121 / 127
イヴ視点31
しおりを挟む
ユーリとずっと傍にいたいが、そういうわけにもいかなくなった。
仕事の合間にユーリの傍にいた女について調べていた。
はっきりとは見えなかったが、あの姿…間違いない……初代聖女のフローナだ。
フローナは確か、聖騎士であるハルフィリアと共に国の未来を掛けた戦いをしていた。
その途中で魔騎士によって殺された。
だからハルフィリアのように生きている事は絶対にあり得ない。
今まで幽霊なんて信じていなかった…そんなものいる筈がないと…
まさか本当にいるなんて、自分の頭が可笑しくなったとさえ思っていた。
アレがフローナならば、何故ユーリの傍にいるんだ?
いるならエマ様のところだろ。
接点はない筈なのに、何故…何故…
何故、俺からユーリを奪おうとするのか。
許さない、絶対に…
そもそも今まではそんな事はなくて、幸せだったんだ…ユーリと一緒にいられる…それだけで…
全てが崩れたのはハルフィリアが現れてからだ。
もしかしたら聖女もハルフィリアに引っ張られて出てきたのかもしれない。
だったら、ハルフィリアを消せば聖女はいなくなる。
俺の力は死と同時に存在そのものを抹消する力だ。
だからハルフィリアを消せば、聖騎士である俺がどうなるか分からない。
聖騎士によって助けられた国はそのままだが、聖騎士の記憶は忘れ去られる。
俺もただの人になる……いや、魔騎士の力はそのままだから魔物にでもなるのかもしれない。
ただの人になるには魔騎士も消さなくてはいけない。
そういえば、魔騎士の腕の紋様がある奴がいたな。
アイツを消せば、他と変わらない存在になれるだろうか。
そうしたら、ユーリと一緒に誰にも邪魔されず過ごせる。
魔騎士がいなくなれば魔物もいなくなり、ユーリも魔物にならなくて済む。
俺達が幸せになるにはそれしかない。
ハルフィリアと魔騎士をこの手で消すには外に出るしかない。
未だに誰一人あの日から目撃していない、だから俺が自分で探す。
腕の怪我は治っていない、というよりユーリを引き止めるために自分で傷付けた。
動かせないほどの傷ではないが、ユーリに世話をしてほしくて演じていた。
心はもうとっくにユーリなしでは生きていけなくても、ユーリには分からない。
だから分かってほしくて行動で示した。
全部、俺がユーリに与えた気持ち……力なんて使わなくてもユーリをこの手で染められる。
ユーリとの未来は俺が決める、俺の世界にユーリしかいらない。
他の騎士と別れて行動する。
ハルフィリアはユーリを狙っていたが、怒らせた事で俺もターゲットになってくれたら探す手間が省ける。
だけど、今まで俺の前に一度も現れた事がない。
まだ俺を聖騎士だけだと思っているのか。
「さっさと出てこい、俺が殺してやる…ハルフィリア」
眉を寄せて、周りの空気がザワザワとしていて体から力が溢れてくる。
その力に引き寄せられた魔物達が蠢いていた。
魔物に興味はない、今の俺は聖騎士を狙う。
一歩一歩近付くと味元に小さな風が舞う。
ハルフィリアだって人だ、何処かで暮らしているだろう。
なのに、こんなに目撃しない事があるのか?
昼でも夜でも騎士は見張っているというのに…
「ハルフィリアはいったい何処にいる?」
「さぁ、教えると思う?」
「ならお前からやるか?」
歩いていると、別の奴が姿を見せた。
どうやらコイツは俺に用があるらしい。
魔騎士の紋様がある男は口元に笑みを浮かべていた。
ハルフィリアと一緒にいたなら、きっと場所も知っている。
何故、聖騎士と魔騎士が一緒にいるのか知らないが…俺にとってはどちらもユーリにとって危ない存在だ。
ハルフィリアはユーリを殺そうとして、魔騎士の紋様がある男は魔物のユーリに危害を加えようとするかもしれない。
剣を引き抜く前に男は俺に向かって手をかざす。
一歩でも動くなら、男は魔術を使うだろう。
「聖騎士らしからぬ態度だね、国のために魔物を滅ぼさなくては……魔物を愛すなんて」
「俺がどうしようと俺の勝手だ」、12
魔物じゃない、俺はユーリそのものを愛している…他人に言われる筋合いはない。
ユーリを殺さないとこの世界が滅ぶというなら、そんな世界…いらない!
一気に剣を引き抜いて、間を開けずに炎をまとわせて男に向かって振り下ろした。
男も同じタイミングで黒い魔術で自分の身を守った。
俺に攻撃するより、防御を優先したのか…黒い魔術は炎の衝撃波を吸収した。
俺の魔術を吸収するなんて、やっぱり普通の魔導士ではない。
「お前は魔騎士だな」
「ご想像にお任せするよ」
「何故生きている、ハルフィリアに殺されたんじゃないのか?」
「ふふっ、生きているなんて不思議だね」
剣を振り下ろしても、黒い魔術に吸収される。
同じ魔騎士の魔術を使ったとしても結果は変わらない。
なら、魔騎士には聖騎士の力をぶつけてやる。
仕事の合間にユーリの傍にいた女について調べていた。
はっきりとは見えなかったが、あの姿…間違いない……初代聖女のフローナだ。
フローナは確か、聖騎士であるハルフィリアと共に国の未来を掛けた戦いをしていた。
その途中で魔騎士によって殺された。
だからハルフィリアのように生きている事は絶対にあり得ない。
今まで幽霊なんて信じていなかった…そんなものいる筈がないと…
まさか本当にいるなんて、自分の頭が可笑しくなったとさえ思っていた。
アレがフローナならば、何故ユーリの傍にいるんだ?
いるならエマ様のところだろ。
接点はない筈なのに、何故…何故…
何故、俺からユーリを奪おうとするのか。
許さない、絶対に…
そもそも今まではそんな事はなくて、幸せだったんだ…ユーリと一緒にいられる…それだけで…
全てが崩れたのはハルフィリアが現れてからだ。
もしかしたら聖女もハルフィリアに引っ張られて出てきたのかもしれない。
だったら、ハルフィリアを消せば聖女はいなくなる。
俺の力は死と同時に存在そのものを抹消する力だ。
だからハルフィリアを消せば、聖騎士である俺がどうなるか分からない。
聖騎士によって助けられた国はそのままだが、聖騎士の記憶は忘れ去られる。
俺もただの人になる……いや、魔騎士の力はそのままだから魔物にでもなるのかもしれない。
ただの人になるには魔騎士も消さなくてはいけない。
そういえば、魔騎士の腕の紋様がある奴がいたな。
アイツを消せば、他と変わらない存在になれるだろうか。
そうしたら、ユーリと一緒に誰にも邪魔されず過ごせる。
魔騎士がいなくなれば魔物もいなくなり、ユーリも魔物にならなくて済む。
俺達が幸せになるにはそれしかない。
ハルフィリアと魔騎士をこの手で消すには外に出るしかない。
未だに誰一人あの日から目撃していない、だから俺が自分で探す。
腕の怪我は治っていない、というよりユーリを引き止めるために自分で傷付けた。
動かせないほどの傷ではないが、ユーリに世話をしてほしくて演じていた。
心はもうとっくにユーリなしでは生きていけなくても、ユーリには分からない。
だから分かってほしくて行動で示した。
全部、俺がユーリに与えた気持ち……力なんて使わなくてもユーリをこの手で染められる。
ユーリとの未来は俺が決める、俺の世界にユーリしかいらない。
他の騎士と別れて行動する。
ハルフィリアはユーリを狙っていたが、怒らせた事で俺もターゲットになってくれたら探す手間が省ける。
だけど、今まで俺の前に一度も現れた事がない。
まだ俺を聖騎士だけだと思っているのか。
「さっさと出てこい、俺が殺してやる…ハルフィリア」
眉を寄せて、周りの空気がザワザワとしていて体から力が溢れてくる。
その力に引き寄せられた魔物達が蠢いていた。
魔物に興味はない、今の俺は聖騎士を狙う。
一歩一歩近付くと味元に小さな風が舞う。
ハルフィリアだって人だ、何処かで暮らしているだろう。
なのに、こんなに目撃しない事があるのか?
昼でも夜でも騎士は見張っているというのに…
「ハルフィリアはいったい何処にいる?」
「さぁ、教えると思う?」
「ならお前からやるか?」
歩いていると、別の奴が姿を見せた。
どうやらコイツは俺に用があるらしい。
魔騎士の紋様がある男は口元に笑みを浮かべていた。
ハルフィリアと一緒にいたなら、きっと場所も知っている。
何故、聖騎士と魔騎士が一緒にいるのか知らないが…俺にとってはどちらもユーリにとって危ない存在だ。
ハルフィリアはユーリを殺そうとして、魔騎士の紋様がある男は魔物のユーリに危害を加えようとするかもしれない。
剣を引き抜く前に男は俺に向かって手をかざす。
一歩でも動くなら、男は魔術を使うだろう。
「聖騎士らしからぬ態度だね、国のために魔物を滅ぼさなくては……魔物を愛すなんて」
「俺がどうしようと俺の勝手だ」、12
魔物じゃない、俺はユーリそのものを愛している…他人に言われる筋合いはない。
ユーリを殺さないとこの世界が滅ぶというなら、そんな世界…いらない!
一気に剣を引き抜いて、間を開けずに炎をまとわせて男に向かって振り下ろした。
男も同じタイミングで黒い魔術で自分の身を守った。
俺に攻撃するより、防御を優先したのか…黒い魔術は炎の衝撃波を吸収した。
俺の魔術を吸収するなんて、やっぱり普通の魔導士ではない。
「お前は魔騎士だな」
「ご想像にお任せするよ」
「何故生きている、ハルフィリアに殺されたんじゃないのか?」
「ふふっ、生きているなんて不思議だね」
剣を振り下ろしても、黒い魔術に吸収される。
同じ魔騎士の魔術を使ったとしても結果は変わらない。
なら、魔騎士には聖騎士の力をぶつけてやる。
12
お気に入りに追加
3,766
あなたにおすすめの小説

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行
蛍
BL
ある日突然トラックに跳ねられ死んだと思ったら知らない森の中にいた神崎満(かんざきみちる)。異世界への暮らしに心踊らされるも同性から言い寄られるばかりで・・・
主人公チートの総受けストリーです。

【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。
白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。
僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。
けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。
どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。
「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」
神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。
これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。
本編は三人称です。
R−18に該当するページには※を付けます。
毎日20時更新
登場人物
ラファエル・ローデン
金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。
ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。
首筋で脈を取るのがクセ。
アルフレッド
茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。
剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。
神様
ガラが悪い大男。

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる