっと寄り道しようと思うんじゃが、いいかのう」
「そう言うと思ったっす」
結局、その送迎用の馬車は生きた人間は一人もいない空の荷台を引いて、帝都まで向かうことになった。
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