揺られてどこへ

揺られてどこへ

電車に揺られる。揺られる。


どこに行く電車なのだろう。
アナウンスはある。でも変なの、右に回れとかそのまま直進しろとか戻れとか。
僕らに言ってもしょうがないじゃん。
あっ僕らじゃないか。
乗客は誰もいない。
まるで世界に自分一人。
そんなことがあるのだろうか？
そんな世界があるのだろうか？
小さい頃からこういう乗り物が好きだ、アンパンマンより機関車トーマスが好きだった。
中学の時は銀河鉄道の夜を読んだ。カラオケでは必ず銀河鉄道９９９を歌う。
しかし僕は鉄道に乗ったことがない。
でも、ここは鉄道ではなく電車。よく見る一般的に使われる電車。
僕もよく使う電車。
でも、やっぱりいつもと違う。
だって
一人で、無音で、こんな、こんな、赤黒く度々ぐねぐねとカタチが変わり、まるで踊っているかのように、争い、喰い合い、吐き出し合うモノが窓の外にいるなんて
いつもと同じな訳がない。
窓を叩く赤黒いモノ。
なんか怒ってる？僕に対して？何もしてないよ。
何で怒るの？何もしてないのに、ただここにいるだけなのに
ただいつもの服装で、持ち物だってペットボトルの麦茶にパンが一つ、あとiPhoneか。
それだけ。至って普通じゃないか
何を怒られることがある？
誰か助けてくれないかなぁ。
電車にも飽きてきたし、誰かと話したい。
あの赤黒いモノについて話したい。
この電車降りたら何しよう？
特にないなぁ。まぁ良いかその時決めれば。
赤黒いモノに捕まったら死ぬのかな。
死にたくはないなぁ。
まだ死にたくはない、死ぬなら楽に死にたいね、痛いの苦しいの辛いの嫌いだから。
そういえば、最近お父さんともお母さんとも話してないなぁ。
別に話すことなんてないんだけどね。
あ～どうなるんだろう僕は。どこに行くだろうこの電車。
とりあえず停まるまで待つか。


電車に揺られる。揺られる。