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権力系ホモ★グリス王国編
ネコチャン>>>>>>インテリメガネ
しおりを挟む「お前がコージを洗脳しようとした魔導師団長だな? よくこの状況で顔を出せたものだ」
早速喧嘩腰なのはセイ。
セイって大人っぽく見えるけど、実は根に持つ上に仕返しがエグいんだよね。
だってもうほら、今にも殴り掛かりそうなくらい額の青筋凄いんだもん。
沸点は高めだけど、その分怒ると怖いんですわ。
「…実は謝りたかったんだ。図書室ではすまなかった。あまりにも可愛かったから、つい…。怖い思いをさせてしまったね」
……うそくせー。
偏見は良くないけど、メガネでロングコートのインテリキャラは腹黒って決まってるからな。
それにこのインテリメガネ…、なんか、白々しい。セリフを読んでるみたいな大層な喋り方してる。台本でもあんのか?
つーか図書室で『またやってやる』的な事言ってたの、ちゃんと覚えてんだからな! 本気で謝ってくれてるんなら許すけど、ちっとも反省してないだろ!
いいかインテリメガネ。謝罪ってのは半笑いでやるもんじゃないんだぞ!
「よくも我が主を害したな。いくら謝罪しても足りぬ。ここが貴様の地獄の一丁目だ」
「小癪な、魔女とヒトの半人者ごときめが皮を剥がされたいのか? 呆気者め」
ひぃっ!
セキとオウぶち切れだ!! セキは短気めだから分かるけど、オウさん…? めちゃんこ怖いっすよ? あなたいつものマイペースキャラどこに置いてきたの?
「どーどーどー! 静まりたまえー! しょっぱな喧嘩腰って俺ちょっとどうかと思う!!」
セキセイオウの前で必死にぴょんぴょん跳ねて、インテリメガネにガン飛ばす3人を落ち着けようと頑張る俺。えらい。誰か褒め殺せ。
「あぁ、あなた方が和睦を結んだという古龍。はじめまして、グリス王国魔導師団長を務めます、ヴァロ・リターニアと申します。以後お見知りおきを」
うぉ…、この状況でよく自己紹介とか出来たな…。度胸ライオンハートか?
セキセイオウ達を刺激するような言動は控えて欲しいんだが。
ルークさんもロイも、この暴れん坊ドラゴン達を止めてくれ。宥めてくれ。流石に王城の庭園で大暴れはちょっと。うんちょっと。
セキセイオウのド怒りで、ブルブルと地面が揺れた。木々がざわめき、小石が少し浮き始める。
アニメで言うと、大人しい人が激怒して、秘められた能力が覚醒するシーン。それに近い。
つまりヤバい。
「大丈夫! 仕返しなら自分でやるから!! 落ち着け!! 頼むから! 落ち着けって!! おちっ…落ち着いてぇぇぇぇぇぇぇ」
必死に訴える俺を、セキ達は簡単にぺいって引き剥がして、ルークさんに預けた。
俺をガッチリ掴んで離さないルークさん。
見上げると、やっぱりルークさんもインテリメガネを睨んでいた。お隣のロイも同様。
俺以外は激おこだ。
しかし困った。このままじゃネコチャンが巻き込まれてしまう。
セキ達の怒りを察知したネコチャン、みんな木の上に避難してるけど、そこも危ない。というか、ガチで暴れだしたら逃げ場なんてない。
だからネコチャンの為に、俺は激おこドラゴンズを止めなきゃならないのだ。ネコチャンの為に。
インテリメガネはどうでも良い。
「はいストップセキセイオウ止まれ」
主従契約の能力。主人から従魔に強制力を持つ命令の発動。
これを使ったのは、契約したてほやほやの時にオウに試した以来だった。
1、内容は従魔に分かりやすく簡潔に。
2、命令を受けた個体をハッキリさせる為、名前などを呼び。
3、従魔に聞こえるように、大きめの声で。
これを守れば、主人よりも従魔の方が圧倒的に強くない限り、命令は絶対だ。
セキセイオウは古龍っていう伝説的な種族の代表で、しかも序列入り。
力の差は歴然だが、何故か命令には強制力があった。
理由は分からないけど、これを利用しない訳にはいかない。
俺の言葉と共にビタリと止まったセキセイオウ。
オウが振り返ったけど、その顔は不満そうだ。
「なんで? コージを守る為だよ。1度くらい痛い目見せた方が良いよ」
「それは俺がやるから! 被害者は俺なんだから、俺が仕返しすんの!」
「『古龍のものに手を出せば悲惨な結末を迎える』と、魔女の母親に教わらなかったのか? まさか生きてここから帰れると思ってはあるまいな」
「はいそこ! 喧嘩売らない!!」
俺の制止も聞かずにインテリメガネにガン飛ばすセキ。に続いて凄むセイ。
古龍3体からダイレクトに殺気を向けられてもインテリメガネは余裕綽綽。なんだアイツ。必死に止めてやってるんだからそんな挑発するようなニヤニヤ顔やめて欲しい。
「おぉ、怖いですね。どうやら動けないようですが。…それで、コージ。どうやって僕に仕返しをするつもりなんだい?」
あぁもうだから挑発すんなって! セキセイオウのおでこの青筋が見えないのかお前!!
もう、これで大変な思いをするのは俺なんだからな! 後でみんなにキスでも何でもして、ご機嫌にしないといけないんだからな!!
だからもうそんな小馬鹿にするような口調と表情やめちくり…。
「それと古龍殿。僕の母親は『欲しいものは例え周囲の者を皆殺しにしてでも手に入れろ』と、僕に教えてくれたんですよ。逞しい母親でしょう。実際、私は欲しいものは全て手に入れて来ました。…えぇ、これからも」
うわーっ! 地味に強い中ボスみたいなセリフ吐きやがった!! 今までレベリングとかしてなかった人が苦戦するタイプの中ボスだ!!
いや~、火属性無効とか持っててさ、火属性得意の仲間が一瞬でザコと化しちゃうんだよな…。
でもまぁ? そんな事言ってたら足元掬われますよっと。
へい『多重縛鎖』お待ち!! トッピングは『鋼鉄化』と『絶対防御』ですね!!
さぁ、無敵の拘束具のお味はいかがかな!!?
ジャラララッギチッ…ギチッ…
「なっ…!? 『多重縛鎖』!? チッ、『エアーカッター』…あ?」
インテリメガネに絡まった何重もの鎖。詠唱が聞こえなかったから、反応が遅れたみたいだった。
まぁ詠唱言ってないんで。神様からチート貰ってるんで。
突如現れた鎖に驚いたインテリメガネ。
急いで外そうと魔法をぶつけるけど、まぁ弾かれる訳だ。
ふっふ~ん! そんな可愛い魔法で千切れる程ヤワなもんじゃないよ~だ!
神聖属性上級魔法の『多重縛鎖』に、念動属性中級魔法の『鋼鉄化』、結界属性最上級魔法の『絶対防御』ですから!
これで外されちゃったら、俺拗ねるもん。
セキセイオウが振り返った。ルークさんとロイも俺を見るから、インテリメガネも俺の仕業だって分かったようだ。
ちなみにセイとオウは『よくやった』みたいな笑顔を浮かべてる。
俺だって、洗脳されかけてセキ達を小馬鹿にされて、怒ってんだ。セキセイオウ達は殺しかねないから止めただけで、このまま無事に帰すつもりなんて毛頭ない。俺は洗脳されかけた被害者だから、正当防衛だ。
よくも洗脳しようとしてくれたな。そのスカした面、ぶん殴ってやる!!
「……国王があんなにも丁重に扱い、もてなすのはおかしいと思ったが…、ははぁ、そうか。これが答えか。古龍を従えて詠唱もなく様々な属性の高度な魔法を使いこなし、それほどの魔力を保有しているからか。ははは! 素晴らしいねぇコージぃ…! どのくらいの魔力を保有しているんだい!? 何属性が使えて、どんな魔法が使えるんだい!? スキルはどんなものが…!!」
おう、ヤバいぜコイツ。目が逝っちゃってるんだぜ。
そんなに魔法が好きなんか。まぁ魔導師団長って言うくらいだし、魔法好きなのは…、うーん……、普通か…?
まーまー! 拘束は成功したんだし、答えてやる義理もない!
レッツ鑑定!! 魔導師団長の素性を隅から隅までさらけ出せ~~~い!!!
《種族:人間(人間:魔法使い=7:3)
名前:ヴァロ・リターニア
レベル:92
年齢:27
性別:オス
属性:疾風属性 電雷属性 核熱属性 結界属性
属性詳細:疾風…風を操る・造り出す 電雷…電雷を操る・造り出す 核熱…核熱を操る・造り出す 結界…結界を造り出す
職業:グリス王国魔導師団長
スキル:疾風魔法 電雷魔法 核熱魔法 結界魔法 惑わしの瞳 並列演算 思考加速 魔法攻撃耐性 精神耐性
称号:魔女の血脈
好きなタイプ:容姿の優れた一途な子
魔女と人間のハーフで、通常の人間とは魔力保有量が桁違い。幼少期、偏見による差別を受けて性根が歪んだ。裏切りを何度も経験した為、愛する者には洗脳を施し、確実に自身のものにしようとする。あまりにも従順過ぎると飽きる。魔法魔術への探求心が強く、母親から受け継いだ知識を元に独自で研究を進めている。今までに発表してきた法則や新魔法は53にものぼり、魔法魔術学会でもこの若さにして、既に名誉幹部。新発見をする度に、猫を1匹、ご褒美として飼っている。》
え、何最後。いきなり可愛い。
…ん!? あれ!? レベル92!? たっっっか!!!
え、つか属性4つもあるし…、スキルはおいちょっとなんだそりゃ。並列演算って? 思考加速って???
……んー、でも過去を聞いてみると、なんか憎めないなぁ…。差別とかも同情ポイントだし、裏切られるのも悲しいな…。
顔面パンチは容赦してやろう。
よしっ! 腹パンだ! えいっ!!
ぽかっ
「う…、………? 今のが、仕返しかい?」
………。そうだった。俺、非力だった。
この前も非力過ぎてガレにばぶちゃんってからかわれたし、最終的には寝室に連れ込まれたし…。
ベッドの上で、俺の嫌なところ散々いじめてさ、俺が泣いちゃったら、またばぶちゃんみたいで可愛い可愛いって言ってさ……。
もうアイツの興奮ポイント分かんないよな。
「ぐぬぅ……『身体強化』! 『筋肉強化』!!」
「物理属性…! しかもまだ魔力に余裕があったなんて!! 凄い! 凄いぞコージ!!」
「正当防衛被害者パンチ!! そぉいっ!!」
ボカッ
「ぐふっ…! う、ふ…、ふはははは……!」
何故か興奮する変態インテリメガネと目を合わせないように、腹に強化したパンチを放った。
苦しみの声を出して、なんか笑ってら。
ドMかな?
と、インテリメガネ実はドM説が浮上した所で、ルークさんとロイが後ろから近付いてきた。
なお、セキセイオウは俺の命令でまだ動けない。
「うーん、もう一発殴るかね? 今度が私が」
「ルークさんがやると中身出ちゃうからダメです。それに、この人結界属性も持ってるみたいだから、結界張られちゃいますよ」
「…じゃあコージのパンチはわざと受けたんだ。コージのパンチ、羨ましいからコージ俺も殴って」
「ロイくん??? 落ち着いて????」
嫉妬するロイを落ち着けて、後ろで動けないままのドラゴンズに『動いていいよ』って命令の解除を出した。
そんで不貞腐れたようにてくてく歩いてくるセキ。セイとオウはあんまり気にしてなさそうだ。
「ごめんな。3人ともガチで殺しちゃいそうだったからさ」
「今回は我らの身勝手な怒りだった、ゆえに構わん。だがコージ、相手が殺意や敵意を抱いている時に、我らに動かぬよう命令は下すな。我らはコージを守る為にここにいる。動けなくては、万が一の際にコージを守れない」
「うん…、分かった。ありがと」
セイに頭をなでなでされて、俺は嬉しくなっちゃった!
でも、ホントに相手が強くて敵意持ってたら、セイの言う通りだよな。気を付けよう。
インテリメガネにパンチして、セイとオウの怒りは収まったみたいだけど、セキはやっぱプンプンしてる。
未だに笑い続けてるインテリメガネは放っておいて、今度はセキを構おう!
「セキ、おこ? おこなの?」
「おこだぞ! ソイツにおこだ!」
「そっか~おこか~。どーすればおこじゃなくなる?」
「今夜、コージと盛り上がりたい!」
「うーん…、ダメ」
「むぅっ!?」
ガーンって文字が後ろに浮かび上がったセキ。
ホントはOKしてあげたいけど、ルークさんとかロイとかインテリメガネの前で、『今夜セックスします!』なんて言う訳にはいかない。
まぁ俺もしばらく発散出来てませんし、2人きりになった時にでもOKサイン出しますか。
…………んで、ずっと俺を見てあはあは笑ってるこの変態、どうしよう?
********************
はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
メルです!
前回、図々しくも感想催促したんですが、なんとめっっっっちゃたくさんのご感想が届きました!!
本当にありがとうございました!!!これからもよろしくお願いします!!!
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