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第三章 覚醒
【十九】仕事(右京)
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我が目覚めてからもうすぐ丸二年、佐助が言っていた通り、左京は忍者としての腕を大幅に上げ身体も見違えるほどに引き締まってきていた。余程精神力が強いのか、何度試みても新月の日以外に奴を乗っ取ることは難しいが、月に一度、我は佐助の闇の仕事を手伝い、殺戮を繰り返すことで閉じ込められている間の鬱憤を晴らしていた。
『 今日も見事な仕事ぶりでしたよ右京。そろそろ大きな仕事に手をつけようかと思っていますが、手伝ってくれますか?これがうまくいけば、貴殿は自由を手にすることも出来るかもしれませんね。』
「大きな仕事か、今の我にとっては容易い事。一体何をしようと言うのだ?」
『 次の新月の日、暁国の城に攻め入り姫を連れ去ってくるのです。反抗してくる者達は始末してしまって構いません。貴殿にとっては造作もないことでしょう?まさか城を護ってくれるはずの忍びの中に裏切り者がいるなどと考えている輩は今の平和ボケした暁国にはいないでしょうからね。』
不敵な笑みを浮かべながら、凄く楽しい事を思いついたかのように饒舌に語っている、この佐助という男。忍びとしての腕前も然ることながら我も唸るほどの冷徹で無慈悲な物事の考え方には感服する。敵にはしたくない奴だな。
「暁国には、お主の友人もおるのだろう?全く自分の利益の為なら手段を問わない冷酷さ、我も見習わねばならぬな。それよりも、姫は連れ去ってどうするのじゃ?殺さなくてよいのか?」
『 姫には少し用がありますので、生きたままいつもの小屋へと連れてきて下さい。次の新月の亥の刻、冥国からも忍部隊を派遣致しますので貴殿はそれに紛れて任務を遂行してくださいね。あ、奥方様を外に逃がすことも忘れずに。』
「承知した、これが終われば我は晴れて自由の身ということでいいのか?よし、全力で片付けるまでじゃ。」
『任務が成功し、あのお方の元へと姫と共に向かうのです。さすれば貴殿は自由の身と成れることでしょう。まずは任務を成功させる事が先決です、解りますね?』
この月に一度しか出てこれないという煩わしい呪いが解けるというのであれば、何だってしてやろう。あの方とは、前に佐助が申しておった陰陽師のことか?まぁよい、今の我にとっては容易い任務だ。
佐助と別れ城に戻ると、太陽の気配がする直前まで城内の動線を確認し、紙に書き写し左京の引き出しの中にそれを忍ばせた。もしかすると左京が見るかもしれないが、まぁよい。あいつがそれを見たところで、何か行動を起こすことはないだろう。
そろそろ夜明けか…徐々に酷くなる動悸を抑えながら布団に入り、我はまたひと月の長い眠りについた。
『 今日も見事な仕事ぶりでしたよ右京。そろそろ大きな仕事に手をつけようかと思っていますが、手伝ってくれますか?これがうまくいけば、貴殿は自由を手にすることも出来るかもしれませんね。』
「大きな仕事か、今の我にとっては容易い事。一体何をしようと言うのだ?」
『 次の新月の日、暁国の城に攻め入り姫を連れ去ってくるのです。反抗してくる者達は始末してしまって構いません。貴殿にとっては造作もないことでしょう?まさか城を護ってくれるはずの忍びの中に裏切り者がいるなどと考えている輩は今の平和ボケした暁国にはいないでしょうからね。』
不敵な笑みを浮かべながら、凄く楽しい事を思いついたかのように饒舌に語っている、この佐助という男。忍びとしての腕前も然ることながら我も唸るほどの冷徹で無慈悲な物事の考え方には感服する。敵にはしたくない奴だな。
「暁国には、お主の友人もおるのだろう?全く自分の利益の為なら手段を問わない冷酷さ、我も見習わねばならぬな。それよりも、姫は連れ去ってどうするのじゃ?殺さなくてよいのか?」
『 姫には少し用がありますので、生きたままいつもの小屋へと連れてきて下さい。次の新月の亥の刻、冥国からも忍部隊を派遣致しますので貴殿はそれに紛れて任務を遂行してくださいね。あ、奥方様を外に逃がすことも忘れずに。』
「承知した、これが終われば我は晴れて自由の身ということでいいのか?よし、全力で片付けるまでじゃ。」
『任務が成功し、あのお方の元へと姫と共に向かうのです。さすれば貴殿は自由の身と成れることでしょう。まずは任務を成功させる事が先決です、解りますね?』
この月に一度しか出てこれないという煩わしい呪いが解けるというのであれば、何だってしてやろう。あの方とは、前に佐助が申しておった陰陽師のことか?まぁよい、今の我にとっては容易い任務だ。
佐助と別れ城に戻ると、太陽の気配がする直前まで城内の動線を確認し、紙に書き写し左京の引き出しの中にそれを忍ばせた。もしかすると左京が見るかもしれないが、まぁよい。あいつがそれを見たところで、何か行動を起こすことはないだろう。
そろそろ夜明けか…徐々に酷くなる動悸を抑えながら布団に入り、我はまたひと月の長い眠りについた。
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