少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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夜の出来事

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「イヴ、仕事は?」

「休憩、見回りは夜遅くだから大丈夫」

そう言って、ギュッと抱きしめられてドキドキする。
俺はまだ仕事中だから恋人モードになっちゃいけないんだけど、やっぱり好きだから気持ちは止まらない。

キスだけなら、と思ってイヴと唇を合わせるだけのキスをした。
俺はそれだけのつもりだったのに、舌を入れて絡み合う。
口の隙間から息が漏れて、イヴの腕にしがみついて受け入れる。

唇が離れた時にはもうお互いの息が上がっていて、イヴはもう一度…とキスをしようとした。
イヴの誘惑に負けて、俺も目蓋を閉じてイヴを受け入れようとした。

しかし、いくら待ってもイヴがキスしてこないから不思議に思って目を開けた。

イヴは部屋の入り口を見つめていて、俺も何となく入り口を見た。
特に何も変わったところはなく、相変わらず訪問者はいない。

でも、イヴにはなにかが見えているのか眉を寄せていた。

「イヴ、どうかしたの?」

「…ちょっと待ってて、すぐに戻る」

そう言ってイヴは部屋を出ていって、俺だけになってしまった。
誰か来たように見えなかったけど、誰かいたのかな。

俺は熱くなった体を冷まそうと手で仰ぎながら掃除を再開した。
少ししたらイヴは何事もなく帰ってきて、俺にキスをしてきた。

どうしたのか聞きたかったけど、イヴが平然としている態度が聞かれるのを拒んでいるように感じた。
だから俺は何も聞かず、その日の夜になった。

見回りのためイヴは俺が眠った後に部屋を出ていく。
イヴが出て少ししたら、ゆっくりと目を開けてイヴが戻ってこないか気配を感じる。
大袈裟な事ではないが、足音がしないかどうか壁に耳を当てて確認するだけだ。
忘れ物を取りに来るかもしれないから油断は禁物だ。

なんで俺がコソコソしているのかというと、イヴは俺が寝た後でないと外回りに行かない。
俺が心配なのかもしれないけど、起きていてもいいとは思う。
また勝手な行動で危険な事になると思っているのかな。
確かに今までイヴに迷惑掛けっぱなしだから何も言えない。

トイレなら心配しないんだけど、イヴはトイレが終わるまで仕事に行かない。
さすがにイヴの仕事の邪魔はしたくない。
だから、トイレでもこんなにコソコソしなくてはいけない。

イヴは聖騎士の仕事より俺を優先してしまう、俺は部屋にいるだけなんだから聖騎士の仕事を優先してほしいんだけどな。
それを言ってもイヴは自分の考えを曲げる事はなかった。

ベッドから下りて、電気を付けようと真っ暗な室内を壁に触れながら移動する。
この室内で使う魔道具はレベル2以上必要で、俺は使う事が出来ない。
イヴがいる時、必要な事はやってもらっていたが今はイヴがいない。
何も出来ないけど、基本トイレとかの非常用のはレベルとか関係なく使える。

早く済ませて寝ようと考えていたが、なにかに触れた時手に電流が流れてびっくりした。
強いものではないが、何だろうと恐る恐る触れてみた。
今度は電流は流れる事なく、普通に触る事が出来て確認すると壁とは違う素材のように感じた。

手になにかが触れて、それはドアノブだった。
じゃあここはドアだったのか、さっきの電流は静電気だったのか。

イヴには出るなって言われたから出ちゃいけない。
気になったとしても、イヴを不機嫌にさせるよりはいいよな。

そのままトイレに行って、戻ってきた。
すると、さっきまでなかった部屋の真ん中に白い光が見えた。
幽霊かと思って、驚いて体が硬直した。

でもその幽霊にはとても見覚えがあった。

あれは俺の夢に出てきた女性だ。
ずっと夢に出てこないからどうしたのかと思っていた。

「あのっ!!」

女性は俺の声に見る事もせず、ドアの向こう側に消えていった。
幽霊だからすり抜けられるんだ…俺も追いかけようとしてドアノブを掴んだ。

でも、イヴに止められてるし…あの女性の正体が分からないままで会うのは危険だと思って手を止めた。

目の前の女性は光り輝いていてはっきりと姿を見る事が出来ない。
だから本や銅像と同じだとはっきり分からない、シルエットは似てると思う。
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