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「ユーリ」
「イヴ、だよね」
「ユーリには俺以外になにが見える?」
「えっと…ね、猫…?」
「………」
俺は思ったままの事を言ったらイヴは黙ってしまった。
分かっていないように首を傾げていたから、イヴ自身自分の姿が見えていないのかもしれない。
ここには鏡がないから、恐る恐る手を伸ばしてイヴの耳に触れる。
横にある耳ではなく、頭の上にある三角の形の耳だ。
耳が四つある…とかそういう冷静なツッコミを忘れてしまいそうなほどに俺は驚いてどうすればいいのか分からない。
今のイヴの姿は、どう見ても猫耳が生えていた…さっき触った時に付けてるのか確認したからきっとそうだ。
「イヴ、猫耳生えてるよ?」
「…ねこ…みみ?」
イヴは頭の上に触れて、猫耳にやっと気付いたようで固まっていた。
なんでいきなりイヴに猫耳が生えたんだろう、俺が寝ている間になにかあったのか?
ふと、尻尾もあるのか気になってイヴの後ろを見るとズボンに不自然な膨らみがある。
漫画のイヴは半獣の設定はなかった、だから元に戻る方法が分からない。
イヴの顔が凄く暗い、フラフラと立ち上がり部屋を出て行こうとしていて、とっさに腕を掴んだ。
ただ鏡を見に行くとかならいいが、今のイヴは放っておいたらとんでもない事になりそうだった。
「…イヴ、何処に行くんだ?」
「すぐに戻ってくるよ」
「自分の姿を見に行くの?」
「姿を見なくても醜いのは分かってるから」
イヴはなにか勘違いしているようみたいで「頭の上にあるものを削ぎ落としてくる」と言うから腰を掴んで全力で止めた。
そんな事をしたら痛いじゃ済まなくなるだろ!
イヴは醜い顔じゃないしむしろ可愛いと思っている。
でも、男に可愛いはそれこそイヴにとっては微妙だろう。
どう言えば正解か分からないが、イヴが元の姿に戻るために今度は俺がイヴの世話をするんだ!
イヴにそう伝えると、俺の方を振り返って目を輝かせていた。
「ユーリが俺を世話してくれるの?」
「俺に出来る事は少ないけど、イヴが耳のせいで出来ない事は俺がやる!」
「甘えても、いい?」
イヴに余計な事をするなと言われると思っていたが、イヴが俺の手を取ってベッドの上に膝を乗せた。
ギシッ…と軋む音に、イヴの顔が間近に迫ってきた。
何をされるのかすぐに分かって、ギュッと目蓋を閉じて唇が触れ合う。
すぐにイヴの熱い舌が俺の中に入ってきて、全身の力が抜けてしまいそうなほど気持ちいいキスをされる。
実際の時間は短かったのかもしれないが、俺にとってはとても長いキスに感じた。
「ユーリ、俺の傍にずっといて…ユーリにしか出来ない事だよ」
「傍って、いつもと変わらないんじゃないか?」
「違う違う違う……ユーリは俺から目を離さないで、俺とずっと一緒にいて」
イヴがブツブツとなにかを呟いていて、俺の言葉が聞こえない様子だった。
イヴの仕事は俺には分からないから手伝えない事は分かる。
でも今まで以上にイヴになにか尽くしたいと考えている。
俺が困っているとすぐにイヴは助けに来てくれた。
だからイヴが困っている時こそ俺が手を差し伸ばすのは当然だ。
イヴの耳がピクピク震えている、イヴが困っているのに…申し訳ないが可愛い。
「ユーリ、一緒に寝よう」
「え…うん、それは良いけど…尻尾とか大丈夫?」
「尻尾?」
「寝返りとか、して大丈夫なのかな」
「……」
「耳は関係ないと思うけど、あ…外に出る時は帽子を被っておかないといけないかも……帽子が家にないなら俺が買ってくるよ、そのままのイヴじゃ外に出れないと思うし」
明日の事を考えていたら、イヴはズボンから細長い尻尾を取り出して見つめていた。
髪の色と同じで黒猫なのか、耳も尻尾も黒い。
そういえば俺の隣にいた黒猫、いつの間にか居なくなっている。
ベッドの下とかで隠れているのかな、確認しようと体を動かそうとしたらイヴはベッドに寝転んで目蓋を閉じていた。
イヴは尻尾の事をあまり気にしていないようで、本人でもない俺が騒ぐのも違うと思い俺もそれ以上は何もなく再び眠る事にした。
もう、あのホラーな夢は見なかった。
そして次の朝、イヴは元の姿に戻っていた。
「イヴ、大丈夫?」
「耳と尻尾の事?ユーリに甘えられるならそのままでいいと思ったけど、ユーリが買い物に行くって言ったから引きちぎった」
「そんな事して大丈夫だったのか!?」
「大丈夫、分裂したけど…」
「分裂…」
イヴは全然気にしていない顔で笑っていたが、俺はイヴの体が心配だ。
分裂ってどういう意味なのか分からないが、イヴがベッドになにか置いて、それは自分の意思で俺のところに近付いてきた。
昨日の夜中に起きてから全く姿が見えなかった黒猫が座っていた。
イヴは笑って「これでユーリは買い物に行く理由がなくなったね」と言っていた。
確かにイヴの頭を隠す帽子を買う理由がなくなった。
引きちぎるって、そんなに俺が外に出るのが嫌なのか?
貧民堕ちの件があるからイヴも心配しているのだろう。
大丈夫だと自信満々に言えないのがもどかしい。
買い物もいつも補充されていて、本当に外に出る理由はない。
学校にもう一度行きたいが、辞めた学生の出戻りとは聞いた事がないから無理なのかな。
「イヴ、俺…もう一度学校に行き…」
「行かなくていいよ」
「でも、勉強したいんだ…戻る事って出来ないのかな」
「さぁ…やめた生徒は戻ってこないからね、勉強したいなら俺が教えるよ…俺の知識を全てユーリにあげる」
「でもイヴは仕事で疲れてるんだし…」
「俺がユーリの前で疲れたなんて行った事ある?」
「それは…ないけど」
「あの程度で疲れる事ないよ、ユーリとの時間の方が俺にとって大切なのに…」
イヴはそう言って、俺に手を差し伸ばしてきた。
「治ったんだし、一緒に風呂に入ろう」と誘われて、俺も風呂に入ってさっぱりしたいからイヴの手を掴んだ。
脱衣所で服を脱ごうと、手を掛けると後ろから手が伸びてきた。
イヴが俺のボタンを一つ一つ外していき、はだけだ服の隙間から手を差し込んできた。
胸に触れられて、小さな声が漏れる。
耳元でイヴの声が吐息混じりで聞こえる。
「んっ…い、イヴ…俺、胸ないから触っても楽しくないよ?」
「そんな事ない、ここを指で転がすとユーリの可愛い声が聞こえる」
俺の唇に触れて、乳首を指の腹で擦っていき下半身が窮屈になる。
イヴからも俺の下半身が見える筈なのに、そこには指一歩も触れずに俺の胸だけを触られる。
軽く摘まれるだけで、腰が跳ねて口をギュッと閉じて喘がないように頑張った。
イヴは俺の唇に触れて開かせようとしているが、俺は首を横に振った。
まだ風呂場にも入っていないのに、こんなところで気持ちよくなってどうするんだよ。
俺には、イヴの背中を洗うという使命があるのに…
「ユーリ、体を許してくれるなら…とびきり気持ちよくしてあげる…俺から離れられないくらい…」
イヴはそう言って、軽く引っ張られて…下半身が濡れて下着が張り付いているのが気持ち悪い。
口を少し開くとイヴの指が俺の舌を撫でていた。
俺だけ翻弄されるのは嫌だから、指を軽く吸った。
目を細めて、イヴも興奮しているのだと尻に当たる硬いものですぐ分かる。
顎を軽く上に向かされて、イヴの方に振り向きキスをされた。
体勢が少し無理な感じだから長くはキス出来なかったが、お互いの求める気持ちは高まっていた。
「ユーリ、俺の可愛い…俺だけのもの」
イヴに腹を撫でられると、直接触れられたわけではないのにイヴに中まで触られた感覚がした。
そして、そのまま訳もわからずイってしまった。
足に力が入らず、イヴに背中を預けると口元に笑みを浮かべる。
服を全て脱いで、風呂場に向かうとシャワーの音が室内に響く。
それに混じって、俺の甘い声が脳内を支配していく。
イヴに触られた場所が熱くて、求めるように下半身が再び熱を持つ。
壁に背中を付けて、イヴが俺を閉じ込める。
暗い暗い、快楽の底に…俺達二人しかいない場所に囚われる。
風呂場に入った筈だった、シャワーの音が聞こえる。
でも俺がいるところは真っ暗な場所。
何故だろう、見た事がある場所のように感じていた。
はっきり見えるのは自分とイヴだけ、それ以外がない世界。
壁も床も触れたらあるのに、何も見えない分からない。
「イヴ、ここは…」
「ユーリに余計なものはいらない、俺だけを見て俺に感じている姿を見せて」
足首を触られて、だんだんそれを滑らせて俺のに触れた。
イったばかりなのに、まだ足りないといいたげにイヴの指を濡らしている。
軽く擦られるだけで我慢出来なくなって、腰を浮かせて無意識にイヴにねだる。
イヴは弄られた乳首を熱い舌で撫でられて、軽く吸われた。
いつもと違う、この場所にいると本能がむき出しになったかのように直接快楽に触れられる強い刺激を感じた。
「ユーリ、ユーリの目になにが映ってる?」
「い、イヴ」
「そう、俺だけ…ユーリの視界には俺しか入れちゃだめだよ」
「ん、んぁっ…あっ」
「ユーリの中も俺だけのものだよ」
イヴの長い指が俺の入り口に触れて、ゆっくりと確かめるように俺の中に入ってくる。
それだけできゅんきゅんと震えて、締め付ける。
指だけでも気持ちいいのか、イヴが気持ちよさそうな顔をしている。
指の動きもだんだん早くなり、俺の感じる場所を的確に刺激してくる。
大きく体を逸らして何度目かの絶頂を迎えると、息を乱す暇もなくイヴに内腿を掴まれて火傷してしまいそうになるほどの熱を感じた。
イヴが中に入ってくる、そう思っていたら一気に奥まで貫かれた。
「あっ、あぁぁぁ!!!!」
「ごめんね、我慢出来なかった」
イヴはそう言っている最中でも腰の動きは止まらなかった。
奥の奥を刺激されて、イヴの動きに合わせて中が痙攣してイってしまう。
気持ちいい、頭がフワフワする…腹の奥で広がる熱を感じる。
イヴもイったみたいだが、まだ興奮しているのか腰の動きを止めなかった。
体勢を変えて、俺はうつ伏せになりイヴに体重を掛けられた。
激しく中を突かれて、真っ黒な床が白く汚れていく。
俺が出したものとイヴが俺の中で出したものが動く度に溢れてくる。
うなじに触れられて、次の瞬間…強い痛みが走った。
その痛みは快楽に支配されている今、俺には気持ちいい事としか認識出来なかった。
イヴに噛まれて、噛んだ場所を舐められて獣のようにその行為に夢中になる。
イかされて、イかして、俺の脳内は麻痺していく。
力が入らず、 イヴに支えられてイヴの上に乗って下から突かれる。
「あっ、あ、んぁ、あっ」
「ユーリ、最後は一緒にイこう」
「いっ、んんんっっ!!!」
イヴの絶頂と合わせて、俺のからは少量の精液がこぼれ落ちていく。
俺の中からイヴが抜くと、ぽっかりと開いた穴から流れていく。
意識がフッと消えかける前に、イヴが俺の中に指を入れていた。
「ユーリ」と俺の名前を呼ぶ声が聞こえるが、目蓋が重くて答えられなかった。
腹の中がまだ熱くて、ヒクヒクと入り口が寂しがっている。
正面からと後ろから、俺を閉じ込めるような動きが怖かった。
俺を空間だけではなく、イヴの傍からも逃がさないと言いたげな動きだった。
イヴは俺に自分の存在を知らせていたが、俺からしたらイヴこそ俺を見ていないように感じた。
俺はここにいる、貧民堕ちは想像もしていなかったが…自分からイヴから逃げようなんて思った事はない。
俺の勘違いならいいが、イヴは…何に怯えているんだ?
「イヴ、だよね」
「ユーリには俺以外になにが見える?」
「えっと…ね、猫…?」
「………」
俺は思ったままの事を言ったらイヴは黙ってしまった。
分かっていないように首を傾げていたから、イヴ自身自分の姿が見えていないのかもしれない。
ここには鏡がないから、恐る恐る手を伸ばしてイヴの耳に触れる。
横にある耳ではなく、頭の上にある三角の形の耳だ。
耳が四つある…とかそういう冷静なツッコミを忘れてしまいそうなほどに俺は驚いてどうすればいいのか分からない。
今のイヴの姿は、どう見ても猫耳が生えていた…さっき触った時に付けてるのか確認したからきっとそうだ。
「イヴ、猫耳生えてるよ?」
「…ねこ…みみ?」
イヴは頭の上に触れて、猫耳にやっと気付いたようで固まっていた。
なんでいきなりイヴに猫耳が生えたんだろう、俺が寝ている間になにかあったのか?
ふと、尻尾もあるのか気になってイヴの後ろを見るとズボンに不自然な膨らみがある。
漫画のイヴは半獣の設定はなかった、だから元に戻る方法が分からない。
イヴの顔が凄く暗い、フラフラと立ち上がり部屋を出て行こうとしていて、とっさに腕を掴んだ。
ただ鏡を見に行くとかならいいが、今のイヴは放っておいたらとんでもない事になりそうだった。
「…イヴ、何処に行くんだ?」
「すぐに戻ってくるよ」
「自分の姿を見に行くの?」
「姿を見なくても醜いのは分かってるから」
イヴはなにか勘違いしているようみたいで「頭の上にあるものを削ぎ落としてくる」と言うから腰を掴んで全力で止めた。
そんな事をしたら痛いじゃ済まなくなるだろ!
イヴは醜い顔じゃないしむしろ可愛いと思っている。
でも、男に可愛いはそれこそイヴにとっては微妙だろう。
どう言えば正解か分からないが、イヴが元の姿に戻るために今度は俺がイヴの世話をするんだ!
イヴにそう伝えると、俺の方を振り返って目を輝かせていた。
「ユーリが俺を世話してくれるの?」
「俺に出来る事は少ないけど、イヴが耳のせいで出来ない事は俺がやる!」
「甘えても、いい?」
イヴに余計な事をするなと言われると思っていたが、イヴが俺の手を取ってベッドの上に膝を乗せた。
ギシッ…と軋む音に、イヴの顔が間近に迫ってきた。
何をされるのかすぐに分かって、ギュッと目蓋を閉じて唇が触れ合う。
すぐにイヴの熱い舌が俺の中に入ってきて、全身の力が抜けてしまいそうなほど気持ちいいキスをされる。
実際の時間は短かったのかもしれないが、俺にとってはとても長いキスに感じた。
「ユーリ、俺の傍にずっといて…ユーリにしか出来ない事だよ」
「傍って、いつもと変わらないんじゃないか?」
「違う違う違う……ユーリは俺から目を離さないで、俺とずっと一緒にいて」
イヴがブツブツとなにかを呟いていて、俺の言葉が聞こえない様子だった。
イヴの仕事は俺には分からないから手伝えない事は分かる。
でも今まで以上にイヴになにか尽くしたいと考えている。
俺が困っているとすぐにイヴは助けに来てくれた。
だからイヴが困っている時こそ俺が手を差し伸ばすのは当然だ。
イヴの耳がピクピク震えている、イヴが困っているのに…申し訳ないが可愛い。
「ユーリ、一緒に寝よう」
「え…うん、それは良いけど…尻尾とか大丈夫?」
「尻尾?」
「寝返りとか、して大丈夫なのかな」
「……」
「耳は関係ないと思うけど、あ…外に出る時は帽子を被っておかないといけないかも……帽子が家にないなら俺が買ってくるよ、そのままのイヴじゃ外に出れないと思うし」
明日の事を考えていたら、イヴはズボンから細長い尻尾を取り出して見つめていた。
髪の色と同じで黒猫なのか、耳も尻尾も黒い。
そういえば俺の隣にいた黒猫、いつの間にか居なくなっている。
ベッドの下とかで隠れているのかな、確認しようと体を動かそうとしたらイヴはベッドに寝転んで目蓋を閉じていた。
イヴは尻尾の事をあまり気にしていないようで、本人でもない俺が騒ぐのも違うと思い俺もそれ以上は何もなく再び眠る事にした。
もう、あのホラーな夢は見なかった。
そして次の朝、イヴは元の姿に戻っていた。
「イヴ、大丈夫?」
「耳と尻尾の事?ユーリに甘えられるならそのままでいいと思ったけど、ユーリが買い物に行くって言ったから引きちぎった」
「そんな事して大丈夫だったのか!?」
「大丈夫、分裂したけど…」
「分裂…」
イヴは全然気にしていない顔で笑っていたが、俺はイヴの体が心配だ。
分裂ってどういう意味なのか分からないが、イヴがベッドになにか置いて、それは自分の意思で俺のところに近付いてきた。
昨日の夜中に起きてから全く姿が見えなかった黒猫が座っていた。
イヴは笑って「これでユーリは買い物に行く理由がなくなったね」と言っていた。
確かにイヴの頭を隠す帽子を買う理由がなくなった。
引きちぎるって、そんなに俺が外に出るのが嫌なのか?
貧民堕ちの件があるからイヴも心配しているのだろう。
大丈夫だと自信満々に言えないのがもどかしい。
買い物もいつも補充されていて、本当に外に出る理由はない。
学校にもう一度行きたいが、辞めた学生の出戻りとは聞いた事がないから無理なのかな。
「イヴ、俺…もう一度学校に行き…」
「行かなくていいよ」
「でも、勉強したいんだ…戻る事って出来ないのかな」
「さぁ…やめた生徒は戻ってこないからね、勉強したいなら俺が教えるよ…俺の知識を全てユーリにあげる」
「でもイヴは仕事で疲れてるんだし…」
「俺がユーリの前で疲れたなんて行った事ある?」
「それは…ないけど」
「あの程度で疲れる事ないよ、ユーリとの時間の方が俺にとって大切なのに…」
イヴはそう言って、俺に手を差し伸ばしてきた。
「治ったんだし、一緒に風呂に入ろう」と誘われて、俺も風呂に入ってさっぱりしたいからイヴの手を掴んだ。
脱衣所で服を脱ごうと、手を掛けると後ろから手が伸びてきた。
イヴが俺のボタンを一つ一つ外していき、はだけだ服の隙間から手を差し込んできた。
胸に触れられて、小さな声が漏れる。
耳元でイヴの声が吐息混じりで聞こえる。
「んっ…い、イヴ…俺、胸ないから触っても楽しくないよ?」
「そんな事ない、ここを指で転がすとユーリの可愛い声が聞こえる」
俺の唇に触れて、乳首を指の腹で擦っていき下半身が窮屈になる。
イヴからも俺の下半身が見える筈なのに、そこには指一歩も触れずに俺の胸だけを触られる。
軽く摘まれるだけで、腰が跳ねて口をギュッと閉じて喘がないように頑張った。
イヴは俺の唇に触れて開かせようとしているが、俺は首を横に振った。
まだ風呂場にも入っていないのに、こんなところで気持ちよくなってどうするんだよ。
俺には、イヴの背中を洗うという使命があるのに…
「ユーリ、体を許してくれるなら…とびきり気持ちよくしてあげる…俺から離れられないくらい…」
イヴはそう言って、軽く引っ張られて…下半身が濡れて下着が張り付いているのが気持ち悪い。
口を少し開くとイヴの指が俺の舌を撫でていた。
俺だけ翻弄されるのは嫌だから、指を軽く吸った。
目を細めて、イヴも興奮しているのだと尻に当たる硬いものですぐ分かる。
顎を軽く上に向かされて、イヴの方に振り向きキスをされた。
体勢が少し無理な感じだから長くはキス出来なかったが、お互いの求める気持ちは高まっていた。
「ユーリ、俺の可愛い…俺だけのもの」
イヴに腹を撫でられると、直接触れられたわけではないのにイヴに中まで触られた感覚がした。
そして、そのまま訳もわからずイってしまった。
足に力が入らず、イヴに背中を預けると口元に笑みを浮かべる。
服を全て脱いで、風呂場に向かうとシャワーの音が室内に響く。
それに混じって、俺の甘い声が脳内を支配していく。
イヴに触られた場所が熱くて、求めるように下半身が再び熱を持つ。
壁に背中を付けて、イヴが俺を閉じ込める。
暗い暗い、快楽の底に…俺達二人しかいない場所に囚われる。
風呂場に入った筈だった、シャワーの音が聞こえる。
でも俺がいるところは真っ暗な場所。
何故だろう、見た事がある場所のように感じていた。
はっきり見えるのは自分とイヴだけ、それ以外がない世界。
壁も床も触れたらあるのに、何も見えない分からない。
「イヴ、ここは…」
「ユーリに余計なものはいらない、俺だけを見て俺に感じている姿を見せて」
足首を触られて、だんだんそれを滑らせて俺のに触れた。
イったばかりなのに、まだ足りないといいたげにイヴの指を濡らしている。
軽く擦られるだけで我慢出来なくなって、腰を浮かせて無意識にイヴにねだる。
イヴは弄られた乳首を熱い舌で撫でられて、軽く吸われた。
いつもと違う、この場所にいると本能がむき出しになったかのように直接快楽に触れられる強い刺激を感じた。
「ユーリ、ユーリの目になにが映ってる?」
「い、イヴ」
「そう、俺だけ…ユーリの視界には俺しか入れちゃだめだよ」
「ん、んぁっ…あっ」
「ユーリの中も俺だけのものだよ」
イヴの長い指が俺の入り口に触れて、ゆっくりと確かめるように俺の中に入ってくる。
それだけできゅんきゅんと震えて、締め付ける。
指だけでも気持ちいいのか、イヴが気持ちよさそうな顔をしている。
指の動きもだんだん早くなり、俺の感じる場所を的確に刺激してくる。
大きく体を逸らして何度目かの絶頂を迎えると、息を乱す暇もなくイヴに内腿を掴まれて火傷してしまいそうになるほどの熱を感じた。
イヴが中に入ってくる、そう思っていたら一気に奥まで貫かれた。
「あっ、あぁぁぁ!!!!」
「ごめんね、我慢出来なかった」
イヴはそう言っている最中でも腰の動きは止まらなかった。
奥の奥を刺激されて、イヴの動きに合わせて中が痙攣してイってしまう。
気持ちいい、頭がフワフワする…腹の奥で広がる熱を感じる。
イヴもイったみたいだが、まだ興奮しているのか腰の動きを止めなかった。
体勢を変えて、俺はうつ伏せになりイヴに体重を掛けられた。
激しく中を突かれて、真っ黒な床が白く汚れていく。
俺が出したものとイヴが俺の中で出したものが動く度に溢れてくる。
うなじに触れられて、次の瞬間…強い痛みが走った。
その痛みは快楽に支配されている今、俺には気持ちいい事としか認識出来なかった。
イヴに噛まれて、噛んだ場所を舐められて獣のようにその行為に夢中になる。
イかされて、イかして、俺の脳内は麻痺していく。
力が入らず、 イヴに支えられてイヴの上に乗って下から突かれる。
「あっ、あ、んぁ、あっ」
「ユーリ、最後は一緒にイこう」
「いっ、んんんっっ!!!」
イヴの絶頂と合わせて、俺のからは少量の精液がこぼれ落ちていく。
俺の中からイヴが抜くと、ぽっかりと開いた穴から流れていく。
意識がフッと消えかける前に、イヴが俺の中に指を入れていた。
「ユーリ」と俺の名前を呼ぶ声が聞こえるが、目蓋が重くて答えられなかった。
腹の中がまだ熱くて、ヒクヒクと入り口が寂しがっている。
正面からと後ろから、俺を閉じ込めるような動きが怖かった。
俺を空間だけではなく、イヴの傍からも逃がさないと言いたげな動きだった。
イヴは俺に自分の存在を知らせていたが、俺からしたらイヴこそ俺を見ていないように感じた。
俺はここにいる、貧民堕ちは想像もしていなかったが…自分からイヴから逃げようなんて思った事はない。
俺の勘違いならいいが、イヴは…何に怯えているんだ?
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