少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ

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いつもどこでも

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いつもの朝の予定を変えるために早起きをした。
イヴはまだ隣で寝ていて、起こさないようにゆっくりと起きたが腕を掴まれた。

びっくりしてイヴの様子を見ると、目を開けていた。
起こすほど揺らした感じはしなかったが、起きてしまったなら仕方ない。

イヴは俺の頬に触れて「どこ行くの?」と聞いてきた。
内緒にして、直前で驚かせたかったから言えない。

「トイレ」

「俺も行く」

「イヴもトイレ?じゃあ俺は後でも…」

「ユーリが行かないなら俺も行かない」

イヴはそう言って、俺の腰に腕を回して密着していた。
これは、俺一人で行かせてくれる気配がない。

多分何処に行くか言っても、何処でも付いて来るのだろう。
昨日は凄い心配かけちゃったみたいだし、仕方ない…かな。

イヴが帰るまで待っていたら、凄い疲れきった顔をしていた。
それでも俺のご飯を食べてくれて嬉しかったが、倒れるように寝たからな。

まだ寝ててもいいのに、俺が少し離れようとするとイヴの腕に力が入った。

イヴには小さな隠し事も出来ないな。

「イヴ、俺…厨房に行くんだ」

「…もう朝食作るの?」

「そうじゃなくて、お弁当のサンドイッチの準備を…」

「お弁当?」

「うん、イヴ…騎士の仕事で全然食べてなかったから」

イヴは上半身を起こして、俺の肩を掴んだ。
そのまま押し倒されて、本日二度目の驚きで目を丸くした。

「ユーリが食べたい」なんて、シャツが少し乱れた状態の凶器のような色気で言われたら、朝から心臓に悪い。
首筋を何度もキスされてくすぐったくて、恥ずかしい。

吐息混じりで名前を呼ばれたら、変な気分になる。
朝からこんな事してる場合じゃない!何のために早起きしたんだ!

イヴの誘惑に負けないように肩を掴んだ。

「イヴ、ダメ…俺、お弁当作るために早起きしたのに」

「んー…」

「イヴ……もしかして、まだ眠い?」

「眠くない」

「俺、厨房にいるからイヴは寝てていいよ…朝食出来たら呼ぶから」

「俺も行く」

イヴはなんか眠そうな声なのに頑なに待っていたくないらしい。
俺はイヴと一緒に食堂に向かった。

そして、いつものようにイヴはカウンターから俺を見ていたが、ふとイヴの方に視線を向けるとイヴは腕を枕にして眠っていた。

野菜を切る手を止めて、手を拭いてから厨房を出て食堂に向かった。
眠るイヴの肩に椅子に掛けていた毛布を掛けた。

イヴが寝そうだと思って部屋から毛布持ってきて良かった。

なるべく音を立てないように朝食も作り終わり、イヴを起こすのは悪いから起きるまで待とうと思った。

「…んっ」

「おはよう、よく眠れた?」

「分からない、気絶したみたいだったし」

まさか寝たんじゃなくて気絶してたなんて、いよいよイヴの体が心配になる。
カウンターが広いから、イヴの横に座ってずっとイヴの顔を見ていた。

イヴは「おはよう、ユーリ」と俺に笑いかけていて、俺も微笑んだ。
イヴが起きた事だし、一緒に朝食を食べた。

そして、お弁当箱がなかったから綺麗な箱に布を敷いてサンドイッチを入れた。
手で持てるように、大きめの布で包んだ。

「イヴ、はいお弁当」

「お弁当…」

「サンドイッチだから、忙しくても片手で食べれるよ…あ、食べる暇なかったら残してもいいから」

「ユーリの食事を俺が残すわけないよ、ありがとう」

イヴはお弁当を受け取ってくれて、これでイヴの助けになれたらいいなと思う。

イヴを見送って、掃除をしようと道具を取りに行った。
その前に水晶型の通信魔導機を持って来ないと…

イヴは俺が掃除しているところが見たいと昨日言っていたかは、面白くも何ともないけどイヴが見たいならと急いだ。

部屋に戻ると、窓になにか白いものが見えた。
なにか分からなかったから警戒しながら近付くと、安心した。

白い普通の鳥のようで、ジッと俺を見ていた。
俺は構わず、水晶型の通信魔導機を抱えて部屋を出た。

イヴの通信魔導機と繋げて、小さな声で「繋がってる?」と言うとイヴは『大丈夫、ユーリが見えるよ』と声を掛けられた。
イヴの見ている景色も見えているから、ちゃんと繋がっている。

綺麗に掃除をして、次はイヴの部屋を掃除しようと思って水晶型の通信魔導機を運ぼうとしたらイヴから声が聞こえた。

『ユーリ、重かったら置いていっていいよ…声が聞こえる範囲にユーリがいるなら』

「そう?じゃあ部屋のドア開けておくね」

ちょうど廊下を掃除しているところを見せていたから、通信魔導機を廊下に置いていた。
イヴの部屋の近くだから、通信魔導機を置いてイヴの部屋に入った。

いつも俺とイヴの部屋を気分を変えて一緒に寝ているから、イヴの部屋も見慣れている。
とはいえ、イヴの部屋はイヴが自分で掃除をしているのか綺麗だ。

いつも「ユーリが入る部屋だからね」と言っていたが、汚れがあったところを見た事がない。
空気の入れ替えも兼ねてドアを開けたが、窓も開けようかな。
俺がイヴの部屋でやる事といったらそれしかない。

窓の方を見ると見覚えがあるものが見えた。
さっき水晶型の通信魔導機を取りに行った時、窓にいた鳥だ。
動く事もなくジッと見つめていて、さすがに怖くなった。

足元で「にゃあ」と声が聞こえて、視線を下に向けるとクロがいた。
窓を開けるのはやめてクロと一緒に部屋を出た。
最後にクロは鳥を見ていて、ドアを閉めた。

あの鳥、普通の鳥…なのかな。
勘違いならいいけど、ちょっと嫌な感じがした。
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