穴をつつけば棒に当たる

サイ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

穴をつつけば棒に当たる

しおりを挟む
 かれこれ1時間は経っただろうか。
 俺はパーティ募集掲示板を見て、もうこの街にいる冒険者のチームをほとんど言えるんじゃないかってくらい熟読してる。
 ここはそこそこ大きな町の冒険者ギルド。
 だというのに。俺を入れてくれそうなパーティが、全然見つからない…。

 もともと、ヒトは異種族の中では不人気の種族だ。
 たまに1人で優秀な個体があるがそんなのは稀で、だいたいはチームで力を発揮する。緻密な計画と豊かなコミュニケーションによって、集団でこそ、その知識を生かし発展する種族。
 1人で力の強いオーガ族とか、魔法に強いエルフ系とか、どうしたって人気はそっちの方が高い。
 じゃあヒト同士のパーティに入ればいいんだけど…。
 俺はもう一度ヒト募集のチラシの方を見る。
 ――苦手なんだよなあ。ヒトづきあい。
 俺は、どうもヒトが苦手だった。絶対ダメってわけじゃないけど。


「いいや。今日はもう諦めよ」
 はあー、とため息をついて踵を返す。――と、すぐ後ろに人影。
 っぶない、ぶつかるとこだった。
 俺は残念ながらヒトの中でもちょっと小柄な方なので、ぶつかりそうになったのは相手の胸あたりだ。
 荷物を見ると冒険者みたいだけど、鎧もなく軽装だ。
 顔を見上げると透明に近い青の髪を結い上げ、耳には螺鈿らでん細工のピアス。藍色の目をしている。
「すみません」
 ぺこりと頭を下げて去ろうとすると、
「仲間を探してるの?」
 声をかけられた。
 ――こういう手合いは経験上、あまり良くないことが多い。
 詐欺とか、詐欺とか……なんか?
「いや。もう帰るんで」
「俺も探してるんだけど」
「っすか」
 じゃ、と歩き出したがすぐに立ち塞がるようについてきた。
 なんか腹立つな壁みたいで。
 むっとしてつい睨みつけるように見上げると、そいつは人好きのする笑みを浮かべた。
 きらりと瞳孔が銀光りする。魚系の種族かな?
「そんなに警戒しないでよ。これ、俺の冒険者カード」
 見るとAランクになってる。
「A?あんたが?」
「運よくね」
 そうは言っても、Aランクは運でなれるものではない。強さだけでもなれない。強ければBランクまではなれるけど、Aになるには身辺調査が入る。犯罪歴とかがあると絶対なれないし、これまでの経験とかも全部見られて適性検査を受けないとなれない。あと、毎月一定の奉仕依頼もあり、ちょっと公務員みたいなところもある。
「Aランクなら、俺じゃなくても引くて数多でしょ」
 からかわれてる気がする。
「急ぎの仕事で…今夜には発ちたくて」
「何の仕事?」
「マーク温泉の調査」
 マーク温泉といえば、2日ほどかけて行ける密林の中にある秘湯である。そんなものにわざわざ浸かりに行く物好きは多くないが、体力回復はするので近くを通れば入ったりはする。
「どうかな」
 見せられた依頼書は、そこまで難しそうではなかった。水質が変わったようだから調べてこいというものだ。報酬も悪くない。
 まあ、行って帰ってきて1週間か。貯金も残り少ないし。
「わかった、行く」
「ほんと?」
 男は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、よろしく。カード見ただろうけど、俺はティーン」
「イグルドだ。よろしく」
 これが俺とティーンの初対面だった。



 装備を整えてマーク温泉に向かった。
 ティーンはすごくいいやつで、本当に楽しい2日の旅だった。
「Aランクって、みんなティーンみたいにいいやつなの!?俺初めてだけどAランクの人と旅するの」
「どうかな。イグがいい人だから、つられてるだけだよ」
 と、意気投合した。できればずっとパーティを組みたいくらいだ。
 マーク温泉につく頃にはすっかり打ち解けて、自分の生い立ちとかかなり深い話まですることになった。
 といっても俺はただのヒトで、人同士での集団のコミュケーションが苦手だから、自由な多種族の方がやりやすいとかその程度の話で。
 ティーンは魚人族で、鱗は見えるところにはないけど耳のあたりにエラがあった。
 魚人族の人と会うのは初めてなのでいろいろ聞いてみたが、陸に上がるのはやっぱり変わり者らしい、ティーンは歩いてする冒険が好きだから陸を拠点にしているらしい。
 そんな話をしていたら。
「――あ、着いた!あれだよな、マーク温泉」
「そうだね」
 森の中にぽっかりと湧き出た温泉。一応岩で囲われているから誰かが整地はしているんだろう。
 緑色の温泉からは暖かそうな湯気が立ち上っている。
「気持ちよさそー」
「調査終わったら入ろっか。疲れたし」
「いいな!」
 俺がサンプルの採取をしている間に、ティーンはスキル『鑑定』で温泉を鑑定している。飲んでみたり色々やってた。いいなあ、鑑定持ち。仕事の幅が広がる。
「――どう?」
 俺の採取が終わったので声を掛けたら、ティーンはにっこりと笑って服を脱ぎ始めた。
「うん。終わったよ。そんなに大きくは変わってないかな。小回復と、あとは付与効果がいくつか追加されてるくらい」
「へえ……入るの?」
「うん。もう終わったから。イグも入ってあったまろ」
「やったー!」
 夜になると冷えてくる森なので、実はさっきから早く入りたかった。
 ティーンが先に入ったということは特に問題ないということなのだろう。俺もさっさと服を脱いで温泉に入った。
「うわ……極楽じゃん」
「うーん、いいね。落ち着く」
 ティーンは頭からもぐったり、浮かんだり。それはもう俺以上にリラックスしていた。
「やっぱり水の方がいいんだね」
「そうだね、落ち着くねー」
 気も緩み切っているティーンはなんだか新鮮だ。そんなに付き合い長くないけど、もう少しきちっとしていた印象だったから。
「あ、ウロコ発見」
 目の前をすーっと泳いで通り過ぎた時に腰の脇辺りに鱗を発見し、ついタッチしてしまう。
「ひえっ」
 小さな悲鳴と、激しい水音。
 まさしく魚が波打ち際で暴れたよな跳ね方をして、ティーンは俺から距離をとった。
 立ち上がって両手で自分を守るようにしている。
「え、なんかごめん」
 ティーンが真っ赤な顔をしているからちょっとびっくりした。
「腰弱いの?」
「いや……そういうわけじゃ。ちょっと不意打ちだったから」
「へえ。Aランクなのに」
 そんなにわきが甘くていいのか。
「関係ないよぅ。もう気も緩み切ってたから」
 3日前に合った俺に随分気を許したもんだな。
「緩めるなよ……外だし」
 モンスターが出ないわけではないというのに。一応モンスター除けの薬は撒いたが。
「ごめんごめん。もうやらないから許して」
「いや、気になるなら全然いいんだけどね。ごめんね俺もちょっとはしゃいじゃって。温泉なのに泳いで。水がうれしくてちょっとテンション上がっちゃった」
 へえ、魚人あるあるなのかな。
「じゃあ、鱗見てもいい?すごいキラキラして綺麗だな」
「え、いいよ……」
 すすす、と警戒気味に近寄ってくる。岩のへりに腰かけて、ふー、と上を見上げてる。
 これって好きに見てってことなのかな?
 鱗は腰のあたりと、くるぶしのところにも少しあった。
これがあると、なんか違うの?」
「どうだろう。なかったことないからわからない。陸上だとめんどくさいよ。生え変わるときぽろぽろ落ちて」
「へえ。でもこんな虹色の鱗ならさ、落ちたらアクセサリーにできそう」
 ティーンは笑った。そんな発想はなかったらしい。
 俺も暑くなってティーンの横に腰かけて。
 ――ん?
 ……あな?
 ティーンのへその下に、縦に割れた穴がある。
「ティーン。身体にポケットみたいなのあるよ!」
「え、う、うん……」
「ええー、魚人族はみんな体にポケットあるの?」
 何それ、めっちゃ便利じゃん!
 俺の期待のまなざしをすーっと避けて、ティーンは明後日の方を見た。
「いや、ポケットじゃないからね。その……それ生殖孔だから」
「え。そこに、その……入ってるの?」
「そうだよ。ぶらぶらしてたら泳ぐ時邪魔でしょ」
「すごい!めっちゃいいじゃん。便利!」
「斬新な反応だね」
 冷静に突っ込まれる。呆れられたような。
 そうかな。いろいろな種族とパーティを組んでるから、作りがいろいろ違ってても驚かなくなってたんだけど。
 穴の中とは、発想になかった。
 この辺内陸であんまり海とか行ったことないから、そもそも魚になじみがないしな。
「うわー。ね、ねえ、ちょっと触ってみていい?」
「えっ、ええっ!?」
「あ、そっか。生殖器だった。ごめん!穴に気を取られて。めっちゃセクハラじゃん。忘れて今の」
 ティーンが真っ赤になってて、やっと失言に気づいた。
 こういうところがダメなんだよなあ。俺。だから友達出来ないんだよ……。
 わかってるのに、興味があると本当に突き進んでしまう。
 ティーンじゃなかったら殴られてたよな。
「本当にごめんなさい。おれ、無神経だってよく言われるんだ……」
「―――よ」
「え?」
「……いい、よ。別に。イグなら触っても」
「え、いいの!?無理してない?」
「し、してない」
 顔真っ赤だけど。でもこんな機会そうそうないし。ティーンのやさしさにちょっと甘えちゃおうかな。
「じゃ、じゃあ、失礼して」
「あっ、ゆっくりね!そうっと、ね」
 そう言ってティーンは両手を握りしめ、胸の前に持ってきてる。
「うん」
 俺は目の前にの温泉につかる形でかがんで、そっと割れ目に手を伸ばす。ここまでは普通の皮膚より少し硬いかな、くらいの感触。
 ぬぷ……。
「うっ…」
「あ、いたい?」
 うめき声に慌てて止まるが、ティーンは体を固くしたまま、ぶんぶんと首を振った。
「ち、ちがう…慣れないから…ん、中を触られるの初めてで」
「そうなの」
 ぐり。
「うあっ!」
「あ、ごめん」
 ちょっとこれは。これは…すんごい気持ちいい。
 体の中だから温かいのかと思ったらそうでもなくて。なんだろう。この空間。ちょっと冷たくて、プルプルしてて。うーん、スライムより柔らかくて、吸い付くような。
「うう……もう、終わりにしていい?」
「もうだめ?中がどうなってるか知りたい」
 まだ入り口に指の第一関節くらいしか入れてない。奥まで知りたかった。
「ええー、いいけど……」
 ティーンは意外とあっさり許可した。入れられるのに慣れてきたのか、握った手もほどかれていた。ちょっと恥ずかしいのは持続しているのか頬は赤いけど、手は穴の横にそっと添えられてる。
 この不安だけど許してくれる感じ、信頼されてるみたいでちょっと嬉しい。
「じゃあ、もう少しだけ――」
 くちゅ、ちゅ……。
 音はしないけど、そういう感触で押し進んでいく。ああ、指全体が気持ちいい。
 あ、なんか入ってる。ちょっと硬いのが。
「うあ、ぁぁっ!」
 びくんっ、とティーンの身体が跳ねた。
「っあ、ごめん。今のもしかして」
「………………」
 自分の声が恥ずかしかったのか、ティーンは口もとを押えていた。
「言ったよね、生殖孔だって」
 冷静な声。
「言ってましたね。はい。抜きます」
 そう言って静かに抜いた。
 名残惜しいなあ。
「はあ。――で、どうだった?」
「いやあ、めちゃくちゃ気持ちよかった。包み込まれる感じ。いいなあ。俺、それ持ってたらずっと触っちゃいそう」
「それ変態だからね。やばい奴だよ。イグはパンツの中に手を入れたまま外に出れないでしょ?」
「はい。すみません」
 ティーンはやれやれといったようにお腹辺りを撫でていた。
「こんなところ親にだって触らせないんだからね」
「ごめんごめん。敏感なのに、指で触ったりするもんじゃないよな」
「そうだね。普通は指は入れないね。自分でも入れない」
 そう言われるとまたちょっと興味がわいてくるな。
「じゃあさ。ちょっと、舌だったらいい?」
「は、は?はあ―――?」
「指だと痛いかなと思って。舌だったらほら、柔らかいから」
 ティーンは口をパクパクさせた。
「イグは、嫌じゃないの?そんな、こと……」
「全然」
 むしろお願いしたい。言い出したの俺だからね。
「い、いけど……途中で気持ち悪いとか言わないでよ。落ち込むから」
「言わないよ!絶対気持ちいい」
「気持ちっ……」
 俺はずい、とティーンに近寄った。
「じゃあ、失礼します」
 ぬる、と舌を挿し込む。ティーンのお腹周りがぴく、と硬くなるのが分かる。逃げられないように腰を掴んでぐっとさらに侵入した。
 少し塩の味がする。感触はやっぱり、つるん、として、プルプルで、押せば破けそうなくらい柔らかいのに、包み込むように押し戻してくる。
 舌だとそこまで抵抗はないみたいで、さっきより広がっているように思う。舌全部を入れたら、舌を包み込むようになって……これ、キスしてるみたいだ。
「うっ……イグ、も、そろそろ……これ、やばいかも」
「うむ、ん?」
 おわり?と聞こうとしたら、ごめん。こそばいよな。
 ティーンはとっさに体を折り曲げようとして、俺が腰を固定してたからそれもかなわず。つい舌をさらに押し込んでしまった。
 すると。
 ぐぐぐ、と中からティーンのものがゆっくりと立ち上がって、穴から出てきた。
「うわあ……立派なものを、お持ちで」
 率直な感想だった。
「え、こんな大きいの入ってたの?奥行きどうなってるの」
 ティーンは呼吸を荒くして俺を見下ろしてきた。先ほどまでの恥ずかしがる様子はなく、どこか興奮してぎらついた眼をしている。
「大きいままで入るわけないでしょ。イグが触るから、こうなって出てきたんだよ」
 なるほど。それは悪かった。
 ティーンは大きくため息を吐く。
「ヒトの好奇心はすごいって聞いてたけど、いや想像以上だね」
「えへへ」
 すっと、濡れた唇を拭われる。
「それで、満足した?」
「しました。本当にありがとうございました」
「じゃあ……」
 ティーンは俺の顔を掴み、ゆっくりと引き寄せてきた。
 ちょ、ちょっと待って、それ以上寄せられると、口に、大きくなってしまったソレが……!
 ぷに、と俺の唇にそれをあてがって、ティーンはにまりと笑った。
 先ほどまでの恥ずかしがったりしていた人とは別人のようだ。
「最後までちゃんと面倒見てね」
「面倒……?」
「はい、あーん」
 まさか。
 有無を言わせない口調と固定された顔に、なぜだか逆らい難くて俺は口を開けた。
 そこにティーンは興奮したそれをゆっくりを入れてきた。
「う、う……ぷ」
 そんなものをくわえるのは初めてなので分からないが、たぶんこれは人間のと同じ感触なんじゃないだろうか。生々しい皮の感触が口の粘膜を通じて伝わってくる。
 どう動かしていいのかわからずたどたどしく舌を動かすと、ティーンは焦れたように俺の喉を手でくすぐった。
「イグ、これは君のと同じだから。自分のを想像して、気持ちいいところを舌でなぞってみてよ。強くなくていいから、優しく、ゆっくり。歯は当てちゃだめだよ」
 脳に直接響くような声と、のぼせそうな温度に俺は必死で言われるままに動かした。
 どこが気持ちいかわからないから全体的に優しくゆっくりと舐め上げる。口の中に塩の味が広がってきて、これでいいんだと思えたら、唾液を増やして少し速度を上げて舌を絡ませた。
「うん……すごいね、イグ。どんどん上手になってる」
 ティーンの手がちょっと強く俺の顔を掴んだ。
「ごめん。ちょっとだけ。トンってさせて」
 言うや否や、ぐぐぐ、と喉の方へと押し込まれてくる。えずきそうになって俺は必死で喉を開いた。
「ああ……イグ――すごっ」
 びくびくとティーンのそれは脈打ったが、精を放つ前にずるっと口から抜かれた。
「うっ、ごほっ、ごほっ!」
 せき込む俺を温泉から救い上げて、岩場に持ち上げてくれる。
 背中をさする手は優しかった。よかった。怒ってるわけじゃないみたいだ。
「ごめんね、イグ。つい――」
「だ、大丈夫。俺が、興奮させた、から……」
 呼吸を整えてティーンをみると、本当に心配そうに俺をのぞき込んでいた。
 そしてその視線が、すっと俺の下半身にいって……。
「イグ。――たってる」
「う……だね」
 そりゃ、どこを舐めたら気持ちいいか想像しながら必死で舐めて、さらに酸欠になって、誰でも勃たないか?いや、勃たないのか。
「ごめんね、そのうち収まるから。ティーンこそ出さなくてよかったの?」
「いやあ、さすがにいきなり口は、まずいかなって」
 ははは。そういうもんなのかな。
「だから、こっちで……」
 ――ん?こっち?
 ティーンが俺の足の間に入ってくる。さっきと逆の体制だ。
 ぴと、とティーンのものが俺のものと重なる。
「え……と、ティーン?」
「ここにさ……入れてみたくない?」
「―――――!!」
 ここって…生殖孔!?
 俺のものは、想像だけでびくりと反応した。
 それにティーンがくすくすと笑う。
「本当に気に入ったんだね、ここ……」
 そういってぴと、と孔の入り口に俺のものをあてて、ぬぷ……と挿し込む。
 先端に、あのプルプルとして柔らかい感触が触れて、包み込まれて、うごめいて。速攻で達しそうになる。
 何とか歯を食いしばって耐えるものの、限界はすぐ近くだった。
 だって、今まで経験したことのない気持ちよさが!敏感な先端を包んで!しかも竿の方はティーンのものと重なってその手に握りこまれてる。
「ううっ、ふ、ああぁ。もうだめ、ティーン、出ちゃ、出ちゃうよ」
「出すの?……だめだよ。俺の孔に出ちゃうじゃん、我慢しないと」
 そんな意地悪を言うくらいなら離してくれないと!
 俺は、出しちゃいけない、でも気持ちいい、ともうパニックで涙が出てくる。
 だめだ。もう、……。
「あ、ごめ、ごめ、なさ……もう、で、出る……っ!」
 びくん、とあっけなく俺は達した。
 出してしまった。中に……。
 真っ青になる俺をよそに、ティーンはなぜか満足そうに俺に言った。
「いっぱい出たね。これだけあれば十分だよね」
「え?……え?」
「大丈夫だよ、入れる前にちゃんとほぐすから。俺の、ちょっと長いけどそんなに太くはないから、心配しないで」
 え、ちょっと何言ってるかわからな……
「はうっ」
 ティーンの指が俺の孔に!いや、俺の孔はただの肛門だ。
「そ、そこ……!」
「うん。俺も、ヒトのアナ、触ってみたいんだ。いいよな?俺もイグにたくさん触らせてやったもんな」
「え?え…え。あ、はい。そう」
 だめといえるわけがない。でも、え?そういう展開だったの?
 頭の中が?だらけで頭が働かない。
 混乱の中にある俺を置いて、ティーンの指はどんどん中に入ってくる。
 かき回され、指を増やされ。温泉のぬめりを借りているからかそこまでの抵抗はなかった。
「本当はイグみたいに舐めてあげたいけど……」
「いやっ、ごめんなさい、本当に申し訳ございません。勘弁して……っ」
「俺ももう限界でさ。――入れるね」
 ティーンのそれに目をやると、俺の放った精が生殖孔からだらだらとこぼれだしていて。ティーンのものをぬっとりと湿らせていた。それをティーンはさらに塗りたくるようにしながら、俺の方にあてがった。
「あ、まって。ちょっと待って。それ本当に……」
 入れるの、と言おうとして。
「待てない」
 短いティーンの言葉とともに、ずずず、とそれは無遠慮に押し入ってきた。
「ふあ、あぁーーーっ!!」
 今まで感じたことのない圧迫感と、ティーンのものが掠める気持ちよさに、声にならない悲鳴をあげた。
 ティーンは汗なのか温泉なのかわからないけどもうびっしょりと濡れて、余裕のない顔で俺の上に乗っている。
「ああ……きもち、い…い」
 ティーンにそう言ってもらえてなんだか嬉しいような気もする。
 ゆっくりと抜き差しを繰り返し、奥に、奥にと押し進んでくる。
「ティー……、も、これいじょ、はいらっ、なーー」
「うん、わかってる。ここで……もうちょっと、動かさせて」
 そう言ってティーンは全部は入れずに激しく動き出した。
 俺はもう息も絶え絶えで、声も上げれず、訳のわからない快感の波に動かされるしかなかった。
「ふ、ふあぁっ、あぁぁっ、ん―――!」
「―――うっ」
 ティーンのものをぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。ティーンは低い呻き声で、熱い精を俺の中に放った。
 温泉の熱とこの一連の行為で、俺たちはもうのぼせる寸前だった。
 力を振り絞ってズルズルと岩場に這い上がると、呼吸を整えるため長い長い沈黙が流れた。


「実はさ……」
 若干の気まずさを抱えたまま、帰路に着いた俺たちだったが、温泉を後にしてティーンがそろそろと口を開いた。
「言ってなくてごめん。この温泉の付与効果「露出」が追加になってて…。温泉だから問題ないかな、って思ってたんだけど」
「露出?初めて聞く効果だけど」
「簡単にいうと、さらけだす?欲望に忠実になる。なんの欲望かはその時々で違うんだけど。俺は魚類で水の中だからそこまで影響なかったんだけど…」
 さらけだす。――俺のは、好奇心か?
 そうだよな。いくら俺でも、人の生殖器を触らせてくださいだの舐めさせてくださいだの。普段言わないよ。ひくよ。
「そうか…「露出」のせい…」
 ちょっと沈黙が流れる。ザク、ザクと足音が響いた。
「でも、さ、やりすぎだったよね。――ごめんね、ティーン」
 せっかくいいパーティになれたと思ったけど、町に着いたら解散かなあ。
「そんなことないよ!後半は、その…俺のほうが強引だったでしょ。魚人族って、アレが出ると…だめなんだ。自制が効きにくて」
「へえー!」
 俺はまた興味津々な目を光らせる。
「本当はその分、ヒトより勃ちにくくて出にくいんだけどね。流石に……」
「さすがに舌まで入れられたら、無理ないよな」
 はははー、と言うと、ティーンは歩みを止めて、真剣な顔をしていた。
「イグだからだよ。――好きな子にされたからそうなっちゃって。ごめんね」
「えっ、好き?――俺?」
「うん、実は前から時々見かけてて。気になってたんだ。それで思い切って、今回声をかけて。1人で行くつもりだった依頼なんだけど、だめ元で」
 確かに。思い返せば1人で十分な依頼だ。
「2日間だったけど、一緒にパーティ組んだらやっぱり楽しくて。どんどん好きになって。――だから、昨日も…」
 つられて俺まで顔が赤くなる。
「そっ、そっか…あ、ありがとう」
「良かったら、これからもパーティ続けてくれないかな」
「え、ほんと?いいの?」
 俺は二つ返事でオッケーした。
 色々衝撃的な今回の旅だったけど、ティーンのことは間違い無く好きだ。
 もっとティーンのことが知りたい。
「じゃあ、改めて、よろしくね、イグ」
「うん、よろしく、ティーン!」
 握手して、笑い合った。
 それから俺は恐る恐る聞いてみた。
「それで、ティーン、良かったらまた…」
 ティーンは吹き出すように笑ってくれた。
「温泉関係ないじゃん!――いいよ、2人だけの時に、また触っても」
 俺たちはとりあえず手を繋いで森を帰って行った。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

2025年何かが起こる!?~予言/伝承/自動書記/社会問題等を取り上げ紹介~

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:15,371pt お気に入り:93

不服従のSUBにDOMはかしずく

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:165

異種姦マニア

BL / 連載中 24h.ポイント:234pt お気に入り:207

【完】専属料理人なのに、料理しかしないと追い出されました。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:5,574

えっちなダンジョンはお断りです!

BL / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:96

[R18] 20歳の俺、男達のペットになる

BL / 連載中 24h.ポイント:269pt お気に入り:132

炎上したので蛇人だらけの島に左遷されました

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:106

処理中です...