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第1章 貴族興亡編
第37話 血の決意
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「失敗した? プラチナ級の冒険者を伴っていったと聞いておる。それで失敗したとは妾の耳がおかしくなったのか?」
「いえ、アクセレイ公爵が画策したレオン商会の壊滅は失敗したと申し上げました。商会自体にはかなりのダメージを与えられたようですが、肝心のレオンは生き延び、しかも件の冒険者を返り討ちにしたとの話です。そして本件はレオンから王女様へ、そして王様へと話が伝わっていると思われます」
執事は跪き頭をたれながら王妃に報告している。王妃は手に持った扇子をプルプルとしながらへし折らんばかりだ。
執事は調査し報告しろと王妃にいわれたから報告しているに過ぎないのだが、王妃の逆鱗に触れたのではないかと生きた心地がしない。前任の執事に使用人など、王妃の理不尽な怒りを買ってひどい目にあった人間は枚挙にいとまがなかった。
そこに別の王宮の使用人が部屋に挨拶をして入ってきた。
「なんじゃ? 今、いそが……」
「王様が至急、話がしたいとのことです」
その知らせに王妃は顔をくもらせる。そもそも今回の計画は王に知られる前にレオン商会を潰すというもの。この段階で王に知られるということは計画の失敗を意味していた。
「分かったすぐいく」
執事はこの状況にホッと胸をなでおろした。
「どういうことじゃ、経験値貸与に伴う事業に対して税金をかけるなどと。わしは一切聞いておらんぞ」
「経験値貸与が伴う事業は金融業ですが、ほぼ独占的な事業です。そのような事業は公共の事業として王族の管理化におくべきかと判断しました」
「その判断はわしがするものじゃ! なぜお前が一存で判断しておるのじゃ!」
王の間に怒号が響く。
「できすぎた真似をして申し訳ありません。ですが今回の私の行動は王族を思ってのことです」
「何が王族を思っての行動じゃ。お前は庶子であるリディアを潰そうと画策しての暴挙であろう。よいかリディアに手を出すな。リディアには特別にわしの相続権を認める。王位継承権までは流石に認めぬが、それ以外の王族としての権利はわしの他の子たちと同等の権利を全て認めるものとする」
金への執着が強い王であったがここまでするとは王妃も予想外であった。
「そ、そんな平民の愛妾の子供を他の王族と同等に扱うというのですか!」
「そうでもせぬとまたリディアに手を出そうという愚か者がでるかもしれんしの。よいかリディアに手を出すなよ? 今度はお前であっても容赦はせぬぞ。下がってよい」
戻った王妃の部屋からは彼女が暴れているであろう音が響いていた。
「何か申し開きすることはあるか? リディアにはもう手が出せんようになったぞ。お前の失敗のせいでな」
「…………誠に申し訳がなく……」
青い顔をしてアクセレイは王妃に跪いている。
「申し訳がなく? それはそうじゃろうなあ。それでまさかお前、謝罪だけで済むとでも思っておるのか?」
アクセレイは心臓が握られたかのようなストレスを感じる。公爵といえど王妃相手ではその一存で生殺与奪まで握られているといっても過言ではない。ここで打つ手を間違えれば後がない。
「レオン商会を潰せばリディア王女の収入源は途絶えます。そうなれば王のリディア王女への歓心はなくなるかと思われます」
「できるのかお前に? プラチナ級などという大層な息子を抱えて失敗した無能なお前になぁ!!!」
王妃が投げ飛ばした扇子がアクセレイの顔面に直撃する。アクセレイの額から一筋の血が流れる。
「必ずやり遂げてみせます! もう一度チャンスを何卒お願いいたします!」
「…………今回は妾は直接の支援はできんぞ」
「存じ上げております」
「失敗したら分かっておるなあ」
王妃は恐ろしい笑みをアクセレイに向ける。
「…………分かっております」
「よし。下げってよいぞ」
結局アクセレイは額に流れるその血を一度も拭うことなく王妃の部屋を辞した。
「いえ、アクセレイ公爵が画策したレオン商会の壊滅は失敗したと申し上げました。商会自体にはかなりのダメージを与えられたようですが、肝心のレオンは生き延び、しかも件の冒険者を返り討ちにしたとの話です。そして本件はレオンから王女様へ、そして王様へと話が伝わっていると思われます」
執事は跪き頭をたれながら王妃に報告している。王妃は手に持った扇子をプルプルとしながらへし折らんばかりだ。
執事は調査し報告しろと王妃にいわれたから報告しているに過ぎないのだが、王妃の逆鱗に触れたのではないかと生きた心地がしない。前任の執事に使用人など、王妃の理不尽な怒りを買ってひどい目にあった人間は枚挙にいとまがなかった。
そこに別の王宮の使用人が部屋に挨拶をして入ってきた。
「なんじゃ? 今、いそが……」
「王様が至急、話がしたいとのことです」
その知らせに王妃は顔をくもらせる。そもそも今回の計画は王に知られる前にレオン商会を潰すというもの。この段階で王に知られるということは計画の失敗を意味していた。
「分かったすぐいく」
執事はこの状況にホッと胸をなでおろした。
「どういうことじゃ、経験値貸与に伴う事業に対して税金をかけるなどと。わしは一切聞いておらんぞ」
「経験値貸与が伴う事業は金融業ですが、ほぼ独占的な事業です。そのような事業は公共の事業として王族の管理化におくべきかと判断しました」
「その判断はわしがするものじゃ! なぜお前が一存で判断しておるのじゃ!」
王の間に怒号が響く。
「できすぎた真似をして申し訳ありません。ですが今回の私の行動は王族を思ってのことです」
「何が王族を思っての行動じゃ。お前は庶子であるリディアを潰そうと画策しての暴挙であろう。よいかリディアに手を出すな。リディアには特別にわしの相続権を認める。王位継承権までは流石に認めぬが、それ以外の王族としての権利はわしの他の子たちと同等の権利を全て認めるものとする」
金への執着が強い王であったがここまでするとは王妃も予想外であった。
「そ、そんな平民の愛妾の子供を他の王族と同等に扱うというのですか!」
「そうでもせぬとまたリディアに手を出そうという愚か者がでるかもしれんしの。よいかリディアに手を出すなよ? 今度はお前であっても容赦はせぬぞ。下がってよい」
戻った王妃の部屋からは彼女が暴れているであろう音が響いていた。
「何か申し開きすることはあるか? リディアにはもう手が出せんようになったぞ。お前の失敗のせいでな」
「…………誠に申し訳がなく……」
青い顔をしてアクセレイは王妃に跪いている。
「申し訳がなく? それはそうじゃろうなあ。それでまさかお前、謝罪だけで済むとでも思っておるのか?」
アクセレイは心臓が握られたかのようなストレスを感じる。公爵といえど王妃相手ではその一存で生殺与奪まで握られているといっても過言ではない。ここで打つ手を間違えれば後がない。
「レオン商会を潰せばリディア王女の収入源は途絶えます。そうなれば王のリディア王女への歓心はなくなるかと思われます」
「できるのかお前に? プラチナ級などという大層な息子を抱えて失敗した無能なお前になぁ!!!」
王妃が投げ飛ばした扇子がアクセレイの顔面に直撃する。アクセレイの額から一筋の血が流れる。
「必ずやり遂げてみせます! もう一度チャンスを何卒お願いいたします!」
「…………今回は妾は直接の支援はできんぞ」
「存じ上げております」
「失敗したら分かっておるなあ」
王妃は恐ろしい笑みをアクセレイに向ける。
「…………分かっております」
「よし。下げってよいぞ」
結局アクセレイは額に流れるその血を一度も拭うことなく王妃の部屋を辞した。
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