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死闘続発★ホモら共存編

なんで俺達、古龍の相談に乗ってんの?

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「?? コージさん、俺、何も聞こえないです。何かしたんですか?」

不思議そうに俺を見上げる、狐姿の狐さん。俺はただ黙って、狐さんを撫で続けた。
だって、言えない…。序列入りが、もう2体来ちゃったなんて、絶対に言えない。多分この国の領地で、この一角が最強だ。
やだ。コージくん怖い。

【むぅ? …!! これはまた、凄いヒトが来たものだ!! ククク…、『偽装』は我らには効かぬぞ!!】

【それ、我がもう言った】

【すごーいすごーい!! えっと、コージくん! 君すごいよー!! 俺、そんな称号初めて見たよーー!!】

古龍達の会話が人間と変わらない事にビックリだ。強者は群れない、なんて概念が木っ端微塵。なんか1体には誉められてるし。強者も弱者も変わんないのかな。
暴風が止んで、再び目を開けた時には、青いセイの他に、赤色と黄色の鱗で覆われた2体の古龍が、大きな体を頑張って支えて、ちょこんと座っていた。
お前らちょこん好きだなー…。ちょこんって座る奴をこれから『ちょこん族』って呼んでやろ。


さてさてさて! 色々ありましたが、ここ最近の目標の1つ! お目当ての赤古龍さんと、ご対面です!

【ほほう…!! 俺に会いに来たのか…!! 惚れたか? この俺に惚れたのか?】

「コージは俺の嫁だからそれは無い」

【むぅっ!!? な…なんだと…!?】

「ちゃうわ!! もぉ、ガレ! 嫁じゃないだろ!」

「そうだったな。恋人だな」

「違う!」

古龍の前で堂々とのろけるなんて…ガレ、マジ流石だ。ガレの部下はみんなガクブルだってのに。狐さんなんか、携帯のバイブ機能みたいにブルブルだってのに。ロイは…、顔がちょっと青いだけ。震えてないし、いつも通りの無表情。

【『愛技吸収』…? …へぇ! 便利なスキルだねー! あ、もしかして、それがセキに会いに来た理由?】

黄古龍…、オウ、だっけ? オウが目的をピタリと当ててしまい、俺は頷いた。
……うーん、よくよく考えれば古龍相手に『愛してくれ!』ってのもおかしな話だ。
うーんうーん、『心情察知』のスキルが欲しいだけなんだけど…、どう伝えるべきか…。

【つまり俺に愛して欲しいのだな! よし分かった!! つがいとなろうぞ!!】

「殺す」

俺が断る前に、ガレとロイがばっと立ち上がった。
2人も、剣を手に掛けて魔法の詠唱を始めて…ってストップストップ!! 落ち着けお前らーー!!






間。






「愛されるって、やっぱりそういう意味じゃないとダメなんかな…」

俺は膝の上でぷるぷるの狐さんを撫でながら、ため息を吐いた。もしそうだとしたら、スキルゲットは絶望的だから。
ぐぬぅ~! せっかくここまで来たのに~!! 狐さんを怯えさせてまで古龍と会ったのにぃ~!!

【だから番になれば良いではないか…】

【それじゃ、そこのヒト達が怒っちゃうだろー。それに、コージくんの番に91位くらいじゃ不相応だと思うけどねー】

【ぬっ!? どういう意味だオウ!!】

【我もそう思うぞ。この少年ならば、序列10位以内の伴侶とてなれるだろう】

【せ、セイまで…!!】

……ふむ、赤古龍のセキは、熱血って言うか…、血の気が多いな。
青古龍のセイは常識人…、いや、常識古龍な雰囲気。
黄古龍のオウはマイペースだなぁ。口調ものびのびしてるし。
まぁ、何にしても、俺が誰の嫁に相応ふさわしいか真剣に話し合ってる古龍共なんて俺は知ったこっちゃねェ。俺の隣で『序列入りだろうがなんだろうが、コージは渡さねェ…』とか呟いてるガレも知らん。
俺は嫁じゃなくて旦那さんになりたいんだ。……そんなに、ワガママな事じゃないだろ…。

【だが、だが…!!】

【ウォル様なら可愛がってくれそーじゃない?】

【あの方は少々雰囲気が妖しいだろう。我はナビ様が良いと思うが】

【あー確かに! ナビ様なら、優しく接してくれそう! でもリーフ様も超愛してくれるでしょー】

【うむ。だが他の序列入りも…】

【俺がいるだろうっ!! 91位とて、序列入りには変わりないぞ!!】

【お前でなくとも、少年ならもっと玉の輿を狙えるだろう】

……せめて人型が良いなぁ…。なんて、悲しい望みすら、叶えられるか微妙な気がしてきた。

話が脱線しまくってるけど、番以外で愛してくれる方法は無いものか…。はぁー、なんで普通の赤古龍じゃなくて序列入りがいるんだよー! しかも3体も!!
………うん……、……そうだよ。なんでこんな所に3体も序列入りの古龍がいるんだよ? 古龍の生息地は高山の頂上付近のはずだろ?

「なぁセイ。なんで、ここで暴れまわってたんだ?」

なので聞いてみました!
するとセイは悲しそうな顔(に見えただけで実際にドラゴンの表情なんて分からんが、まぁとにかくそういう感じの雰囲気)になって、喋り出した。

【先々月頃、我らの同胞がこの国の者によって、拐われたのだ。まだ生後数年の赤ん坊がだ…。最初はその子の両親が怒り狂い、この地で暴れ出した。しかし直ぐに討伐の兵がやって来て、両親を亡き者にと攻撃する。自分の息子が拐われた上に、攻撃された両親にしてみれば、到底許せるものではなく、討伐に赴いた兵を返り討ちにした。……今、両親は巣に戻って身心共に休めているが、我らも同胞が拐われた事については少々気が立っていてな。この辺りを占拠し、抗議のつもりで居座っている】

「…………古龍の赤ちゃんが、拐われた…?」

そんな事が出来る人間がいた事に驚いた。
虎穴に入らずんば虎子を得ず、とは言うけど、古龍の巣に入っちゃうとは。どんだけ命知らずなんだ。やった事は最低だけど、一周回って尊敬しちゃうな。

「取り返したいのなら、手当たり次第に街を攻撃していけば見付かるだろ。そうでなくとも、街で暴れた方が王国も真剣に原因を探るはずだ。何故こんな中途半端な所で?」

【俺らも人間と争う事は望んで無いんだよね。一方的な殺戮はこっちも気が引けるし、やり過ぎると管理者達が来ちゃうからねー】

ガレの問いに、オウがのんびりと答えたが…、その内容は殺伐としたもの。いち人間の身としては、オウみたいにあくびする余裕も無い。……てか、古龍ってあくびするんだ…。ちょっと可愛い気もする。

「……この国の王は稀に見る賢王として、多くの者から支持されている。古龍の子供を盗むなんて、王が許すはずがない」

ロイが呟く。
……王政なのは知ってたけど、賢王ってのは初めて知ったな。言われて見れば、異世界ファンタジーあるあるの喧嘩や怒鳴り合いは王都にはなかった。庶民街も、騒がしくはあったけど、基本的に平穏。ゴミや異臭もなく、快適にお祭りを楽しめた。
王様が何か条例を敷いたりしてたのかな。もしそうなら、確かに賢王だ。

【ほぅ、そうなんだな。俺らにとって、人間の寿命なんてあっという間だから、今誰が国王かなんて知らないんだよな】

【だが賢王となると、話は別だ。国が動いた訳ではなく、もっと小さな組織が行った事なのか】

【盗賊とかか?】

セキの言葉で、俺とロイの視線がガレに向く。それを見た古龍達もガレの職業に気付いたようで、じっと見詰めた。

「……何だよ。そんなバカな事する奴は『死神の吐息』には入れねェぞ」

…まぁ、そうだよな。ガレは鑑定出来るし、怪しい奴は入団させないよな。

「そもそも盗賊の仕業じゃねェよ。古龍の生態もよく分かってねェのに、買いたがる奴なんかほぼほぼ皆無だ。熱狂的な古龍マニアや古龍を研究する奴ら以外なら、関わりたくないと思うのが普通。それに、この国に拠点を置く盗賊に、子供だったとは言え生きた古龍を巣から連れ去るなんて芸当が出来る奴はいない。いたとしても俺くらいだ」

【……確かに、そうだ】

うんうん、そうだな。セイ達も納得したみたいだ。
盗賊頭の語る盗賊には説得力がある。ハイリスクハイリターンな事をする盗賊はいても、ハイリスクノーリターンな事をする奴がいるとは俺も思えないし。

【では、一体誰が何の目的で拐ったんだ】

セイが考えるようにうつむくが、しばらくしてから疲れたようにどーんと地に寝そべった。15メートルくらいの巨体が勢い良く倒れて、すっごい音がしたけど…、普通なご様子。身体が丈夫なんだな。
うんうん唸るセイ達と一緒に俺も考えてみるが、まったく分からん。この国の人間って条件を絞られてるから、それに当てはまるような仮説を立てては、矛盾が生じて崩れていく。


「………もしかしたら、他の国の仕業かもな」

脳を働かせるのに疲れてきた頃、半ば投げやりに言った俺の言葉に、ガレとロイが反応した。

「…あぁそうか…。…おい、青古龍。何でお前らは犯人がこの国の奴だって思ったんだ?」

【む? それは…、この国の騎士や兵士が着る鎧を身に纏っていたと、拐われた子の側にいた別の子供が証言したんだ】

「それだけか?」

【ああ、それだけだが…。……!! まさか!!】

【?? なに? どーいう事?】

ガバッと言うか、ゴオッて感じでセイが起き上がったが、セキとオウは頭にハテナを浮かべている。
ロイや、ミゲルさん達も分かったようだ。
………俺も、何となく理解出来てしまった。


「どこか別の国が、この国に濡れ衣を着せたんだ」


俺の冗談が、やけに冷たく、現実味を帯びてきた。





********************



はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
メルです。


前に出した話をちょこちょこ修正してます。
誤字脱字は勿論、見付けた矛盾や、ギルドや盗賊団の総員の数などです。
物語進行に支障が出るような修正はしていません。


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