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第24話 勇者の力
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【アルフレッドside】
「ぐわぁ!!」
またグレイスから攻撃を受ける。
全く見えない。
「うぉ!!」
更に追撃を受ける。
気がつくと体に傷が増えている。
こうも攻撃を連続で受け続けると慈愛の加護の効果も流石に間に合わない。
「そろそろ降参するか? 今ならまだ致命傷にならずに済むぞ!」
「ほざけ、ゴミモブが調子乗るなぁ!!」
俺が吠えた後にまたグレイスが視界から消える。
今度は後方から更に追撃を食らう。
全く反応もできない。
俺は膝をつき、遂に瀕死一歩手前の状態となった。
「これ以上やったら死ぬぞ? さあ参ったと言うんだ!」
グレイスは剣を突き付けながら迫ってくる。
思わず笑みがこぼれる。
(くっくっく……)
馬鹿が、調子に乗って勇者の力を忘れたようだな。
追い詰められれば、追い詰められるだけこちらの思うつぼなんだよ!
勇者が勇者たる最強の所以を思い知らせてくれるわ!!
『英雄の覚醒!!』
爆発的なオーラが湧き出る。
凄まじいオーラを目の当たりにした観客たちからどよめきが起こる。
英雄の覚醒とは危機的状況で潜在能力が爆発的に増大し、一時的に無敵状態になる勇者の必勝のスキルだった。
今度はこちらの番だぁ!!
「死ねぇ!!」
「ぐっ!」
上下左右、次々とグレイスへ剣撃を加えるが、グレイスはそれを間一髪で防ぐ。
この英雄の覚醒、敵が強ければ強いほど上昇ステータスが変動するというチート仕様だった。
グレイスから先程までの余裕感は消え失せていた。
「くそっ!」
グレイスは態勢を崩す。
その一瞬の隙を俺は逃さなかった。
「おらぁ!!」
袈裟斬りに一閃した剣撃が直撃する。
――――やった!
はははは!
弱い弱い弱いぞ、所詮はモブだぁ。
ひれ伏せ、膝を付け、泣き喚けぇえええええ!!!
「…………っ!?」
勝利を確信した後の目の前光景に、俺は自分の目を疑う。
勇者の剣による攻撃はグレイスの鎧によって弾かれ、ダメージ一つ与えられていなかったからだ。
「は!? 馬鹿な…………勇者の剣の一撃だぞ!?」
「知らないのか? 勇者の剣ってそこまで攻撃力の高い武器じゃないぞ」
「知ってるわ! だが、終盤はともかく中盤までは問題なく使える装備だ!」
「そりゃ、今の俺は中盤のレベルじゃないからな」
くそくそくそクソ野郎ぉおおおおおおおお!!!!
この野郎不正なチートを使ってる違いない!
そうじゃなきゃ序盤でこんなに強く成れるなんてありえない!
自分の力やゲーム知識の力じゃなく、不正なチートの力で勝とうとするなんて、なんて汚い奴なんだ。
そんなことで勝って嬉しいのか?
男なら正々堂々自分だけの力で勝負しやがれぇええええええ!!!
…………だが今は不正を追求してる場合ではない。
英雄の覚醒のボーナスタイムはもうすぐ終了してしまう。
こうなったら最終手段を取るしかない。
この一撃は確実にグレイスを殺してしまうだろうが、背に腹は変えられない。
まあ、王女エリーゼの攻略は少し遅れるが大丈夫だろう。
なんせ俺は勇者なのだ。そのうち本来あるべき方向に展開も自然と修正されるはずだ。
くっくっく……。
くそ野郎グレイス――――殺してやるよ!
超エリートの上級国民たる俺に逆らった天罰として。
勇者を勇者たらしめている最強の攻撃スキルでなぁああああ!!!!
気合を入れ、集中力を極限まで高める。
『龍王爪裂破!!!』
勇者の剣にオーラ状に現れた巨大な龍王が憑依する。
「うぉおおおおおおお!!!!」
剣にあらん限りの力を限界以上に込め、そして――――それを悪役令息のグレイスに振り下ろした!
斬撃とともに、龍の爪の形をした凄まじいエネルギーがグレイスに向かって放たれる。
それが直撃すると――――まるで隕石が衝突したかのような凄まじい衝撃音と衝撃波と共に辺りは土煙に覆われる。
地面には巨大な龍の爪痕が刻まれている。
グレイスの姿は見受けられない。
威力がありすぎて跡形もなく消し去ってしまったか?
英雄の覚醒の効果が終了する。
それとともに体の痛みも戻ってくる、それ以上に勝利の喜びと安堵とが身体中をかけ巡る。
やった……。
やはり俺は勇者だ。遂にやった。
予定とは違ったがなんとか勝利はすることができた!
「アルフレッド様ー、流石ですーー!!」
「素敵ーー、アルフレッド様ーー!!」
「勇者万歳ー! 勇者万歳ー!!」
さくらの勇者応援団から勝利の賛辞が上がる。
俺は観衆たちの賛辞に片手を上げてその場を引き上げようとした時のことだった――――
土煙が完全に晴れると、その中から無傷のグレイスが姿を現した。
「ぐわぁ!!」
またグレイスから攻撃を受ける。
全く見えない。
「うぉ!!」
更に追撃を受ける。
気がつくと体に傷が増えている。
こうも攻撃を連続で受け続けると慈愛の加護の効果も流石に間に合わない。
「そろそろ降参するか? 今ならまだ致命傷にならずに済むぞ!」
「ほざけ、ゴミモブが調子乗るなぁ!!」
俺が吠えた後にまたグレイスが視界から消える。
今度は後方から更に追撃を食らう。
全く反応もできない。
俺は膝をつき、遂に瀕死一歩手前の状態となった。
「これ以上やったら死ぬぞ? さあ参ったと言うんだ!」
グレイスは剣を突き付けながら迫ってくる。
思わず笑みがこぼれる。
(くっくっく……)
馬鹿が、調子に乗って勇者の力を忘れたようだな。
追い詰められれば、追い詰められるだけこちらの思うつぼなんだよ!
勇者が勇者たる最強の所以を思い知らせてくれるわ!!
『英雄の覚醒!!』
爆発的なオーラが湧き出る。
凄まじいオーラを目の当たりにした観客たちからどよめきが起こる。
英雄の覚醒とは危機的状況で潜在能力が爆発的に増大し、一時的に無敵状態になる勇者の必勝のスキルだった。
今度はこちらの番だぁ!!
「死ねぇ!!」
「ぐっ!」
上下左右、次々とグレイスへ剣撃を加えるが、グレイスはそれを間一髪で防ぐ。
この英雄の覚醒、敵が強ければ強いほど上昇ステータスが変動するというチート仕様だった。
グレイスから先程までの余裕感は消え失せていた。
「くそっ!」
グレイスは態勢を崩す。
その一瞬の隙を俺は逃さなかった。
「おらぁ!!」
袈裟斬りに一閃した剣撃が直撃する。
――――やった!
はははは!
弱い弱い弱いぞ、所詮はモブだぁ。
ひれ伏せ、膝を付け、泣き喚けぇえええええ!!!
「…………っ!?」
勝利を確信した後の目の前光景に、俺は自分の目を疑う。
勇者の剣による攻撃はグレイスの鎧によって弾かれ、ダメージ一つ与えられていなかったからだ。
「は!? 馬鹿な…………勇者の剣の一撃だぞ!?」
「知らないのか? 勇者の剣ってそこまで攻撃力の高い武器じゃないぞ」
「知ってるわ! だが、終盤はともかく中盤までは問題なく使える装備だ!」
「そりゃ、今の俺は中盤のレベルじゃないからな」
くそくそくそクソ野郎ぉおおおおおおおお!!!!
この野郎不正なチートを使ってる違いない!
そうじゃなきゃ序盤でこんなに強く成れるなんてありえない!
自分の力やゲーム知識の力じゃなく、不正なチートの力で勝とうとするなんて、なんて汚い奴なんだ。
そんなことで勝って嬉しいのか?
男なら正々堂々自分だけの力で勝負しやがれぇええええええ!!!
…………だが今は不正を追求してる場合ではない。
英雄の覚醒のボーナスタイムはもうすぐ終了してしまう。
こうなったら最終手段を取るしかない。
この一撃は確実にグレイスを殺してしまうだろうが、背に腹は変えられない。
まあ、王女エリーゼの攻略は少し遅れるが大丈夫だろう。
なんせ俺は勇者なのだ。そのうち本来あるべき方向に展開も自然と修正されるはずだ。
くっくっく……。
くそ野郎グレイス――――殺してやるよ!
超エリートの上級国民たる俺に逆らった天罰として。
勇者を勇者たらしめている最強の攻撃スキルでなぁああああ!!!!
気合を入れ、集中力を極限まで高める。
『龍王爪裂破!!!』
勇者の剣にオーラ状に現れた巨大な龍王が憑依する。
「うぉおおおおおおお!!!!」
剣にあらん限りの力を限界以上に込め、そして――――それを悪役令息のグレイスに振り下ろした!
斬撃とともに、龍の爪の形をした凄まじいエネルギーがグレイスに向かって放たれる。
それが直撃すると――――まるで隕石が衝突したかのような凄まじい衝撃音と衝撃波と共に辺りは土煙に覆われる。
地面には巨大な龍の爪痕が刻まれている。
グレイスの姿は見受けられない。
威力がありすぎて跡形もなく消し去ってしまったか?
英雄の覚醒の効果が終了する。
それとともに体の痛みも戻ってくる、それ以上に勝利の喜びと安堵とが身体中をかけ巡る。
やった……。
やはり俺は勇者だ。遂にやった。
予定とは違ったがなんとか勝利はすることができた!
「アルフレッド様ー、流石ですーー!!」
「素敵ーー、アルフレッド様ーー!!」
「勇者万歳ー! 勇者万歳ー!!」
さくらの勇者応援団から勝利の賛辞が上がる。
俺は観衆たちの賛辞に片手を上げてその場を引き上げようとした時のことだった――――
土煙が完全に晴れると、その中から無傷のグレイスが姿を現した。
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