1 / 5
第一考・ジャンヌ・ダルクは考える
しおりを挟む
「あ~やっちゃった~。何でこうなったかなぁ」
1431年5月30日。
ルーアン、ヴィエ・マルシェ広場。
多くの民衆が見守る中、1人の女性が高い柱に縛り付けられ今まさに火あぶりの刑にされる瞬間だ。
彼女の名前はジャンヌ・ダルク。
火あぶりを待つ中彼女は考える。
自分は人の為、持てる全て・・・いやそれ以上を尽くして戦った。
国の為に国と戦った。けれど結果は魔女の汚名と共に今死を迎えようとしている。
彼女は考える。自分はこんなにしたのに今は誰も助けてくれない。自分は特別な力などない。魔女でもない。
人というのは何と浅はかで愚かなんだろう。
自分達にないものを持っている者を排除しようとする。それが自分達の利益になるのだったら嬉々として利用するくせに。
人とは何と狡く下劣なものなんだろう。
自分は何故ここまでして命を懸けてまで何の利益も称賛も何もない事をしたのだろう。
自分が神でも聖人でもないのに。
自分はただの人だ。箒で空も飛べないし、海を歩いて渡れもしない。
しかし皆んなは魔女と呼ぶ。・・・いや皆んなはではない人間だ。
自分は人間ではない。
人間がそれを許してくれない。
人間でないのなら自分は何なのだろう。魔女ではないのは当然だ。
人間の定義、線引きは人間が決めるかというのか。
何と自分勝手な。そもそもこの争いも一部の人間の自分勝手なものから始まったものではないのか。
その先頭にいたのが自分。
自分から先頭に立ったのだから後悔はない。
というと嘘になる。
民衆が彼女を見る中彼女は考える。
これは彼女が火に焼かれ、燃え、朽ち果てるまでの彼女の思考の物語。
ジャンヌ・ダルクは考える。
1431年5月30日。
ルーアン、ヴィエ・マルシェ広場。
多くの民衆が見守る中、1人の女性が高い柱に縛り付けられ今まさに火あぶりの刑にされる瞬間だ。
彼女の名前はジャンヌ・ダルク。
火あぶりを待つ中彼女は考える。
自分は人の為、持てる全て・・・いやそれ以上を尽くして戦った。
国の為に国と戦った。けれど結果は魔女の汚名と共に今死を迎えようとしている。
彼女は考える。自分はこんなにしたのに今は誰も助けてくれない。自分は特別な力などない。魔女でもない。
人というのは何と浅はかで愚かなんだろう。
自分達にないものを持っている者を排除しようとする。それが自分達の利益になるのだったら嬉々として利用するくせに。
人とは何と狡く下劣なものなんだろう。
自分は何故ここまでして命を懸けてまで何の利益も称賛も何もない事をしたのだろう。
自分が神でも聖人でもないのに。
自分はただの人だ。箒で空も飛べないし、海を歩いて渡れもしない。
しかし皆んなは魔女と呼ぶ。・・・いや皆んなはではない人間だ。
自分は人間ではない。
人間がそれを許してくれない。
人間でないのなら自分は何なのだろう。魔女ではないのは当然だ。
人間の定義、線引きは人間が決めるかというのか。
何と自分勝手な。そもそもこの争いも一部の人間の自分勝手なものから始まったものではないのか。
その先頭にいたのが自分。
自分から先頭に立ったのだから後悔はない。
というと嘘になる。
民衆が彼女を見る中彼女は考える。
これは彼女が火に焼かれ、燃え、朽ち果てるまでの彼女の思考の物語。
ジャンヌ・ダルクは考える。
1
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
大奥~牡丹の綻び~
翔子
歴史・時代
*この話は、もしも江戸幕府が永久に続き、幕末の流血の争いが起こらず、平和な時代が続いたら……と想定して書かれたフィクションとなっております。
大正時代・昭和時代を省き、元号が「平成」になる前に候補とされてた元号を使用しています。
映像化された数ある大奥関連作品を敬愛し、踏襲して書いております。
リアルな大奥を再現するため、性的描写を用いております。苦手な方はご注意ください。
時は17代将軍の治世。
公家・鷹司家の姫宮、藤子は大奥に入り御台所となった。
京の都から、慣れない江戸での生活は驚き続きだったが、夫となった徳川家正とは仲睦まじく、百鬼繚乱な大奥において幸せな生活を送る。
ところが、時が経つにつれ、藤子に様々な困難が襲い掛かる。
祖母の死
鷹司家の断絶
実父の突然の死
嫁姑争い
姉妹間の軋轢
壮絶で波乱な人生が藤子に待ち構えていたのであった。
2023.01.13
修正加筆のため一括非公開
2023.04.20
修正加筆 完成
2023.04.23
推敲完成 再公開
2023.08.09
「小説家になろう」にも投稿開始。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
朝敵、まかり通る
伊賀谷
歴史・時代
これが令和の忍法帖!
時は幕末。
薩摩藩が江戸に総攻撃をするべく進軍を開始した。
江戸が焦土と化すまであと十日。
江戸を救うために、徳川慶喜の名代として山岡鉄太郎が駿府へと向かう。
守るは、清水次郎長の子分たち。
迎え撃つは、薩摩藩が放った鬼の裔と呼ばれる八瀬鬼童衆。
ここに五対五の時代伝奇バトルが開幕する。
天下布武~必勝!桶狭間
斑鳩陽菜
歴史・時代
永禄三年五月――、駿河国および遠江国を領する今川義元との緊張が続く尾張国。ついに尾張まで攻め上ってきたという報せに、若き織田信長は出陣する。世にいう桶狭間の戦いである。その軍勢の中に、信長と乳兄弟である重臣・池田恒興もいた。必勝祈願のために、熱田神宮参詣する織田軍。これは、若き織田信長が池田恒興と歩む、桶狭間の戦いに至るストーリーである
番太と浪人のヲカシ話
井田いづ
歴史・時代
木戸番の小太郎と浪人者の昌良は暇人である。二人があれやこれやと暇つぶしに精を出すだけの平和な日常系短編集。
(レーティングは「本屋」のお題向け、念のため程度)
※決まった「お題」に沿って777文字で各話完結しています。
※カクヨムに掲載したものです。
※字数カウント調整のため、一部修正しております。
銀の帳(とばり)
麦倉樟美
歴史・時代
江戸の町。
北町奉行所の同心見習い・有賀(あるが)雅耶(まさや)は、偶然、正体不明の浪人と町娘を助ける。
娘はかつて別れた恋人だった。
その頃、市中では辻斬り事件が頻発しており…。
若い男女の心の綾、武家社会における身分違いの友情などを描く。
本格時代小説とは異なる、時代劇風小説です。
大昔の同人誌作品を大幅リメイクし、個人HPに掲載。今回それをさらにリメイクしています。
時代考証を頑張った部分、及ばなかった部分(…大半)、あえて完全に変えた部分があります。
家名や地名は架空のものを使用。
大昔は図書館に通って調べたりもしましたが、今は昔、今回のリメイクに関してはインターネット上の情報に頼りました。ただ、あまり深追いはしていません。
かつてのテレビ時代劇スペシャル(2時間枠)を楽しむような感覚で見ていただければ幸いです。
過去完結作品ですが、現在ラストを書き直し中(2024.6.16)
江戸の夕映え
大麦 ふみ
歴史・時代
江戸時代にはたくさんの随筆が書かれました。
「のどやかな気分が漲っていて、読んでいると、己れもその時代に生きているような気持ちになる」(森 銑三)
そういったものを選んで、小説としてお届けしたく思います。
同じ江戸時代を生きていても、その暮らしぶり、境遇、ライフコース、そして考え方には、たいへんな幅、違いがあったことでしょう。
しかし、夕焼けがみなにひとしく差し込んでくるような、そんな目線であの時代の人々を描ければと存じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる