2 / 8
説明会の話を聴こう
しおりを挟む
「説明は以上です」
「はぁ」
エスティナ様の説明を聴いて私は天を仰いだ。
因みに、この時点でカウンターは150名まで減っている。
エスティナ様の説明を要約すると、エスティナ様のいる惑星アリスは創造神様が作ってから1億年と少々らしい。
地球では46億年掛かって今の様な文明が築かれているが、この創造神様は「そんなに待ってらんねぇ」とばかりに、エスティナ様を創造、エスティナ様は創造神の指示に従って色々な世界から生物やら植物などを転移する。
それによって、僅か数千年で惑星アリスは他に類を見ないほどの短期間で、豊かな自然と多種多様な生物が生きる世界が出来たそうだ。
その功績により創造神様はエスティナ様を大層可愛がったそうで、当時のエスティナ様は本人曰く相当調子に乗っていたそうだ。
そこに転機が訪れる。
とある団体が召喚の儀式を始めた。
エスティナ様の仕事は転移と召喚の管理。召喚の儀式が発動する際は惑星アリスへの影響を確認し、その都度、決裁してから術が発動するのだが、調子に乗っていたエスティナ様はそれをスルー。
その結果、呼び出されたのは「邪神」と呼ばれる存在だった。
邪神は今までアリスには存在しなかった「魔物」を創り出し、アリスに住む生き物を襲い始める。
その結果、アリスに住む動植物の半数は魔物に食い尽くされる事態となった。
最終的には創造神の力によって邪神は封印されたが、邪神の影響により魔物の発生は抑えられず、アリスの人々は魔物との生存をかけた戦いを余儀なくされた。
この結果に対し、本来であれば『存在の消滅』という罰が妥当なところを、エスティナ可愛いの創造神様は、謹慎一千年および惑星アリスにおける召喚の禁止という罰が下された。
惑星アリスに存在する、その他の神々からは罰が甘い等々の不満も出たらしいが、創造神様の鶴の一声で決まったそうだ。
家族経営の会社で娘がやらかしたポカを強引に揉み消す、何処かのニュースで見た感じだなぁと思いながら、「それで、千年の謹慎が解けたのは判りましたが、何で我々を呼んだんです?」と、私は残りの紅茶を飲み干した後、エスティナ様に尋ねた。
「実は……」
エスティナ様曰く、千年間アリスから離れたこと、召喚の儀式が禁止されたことにより、神の力となる『信仰』がなくなり、このままだと、数百年後には自分の存在がなくなってしまうのだと。
創造神様的には可愛いエスティナが消滅するのは忍びないが、他の神々の手前もあり「召喚の儀式」の復活は出来ない。
そこで考えたのが、転移を利用して惑星アリスに有用な人材を派遣し社会貢献を行いながら、エスティナ様の信仰を増やそうという今回の計画なのだと。
パタ……カウンターが100を表示する。
「この計画について地球の創造神さまに相談したら、日本人なら喜んで乗るんじゃない?的に勧められてのですが……」
減っていくカウンターを見ながら、エスティナ様は徐々に俯いていく。
「まぁ、事情は解りました、それでその、アリスに行って具体的に何をすれば良いんですか?」
私の質問にパッと顔を上げたエスティナ様は、ググッと身を乗りだす勢いで、「行ってくれるのですか!?」と瞳を輝かせながら迫ってくる。
その勢いに仰け反りながら、「まだ具体的な内容を聞いていませんので、何とも…」と日本人らしくお茶を濁す。
「そ、そうですよね」
乗り出していた身体を元に戻してコホンと咳払いしてから、エスティナ様はアリスにいく目的について説明をはじめた。
「アリスに転移後の行動は基本的には自由です。ただ、現地民と接触する際は『エスティナ教』の神官として振舞っていただきたいのです」
パタパタパタ………カウンターが一気に50まで減る。
「えぇ!? 何で!?」
勢いよく減ったカウンターにエスティナ様が思わずと言った感じで声を上げる。
勢いよく減っていくカウンターに(まぁ、あの話を聞いた上で神官とかあり得ないよなぁ)と乾いた笑いをしてしまう。
内心、私も帰りたいのだが、どうやって帰って良いのか解らないのだ……。
「とっ取り敢えず、神官云々は置いといて、それで、そのアリスに行くと我々も魔法とか使えるのですか?」
異世界といえば魔法である。
多分、ここまで残っている人達は気になっている筈だ……多分。
て言うか、他の人への説明が気になるが、カウンターの減るタイミングから大体同じペースで話が進んでいるのだろうか。
「え?まっ魔法ですか?」
エスティナ様がツイッと目線を逸らしながら、小さいこえでゴニョゴニョと話しだす。
「あー、えー、その、信者が増えればそのうち?出来るかも?的な?」
「えっと、良く聞こえませんが?」
俯いてゴニョゴニョ話すエスティナ様に嫌な予感を感じながら私が聞き直すと、エスティナ様は意を決した様に「「召喚の儀式」が禁止されたままなので、魔法は使えません」と話した途端、パタパタパタと勢いよくカウンターが減っていく。
「あぁぁぁ………」
現在のカウンターの数値は5。
一気に減ったカウンターを涙目になりながら掴みかかっているエスティナ様を横目に、私は深くため息を吐いた。
私も帰りたくなってきた……。
「はぁ」
エスティナ様の説明を聴いて私は天を仰いだ。
因みに、この時点でカウンターは150名まで減っている。
エスティナ様の説明を要約すると、エスティナ様のいる惑星アリスは創造神様が作ってから1億年と少々らしい。
地球では46億年掛かって今の様な文明が築かれているが、この創造神様は「そんなに待ってらんねぇ」とばかりに、エスティナ様を創造、エスティナ様は創造神の指示に従って色々な世界から生物やら植物などを転移する。
それによって、僅か数千年で惑星アリスは他に類を見ないほどの短期間で、豊かな自然と多種多様な生物が生きる世界が出来たそうだ。
その功績により創造神様はエスティナ様を大層可愛がったそうで、当時のエスティナ様は本人曰く相当調子に乗っていたそうだ。
そこに転機が訪れる。
とある団体が召喚の儀式を始めた。
エスティナ様の仕事は転移と召喚の管理。召喚の儀式が発動する際は惑星アリスへの影響を確認し、その都度、決裁してから術が発動するのだが、調子に乗っていたエスティナ様はそれをスルー。
その結果、呼び出されたのは「邪神」と呼ばれる存在だった。
邪神は今までアリスには存在しなかった「魔物」を創り出し、アリスに住む生き物を襲い始める。
その結果、アリスに住む動植物の半数は魔物に食い尽くされる事態となった。
最終的には創造神の力によって邪神は封印されたが、邪神の影響により魔物の発生は抑えられず、アリスの人々は魔物との生存をかけた戦いを余儀なくされた。
この結果に対し、本来であれば『存在の消滅』という罰が妥当なところを、エスティナ可愛いの創造神様は、謹慎一千年および惑星アリスにおける召喚の禁止という罰が下された。
惑星アリスに存在する、その他の神々からは罰が甘い等々の不満も出たらしいが、創造神様の鶴の一声で決まったそうだ。
家族経営の会社で娘がやらかしたポカを強引に揉み消す、何処かのニュースで見た感じだなぁと思いながら、「それで、千年の謹慎が解けたのは判りましたが、何で我々を呼んだんです?」と、私は残りの紅茶を飲み干した後、エスティナ様に尋ねた。
「実は……」
エスティナ様曰く、千年間アリスから離れたこと、召喚の儀式が禁止されたことにより、神の力となる『信仰』がなくなり、このままだと、数百年後には自分の存在がなくなってしまうのだと。
創造神様的には可愛いエスティナが消滅するのは忍びないが、他の神々の手前もあり「召喚の儀式」の復活は出来ない。
そこで考えたのが、転移を利用して惑星アリスに有用な人材を派遣し社会貢献を行いながら、エスティナ様の信仰を増やそうという今回の計画なのだと。
パタ……カウンターが100を表示する。
「この計画について地球の創造神さまに相談したら、日本人なら喜んで乗るんじゃない?的に勧められてのですが……」
減っていくカウンターを見ながら、エスティナ様は徐々に俯いていく。
「まぁ、事情は解りました、それでその、アリスに行って具体的に何をすれば良いんですか?」
私の質問にパッと顔を上げたエスティナ様は、ググッと身を乗りだす勢いで、「行ってくれるのですか!?」と瞳を輝かせながら迫ってくる。
その勢いに仰け反りながら、「まだ具体的な内容を聞いていませんので、何とも…」と日本人らしくお茶を濁す。
「そ、そうですよね」
乗り出していた身体を元に戻してコホンと咳払いしてから、エスティナ様はアリスにいく目的について説明をはじめた。
「アリスに転移後の行動は基本的には自由です。ただ、現地民と接触する際は『エスティナ教』の神官として振舞っていただきたいのです」
パタパタパタ………カウンターが一気に50まで減る。
「えぇ!? 何で!?」
勢いよく減ったカウンターにエスティナ様が思わずと言った感じで声を上げる。
勢いよく減っていくカウンターに(まぁ、あの話を聞いた上で神官とかあり得ないよなぁ)と乾いた笑いをしてしまう。
内心、私も帰りたいのだが、どうやって帰って良いのか解らないのだ……。
「とっ取り敢えず、神官云々は置いといて、それで、そのアリスに行くと我々も魔法とか使えるのですか?」
異世界といえば魔法である。
多分、ここまで残っている人達は気になっている筈だ……多分。
て言うか、他の人への説明が気になるが、カウンターの減るタイミングから大体同じペースで話が進んでいるのだろうか。
「え?まっ魔法ですか?」
エスティナ様がツイッと目線を逸らしながら、小さいこえでゴニョゴニョと話しだす。
「あー、えー、その、信者が増えればそのうち?出来るかも?的な?」
「えっと、良く聞こえませんが?」
俯いてゴニョゴニョ話すエスティナ様に嫌な予感を感じながら私が聞き直すと、エスティナ様は意を決した様に「「召喚の儀式」が禁止されたままなので、魔法は使えません」と話した途端、パタパタパタと勢いよくカウンターが減っていく。
「あぁぁぁ………」
現在のカウンターの数値は5。
一気に減ったカウンターを涙目になりながら掴みかかっているエスティナ様を横目に、私は深くため息を吐いた。
私も帰りたくなってきた……。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
エルフ少女とゆっくり異世界旅行
あさじなぎ@小説&漫画配信
ファンタジー
なんの取り柄もない26歳サラリーマンの俺、七星祐希は、帰りの電車を待っていたときに何者かによって線路に突き落とされてしまう。
目覚めると知らない森の中にいた。
混乱した俺の目の前に現れたのは、漫画やアニメで見かける、耳の長いエルフの少女、アレクシアだった
俺は人間を知りたい彼女といっしょに旅をすることになる
大陸をめぐる、ゆっくり異世界旅行記
※他サイトにも投稿
島流しなう!(o´・ω-)b
一樹
ファンタジー
色々あって遭難したスレ主。
生き延びるためにスレ立てをした。
【諸注意】
話が進むと、毒虫や毒蛇を捕まえたり食べたりする場面が出てきますが、これはあくまで創作です。
絶対に真似しないでください。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
~まるまる 町ごと ほのぼの 異世界生活~
クラゲ散歩
ファンタジー
よく 1人か2人で 異世界に召喚や転生者とか 本やゲームにあるけど、実際どうなのよ・・・
それに 町ごとってあり?
みんな仲良く 町ごと クリーン国に転移してきた話。
夢の中 白猫?の人物も出てきます。
。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる