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少しの沈黙の後、鉱が言いにくそうに話し出した。
「な、なあ。言うの迷ったけどさー。瑞穂、結婚するって」
「え……?」
強い頭痛に襲われた。いたい。
片目をつぶり、おでこに手をやる。
『なによ! 瑞穂だって、好きなら好きだって……言ってくれれば、良かったじゃん!』
『……なあちゃん、みたいに……皆が皆、言いたいこと言える訳じゃないもん!』
珍しく大きな声で反論した瑞穂に、私は驚いて何度も瞬きをしながら見つめた。
『なあちゃんなんて、だいっ嫌い!』と言って瑞穂は泣きながら走って行ってしまった。
私は校庭の大きな、みずみすしい新緑の葉をつけた桜の木の下に取り残された。
……そして、あやふやな関係のまま小学校を卒業して、中学では1度も同じクラスにならなかった。
瑞穂とは、そのまま疎遠になってしまった。
1番の友達だったのに。
あんなことがなければ、まだ一緒にいたのかな?
私の小学校時代の嫌な思い出。
だけど大事な、とてもとても大切な思い出……。
「なあこ? おい? なあこ、どうした?」
「……あ、ご、ごめん」
鉱の声に我に返る。
「そういえば、お前ら、急に仲悪くなったもんな。今も、まだ連絡とってないのか?」
私は何も言えず、しばらく黙った。
「……とってない……」
なんとか答えたが、声が震えてしまった。
「なんだよ……お前ら、本当、何があったんだよ」
「……う、うん。心配かけてごめん」
「そうじゃなくて……」
それ以上なにか言われる前に私はお風呂入るね、と電話を切った。
「な、なあ。言うの迷ったけどさー。瑞穂、結婚するって」
「え……?」
強い頭痛に襲われた。いたい。
片目をつぶり、おでこに手をやる。
『なによ! 瑞穂だって、好きなら好きだって……言ってくれれば、良かったじゃん!』
『……なあちゃん、みたいに……皆が皆、言いたいこと言える訳じゃないもん!』
珍しく大きな声で反論した瑞穂に、私は驚いて何度も瞬きをしながら見つめた。
『なあちゃんなんて、だいっ嫌い!』と言って瑞穂は泣きながら走って行ってしまった。
私は校庭の大きな、みずみすしい新緑の葉をつけた桜の木の下に取り残された。
……そして、あやふやな関係のまま小学校を卒業して、中学では1度も同じクラスにならなかった。
瑞穂とは、そのまま疎遠になってしまった。
1番の友達だったのに。
あんなことがなければ、まだ一緒にいたのかな?
私の小学校時代の嫌な思い出。
だけど大事な、とてもとても大切な思い出……。
「なあこ? おい? なあこ、どうした?」
「……あ、ご、ごめん」
鉱の声に我に返る。
「そういえば、お前ら、急に仲悪くなったもんな。今も、まだ連絡とってないのか?」
私は何も言えず、しばらく黙った。
「……とってない……」
なんとか答えたが、声が震えてしまった。
「なんだよ……お前ら、本当、何があったんだよ」
「……う、うん。心配かけてごめん」
「そうじゃなくて……」
それ以上なにか言われる前に私はお風呂入るね、と電話を切った。
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