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第10話 目指すもの
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「なんだ、そのガラクタどもをやけに熱心に見てるが良いものが欲しいんならよそに行ったほうがいいぞ。うちはガラクタしか店頭においてないからな」
店主はおよそ商売人らしからぬことを口角を上げながら言い放った。
まあ店は構えているが、実際商売人というよりは職人なのだが。
背が小さい割にがっしりした体格をし、色黒の肌にもじゃもじゃの髭を備えている。
「確かに見てくれは悪いし、サビがあったりしてメンテナンスもされてない。だけど、品物そのものは良いでしょ? 実際、この街一番と呼ばれてるゴールデン・タレットと比べても全然質は上にみえる。俺はグレイスといいます」
実際に展示されている同じ鋼の剣でも、サビを落として研げば俺が今所有している剣より遥かに攻撃力は上がるだろう。
「ほう……若いくせにある程度の目利きはできるらしいな。わしはガラハドだ」
ニヤリと店主は笑う。
「剣から鎧まで一式オーダーメイドで作ってもらいたい」
「なんでわしに頼む?」
「あなたは黒ドワーフ族で、黒炎の工房の黒炎っていうのも伝説的とされてる黒炎を鍛冶で使うからこその黒炎でしょ? そんな最上の鍛冶師がいるんだったら、その鍛冶師に頼むのが当然だ」
黒ドワーフ族とは現在では伝説視されているような装備の数々を手掛けたと言われるような鍛冶集団だった。
「なんでお前、黒ドワーフ族を知ってる?」
「実際に会ったことがあるんで」
「会った? どこで」
「ナルガンの深淵で」
ガラハドはその目を大きく見開く。
「驚いた。わしの生まれ故郷に行ったことがある地上世界の奴がいるとはな」
ドワーフが築いた地下帝国の更に奥深くにそのナルガンの深淵はあった。
ドワーフ族であっても一般に知られていないような秘境にある。
そこに行ったのは前世のゲーム世界での話ではあるが、嘘ではない。
「どんな装備が欲しい?」
中盤以降を突破できる装備で、特に兄二人と勇者アルフレッドにも遅れをとらない装備にする必要がある。
となると――
「剣はミスリル以上の防具を切り裂けるもの。防具は…………そうだな、龍の爪を防ぐことができるくらいの防御力が欲しい」
「はっ! 龍の爪だと? そんなものを防げる防具なんて、貴族御用達の店にも売ってないぞ!」
「でもあなたは作れるでしょ?」
「くっくっく……」
ガラハドは低く笑い声を上げる。
「後一つ聞きたい」
「なに?」
「お前はわしが作った装備で何を目指す?」
「…………」
虚をつかれた質問で俺は少し固まってしまう。
最終的に何を目指すのか?
それはまだわかっていない。
基本は出たとこ勝負でいいと思っている。
だがやりこみ勢としての最終地点は決まっているな。
「最強。この世界で最強を目指す。ちなみに先々、獄竜は討伐しようと思ってるよ」
獄竜はゲームクリア後のDLCで登場してくる超高難易度のボスキャラだった。
ゲーム内では伝説上の存在とされていたが、ある時に封印が破られて世界は滅亡の縁に追い込まれるのだった。
ナルガンの深淵の更に奥底の終焉の奈落とも呼称される場所に生息しており、黒ドワーフ族はその強さをよく分かっている。
「ぶははははははははっ!!」
ガラハドは豪快に笑い声を上げる。
「面白い、その心意気や良し! そうだな…………剣は200枚、防具は500枚の金貨を持ってこい! その金が用意できたら望みのものを作ってやる。随分な大金だがお前に用意できるか?」
ガラハドは挑発するように言う。
おおよそ7000万くらいの金額だ。
「心配無用、耳揃えて用意するよ。そのうち、黒オリハルコンも扱わせてやるから待ってろよ」
黒オリハルコンは伝説上とされるオリハルコンの更に上とされる、黒色のオリハルコンだった。
黒炎を扱える黒ドワーフ族だけが鋳造できると言われている。
ガラハドは爆発したように笑う。
「ぐははははははははは!! お前は俺が今まで出会った中で一番面白え奴かもな! じゃあ楽しみにして待ってるからよろしく頼むぜ!」
気難しいガラハドを攻略できてよかった。
これで後は金策をするのみだ。
俺は早速、その準備に取り掛かった。
店主はおよそ商売人らしからぬことを口角を上げながら言い放った。
まあ店は構えているが、実際商売人というよりは職人なのだが。
背が小さい割にがっしりした体格をし、色黒の肌にもじゃもじゃの髭を備えている。
「確かに見てくれは悪いし、サビがあったりしてメンテナンスもされてない。だけど、品物そのものは良いでしょ? 実際、この街一番と呼ばれてるゴールデン・タレットと比べても全然質は上にみえる。俺はグレイスといいます」
実際に展示されている同じ鋼の剣でも、サビを落として研げば俺が今所有している剣より遥かに攻撃力は上がるだろう。
「ほう……若いくせにある程度の目利きはできるらしいな。わしはガラハドだ」
ニヤリと店主は笑う。
「剣から鎧まで一式オーダーメイドで作ってもらいたい」
「なんでわしに頼む?」
「あなたは黒ドワーフ族で、黒炎の工房の黒炎っていうのも伝説的とされてる黒炎を鍛冶で使うからこその黒炎でしょ? そんな最上の鍛冶師がいるんだったら、その鍛冶師に頼むのが当然だ」
黒ドワーフ族とは現在では伝説視されているような装備の数々を手掛けたと言われるような鍛冶集団だった。
「なんでお前、黒ドワーフ族を知ってる?」
「実際に会ったことがあるんで」
「会った? どこで」
「ナルガンの深淵で」
ガラハドはその目を大きく見開く。
「驚いた。わしの生まれ故郷に行ったことがある地上世界の奴がいるとはな」
ドワーフが築いた地下帝国の更に奥深くにそのナルガンの深淵はあった。
ドワーフ族であっても一般に知られていないような秘境にある。
そこに行ったのは前世のゲーム世界での話ではあるが、嘘ではない。
「どんな装備が欲しい?」
中盤以降を突破できる装備で、特に兄二人と勇者アルフレッドにも遅れをとらない装備にする必要がある。
となると――
「剣はミスリル以上の防具を切り裂けるもの。防具は…………そうだな、龍の爪を防ぐことができるくらいの防御力が欲しい」
「はっ! 龍の爪だと? そんなものを防げる防具なんて、貴族御用達の店にも売ってないぞ!」
「でもあなたは作れるでしょ?」
「くっくっく……」
ガラハドは低く笑い声を上げる。
「後一つ聞きたい」
「なに?」
「お前はわしが作った装備で何を目指す?」
「…………」
虚をつかれた質問で俺は少し固まってしまう。
最終的に何を目指すのか?
それはまだわかっていない。
基本は出たとこ勝負でいいと思っている。
だがやりこみ勢としての最終地点は決まっているな。
「最強。この世界で最強を目指す。ちなみに先々、獄竜は討伐しようと思ってるよ」
獄竜はゲームクリア後のDLCで登場してくる超高難易度のボスキャラだった。
ゲーム内では伝説上の存在とされていたが、ある時に封印が破られて世界は滅亡の縁に追い込まれるのだった。
ナルガンの深淵の更に奥底の終焉の奈落とも呼称される場所に生息しており、黒ドワーフ族はその強さをよく分かっている。
「ぶははははははははっ!!」
ガラハドは豪快に笑い声を上げる。
「面白い、その心意気や良し! そうだな…………剣は200枚、防具は500枚の金貨を持ってこい! その金が用意できたら望みのものを作ってやる。随分な大金だがお前に用意できるか?」
ガラハドは挑発するように言う。
おおよそ7000万くらいの金額だ。
「心配無用、耳揃えて用意するよ。そのうち、黒オリハルコンも扱わせてやるから待ってろよ」
黒オリハルコンは伝説上とされるオリハルコンの更に上とされる、黒色のオリハルコンだった。
黒炎を扱える黒ドワーフ族だけが鋳造できると言われている。
ガラハドは爆発したように笑う。
「ぐははははははははは!! お前は俺が今まで出会った中で一番面白え奴かもな! じゃあ楽しみにして待ってるからよろしく頼むぜ!」
気難しいガラハドを攻略できてよかった。
これで後は金策をするのみだ。
俺は早速、その準備に取り掛かった。
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