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【22】茶封筒の秘密
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『あの日僕は、都内に用事がありまして電車に乗って向かおうとしていたんです。いつもなら乗らない朝の満員電車に乗って新幹線
乗り場のある駅へと向かっていました。普通なら両手をあげていれば痴漢に間違われたりもしないと思うんですが、ギリギリで人が
多い車両に飛び乗ったのでその暇すらなく…しかも、脇に茶封筒を抱えていたのが悪かったんです。目の前には女子高生二人組がいるし…こそこそやっているから、何かイヤだな?と思ったんですよね。すると恐れていたことが起こったんですよ、駅に止まる直前に突然その二人組の一人が"今、この人にお尻触られた!"とか騒ぎ出したんです。女子高生側の片手は上に上げていたし、もう片方は茶封筒を脇に抱えていたので触れるわけもないんですよ?大体僕若い子に興味ないですからね?』
『飛鳥さん…、お気持ちわかります…!』
『あ、岩崎さんもですか?いやー嬉しいです!ってこんなこと話している場合ではないですね…。』
二人のことをギロっと見つめていた私の視線に気づいたのか、話を再開した飛鳥さん。
本当に…匠君までとは呆れる。
『その後はですね、周りの乗客に目撃者はいなかったんですけど一緒にいた友達までもが"私、見たよ"とか言い出しましてね。結局電車を降ろされてホームの端で駅員さんがくるまで、必死に潔白を説明しようとしていたんですよ!こうやって、どういう格好で立っていたかとか再現しようとしていたら、手が滑って茶封筒が線路のほうに飛んで行ってしまいまして…その時の僕にとっては命よりも大事なものが入っていたんです。ま、それを取りに線路へ降りて跳ねられてしまったんですけどね…。』
「そうだったんですね…、あの…その茶封筒には何が入っていたのですか?命よりも大事なものというものが、私には想像できません。差し支えなければ教えていただけますか?」
『…妹は知らないと思うんですが実は私、
小説家になるのが夢だったんです。茶封筒には出版社に持っていく原稿が入っていました。数えきれないくらいの出版社にとにかく読んでくれと作品を送り続けていたのですが、その日に行く予定だった出版社だけが僕に興味を持ってくれて、送った作品の他にもあったら見せてくれと言ってくれまして面接も含めて持参する予定だったんですよ。』
『飛鳥さん、本当に何といったらいいのか…後少しで夢が叶うという時に…俺も悔しいです!で、何か思い残したことがあったから
俺たちの前に現れたんですよね?それはどんな内容なんですか?』
『お二人とも、こういう事態に慣れていらっしゃるんですね?あぁ…死ぬ前に出会っていれば面白い作品になったかもしれないのに…痴漢の冤罪を晴らしたい!それは一番大きな悔いなのですがもう一つ、僕の茶封筒が多分現場に落ちているはずなんですよ…それを見つけてね、妹に原稿を渡したいんです。出版社の方も気に入ってくれていたし、もしかしたらベストセラーもあり得るかもしれないでしょ?痴漢は冤罪だけど、誤って電車に跳ねられた事実は変わりません。冤罪が晴らせても、もしかしたら莫大な損害賠償が妹に降りかかる可能性もあります。こんな騒ぎ起こしといて自分は死んでるから何もしなくていいって、残された者にとっては理不尽すぎませんか?だからね、少しでも可能性があるのなら原稿を出版社に持っていってもらいたいんです。』
自分が死んだ後に、残された生者の心配をするよう人が、人様に迷惑をかけるような行為をするはずがない!私と匠君は何とかして
飛鳥さんの夢を叶えてあげなくてはならないと思った。妹の弥生さんの為にも。
『ねぇ、翼?さっき火葬場にくる前に駅で
線路周辺の写真撮ったよね?あれに茶封筒
写ってたりしないかな?』
「あぁ!!確かに!見てみるね!」
スマホを取り出して先ほどの写真を探してみる…一枚目、二枚目、三枚目…ない。
しかし八枚目の写真にそれらしきものが!
『飛鳥さん?もしかしてこれですか?』
そこに写っていたのは、ホームの下の転落者が身を隠す為に作られた空洞部分、そこに生えた草むらの影に遠くから見るとよくわからないが拡大をしてみると確かに四角くて茶色い封筒のようなものが見えるような気がする。
『あ!多分それです!よかったー。』
『よし、とにかく証拠を押さえに行って封筒を手に入れましょう!それでは飛鳥さん?
俺の左手を握って行きたい場所を強く念じてください。翼も準備はいい?
それでは行きますよ?…"残夢の元へ"!』
乗り場のある駅へと向かっていました。普通なら両手をあげていれば痴漢に間違われたりもしないと思うんですが、ギリギリで人が
多い車両に飛び乗ったのでその暇すらなく…しかも、脇に茶封筒を抱えていたのが悪かったんです。目の前には女子高生二人組がいるし…こそこそやっているから、何かイヤだな?と思ったんですよね。すると恐れていたことが起こったんですよ、駅に止まる直前に突然その二人組の一人が"今、この人にお尻触られた!"とか騒ぎ出したんです。女子高生側の片手は上に上げていたし、もう片方は茶封筒を脇に抱えていたので触れるわけもないんですよ?大体僕若い子に興味ないですからね?』
『飛鳥さん…、お気持ちわかります…!』
『あ、岩崎さんもですか?いやー嬉しいです!ってこんなこと話している場合ではないですね…。』
二人のことをギロっと見つめていた私の視線に気づいたのか、話を再開した飛鳥さん。
本当に…匠君までとは呆れる。
『その後はですね、周りの乗客に目撃者はいなかったんですけど一緒にいた友達までもが"私、見たよ"とか言い出しましてね。結局電車を降ろされてホームの端で駅員さんがくるまで、必死に潔白を説明しようとしていたんですよ!こうやって、どういう格好で立っていたかとか再現しようとしていたら、手が滑って茶封筒が線路のほうに飛んで行ってしまいまして…その時の僕にとっては命よりも大事なものが入っていたんです。ま、それを取りに線路へ降りて跳ねられてしまったんですけどね…。』
「そうだったんですね…、あの…その茶封筒には何が入っていたのですか?命よりも大事なものというものが、私には想像できません。差し支えなければ教えていただけますか?」
『…妹は知らないと思うんですが実は私、
小説家になるのが夢だったんです。茶封筒には出版社に持っていく原稿が入っていました。数えきれないくらいの出版社にとにかく読んでくれと作品を送り続けていたのですが、その日に行く予定だった出版社だけが僕に興味を持ってくれて、送った作品の他にもあったら見せてくれと言ってくれまして面接も含めて持参する予定だったんですよ。』
『飛鳥さん、本当に何といったらいいのか…後少しで夢が叶うという時に…俺も悔しいです!で、何か思い残したことがあったから
俺たちの前に現れたんですよね?それはどんな内容なんですか?』
『お二人とも、こういう事態に慣れていらっしゃるんですね?あぁ…死ぬ前に出会っていれば面白い作品になったかもしれないのに…痴漢の冤罪を晴らしたい!それは一番大きな悔いなのですがもう一つ、僕の茶封筒が多分現場に落ちているはずなんですよ…それを見つけてね、妹に原稿を渡したいんです。出版社の方も気に入ってくれていたし、もしかしたらベストセラーもあり得るかもしれないでしょ?痴漢は冤罪だけど、誤って電車に跳ねられた事実は変わりません。冤罪が晴らせても、もしかしたら莫大な損害賠償が妹に降りかかる可能性もあります。こんな騒ぎ起こしといて自分は死んでるから何もしなくていいって、残された者にとっては理不尽すぎませんか?だからね、少しでも可能性があるのなら原稿を出版社に持っていってもらいたいんです。』
自分が死んだ後に、残された生者の心配をするよう人が、人様に迷惑をかけるような行為をするはずがない!私と匠君は何とかして
飛鳥さんの夢を叶えてあげなくてはならないと思った。妹の弥生さんの為にも。
『ねぇ、翼?さっき火葬場にくる前に駅で
線路周辺の写真撮ったよね?あれに茶封筒
写ってたりしないかな?』
「あぁ!!確かに!見てみるね!」
スマホを取り出して先ほどの写真を探してみる…一枚目、二枚目、三枚目…ない。
しかし八枚目の写真にそれらしきものが!
『飛鳥さん?もしかしてこれですか?』
そこに写っていたのは、ホームの下の転落者が身を隠す為に作られた空洞部分、そこに生えた草むらの影に遠くから見るとよくわからないが拡大をしてみると確かに四角くて茶色い封筒のようなものが見えるような気がする。
『あ!多分それです!よかったー。』
『よし、とにかく証拠を押さえに行って封筒を手に入れましょう!それでは飛鳥さん?
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