異世界転移したんだけど周りが全員過保護なホモだった件

メル

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死闘続発★ホモら共存編

合流、のち、言い合い

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カイルに付けられたキスマークをガレに見られ、壁上で、しかも『死神の吐息』の団員数人の前で犯されそうになったけど、何とか未遂で済んだ。滅茶苦茶ディープキスされたけど。
酷い。あんまりだ。いきなり付けられたんだから、キスマークは不可抗力だ。

「こ、これで満足か…」

うぅ…口の中ぐちゃぐちゃ…。ガレの唾液ぬるい…。唇、絶対腫れてるよ…。酷い…。

「あ? こんなで満足出来るかよ。1日半分、しっかりとコージ成分補充させろ」

「それって、キスだけで補充出来る?」

「1日5時間を3週間、そのくらいキスして貰わなきゃ、無理だな」

「1日半会わなかっただけでそんなにか…!」

「セックスなら2回で補充出来る」

「それが目的かこんにゃろう!!」

掘られる…。確定的に掘られる…。
…んー…、…まぁ、減るもんじゃないし、
俺がため息を吐いていると、ガレがしゃがみ込んで、俺に背を向けた。
不思議に思いながら眺めていると、ガレも不思議そうな顔をして、俺をチラリ。

「…乗らないのか?」

あ、おんぶね! 勿論乗りますよぉ! よっこいしょっと。

「相変わらず軽いな。おらてめぇら、行くぞ」

「……えと、お頭…。帰るんなら、反対方向ですけど…」

団員の1人がガレに向かって恐る恐る発言。…あれ? ミゲルさん達と合流、するんだよな?

「あの冒険者のガキ1人だけなら置いて行くつもりだったが、ミゲルがいるなら話は別だ」

あ…青年は置いて行く予定だったのね…。
それと、『帰る』って…どこに帰るつもりなんだろう。
オーディアンギルド? いや、そんな訳ねーか…。じゃ、やっぱ『死神の吐息』の拠点?
……あれれ、もしかして、このままだと、また軟禁生活??

「あ、あの、ガレ…」


「今更気付いても、逃がさねェよ?」


……………計算済み、でしたか…。








「よぉ聖騎士さん。自ら首を差し出しに来たのか」

第1の壁の外。人目につかない場所で、俺らはミゲルさん、青年と合流した。

「……お頭、お願いがあります」

「ほぉーー、何だ。出頭しろってか」

「…俺を、『死神の吐息』に入れてください!」

「ああ良いぜ」

「そう言われると思っていました…。お願いします! 入る為なら指でも何でも差し出し……え?」

「良いぜ」

ミゲルさんの反応を楽しむように、ガレが繰り返した。
ポカーンなミゲルさん。驚きつつも少し嬉しそうな狐さん。クックックッと笑うガレ。の背中におぶさって様子見の俺。『しょうがねぇな』みたいな顔で苦笑中の他の団員さん達。聖騎士の裏切りを目の前で見たにも関わらず、無表情の青年。

「えっ…、そんなすぐに…良いんですか…?」

「なんだ。渋った方が良かったか?」

「いえ…、そういう訳では…」

「お前を簡単に引き入れた理由は3つある。1つ、単純にお前の腕を買っているから。2つ、お前がコージの救出を手伝ったから。3つ、お前を受け入れないとコージが悲しむから」

「コージさんがいてくれて良かったです…」

…うん……、俺も、俺がいて良かったと思うよ…。

「……さて、残るはお前だが…」

ガレが無表情の青年に向き直った。
うーん相変わらずの無表情。顔凍ってるのかこの青年。……そう言えば…さっきから青年って呼んでるけど、名前、知っといた方が良いよな。

「えーと…、お名前は…」

「ロイです。ロイ・ビーター」

「俺はコージ・アヤマです。ロイさん」

「気軽にロイと呼んでください。敬語も不要です」

「えー…。あ、じゃあロイさんも敬語止めてください。年上なんですから」

「…でも」

「お願いします」

「…………うん、分かった。でも、ギルマスに怒られちゃうかも」

「俺が庇うよ」

「ありがとう」

「おい無視すんな」

ガレが不機嫌そうに身体を揺する。それに連動して、おんぶされてる俺の身体もぐらぐら。落ちないようにぎゅっとしがみ付くと、満足したように、にぃっと笑った。
くそう。これって、おんぶ=一蓮托生じゃねーか…。ガレが手ぇ離したら落ちちゃうじゃねーか…。

「お前としてはコージを連れ戻しに来たんだろうが、俺はコージを俺の家に持ち帰るつもりだ。素直に諦めた方が怪我せずに済むぞ?」

「……それは俺の台詞です。自分より若いからって、侮ると怪我しますよ」

ありゃ…。攻撃をほのめかすガレを注意しようとしたが、思いの外ロイも好戦的……。まいったなぁ。意欲はあっても実力が伴わなきゃガレの相手は出来ないし、そもそも戦ってほしくないし。
ので、実力を見て説得する為に、ロイを鑑定!!
……え? いきなり過ぎる? 良いんだよ、今は急がなきゃ、マジで一触即発なんだから!



《種族:人間

名前:ロイ・ビーター

レベル:69

年齢:18

性別:オス

属性:氷結属性

属性詳細:氷を操る・造り出す。

職業:A級冒険者

スキル:氷結魔法 遠見 解体補正

称号:氷の仮面

好きなタイプ:素直で表情豊かな年下。

笑った所は誰1人見た事がない、徹底的な鉄仮面。オーディアンギルドでは、笑顔に多くの賭けが行われてきた。人並みの感情はある。表情筋は正常。幼い頃は病弱で、魔法はとにかく、運動は出来なかった。その影響か、魔法に特化した冒険者になる。実力は十二分。ソロが基本で、緊急クエスト以外でパーティは組まない。》



…………あれ? 意外とお強い…。

「ガレ、止めろよ、ロイ結構強いぞ」

「俺の方が強い」

そうだけどそう言う問題じゃないんだよバカ! 怪我してほしくないんだよアホ! 俺の為に争わないで!
と、俺が内心ふざけながらも止めようとあたふたしている間に、ロイの手からヒョォォォと冷気が…。
おーっとマズイ。戦闘態勢に入った。

「…コージに当たるとは考えねェのか?」

「コントロールには自信があります」

当たらなくてもこえーよ!! しかもここで戦う気かよ! 絶対衛兵さん達にバレるよ!!
えっと、えっと、ロイは俺をギルドに連れて帰りたくて、ガレは拠点に連れて帰りたい…。…つまり……ロイは俺をルークさん達に届けたくて、ガレは俺と一緒にいたい……? ……!! そうだ!!

「ガレ! 俺、ギルドに帰りたい!」

「ダメだ。俺から離れるなんて許さねェ」

「じゃあガレが来たら良いだろ!」

「………!」

『え?』と『ハッ!』が混ざったような顔で、ガレが俺の顔を凝視。ロイもちょっとだけ仰天顔。
うへへ、我ながら良い案だと思わねぇ?
ルークさん達を説得すんの、面倒そうだけど…、まぁ、ガレに軟禁されるよりは良いだろ! しかも、ガレがいればルークさん達に軟禁される事もなくなる! ガレが阻止してくれるだろうから!
うっわ、やっぱり超名案! 俺、天才かも…!? 
…なに? 思い上がるなって? へーへー、すみません、どうせ凡人ですよー俺は。……なんか、前にもこんな事言った気がする。

「…………」

「どのみちこのまま拠点に連れていかれても、俺はずっと脱出の機会を窺ってるぞ。……でも、もしガレがギルドに来てくれるんなら、ガレがいなくならない限り、一緒にいられる! ………俺も、出来ればガレと一緒にいたいんだけど…」


この『一緒にいたい』に、ガレは陥落した。



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