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権力系ホモ★グリス王国編
話が壮大過ぎて冷や汗止まらないんですけど
しおりを挟む「まず、コージがこの世界で自由に動き回る以上、力がバレるのは確実だ。人の口に戸は立てられない」
「必要なのはその時の対処法だが…、コージくんは、どうしたいかね?」
「どうしたいって、そんなの…」
会議室にて。
それぞれが椅子に座ったり、窓辺に腰掛けたりして、話し合いは始まった。
「各国がコージの奪い合いを始めた時の対処法だが、選択肢はいくつかある。1、どこかの国または組織に身を置く。2、どこにも属さず、逃亡生活を始める。3、奪い合いを行う国または組織を全滅させる」
うひゃあ何と物騒な…。
俺は自由に生きたいし、そんな選択肢は全部ゴメンなんだけど…。
…でもいずれ、選ばなきゃいけない日が来るかも知れないんだよな…。
「うーん…うーん…」
「どこかの国や組織に身を置いた場合、その国や組織が攻撃対象になる可能性もあり得る」
「逃亡生活は危険が伴うかも知れん。元々狙われれば危険だが、『うちに属さないなら殺してしまえ』と言う輩もいるだろう」
「全滅させるつもりなら…、大虐殺になるだろうけど……、俺、どこまでも付き合うよ」
「ありがとロイ。でもしないからダイジョブ」
消去法としても、大虐殺は最初に除外かな…。怖い怖い。
どこかに身を置くか、逃亡かは…、うーん、凄く悩む。
だってだって、どこかに身を置いちゃったら自由に出来ないかも知れない。
みんな俺の力を欲しがって奪い合うんだから、どこかに身を置いたら力を使う事になると思う。兵器利用とか俺が罪悪感で死ぬ。それに、身を置いた所で周りが諦めるかって言うと、そうでもないだろうし。
逃亡生活は全員敵になる。捕まれば良い待遇は望めないだろうし、命ピンチのリスクもヤバいだろーな。今まで通りの生活は勿論、一生ビクビクしながら逃げなきゃいけない。
受け身の選択だ。
こう考えてみると、やっぱりどっちもイヤだな。俺は今まで通りの平和(当社比)な日常を送りたい。
起きて、もふもふして、剣や魔法の練習をして、もふもふして、絶品昼飯を食べて、もふもふして、クエストに行って、もふもふして、喧嘩したガレとカイルの傷を手当てして、もふもふして、夕飯を食べて、もふもふして、みんなで遊んで、もふもふして、帰って風呂に入って、もふもふして、読書をして、もふもふして、寝る。
あれ? 俺もふもふやり過ぎじゃね? 魅惑のもふもふ過ぎるぜ、ルークさん…。
もふもふ。ふかふか。
でも俺は、そんな日々を過ごしたい訳で。もふもふしながら大好きなみんなと一緒にいたいんだ。
「ごめんカイル。選べない」
俺がカイルにハッキリそう言うと、カイルは目を細めてフッと笑った。
「だろうな。ゲージに閉じ込めては子犬の魅力も半減だ。そう言うと思い、代案も用意している」
「待て今俺のこと子犬って言った?」
という俺の言葉は無視され、カイルは普通に話を進めていく。なんて奴だ。
俺の隣ではロイがカイルの話を聞きながら俺の手を握ってるし、俺の真後ろではオウが俺の襟足で遊んでる。
真面目に聞いてるのは俺とルークさんとセイだけだ。
セキは…、クリームを口の周りにベドォって付けてカップケーキを頬張っている。だから手を伸ばして拭き取ってやり、ついでに一口貰おう。
ぱくり。もちゃもちゃ。うめぇ。
「真面目に聞く気がないなら無条件で俺と駆け落ちになるが良いか?」
「聞きますっ!!」
おかしい。真面目に聞いてたはずなんだが…。
「この案を実行するのなら、覚悟が必要だ。なんせ責任はコージにいく。だが、コージにとってはこれが最善だ。どこかに属する必要も、逃げる必要もない。堂々として暮らせば良い」
「…! ほほう! その案とは…?」
「コージを頂点に結社を作る。どこにも属さぬ、独立した結社だ」
…………。…………………。…………………………。
結社(けっしゃ、英語:association)は、共通の目的のために組織される継続的な団体のこと。
あ、ウィキ大先生引用な。いつもありがたい。助かってます。
んで、その共通の目的のための組織される継続的な団体を、俺を頂点にして作る、と…。
おぉっと? なんか壮大な話になってきたぞ?
「一時は建国も考えたが、他国との駆け引きにコージくんを出す訳にはいかない。王のいる場所は王城だ。コージくんの居場所が一発でバレるような体制は安全とは言えない」
ルークさんも参戦。もしかして、カイルってば事前にルークさんと話し合ってたの?
「ギルドという形は既にオーディアンギルドが持ってしまっている。ギルドの中にギルドがある状態は相応しくない」
「俺達やオーディアンギルドのメンバー、死神の吐息の団員、聖騎士団の団員が崇拝する様子は宗教に似ているが、宗教を名乗るには教会の存在が邪魔だ。俺はコージを愛しているが、信仰の対象は神である創造主ゼロアであり、創造主ゼロアの愛し子であるコージを教皇にするとしてもやはり正教会の影響は強い」
「以上の事から、我々はコージくんを頂点として、巨大な結社を作る事を推奨する。結成理由は後付けで構わないが、とにかくコージくんが独立している事が重要だ」
あ、ダメだもう意味分かんない。
ほらロイもセキもオウもスケールの大きさにポカンってなってるよ。
もうちょっと聞き手の心情に配慮して?
ルークさんもカイルも俺の反応を見ているようだから、頑張って声を絞り出すっきゃない。頑張れ俺の喉!
「えぇっと…、他の国とか組織が手を出せないくらいの結社って……」
「それなりの武力と、影響力が必要だ。しかしオーディアンギルド、聖騎士団、死神の吐息、序列入りの古龍3体、更にコージの力も合わせれば、勝てぬ国などありはしない。抑止力にもなるな」
「影響力に関しても、ギルドと聖騎士団と死神の吐息のメンバーが入れば問題ないだろう。これから更に増える事を予想すれば、本当に国が作れてしまう程だよ」
「ガレ・プリストファーの許可も得ている。後はコージの承認だけだ」
「さぁコージくん、決断を」
「無茶言うな!!!!!」
精一杯叫んだ。力の限り叫んだ。
だってそうだろ? でっかい組織を作るか作らないか、ここで決めろって言われてんだぞ。しかもなんか俺がボスになる雰囲気だし。
しかも何すりゃ良いんだよ。いきなりシャッチョサンだよ。
「安心しろコージ。運営については俺達で回していく。コージは簡単に説明を受けて可否を下せば良い」
「……………………」
「したい事や結社の方針について希望があれば我らに伝えたまえ。一先ず、結社を回していくのはオーディアンギルドから私とリイサス。聖騎士団からはマンハット殿と副団長のスティーブ殿。死神の吐息からはガレ・プリストファー。古龍からはセイ殿が出る。料理の事はワーナーに、秘密裏に調べたい事があれば諜報のあの者に頼みたまえ」
諜報のあの者…?
あ、ジル兄ちゃんか!! 確かにこの国の諜報員らしいけど、まさかジル兄ちゃんも結社のメンバーに…?
ますますやべぇな…。
いや、最初に提示された3つの案のどれよりも良いのは間違いない。
俺が希望すれば、今まで通り平和な日常を送れるだろう。
俺にとっては最善だ。ルークさんやカイルも、それを考えてこの案を出してくれたに違いない。
怖いのは、やり過ぎる事だ。
カイルの言う事が本当なら、この結社が超大規模の組織になる事は確かだ。
全員ではないとは言え、元々大規模の『オーディアンギルド』、『聖騎士団』、『死神の吐息』がメンバーになる。
この3つの組織は全部が戦闘組織だから、武力は十分だ。
俺もセキセイオウもいるから、他の国とか組織とかと衝突したとしても、こっちの被害はまぁ大丈夫だろう。
ただ、そうなった場合、衝突してた相手が無事とは限らない。
そもそも俺は男子高校生。いや今15歳だけど。本来は普通の平凡な17歳なのだ。
でっかい組織のトップに鎮座出来るほどの器も、統制力も、管理する能力もない。
だから、結社メンバーのオイタを見逃してしまうかもしれない。
1週間くらい前。リイサスさん寝取り未遂事件の時も、俺はみんなが貴族&私兵さん達を殺そうとしてるって見抜けなかった。
つまりは衝突した国または組織を、カイルやルークさん、ガレ達が皆殺しにしようとしても、止められる自信がないのだ。
「……仮に、どこかの組織と争いになったとして」
「うむ」
「そのどこかの組織が俺をこっぴどく罵ったとして」
「……うむ」
「相手をぶっ殺さないって言えます?」
「……………」
ヤンデレで編成された組織は、そこが一番怖い。
最悪の場合、大虐殺を引き起こす可能性もなきにしもあらずぅ。
「てか、そういう組織のトップって、普通頭が良くてカリスマ性があって野望があって、とかそんな人なんじゃないんですか? 俺がトップになっても、メンバーが付いてきてくれるとは…」
「あぁ、それは心配ない」
「へ?」
「通常の国や組織はそうだ。トップが無能では誰も付いて行かない。が、コージの場合は別だ。コージに惚れていて、コージに少しでも貢献出来るように頑張る連中ばかりがメンバーになる。『下が付いてきてくれるかどうか』ではなく、『下がトップに愛想を尽かされないように死に物狂いで頑張る』んだ」
う、うん…。
否定したいところだけど否定出来ないのが悲しい…。
そうだよなー。多分みんな頑張ってくれるよなー。俺滅茶苦茶愛されちゃってるもんなー。
オーディアンギルドの冒険者さんも、聖騎士団の団員さんも、死神の吐息の団員さんも、みーんな異常なくらい可愛がってくれてんだ。
だからカイルの言う事は間違いない。俺が無能でも、わがまま言っても、きっとみんな必死に俺の願いを叶えようとしてくれる。優しいから。
くぅ、ありがたいぜ…。
「で、でも、ルークさんとかカイルとかガレとか、ちょっと目を離したらすぐに殺そうとするし…、管理できる自信がない…」
「ならばルールを作れば良い。敵味方関係なく、破れば罰則が伴うルールだ。ルールはコージが作れ。俺達も協力する」
そ、そうきたか…。
いやルールは大事よ? 厳し過ぎず、ぬる過ぎずのルールを作れば、それを物差しに管理出来るかもしれない…。
あ、はい認めます。カイルの提案が最善です。そしてカイルはとても優秀です。
でもさ、俺小心者の男子高校生よ? 今ここで決めろってったってさぁ…。
「…コージくん、今まで通りの平穏を望むのだろう? 我々もそうだ。コージくんが誰のものにもならない今の現状を、楽しんでいる。どうか我々の為に、決断してはくれないだろうか?」
「うっ…」
コテンと首を傾けて、うるうるお目目で俺を見詰めるルークさん。
あームリムリ。そんな事言われちゃったら『はい』か『YES』か『是』しかないよ。
もーぅルークさんってば俺の弱い所分かっててやってるんだから酷いよな。
そんなイタズラ熊さんには、後でもふもふの刑だ!
「……………分かったよぅ。でも俺ホンッッッットに何も出来ないかんな。ただポケーっと空眺めてうんちの突き刺さった棒を持ってみんなを追い掛け回る事くらいしか出来ないかんな」
「執事や乳母に一番嫌われるタイプの子供を出してきたか……」
実際はうんちを武器にしてたのは勇輝なんだけどな。
小2の時、俺に意地悪してた奴がいたんだけど、勇輝の奴、肥溜めにソイツをぶん投げたんだよ。ソイツの自転車もろとも。
ソイツ号泣しちゃって、当然親と先生に言い付けたんだけど、勇輝はずっと家にいたって主張して、勇輝のお母さんがそれを証言したから勇輝のアリバイは何故か成立。
自分から肥溜めに落ちた癖に、人のせいにしたって思われたソイツ、怒られまくってたなぁ。
後で聞いてみると、勇輝のお母さんもいじめっ子に天誅を下したかったらしい…。
うーん、うんちと勇輝、恐るべし…。
「結社と言えど、公にすれば国組織民衆共にコージに注目が集まるのは確実だ。俺達はコージが独立し、それを諸外国や他組織の一部だけが理解すれば良い。という事で形としては『秘密結社』になるが、構わないな?」
秘密結社…!?
それって、フリーメ○ソンとかライブ○とかそういうアレ…!?
おっと? 何だかやる気が出てきちゃいましたぞ!?
へへへ、しかも秘密結社のボス! 胸がどきどきですなぁ!
おっしゃー! ボスにでもシャッチョサンにでもなってやるぜー!!
「……マンハット殿。今のは計算かね?」
「子供は『伝説』、『運命』、『無限』、『秘密』が大好きだからな。可愛いものだろう」
「失礼だが…マンハット殿は子供と触れ合うような性格には見えない。何故それを?」
「王都の巡回中、庶民街やスラムで子供に絡まれる事があった。その際は今の単語を使い、あしらうんだ。12歳以下は興奮して両親の元へ告げ口しに行く」
「………コージくんは、本来は17歳らしいが…」
「あぁ、だから可愛いんだ」
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