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1章 旅立ちの前に
6話 享楽主義者のティーパーティ
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謁見の間は城の中心部の塔にある。
廊下は長いし、装飾が豪華。使用人が一番多く置かれているところでもある。俺はコソコソしながら歩いていた。
あまり気づかれたくない理由は、王子のくせに城から無断で外出するのを――、叱られたくないからである。
服は泥だらけだし、そんなに綺麗な服装でもない。自分の部屋に行って服を着替えて来ればよかった、そう気づくのが遅かった。
「……誰も王子だと気づかないのが幸いだな」
謁見の間の前に立つと、さすがにドアの前に立っている兵士が自分に気付いた。自分の前に槍を交差する。
「第8王子、クラヴィス様。ご用件を。この先は許可がなくては入れません」
「……あー、ウォル兄さんにこっちに来いと言われたんだけど、いるかな。俺一人だけ来いって……」
「ウォルプタース様はこちらにはいらっしゃいません。先程、休憩に入られました。なので、私どもにも行き先は」
「えぇ、兄さん、ここに来ればいると思ったのになぁ。えぇー、待つの? 俺、あんまりここに居たくないんだけどな」
俺がそう言っても兵士は困り顔をする。あの人が休憩の時、どこにいるのかは見張りの兵士でさえも知らない。
その時だった。
「どーしたの? お困り~? クラヴくん」
「――ッうぉっ!」
だからなんでこの城の人は、みんな背後から声をかけて、なおかつ気配がないんだ。
「ウォル兄さん、肩に手を回さないでって言ってるでしょ! 暑苦しい。重い。おもいぃ!」
「あらー、釣れない子。ほらお話ししましょ。貸した従者の話、聞かせてねぇ」
「話しますから! 話しますから! 重い、体重かけるのやめてください!」
ウォル兄さんは見張りの兵士にウインクをして、俺を謁見の間の隣の部屋に通した。謁見の間の隣の部屋は、執務室。
つまり、ウォル兄さんの仕事部屋だ。
「はい、ここに座ってね」
「いや、立ったままで大丈夫ですけど」
「……座りなさい、ね?」
「は、はい……!」
一瞬見えた鋭い目に恐れをなし、慌てて指示された場所に座る。ふわふわのクッションがついた長椅子で、座り心地はいい。
ふんわりと上がる白い雲、茶葉のいい香りが辺りに立ち込める。
「アップルティー、レモンティー……、どれがいいかしら? 昨日ね、仕入れたから城下の新作の紅茶もあるの。どれがいい?」
ウォル兄さんが選べと見せた中には、自分が好きな紅茶の缶もあった。
「ウォル兄さん、分かってるのに聞かないでください」
俺は、わざとらしく目の前に出された茶葉の缶を見る。
「ミントティーね。昔から好きだものね」
そのミントティーと対照的に、またもやわざとらしく彼のそばに寄せて置かれた茶葉の缶。
「ボクは、何飲もうかしらぁ?」
――ようするに、初めから決まっているのだ。
「ウォル兄さんが好きなのは、アップルティーでしょ。しかも、それに蜂蜜を入れる」
「御名答」
「それに、その蜂蜜はミズガルズの端街ラタトスクの貴重な蜂蜜でいつも取り寄せて買ってる」
「完璧な回答ねぇ。最近は顔のパックにも使うようになったから、たくさん買い込んでるのよ」
ウォル兄さんは二つのポットを使い、それぞれミントティー用、アップルティー用と分けて淹れている。
「はーい、どーぞ」
「どうも」
ミントティーとアップルティーは、どちらも同じ色をしていた。同じ琥珀色が、目の前に置かれた時に薫る香りで嗅ぎ分けられる。
一口含むと、味気のない液体が喉に流れ込む。
「ボクが貸した従者が昨日帰って来たのよー? 二人とも。どこまで行かせたの? 話してね。話すまで帰さないんだからぁ~」
「別に、従者なんていなくても良かったですよ。どうせ、俺の監視役でしょう。従う気のない従者なんて邪魔なだけです」
俺は従者を持っていない。幼い時からお世話してくれたのは乳母と爺やと婆や。父である王は、第1王子や第2王子など身分の高い王子には従者を二人ずつ与え、それ以降には段々とグレードを下げたものを与えた。俺に与えられたのは、一頭の馬であるヴァイザーと、今も腰にある一丁の拳銃だ。
「お紅茶、美味しい?」
両手で頬杖をつきながら聞いているこの兄は、こんななりでも第3王子である。
第1王子と第2王子は、この王城ではなく、他の地方にある城にいるので、この第3王子が王に次ぐ権力を持つ。
晩年の王に変わって、執務室で書類の整理をしているのも、王の側近としてスケジュール管理をしているのもこの人だ。
この人は、俺を気に入っているのかなんなのか分からないが、俺に良くしてくれる。
「もー黙っちゃってぇ。お話ししましょー? ねぇー!」
第8王子と身分の低い末王子の身としては、身分の高い王子に気に入られるのは良いことなのかもしれない。
だが、この人は、グローリアねぇさんの言う通り底の見えない人なのである。
男なのに女口調なのも――。
「いいでしょうそんなこと。それより、俺に話があるって聞いたんだけど、何の用ですか」
「そうだった! ローリィちゃんに伝言頼んでよかったわぁ。あの子、お仕事を頼んだら必ず完璧にこなしてくれるものぉ」
「ウォル兄さんほど、適当な人じゃないんで。グローリアねぇさんは」
「もぉー、ボクが適当っていうのぉ? 酷いんだからぁ~!」
なんかこの人と話していると、話が脱線する。昔からそうだった。いつもそうなのだ。
「ね? どこまで今回は行ったのぉー?」
カップが空になったのをみて、ウォル兄さんは新しくミントティーを注ぐ。
「……アウリッシュの森まで行きました。そこで借りた従者は帰しました。彼らは俺の従者じゃない。俺に仕える気はない。どうせ、ウォル兄さんが無理やり遣わせたんでしょ?」
「うんうん、あとで言っておくねぇ。ちゃんと守りを果たさないとねぇ。お仕置きしなきゃね。途中で帰ったんだからぁ……」
最後のセリフは重ったるかった。ニコニコと話を聞くそぶりに戻り、俺は紅茶を口に含む。
美味しいが、少し味が薄い気がする。
――さっき、こんなに味が薄かったっけ?
「ボクは心配だからつけたのよ?」
「俺はその言葉を信じてない」
「あらそう。まぁいいわ。続きを話して。あなたが今回見つけた魔女の話とか」
「それが本題でしょ」
「ふふっ、分かってるじゃない」
「……断られたよ」
「あら、残念。アウリッシュの最奥の魔女。おとぎ話みたいね。確か……、老婆とも若い女とも少女とも言われる魔女」
紅茶の湯気に隠されて見えた顔は、魔女のように微笑んでいるかのようだった。
「……そう、貴方の呪いに関係している魔女ね」
ウォル兄さんは空になったカップにまたミントティーを注ぐ。カチャカチャという音が心地よく響く。
「うん……、俺……、それも聞いてみたかったんだけど……、ダメだった……みたい」
なんだろう、急に眠気が来た。目の前が、ぼんやり靄がかかったように揺れている。歩き疲れたからかな。
グラッと頭が揺れる。
「可愛い子だった?」
「……うん、……かわいかったよ」
「あらそう、よかったわねぇ」
「うん……」
それを最後に意識が吹っ飛んだ。
クラヴィスが寝た後、ウォルプタースは彼を執務室の前にあるベッドまで運んで横にさせた。クラヴィスが寝ている頬をそっと撫でて小さな声で呟く。
「――」
彼は、ソファに身を沈め、目の前で寝息を立てている彼を眺めていた。クスッと笑みを零し、手の甲を口元に当てる。
そして、服のポケットに入れていた一つの瓶を見て一言。
「これ、効き目遅いわねぇ。クラヴちゃん――、可愛いお耳の狼ちゃんは寝付きが悪いからしらぁ?」
瓶の中には液体が入っている。透明なそれを光に照らしながら眺める。計画通りに事は進んでいる、確信する。
「入れる量が少ないのかなって、――継ぎ足しちゃった」
廊下は長いし、装飾が豪華。使用人が一番多く置かれているところでもある。俺はコソコソしながら歩いていた。
あまり気づかれたくない理由は、王子のくせに城から無断で外出するのを――、叱られたくないからである。
服は泥だらけだし、そんなに綺麗な服装でもない。自分の部屋に行って服を着替えて来ればよかった、そう気づくのが遅かった。
「……誰も王子だと気づかないのが幸いだな」
謁見の間の前に立つと、さすがにドアの前に立っている兵士が自分に気付いた。自分の前に槍を交差する。
「第8王子、クラヴィス様。ご用件を。この先は許可がなくては入れません」
「……あー、ウォル兄さんにこっちに来いと言われたんだけど、いるかな。俺一人だけ来いって……」
「ウォルプタース様はこちらにはいらっしゃいません。先程、休憩に入られました。なので、私どもにも行き先は」
「えぇ、兄さん、ここに来ればいると思ったのになぁ。えぇー、待つの? 俺、あんまりここに居たくないんだけどな」
俺がそう言っても兵士は困り顔をする。あの人が休憩の時、どこにいるのかは見張りの兵士でさえも知らない。
その時だった。
「どーしたの? お困り~? クラヴくん」
「――ッうぉっ!」
だからなんでこの城の人は、みんな背後から声をかけて、なおかつ気配がないんだ。
「ウォル兄さん、肩に手を回さないでって言ってるでしょ! 暑苦しい。重い。おもいぃ!」
「あらー、釣れない子。ほらお話ししましょ。貸した従者の話、聞かせてねぇ」
「話しますから! 話しますから! 重い、体重かけるのやめてください!」
ウォル兄さんは見張りの兵士にウインクをして、俺を謁見の間の隣の部屋に通した。謁見の間の隣の部屋は、執務室。
つまり、ウォル兄さんの仕事部屋だ。
「はい、ここに座ってね」
「いや、立ったままで大丈夫ですけど」
「……座りなさい、ね?」
「は、はい……!」
一瞬見えた鋭い目に恐れをなし、慌てて指示された場所に座る。ふわふわのクッションがついた長椅子で、座り心地はいい。
ふんわりと上がる白い雲、茶葉のいい香りが辺りに立ち込める。
「アップルティー、レモンティー……、どれがいいかしら? 昨日ね、仕入れたから城下の新作の紅茶もあるの。どれがいい?」
ウォル兄さんが選べと見せた中には、自分が好きな紅茶の缶もあった。
「ウォル兄さん、分かってるのに聞かないでください」
俺は、わざとらしく目の前に出された茶葉の缶を見る。
「ミントティーね。昔から好きだものね」
そのミントティーと対照的に、またもやわざとらしく彼のそばに寄せて置かれた茶葉の缶。
「ボクは、何飲もうかしらぁ?」
――ようするに、初めから決まっているのだ。
「ウォル兄さんが好きなのは、アップルティーでしょ。しかも、それに蜂蜜を入れる」
「御名答」
「それに、その蜂蜜はミズガルズの端街ラタトスクの貴重な蜂蜜でいつも取り寄せて買ってる」
「完璧な回答ねぇ。最近は顔のパックにも使うようになったから、たくさん買い込んでるのよ」
ウォル兄さんは二つのポットを使い、それぞれミントティー用、アップルティー用と分けて淹れている。
「はーい、どーぞ」
「どうも」
ミントティーとアップルティーは、どちらも同じ色をしていた。同じ琥珀色が、目の前に置かれた時に薫る香りで嗅ぎ分けられる。
一口含むと、味気のない液体が喉に流れ込む。
「ボクが貸した従者が昨日帰って来たのよー? 二人とも。どこまで行かせたの? 話してね。話すまで帰さないんだからぁ~」
「別に、従者なんていなくても良かったですよ。どうせ、俺の監視役でしょう。従う気のない従者なんて邪魔なだけです」
俺は従者を持っていない。幼い時からお世話してくれたのは乳母と爺やと婆や。父である王は、第1王子や第2王子など身分の高い王子には従者を二人ずつ与え、それ以降には段々とグレードを下げたものを与えた。俺に与えられたのは、一頭の馬であるヴァイザーと、今も腰にある一丁の拳銃だ。
「お紅茶、美味しい?」
両手で頬杖をつきながら聞いているこの兄は、こんななりでも第3王子である。
第1王子と第2王子は、この王城ではなく、他の地方にある城にいるので、この第3王子が王に次ぐ権力を持つ。
晩年の王に変わって、執務室で書類の整理をしているのも、王の側近としてスケジュール管理をしているのもこの人だ。
この人は、俺を気に入っているのかなんなのか分からないが、俺に良くしてくれる。
「もー黙っちゃってぇ。お話ししましょー? ねぇー!」
第8王子と身分の低い末王子の身としては、身分の高い王子に気に入られるのは良いことなのかもしれない。
だが、この人は、グローリアねぇさんの言う通り底の見えない人なのである。
男なのに女口調なのも――。
「いいでしょうそんなこと。それより、俺に話があるって聞いたんだけど、何の用ですか」
「そうだった! ローリィちゃんに伝言頼んでよかったわぁ。あの子、お仕事を頼んだら必ず完璧にこなしてくれるものぉ」
「ウォル兄さんほど、適当な人じゃないんで。グローリアねぇさんは」
「もぉー、ボクが適当っていうのぉ? 酷いんだからぁ~!」
なんかこの人と話していると、話が脱線する。昔からそうだった。いつもそうなのだ。
「ね? どこまで今回は行ったのぉー?」
カップが空になったのをみて、ウォル兄さんは新しくミントティーを注ぐ。
「……アウリッシュの森まで行きました。そこで借りた従者は帰しました。彼らは俺の従者じゃない。俺に仕える気はない。どうせ、ウォル兄さんが無理やり遣わせたんでしょ?」
「うんうん、あとで言っておくねぇ。ちゃんと守りを果たさないとねぇ。お仕置きしなきゃね。途中で帰ったんだからぁ……」
最後のセリフは重ったるかった。ニコニコと話を聞くそぶりに戻り、俺は紅茶を口に含む。
美味しいが、少し味が薄い気がする。
――さっき、こんなに味が薄かったっけ?
「ボクは心配だからつけたのよ?」
「俺はその言葉を信じてない」
「あらそう。まぁいいわ。続きを話して。あなたが今回見つけた魔女の話とか」
「それが本題でしょ」
「ふふっ、分かってるじゃない」
「……断られたよ」
「あら、残念。アウリッシュの最奥の魔女。おとぎ話みたいね。確か……、老婆とも若い女とも少女とも言われる魔女」
紅茶の湯気に隠されて見えた顔は、魔女のように微笑んでいるかのようだった。
「……そう、貴方の呪いに関係している魔女ね」
ウォル兄さんは空になったカップにまたミントティーを注ぐ。カチャカチャという音が心地よく響く。
「うん……、俺……、それも聞いてみたかったんだけど……、ダメだった……みたい」
なんだろう、急に眠気が来た。目の前が、ぼんやり靄がかかったように揺れている。歩き疲れたからかな。
グラッと頭が揺れる。
「可愛い子だった?」
「……うん、……かわいかったよ」
「あらそう、よかったわねぇ」
「うん……」
それを最後に意識が吹っ飛んだ。
クラヴィスが寝た後、ウォルプタースは彼を執務室の前にあるベッドまで運んで横にさせた。クラヴィスが寝ている頬をそっと撫でて小さな声で呟く。
「――」
彼は、ソファに身を沈め、目の前で寝息を立てている彼を眺めていた。クスッと笑みを零し、手の甲を口元に当てる。
そして、服のポケットに入れていた一つの瓶を見て一言。
「これ、効き目遅いわねぇ。クラヴちゃん――、可愛いお耳の狼ちゃんは寝付きが悪いからしらぁ?」
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