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死闘続発★ホモら共存編
チビト○ロはどこですか?
しおりを挟む「まずはコージの。20分で出来るから、待っててな!」
「はぁい!」
にこにこ爽やか笑顔がキラッキラ輝いてかっこ可愛いですワーナー兄貴!! 大好き!! 抱いて!!
テクテクと厨房に歩いて行ったワーナーさんを見送り、俺達はギルドメンバーが飲み食いしてクエストを受ける、大広間に向かった。向かったんだけど…。
「て、天使さ…!? 天使さん!?」
「お帰りなさい!! 天使さん!!」
「わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛でん゛じざん゛ん゛ん゛ん゛!!!」
……行く途中、熱烈な歓声を受けた。
なんか号泣する人もいたし。なんなんだ。一体なんなんだ。俺はアイドルか。どんな反応をしたら良いんだ。
学校からの帰り道に近所のお爺ちゃんお婆ちゃんに『おかえり』って言われた時くらい反応に困る。あれ、『ただいま』って言うべき? でも、敬語使わないのちょっと抵抗があるって言うか…。
「やっぱりというか…大人気だなコージ…」
「…なんで? なんでこんな人気なわけ…? 俺恐い…」
ガレは勢いのスゴいギルドメンバー達に、ちょっと引き気味だ。
マジなんでだ。だって、面識無いし。名前も知らないし。何かしてあげたわけでもないし…。
「………リイサスさんとギルマスが、家でのコージの様子をギルドで詳しく語ってたんだ。ベッドで猫みたいに『ふにゃぁぁぁ…』って伸びをしていたとか、庭で兎と戯れていたとか、可愛らしい咀嚼音だとか…」
ロイの言葉に、俺は絶句。リイサスさんとルークさんは『やべっ』て表情になって、顔を背けた。
「………どういう事ですか…」
「……だ、誰かに自慢したくて…」
何の自慢だよ!! 親に失敗談を近所で言い振り回された子供の気分だよ!! いや俺は言い振り回された事無いけど…。でも酷い! なんで勝手に話しちゃうんだよー…!
「他にも、部屋に1人きりの時に尻を振って踊ってた事とか…」
「!?」
み、見られてた…!? 違うんだ目覚めの良い朝を迎えられたからちょっとテンションが上がって腰振りダンスを…。
「庭の木陰で昼寝してた時に、周囲に小動物が集まってきて、童話の中みたいだったとか…」
あっ、あーあの時ね! 起きたら犬とか猫とか兎とか小鳥とか小熊とかいっぱいいて…、天国だった。もふもふだった。あれに狐さんを加えれば最高。
「あとは、意味の分からない可愛い寝言を言ったりとか…」
「!?」
「あ、それは俺の所にいる時もあった」
「!!?」
ロイがリイサスさん達の『自慢』とやらを思い出していて、ガレまでそれに頷いた。
それに、意味の分からない可愛い寝言とは一体…。
「俺、なんて言ってた…?」
「俺の時は、『鉱脈…! 鉱脈がぁ…!!』って」
「こ、鉱脈…? なんで…?」
「さぁ…?」
一緒に首を傾げる俺とガレ。確かに意味が分からない。そもそも、俺の人生において、鉱脈という言葉を使った事があっただろうか。
「リイサスさんとルークさんの時は…?」
「俺が聞いたのは『ムキムキ5人組男性アイドルユニットォ…!? 止めろ勇輝…! 絵面が酷い…!!』だったよ。ところでユーキって誰だい」
「生前の親友です…」
待て。ムキムキ5人組男性アイドルユニット? なんだそれは。そういうフェチの女性と一部の男にしかウケないぞ! 勇輝がなるんなら俺は応援するけどさぁ!
「私の場合は『犯人はお花を被ったアメシストだ!』と」
「一体何の夢を見ていたんだ…」
「分からないが…、純真無垢なお花に、官能的な輝きを放つアメシストは君にピッタリだ」
……ちょっとよく分かんない。
「分かるぞルーク! 普段のコージくんと、キスした後のコージくんは正反対だ! まさに花とアメシスト!」
「『犯人は』って言葉も納得だな。俺のハートを奪った犯人は、コージただ1人だしな」
「ルークさんもリイサスさんもガレも、たかが寝言に深読みし過ぎですよぉ…」
俺の小言を笑顔で受け流し、花とアメシストの件で気が合うと判断したのか、ルークさんとリイサスさんとガレが『コージ・アヤマの可愛さと色気』とやらについて仲良く話している。
……それ、他の人の前で話すなよ…。
********************
「「天使さん、お帰りなさい!!!」」
俺を見た誰かが先に伝えたのか、大広間に入ると大勢の冒険者の人達が声を揃えて迎えてくれた。
皆さん、良い笑顔だ。良い笑顔なんだけど、俺としては反応に困る。
「た、ただいま…」
なんだか照れくさくなって、小声になっちゃったけど…、聞き取ってくれたみたいで、たくさんの雄叫びが響いた。
『うぉぉぉぉぉ!!』って男達の声に、鼓膜が震えて、肌もビリビリ。サッカーでゴールが決まった時みたい。
「みんな、必死に君の行方を探してたんだよ」
「……えへへ」
なんか、愛されてるって言われてるような気がして、ついつい破顔。
それを見たルークさん、リイサスさん、ガレ、ジャックさん、ロイが『ン゛ッッッ!!』って言ったけど無視だ無視。
「ギルマス、そいつらは…?」
「…うむ、説明せねばな。皆、聞きたまえ。彼らは『死神の吐息』の団員だ。条件付きで、ここへの滞在を許可した。危害は加えないとの事なので、決して攻撃せぬように。通報はしても構わないが、残念な事に彼らはコージくんの友人らしい…」
「…!?」
ざわざわ…ざわざわざわ……
ガレとミゲルさん、それにミゲルさんに抱えられた狐さんと、その他3名の部下さん達に数百人の視線が集中した。
興味、感謝、憎悪、嫌悪などなど…。色んなお顔が5人に向けられて、ミゲルさん達など、部下さん達は気まずそうに視線をずらすが…。ガレは1歩前に出て、惚れ惚れするような笑顔を浮かべて、『よろしくなァ』って。綺麗な筈なのに背筋が凍るのは何故だろう。
「ルークさん、もふもふ…」
このこわーい空気をなんとかする為に、俺はルークさんの服の裾を引っ張って、人化を解くようにお願いした。
するとルークさん、おみみをぴくんって動かして、中央のテーブルを退けるように指示し、ごろんと仰向けに寝転がった。リイサスさんも周囲の冒険者さん達に下がるよう、指示を飛ばす。
ほとんどの人達が頭上にハテナマークを浮かべているけど、何人かは『おっ、久々に見れるな!』とか『10年ぶりくらいか?』とか言ってる。
…え、10年ぶりって……。
その冒険者さんに聞こうと思って、その人の方を向いた瞬間…、ルークさんから煙がぶわわぁって出て…。
でっっかいくまさんが現れた。
「とっ、ト○ローーーッ!!」
くま化したルークさんと、叫んだ俺に周囲がビックリしてる中、俺は全長4メートル…、いや、5メートルくらいはあるルークさんのお腹に飛び乗った。
もふゎぁぁ…
「ぜ、前面がもっふもふぅ…!! ルークさ…! この大きさ、ギネス狙えますよぉ…!!」
「『ギネス』? …よく分からないが、気に入ってくれたようで良かった! 存分に楽しんでくれたまえ!」
もふもふふわふわ…もふん
「はふ…、俺ここに永住出来る…」
「ぜ、是非とも!!」
「でもガレ達が恐いからしましぇん…」
「くッ!!」
あれ、ト○ロって3メートルだっけ? じゃあ、ルークさんの方が2メートルくらいでかいな! 最高だぜ!!
茶色のもふもふお腹に顔を埋めて、左右にグリグリグリグリ。摩擦で顔が熱々だけど、気にしないし気にならない。
もふもふは正義。もふもふこそ正義。異論のある奴はルークさん(くまバージョン)のお腹にダイブしてみろ!!
「もふゅん…。あなたルークって言うのね!」
「う、うむ…?」
メイちゃんネタは通じないか…。くまのお鼻黒い…。俺の大口くらい…。ぷにぷに…。くまのお鼻初めて触った…。かわゆい…。
「ふふ、鼻が気に入ったのかね? ふふふ…、愛しているよ、コージくん」
ぎゅう…
「! ルークさ…、もふぅ~~~! 肉球~~!!」
ルークさんが俺の腰におっきな腕を回してきて、寝転んだまま、抱き締められた。ちょっと硬めの肉球がぶにぃってなって、もうっ…!
「ルークさんこれ定期的にお願いします俺の精神的安定のために!」
「喜んで! …ん? …リイサス? 何をしているのだ?」
「いや…もふもふでつい……」
「…ジャック? ロイ?」
「すいません…なんだか寄り掛かりたくなっちまって」
「ちょっと立ち眩みが」
「……3人はともかく…、が、ガレ・プリストファー…?」
「わりぃな。コージの好きなもふもふを知る為だ」
……もふもふは世界を救う!!
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