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権力系ホモ★グリス王国編
王子様とのフラグとかこれなんて乙女ゲー?
しおりを挟む「それで、俺の能力を把握しておきたいんでしたっけ」
「えぇ。もうすぐ黄昏時ですから、後日、スキルの能力、使える魔法…、その属性についても、教えて頂きたく存じます」
「分かりました。……でも、あの」
「はい」
「その敬語…、止めて貰って良いですか…?」
「……それは…」
「俺、色々あってこんな能力持ってますけど、中身はただの子供ですし…。年上に敬語使われるの、正直苦手というか…。それに俺、この中じゃぶっちぎりで身分最下位ですし…」
「…分かった。阿山殿の意思を尊重しよう」
「あー…あのワガママ続けるようでごめんなさい。その阿山殿って言うのも…。確かに俺は阿山康治郎ですけど、今はコージ・アヤマですから…。その、普通に15歳の子供として扱って頂ければ…」
そう言うと、王様が面食らったような表情をして、チラッとセキ達を見た後に、俺を見て頷いた。
「承知した。君を一国民と認め、それ相応に接すると誓う」
「…! ありがとうございます!」
俺が笑顔でお礼を言うと、王様の表情がちょっと和らいだ気がした。
多分王様も、俺みたいな子供に敬語なんて使いたくなかったんだろうな~。
俺もさ、年上から敬語使われるの、ヤなんだよな。前世も、バイト先で俺に敬語使う先輩とか社員さん、苦手だったし?
だから逆に、『奢ってやるから飯行くぞ康治郎!』とか『ホールケーキ買ってやるから泊まりに来い康治郎!』とか言ってくれたあの先輩、大好きだったなぁ。
…あれ待って? 谷川によると、俺の周りの男ってほとんど俺の尻狙ってたんだったよな?
…え……まさか、あの先輩も…?
「何はともあれ、今から話し合うにはもう遅い。明日、ブルーノとアルバートが君の能力について聞きに行くから、素直に教えてくれ。カイル・マンハットとルーク・アラウザ、セキ殿とセイ殿は私とこれからの事を」
「む…。分かりました。ロイ。それにオウ殿。コージくんを頼んだ」
「はい」
「おっけぇ~! 任せて!」
…と、明日の予定を決めたところで、このお話し合いは終了した。
もう夕方だから、ブルーノさんが部屋を案内してくれるそう。それぞれ1人1部屋だけど、俺はお願いしてセキと同じ部屋にしてもらう。安全の為にねー。
大人数で廊下をスタスタ。でもやっぱり俺だけ足音はポテポテ。そしてやっぱりルークさんが微笑んで、カイルが笑みを堪えるように振り返る。
…何この廊下? 何の建材使ってんの? 特定の人間の足音だけデフォルメキャラの足音みたいにさせる効果でもあんの? 俺、こんな可愛い足音イヤなんですけど?
「こちらです。皆様の部屋は東側の2階になります。右から順にアラウザ様、マンハット様、ビーター様、アヤマ様とセキ様、セイ様、オウ様です。ご希望があればすぐに替えますが…」
「コージ、これで大丈夫か?」
「うん」
「これで構いません」
カイルがブルーノさんにそう言って、次は食堂に案内された。
食堂に続く廊下をみんな無言でスタスタ…俺だけポテポテ歩いていると、ブルーノさんが思い出したように振り返って、俺の斜め前にいる人物に声を掛けた。
そう、やっと声を掛けてくれたんだ。
「…ところで、レオナルド様は何故ここに? この時間は古代ベレンツェ語学の授業では?」
「せっかくコージくんがいるんだ。古代ベレンツェ語学なんて学んでる場合ではないだろう?」
「学んでいる場合です。ボートン先生に叱られてしまいますよ」
「コージくんだぞ? コージくんがいるんだからそんなのどうだって良い」
「良くないです。アヤマ様方は今から、食堂を見た後に自由行動となります。アヤマ様にずっと付きまとうおつもりですか?」
「仲良くなりたいんだ。見逃せブルーノ」
「アヤマ様方が許可されれば見逃してあげても構いませんが」
「だそうだけど、どうかなコージくん!」
キラッキラした瞳を向けて俺に聞いてくる王子様。笑顔の奥に圧が見えるのは気のせいだろうか。
…で、王子様。
「俺達、会った事ありましたっけ…?」
「…いや、僕が一方的に知っているだけさ。紹介が遅れたね。僕はレオナルド・B・ガーディアン。グリス王国の第1王子だよ! よろしくねコージくん!」
握手を求められて恐る恐る王子様の手を握ると、ぱぁぁぁっと王子様の周囲に花が咲いて、すっごく嬉しそうに握り返してくれた。
あ、花が咲いたってのは勿論比喩な。
握手をした途端にルークさんやカイル達の視線が鋭くなったのはきっと気のせいじゃない。
ごめん。王子様の握手断るとか、ただの男子高校生である俺には無理だわ。
「それでレオナルド様。どこでコージを知ったのでしょうか?」
「あぁ、城下町で見掛けたんだ。ロワナの子供に絡まれていただろう?」
「ロワナの子供って…」
「君が『若年性キノコ』って言った彼だよ」
「!!」
あっ、あの若年性金髪小肥りキノコ! 俺を男娼と勘違いした失礼なお坊っちゃま! あの時かぁ~!
こんなイケメンがいたなんて気付かなかったなぁ。
いや、この世界の人って大抵美形なんだけど、王子様は群を抜いてキラキラしてるんだよ。
さすが王子様というかなんというか…。
「サイラス・リオ・ロワナが若年性キノコ……」
ブルーノさんが少し愉快そうに呟いて、ちょっと笑った。
食堂はキラキラ。なっがぁ~いテーブルも椅子もキラキラ。ピシッとした雰囲気の執事さんとメイドさんが数人、壁に沿うように立っていて、テーブルクロスは真っ白。
映画とかに出てくる王城の食堂、そのまんまだった。
「ふぉ~~…!」
「朝食は7時、夕食は18時ですが、部屋で召し上がる場合は担当の執事までお申し付けください。昼食は街で済ませる事も可能ですが、城で済ませたい場合は10時から15時の間に食堂に来て頂ければ、提供致します」
「…あぁすみません。コージくんは辛すぎるものが食べられないのですが」
「承知しました。料理人達に伝えておきましょう」
あ、そっか…。残したら失礼だし、食べられないものは言わなきゃだよな…。
ごめんなさいワガママで…。ピリ辛とかは結構好きなんだけど、激辛は無理なんだ…。
俺、言い出せなかっただろうから、言ってくれてありがとうルークさん。
「コージくんは辛いものが苦手なんだね。可愛いなぁ」
と、王子様が申しておりますが、嬉しくありません。
いいか? 俺が苦手なのは激辛だから! ピリ辛は好きだから! カレーの中辛だって食べられるんだから! 子供舌な訳じゃないんだからなッ!
なんて思いながら内心プンスカしていると、ブルーノさんが俺達の前で懐中時計を取り出して、時間を確認した。
…かっけぇ。でもまるでツアーのガイドさんだな。
「この後はお好きなように行動して頂いて構いませんが、謁見の間と王族の居住区である北側の2階より上には立ち入らないようにお願いします。浴場は北東1階、図書室は北西の3階、展望台は南の7階、訓練所は南西の1階廊下を左に曲がった外にあります。南東の地下には牢獄があり、凶悪犯罪者が収容されていますので、近付く際には充分にご注意ください」
んぇ…? ちょ、覚えられないんですけど…。
…ま、冒険してたら見付けられるよな。風呂と図書室と食堂と自分の部屋さえ分かればオッケー!
さっそく図書室に行きましょう。
この前知ったばっかりなんだけど、本って実はかなり高価なんだよな!
俺は盗賊頭のガレと、本をコツコツ集めていたリイサスさんが側にいたから読めてた。でも、普通のおうちに本はないのだ。
だから、新しい本を読むには本を買うか、こうやって本がある場所に行くしかない。
で、『図書室』って言えるくらいの本が集められたお城の図書室…。
行くしかありませんよねぇ?
「あ…それと、南の庭の奥に王立研究所というものがありますが、度々爆発が起こるので、近付かない方が得策です」
…爆発でアフロになった研究者とかいるかな?
********************
ポテポテポテ…スタスタ…
図書室目指して廊下を進む俺。それに付いてくる王子様や、ルークさん達。
なんだコイツら? 暇なのか?
「コージくん、ブルーノはあぁ言ってたけど、僕の自室にはいつでも来て良いからね! 衛兵にも話を通しておくからさ!」
「は、はぁ…。ありがとうございます…?」
「そうだ、どこか気になる場所とかあるかな? どこにでも案内するし、色々聞かせてあげられるよ!」
ニコニコキラキラ笑顔でそう言う王子様。
さっきちょっと気になった、王立研究所について聞こうとしたら、目の前に大きな人の背中が。
「レオナルド様、現在は古代ベレンツェ語学の授業の時間なのですよね? 客人にうつつを抜かしている場合ですか? 第1王子としての自覚を持った行動をお願いしたいものですが」
「……は、無粋だな聖騎士団長。貴様こそ、何故ここにいる? 貴様の仕事は教会に付き従い、暗黒属性をこの世から抹殺する事だろう」
「コージは教会にとって重要な人物です。また『死神の吐息』などに拐われぬよう、警護が必要なのは王子様でも理解出来るでしょう」
「一々頭にくる奴だな。我が国にとってもコージくんは重要な子だ。コージくんがいるうちに親睦を深めて何が悪い?」
「教会が本部を置くこの国の次期国王が色恋に溺れるようでは、お先真っ暗だと言いたいのです」
「なんだと? 警護など部下に任せれば良いものを、でしゃばってコージくんに付きまとうストーカーが」
「おや自己紹介ですか?」
カイルVS王子様による口喧嘩、勃発。
…ひぇぇぇぇぇッ!? 火花バチバチしてるよ! さっきまでニコニコ笑顔だったのに温度差激し過ぎるよ王子様!
カイルもどうしたんだよ…! そんないきなり突っ掛かったりして…。
「る、ルークさん…、王家と教会って仲悪いんですか?」
「いや、あれはただ単に2人がコージくんを取り合っているだけだろう」
「おおおお王家に文句言って、カイル大丈夫なんですか…!?」
「一国の第1王子と、世界的に有名な騎士団の団長…。身分的に格は同じぐらいだろうが、今はマンハット殿の方が上だろうな。いくつもの修羅場をくぐり抜けた経験は伊達ではないと思うが」
「ほっ…。じゃあ無視して図書室行っても大丈夫ですかね?」
「あぁ。私としても、新たな敵をコージくんに近付けたくはないしね」
「……新たな、敵」
「王子は君に惚れている」
「………親しくなって、将来的に利用しようとしている訳では…?」
「確かに、その可能性がない訳ではない。だが…、君に惚れた者の直感だろうか。分かるんだよ、ライバルの匂いが。マンハット殿も、同じ匂いを嗅ぎ当てたのだろう」
…一瞬うへぇ~って思ったけど、まぁ相手は王子様ですし。こんな得体の知れない子供と結ばれるなんて、王様や周りが許さないでしょうし。
放置していても大丈夫かな。
さぁて、行くぞ図書室!
あと1時間半で夕食だけど!!
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