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死闘続発★ホモら共存編

酔っ払いの爆弾発言により被害者多数

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「コージ、本当に俺の家、来ないのか? どんなものも揃えてやれるぞ?」

「ご、ごめんお兄ちゃん…。俺、こっちで魔法とか剣の練習もしたいんだ。ここなら適任がいっぱいいるだろ?」

「むぅ…」

ジルが名残惜しそうに俺の顔をペタペタと触って、なでなで。すっかり気を許しちゃったみたいだけど、ジルって結構強いんだろ? 王直属って言ってたし、ちょっとチョロ過ぎない? お兄ちゃんって呼ばれただけなのに、大丈夫?

「剣術なら俺だな。どこの流派にも属してねェ、実戦向きの型だから、冒険者や盗賊に向いてるぜ?」

ガレが腰の剣をぱしんっと叩き、『任せろ』とばかりに微笑んだ。
金の装飾が施された黒い剣は、ガレの雰囲気に恐ろしいほど似合っていて…、悔しいけど一瞬、見惚れてしまった。

「魔法なら俺とロイだね。基本的な法則なんかは全部教えられると思う。各属性については、その都度ベテランをギルドから紹介するよ」

リイサスさんもにっこりと微笑んで、俺の肩に手を置く。
周りを見ると、色んな冒険者さんがにっこり頷いていて、恵まれてるって実感出来る。

「……あれ? でも、俺の属性の事、あんまり知られちゃいけないんじゃ…」

色んな人に色んな属性を教わってたら、俺が全属性使えるってバレちゃうじゃん? 悪用されるかもだから、あんまり知られない方が良いんだろ?
俺の疑問にリイサスさんは笑って、周囲を見渡した。

「今さらそんな事で騒ぐような奴らじゃないよ。君の規格外さは、全員理解してるからね。それに、どうせ上京したら王にバレるんだし、周囲の理解は集めておいた方が良い」

そ、そういうもんか…。
近くにいて、聞こえていた筈のルークさんとガレが何も言わないところ、2人ともリイサスさんの意見に文句は無いのだろう。
いつか、俺が『神の愛し子』だって事すらバレそうな気がする。

「何はともあれ…、貴殿はさっさと帰りたまえ。王に報告するのだろう」

ジルに向き直ったルークさんが、半ば睨み付けるように言い放った。
無理矢理連れて来た癖にさっさと帰れとは…。中々鬼畜だなぁルークさん。ジルも『えぇ…』って顔してるし。

「…もう少しコージと」

「帰りたまえ」





********************




ルークさんの圧に、ジルが渋々と帰って数時間。
ギルドでは、盛大な宴が行われていた。

「今夜はギルマスの奢りだ! 全員、好きなだけ飲め!!」

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

冷えたエールを片手にジャックさんが叫んで、数百人の冒険者さん達が雄叫びをあげる。そして、それぞれが一気にエールやジュースをグビグビ…。

「っかぁ~っ!! 冷えたエールなんて、何年ぶりだ!? うめぇ~~~!!」

白い口ひげを付けて上機嫌にそう言ったジャックさんに、リイサスさんもルークさんもロイも嬉しそうに『うんうん』と頷く。

お察しの通り、ここは文明が中世ヨーロッパレベルの異世界なので、冷蔵庫は勿論、電機なんてものはほとんどない。
昔は胡椒を保存料に使ってたらしいから、胡椒の値段もバカ高くて、飢饉も結構あったそうだが…。地球から来た誰かが『冷やして保存する』という概念を教えたのか、今は氷結魔法師を高賃金で雇っている飲食店も普通にあるらしい。
オーディアンギルドは、保存しなきゃいけない食材によって、氷結属性の冒険者さんを動員させていたみたいだけど…、今回は魔力無限な俺が、食材や飲み物が凍らないギリギリの冷風を、ロイと談笑する間、ずっと吹き付けていた。
つまり、エールもジュースも水も、全部キンキンに冷えている。

「こんなに冷えたエールは初めてだな…。うち死神の吐息じゃ、こんなに冷えきる前に、氷結属性の奴が魔力不足でぶっ倒れてたしな」

ガレも水滴の滴るジョッキを傾けて満足そうに微笑んでるし、狐さんは人型に戻って、ミゲルさんと笑いながら飲み合っている。
酒が入れば敵味方関係無いのか、冒険者さん達とガレの部下の盗賊団員さん達も、肩を組んで乾杯。楽しそうだ。
俺? 俺は果物ジュース。勿論美味いぞ! でも、夏の夜に飲みたいな。

「コージくんは…、あれ、ジュース? 酒飲まねェの?」

近付いてきたジャックさんが、俺のコップを覗いて首を傾げた。さっき、かなりでかいジョッキをイッキしてたけど、全然平気そうだ。酒、強いのかな?

「俺がいた国、酒は原則20歳からだったんで、その意識が残ってるというか…」

この世界に、酒の年齢制限は無い。
未成熟な少年少女や、幼い子供に飲ませて身体を壊したとしても、自己責任で済ませてしまうから。そして、小さい子供に酒を飲ませるとヤバいってのは、親なら全員が知っている。だから子供の安全の為に、親は子供を酒場には連れて行かないし、酒を家に置いたりもしない。けど、10代後半くらいからは、普通に飲む人も多いそう。
地球に比べ、医学がまったく発展していないこの世界では、病気になってからでは遅い。ある程度の外傷は簡単な魔法で治せるけども、体内となると、治療に使う魔法のレベルが格段に跳ね上がり、それに伴って治療費も跳ね上がる。なので、病気なんかは薬師からの薬(薬草とかを磨り潰した苦いやつ)で治すのが一般的だ。
……が、急性アルコール中毒なんかだと、薬師が対処する事が出来ず、ほとんどの場合、死に至る。
それを分かっているので、酒を飲む人は、絶対に無理な飲酒をしない。したとしてもやけ酒くらいだ。

「酒に年齢制限!? 面倒そうだが…まぁその方が子供には安全か。でもよ、ちょっとくらい良いだろ? コージくんも一口飲んでみなって!」

自分のジョッキをぐいっと差し出して来たジャックさんは、まんま『親戚の子供に酒を飲ませたがるおじさん』だった。我が家は母さんがそういうのに厳しかったから、俺も康太郎も酒から逃れて来れた。

なので俺、酒を飲んだ事が無い。

中学生の時、同級生が『やっぱアサヒかなぁ~』とか『いやいやキリンでしょ!』とか、女子をチラチラ気にしながら言ってたけど、俺はビールの匂いで忌避していた。
……こっ、子供で悪かったな! 味が想像出来なかったんだよ! 未成年の飲酒、絶対禁止! …でも、この世界じゃ年齢制限…無いんだよな……。なら…ちょっとだけ…。

ジャックさんが差し出して来たジョッキを恐る恐る受け取り、中を覗き込む。
白い泡が浮かんだ金色の液体がたぷんと揺れて、俺はそっと口を付けた。

周りは相変わらず騒がしいけど、視線が集まってるのが分かる。
ルークさんもリイサスさんもジャックさんも、ガレもロイもセキも、じっと俺を見てる。…ワーナーさんは厨房かな。

「不味かったらすぐに吐き出して良いからな?」

「ふぁい…」

どきどき。どきどき。
こく……。

ジョッキを傾けて、エールを一口。
口に流れ込んで来た独特の匂いの液体は結構苦くて、飲み込んだらのどに炭酸が通ってパチパチした。
苦いのはあまり得意じゃないけど、炭酸は好きだから、『まずっ』て程ではないかな。口付けたし、全部飲んじゃお。
……にしても、何だか体がふわふわする。

「コージくん!? 大丈夫か!? 顔真っ赤だぞ!?」

「…んへぇ?」

うへへ、何言ってんだジャックさん! いくら日本人が酒に弱い体質だからって、たった数口で酔うわけねぇ~だろぉ。ジャパニーズナメんなぁ~。
…うーんでも、顔が熱い気もする…。

「水持ってこい!」

リイサスさんが近くの冒険者さんに何かを指示して、ルークさんやガレ達が慌てた様子で駆け寄って来た。
みんな大げさなんだよなぁ~もぉ~。

「コージ、おい、大丈夫か? これ、何本に見える?」

そう言って、ガレが自分の片手を俺の前に突き出した。

「もー、何言ってんだよガレぇ~。そんなの、6本に決まってるだろ~」

「……重症だな…」

むむっ! しつれーな!
俺は重曹なんかじゃないぞ! れっきとした生物なんだからな!

「…これ、今迫ればヤれそうな気がする」

「下品だぞジャック。…だが、まぁ…。多分イケるだろうな…」

ごくりと唾を飲み込む音が聞こえたけど、俺は無視してガレに絡む。具体的には、ガレの後ろに結んだ尻尾みたいな髪を引っ張ったりして。

「…コージくん、私と交尾を…」

「ルーク!! 抜け駆けは許さないぞ!!」

交尾? セッセのこと?
…セッセかぁ……。…………………。

「ジャックさんと、ロイなら、いーよ?」

「「「!!!!?」」」

「はっ…、はぁぁぁぁ!!? おいコージ!? なんでソイツらが良くて俺は駄目なんだよ!? セックス最多は俺だろ!?」

「私も異議を申し立てたい!! 私には、ただの人間には無い熊の耳と尻尾が付いているぞ!! 地位も金もかなりある!!! それが、何故彼らだけ…!!!」

「だって、ルークのちんこじゃ、俺のおなか、パンクしちゃうし…。ガレとセッセしたら俺…、赤ちゃん出来ちゃうもん…。それに、2人とのセッセ、気持ち良過ぎて頭おかしくなっちゃう…」

「ぐはぁっ!!」

「ごふっ!!」

ルークさんとガレが、喜んでいるのか悲しんでいるのか、分からない表情で倒れた。酔っ払ったのかな。
自分の口が軽くなっているとも分からず、俺は次々と色んな人に色んな事を言っていく。

「ジャックさんはちんこ大きかったけど、常識以内の大きさだったし、普通に気持ち良かったから、セッセもオーケーした!」

「やめてくれそれ以上聞いちまったら俺は嬉死する!!」

「ロイは若いせいか、絶倫だけど、ちょうど良いちんこの大きさだから、セッセもちょうど良い!」

「ぐっ…殉愛…」

「ろっ、ロイィーーーーッ!!!」

「リイサスさんとワーナーさんとセキに関しては、セッセしてないので分かりましぇーん! アナゴさんっアナゴさんっ、唇フライアウェ~イ♪」

元気良く、とんでも発言を連発してしまった俺。そしてお約束として当然のように、俺はこの事を翌日にはすっかり忘れている。



********************




はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
メルです。



お気に入り3300、ありがとうございます!
えぇっと、その、遅れがちでごめんなさい!

『王子様は、いつコージを知ったのか』という質問を頂きましたが…、『フラグ1級建築士、爆誕!』の最後にレオナルドと呼ばれる謎の人物が、小肥り貴族に絡まれたコージを見付けて、欲しがっていました。私の更新頻度が遅いせいで、忘れている方も多いかも知れません…。本当にすみません!




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