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ツンデレガチ勢★聖騎士団編
番外編 聖なる日の奇跡②
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クリスマス終わったけどクリスマスプレゼント第2弾です。
********************
●柿沼先生
…! あのだっさい白衣にジャージの組み合わせは……!!
「柿沼センセー!!」
「!? 康治郎くんですか!?」
久しぶりの柿沼先生、何にも変わってなかった。真っ黒のボサボサ髪に、黒渕眼鏡。確か今年で三十路って言ってたけど、どう見ても20代。眼鏡を外して髪をかき上げたらそこそこイケメンで、フツメンの俺からしてみれば、なんでそんなダサい格好してんのか不思議なところだ。
中2、3の時の担任で、誰かが『変な性癖持ってそう』って言ってたっけ…。その通りです。獣姦を愛する人々の集い『もふかん同盟』の盟友です。
「わ、私は……君を想うあまり、夢にまで…!!」
「夢だけど本物っすよ! 家にゴールデンレトリバーを飼っていた阿山康治郎ですっ!」
「♂? ♀?」
「♂♂♂♂!」
「♂♂♂♂!! そのノリはどう見ても康治郎くんですね!」
こんなに簡単に信じてもらえるっていうんだから、趣味の繋がりってスゴいよな…。
「柿沼先生…、今まで、ありがとうございました!」
「おや…? もしかして、別れの挨拶ですか…?」
「………はい」
「………………そうでしたか…」
しゅん、と肩を落とす柿沼先生。
分かるぞ。同じ性癖を持つ者同士として、語り合える相手がいなくなるのは寂しいもんだ…。
「……君が成人したら、同性間での性交を試そうと思っていたのですが……、…非常に残念です」
………ん?
「どうせいかんでの…せいこう? あれ、先生ってホモだったんですか…?」
「…いえ、君と、致したかったんです。同性愛者という訳ではありません。…嗚呼……犬や豚になって君を犯したい人生だった…」
「…………遠慮したいとこっすけど、ちょっと興味あります」
「君ならそう言うと思っていました」
名残惜しそうにふふ、と笑う柿沼先生。
色々と話したい事があるが、まず優先すべきは異世界に獣人がいる、という事だ。
「…柿沼先生。俺、異世界で変人に囲まれて楽しく暮らせてるんですけどね……、その異世界、獣人がいるんですよ」
「詳しく教えて頂けますか!」
ふふん! 柿沼先生ならそう言うと思ってました! 流石我が盟友!! 獣人は『もふかん同盟』の永遠の夢だからな!
「俺が会ったのはクマの獣人さんだけなんですけど、ウサギの獣人さんやバッファローの獣人さんも見ました!!」
「おおぉぉおおおぉおぉぉぉ!! ど、どんな様子でした!?」
「動物の特徴がハッキリ出てました! 今はちょっと別のところに旅行みたいな感じでいるんですけど、クマの獣人さんとは一緒に住んでるんです。大男で、茶色の熊耳がぴょこって出てて、牙と尻尾もありました! 尻尾握ったらふるふる悶えるんですー!」
「獣化は出来るんですか!?」
「出来ます!! 1度俺がプチ家出をした時、クマになって追っ掛けられたんですよ~」
「ぉぉおおぉぉぉおぉおおおっ!! どっ、どうすればそっちの世界に行けますか!?」
「あんたもか」
樹先輩、華原先輩、柿沼先生まで…。俺にはチートがあるから良いものの、この地球と比べれば命の価値が低い世界なんだぞ! 危険なんだぞ!
「行けるとしても数十年後。柿沼先生がお亡くなりになった時に、強く願えば可能性はなきにしもあらず…」
「くっ…! やはり今すぐという訳にはいきませんか……」
「しかも男が8割っすよ。獣人猫耳娘を襲うのは難しいです。人としてもアウトだし」
「……えっ………あ…」
俺の苦労を察したのか、柿沼先生は、黙って俺の肩にぽんっと手を置いた。
……うん…。同情だけでも、ありがたいです…。
「♂が8割…。……だがしかし! そんな事で諦めるようでは『もふかん同盟』の名が廃ります!! 私は必ずその異世界に行き、異世界特有の薬か何かでウサギ耳が生えてしまった康治郎くんを見つけ出してみせましょう!!」
「あれっ、なんか設定が出来上がってる!?」
「………だから……、どうか、お元気で。私が行くまで、死なないで頂きたい」
「……俺だって、死にたくないんで、頑張って生きます。柿沼先生も、生徒に手を出して逮捕、なんて事になったら俺、指差して笑いますからね」
「私が欲情する生徒は、君だけですよ」
「素直に喜べねぇ~…。…じゃ、一足先にもふもふあんあん楽しんできます!」
「ええ。待っててくださいね」
●杉山
……獣化して教え子を犯したいなんて、柿沼先生変態過ぎるだろ。
中2の時も、勉強教えるくらいしか教師らしい事してなくて、むしろ趣味の合う家庭教師みたいに思ってたけど、一応恩師でもある。
もしも柿沼先生が異世界に来た時は、盛大にもてなそう。会えたら、の話だけど。
さて、お次は……、はい来ましたプチいじめっ子の杉山くん!!
陽キャの発言力を使って俺に数々のプチいじめを仕掛けていた張本人!!
着替え中にいきなり押さえ付けてきて『お前筋肉無さすぎwwww女かよwww』って勇輝が止めるまでベタベタ触りまくってそれを女子生徒の前でぎゃははと笑いながら語ってくれたクソ野郎の登場です!! 最後なので文句言ってやろうと会う事にしました!!
「……阿山!?」
着崩した制服を纏ったうっすい茶髪の杉山くんご登場! どうだ! いじめてた奴が死んで出てきた気分は!!
「…あやま……」
ほほう!! 震えてるなくっくっく! 最後なんだから、盛大におどかしてやろう!
「スゥギィヤァマァァァァ………」
「あやまぁぁぁ………!」
ボロボロと涙を溢して、地に膝を付ける杉山。
…えっ、そんな泣くほど怖かった!? どっ、どうしよう…。チャラ男の泣き顔めっずらし……じゃなくて!
「おれ、おれっ、ずっと…阿山に、言いたいこと、あってぇ…!」
本人確認…しなくて良いの?
いやまぁ…俺も言いたい事あるし、それが言えれば別に良いんだけど…。
「あやまっ、おれ、ごめ、ごめんなさぃぃ…」
謝った!! あっぱらぱーでチャラ男の杉山が謝った!!! そ、そんなに俺の睨み怖かった…?
「おれ、ずっど、阿山のごどぉっ、ずぎだっだ!」
うんうん、分かったから落ち着いてまず涙拭け……、ううん? 俺、この歳で難聴かな?
「わ、わんもあぷりーず」
「ずぎだっだぁぁぁぁぁぁ!!」
「…………えっと……、ホモ、だったの?」
「びぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」
間。
「つまり、俺に構ってほしくていじめてたのかよ!?」
「いじめじゃないし。いじわるだし…」
「された側からしてみりゃ同じじゃボケ!!」
(時間がかかりそうだったので抱き締めるという荒治療で)杉山を1度落ち着かせて事情を聞いたところ、杉山は好きな子に意地悪しちゃうタイプのホモだったようだ。ただ、本人は『ホモじゃなくてお前が好きなんだばかぁぁぁぁぁぁ』と否定したけど。
「な、なんだよそれぇ…。気合い張っておどかそうとしてた俺が馬鹿みたいじゃねーか…!」
「こ、くはく、しとけば良かったって、何回も後悔したんだ…」
以前は憎かったこの顔も、俺に抱き付いてぐすぐす言ってる姿を見れば、もう憎いなんて思えなかった。
「ハァ…。お前俺のどこに惚れたんだよ…。自分で言うのも悲しいけど、俺平々凡々だろ。普通の奴だろ…」
そう、これは異世界で俺に求婚してるホモ共や、何故か俺を犯す計画を立てていた樹先輩、柿沼先生にも言える。
俺、普通。性癖はマニアックだけど、普通。
「お前、すっげー優しいだろ…」
優しい? ……まぁ、よく言われるけど…。優しい人なら俺以外にもいるだろ。
「多分、阿山は俺だって分かってないと思うけど…、俺1年とき、……その……も、漏らしちまって……、たまたま居合わせた阿山が、一緒に水被って…、一緒に怒られてくれただろ…」
「……えっ、あれ杉山だったっけ!!?」
確かに、記憶にある。
清掃場所が同じ中庭だった別クラスの男子生徒が隅っこの方で小便漏らしてて、今にも泣きそうな顔で座り込んじまってたからバケツひっくり返してホースで水巻いて『水遊びする男子高校生』って感じで証拠隠滅したんだ。
………けど、それがまさか杉山だったなんて。もうちょっと髪色暗かった気がするんだけど。
「お礼、言いそびれたから…タイミング見計らって言おうって阿山の事ずっと見てたんだよ…。そしたら……す、好きになっちまって…」
「あー……なるほどな、うん。事情は分かったし、一応納得もした…。…けど、俺もう地球にいないしなぁ…」
「!!? ゆ、幽霊って地球にいないのかよ!?」
「ばーかばーか。俺は別の世界に行ってチート能力で無双する(予定な)んだよーだ!」
「…………じゃあ、もうこうやって会えない…?」
「残念ながら。というか、今日はお別れに来たんだよ。挨拶無しでバイバイは寂しいし、偉い神様がクリスマスプレゼントくれるって言うからさ」
「…? ……?? …よく、分からないけど…、そっちの世界に行く方法ってないのか?」
「…………………………………数十年後、死んだ時に強く願えば来れるんじゃないか?」
「数十年後……それまで、会えないのか…」
大丈夫かな。こっちに来たがる人多いから気軽に誘ってるけど、こんなにぽんぽん誘ったらゼロアの仕事増えないかな。というか、そもそもこっちの世界に皆を来させてくれるのかな。
「…まぁ、無事に再会出来た時は今度は友達からよろしくな」
「……うん。…その、阿山。……出来れば、それまで恋人は作らないでほしい……」
「そりゃ分からん。中々女性とは巡り会えないが、巨乳エルフに迫られれば俺はプライド全部捨て去ってルパンの如くジャンピング巨乳ダイブかますだろうし」
「ぐっ…! な、なるべく早く行くから!!」
「おう。……じゃ、もう好きな子出来てもいじめんなよー」
●谷川
ふーむ…異世界転移する前も周りはホモだったな…。
でも、杉山に関してはもう許そう。てか、あんなに泣かれながら謝られたら許す他無いし。
あ、谷川来たら話そうかな…と、思っていたら来ました。お腐れ女子の谷川さん。
1年生後半ぐらいにいきなり俺に近付いてきて、開口一番は『私、腐女子ですから!』。
人の趣味を否定するつもりはないけど、そっから付きまとわれてちょっと恐かったんだ。しばらくしたら普通に仲良くなったんだけどね。
「よっ、谷川!」
「よっ、阿山!」
「軽っ! もっとなんか無いのかよ…」
「えぇ…いや別に……。あ、なんか縮んだ?」
「……俺今15歳なんだよ。んで、異世界でホモらに求婚されてんの」
「kwsk!!!」
流石趣味に生きる女。幽霊とか本物とかそんな事はどうでも良いらしい。
俺も谷川のそういうドライさは知ってるので、余計な話はせず、異世界での生活をちょろっと教えてやった。
「……という事で、俺は現在聖騎士団団長の部屋でくつろいでいます」
「~~~………っっっ!!!!! なにそれぇ…!!! めっちゃくちゃ萌えるんですけどぉ……!! つまり阿山はクマの獣人イケメンに処女を奪われてワイルドなおっさんイケメンにトイレで犯されて危険な色気爆発イケメンと5日も軟禁セックスして昨日銀色長髪ツンデレイケメンとほぼ合意セックスしたの!!? で、合計6人のイケメンに求婚されてるって!!? くっそ萌えるんですけどぉぉぉぉっ!!!」
ごろんごろんと白い床で転がりまくる谷川。見た目が普通の女の子だから、その光景は端から見れば異常だ。でも、俺達のクラスではこれが日常だった。
「最後だしなー。こんな事話せるの谷川くらいだし、せったくだから教えてやろうと思って」
「阿山さまぁぁぁぁぁ!! 私はそのお話だけで生きていけますぅぅぅぅ!!! このご恩は決して忘れませんっ!! 今描いてる夏コミ新刊、完成したら墓石にお供えしますねっ!!」
「やめろ…。切実にやめろ。BL本供えてあるとか同じ墓の先祖に申し訳ねェ。つかなんで俺に関係の無い本を供えるんだよ」
まったく意味が分からん。俺をネタにした訳じゃあるまいし…。………いや待て。コイツ…もしかして…。
「…あ~……、え~っとですね……。……そのぉ…、新刊……片想いの幼馴染みを亡くした男子高校生が…後を追うまでのお話でして……」
「俺だよな。どう考えても俺と勇輝だよな。何物騒なホモネタに使ってんだよ!!」
「だっ、だってさ!!? そりゃ悲しかったけどさ!!? ただでさえ阿山に執着してた吉川が髪真っ白で不気味に笑いながら阿山のタオルに顔を埋めてんの見たらさ!!? そりゃヤンデレ死ネタ描いちゃうよ!!!」
「開き直んな!! それと勇輝マジキモいな!!」
「本当、マジキモい!! 阿山の事狙ってた先輩がタオル寄越せって無理矢理奪おうとした時なんかもう地獄絵図だったよ!! ちなみにその先輩まだ退院出来てないよ!! 全治4ヶ月だって!!」
よく勇輝退学にならなかったな、と思ったが、俺のものと引き剥がしてそんだけ暴れるって事は、俺の机から引き離すともっと…って考えたのかも知れない。それか、自殺されて、その原因が学校からの退学、なんてマスコミに報道される事を恐れたか。
まぁどっちにしろどうでも良いんだ。
真の問題は………。
「……狙ってたってなに!?」
一体何なんだ。金か。命か。それとも尻を狙われていたのか。
「う~…ん。この際だから話すけど、阿山、あんた変な人にばっかりにモテてたんだよ? 勿論、恋情って意味でね」
「変な人限定!?」
「そ。まず筆頭してあんたに執着してた吉川でしょ? 天才の瀬戸に、変態の田中、全国模試100位以内常連の菊池先輩。あ、ボコボコにされたのは軽音部部長の大賀先輩ね。ツンデレ杉山もだしぃ、天文部で不思議くんの門司先輩…と、大手おもちゃ会社子息、1年の東くん。同じく1年の山田くんは弓道で全国大会行ってるし。あ、3年不良の田口先輩も。先生達も何人か……」
「………それってさ……全員…」
「イエースッ!! 男でーす!!」
「………まったく知らん奴もいるんだけど…」
「阿山が色んなところで優しさ振りまいてるからでしょ。あんたの笑顔は男を惑わせるんだから」
『何当たり前の事言ってんの?』みたいな顔で俺に言う谷川。
いやいや、お前も何言ってんの? ひどい…。俺がホモに尻を狙われてるって知ってて……あ? まさか…。
「お前……俺がホモに囲まれてるって知ってて近付いたのか……? というかそれが目的だった…?」
「っ! ……………えへっ★」
認めやがった…。コイツ、俺に近付いたのは俺がホモに狙われてるからだって認めやがった…!!
「だから最初に言ったじゃーん! 『私、腐女子ですから』って! あれで吉川とか瀬戸の警戒心落として、生BL間近で見ようと思って…。なのにあんた死ぬしさ!? もういい加減にしてほしいよ…」
「こっちの台詞なんですけど!?」
あんまりだ! 谷川がいたから女の子の友達がいるっていう(陰キャ内の)ステータス保ってられたのに!! 普通に友達として好きだったのに!! あんまりだ!!
「じゃっ、じゃあ元気でね!? 阿山の事はいつまでも良い友達だと思ってるから!!」
「おい副音声聞こえたぞ! ばっちりネタって聞こえたぞ!!」
「ばいばーい!!」
「待てや谷川ァァァァァァ!!」
●瀬戸
あいつ……マジか。そのまま消えやがった。雰囲気もクソもねぇ。…………でも…ま、それが谷川だしな。怒っても憤っても仕方ないか。
さて、残りは…勇輝と、瀬戸。
谷川によると、どっちも俺の尻を狙ってたらしい。勇輝によっては俺の後を追おうとするほど執着しているとか…。
………なんかもう疲れた。先に瀬戸来て。瀬戸ならいつも冷静で余裕で話が通じるから。
「…あぁ、やっぱじろちゃんだ」
わっ! この独特な呼び方は瀬戸だ!!
そう思って振り向くと、いつもの長身の落ち着いた感じの瀬戸がいた。
「瀬戸ぉ…!」
「あれ、何だか疲れてんね。もしかして他の奴にも会ったんだ?」
名前を呼んだだけで全てを察してくれる瀬戸流石です!
「さっき谷川とか杉山に会って…色んな奴が俺の尻を狙ってたって聞かされて……。……その、瀬戸も…」
「黙っててごめんね。じろちゃんなら拒絶しないって分かってはいたんだけど…誰かの告白を皮切りに、他のハエ共もじろちゃんに迫って来そうでさ」
変わんないなぁ。口調は丁寧なのに、たまにちょっと口悪くなるところとか。
「お心遣いに感謝しますっ…!! ……というか、全然驚いてないね。谷川以外は何かしらの反応あったのに」
「優しくて律儀なじろちゃんなら、死んでも何らかの手段で挨拶しに来ると思ってたからね。…でも、本当に来るなんて、やっぱりじろちゃんはじろちゃんだ」
「そんな予想してるなんて、瀬戸も瀬戸だな。………俺な、今、神様の取り計らいで異世界で暮らしてんだよ」
「………へぇ。無神論者だったけど、いたんだ。神様って」
「この挨拶も、神様からクリスマスプレゼントとして貰ったんだ」
「ふぅん。じゃあ、一応感謝しとかなきゃね」
瀬戸って、すごいんだぜ。まだ17歳の筈なのに、なんか色々大人っぽいんだ。
何でもそつなくこなしちゃうし、子供を諭すような口調はいつ聞いても安心する。
悩み事だって、瀬戸に相談すれば大体解決するって学校で噂になって、一時期は瀬戸に人が押し寄せたんだよ。
でも、瀬戸って面識無い人には割と冷たいから、結局生徒会が瀬戸を期間限定で引き入れて、相談ボックスを設置。そのおかげで、不登校の生徒が来るようになったっていう伝説も作ったんだ!
「じろちゃんが楽しいならそれで良いよ。欲を言えば俺もそっちに行きたいな。…じろちゃんとおんなじ、死んだら行けるかな?」
「…………強く願えば転生出来ると思う。……けど、自殺なんてするなよ」
「当然。今すぐにでも行きたいけど、じろちゃんが命の無駄遣い嫌いなの、知ってるしね。自然に逝くのを待つよ。…というより、そういう言葉は俺よりも勇輝に言ってあげた方が良いと思うよ」
「………この次に、勇輝に会うんだ。…説得しなきゃいけないんだけど……、俺に出来るかなぁ……」
ぽんっと、俯く俺の肩に瀬戸が手を置いた。
「説得出来るとしたら、それはじろちゃんだけ。でも、別に気負わなくて良いんだよ。最終手段で、施設に移すって手もあるんだから」
「………でもね、気を付けてじろちゃん。勇輝のじろちゃんに対する執着は、並大抵のものじゃない。多分だけど、勇輝はじろちゃんの私物と、じろちゃんの幻覚か何かを見てなんとか心を守ってる。じろちゃんだし大丈夫だろうけど、あんまり酷く拒絶したら、廃人みたいになっちゃうかも」
…幻覚…廃人……。そこまで、酷いんだ。そんなに悲しんでくれてるんだ。
「逆に、じろちゃんが襲われちゃうかも知れない。じろちゃん弱々しいんだから、出来る事なら神様に守って貰ってね」
「……うん。分かった。ありがとう瀬戸。…だが弱々しいは余計だ!」
あはは、と瀬戸が楽しそうに笑った。
吊られて俺も、笑ってしまう。
「…じろちゃん、俺ね、人を好きになるのは多分じろちゃんが最初で最後だと思う。だからね、待っててほしいんだ。俺、いっぱい勉強して、じろちゃんの好きな動物とか、深海とか、宇宙とか、色々研究して、じろちゃんがびっくりするような事実を教えてあげるからね」
「せ、瀬戸ぉ…! 我が友よぉ…!! …だが動物学と海洋学と天文学じゃ全然分野が違うぞ…!!」
「イケるイケる。じろちゃんの好きな猫とか犬とか兎だって、宇宙の星に住む生命体なんだから」
「…!! たっ、確かに…!! でも海洋学は?」
「なんとかなるよ。だって、俺だもん」
この、『俺だもん』。これを言った時の瀬戸は、本当になんでもやってのけてしまう。
テスト1週間前に俺達のクラスだけに特別授業を開いて、自ら範囲を予測して課題を作り、クラスメイト達に配ったのだ。
結果、まさかの全員が平均以上の点数を取って、見事学校1の偏差値を叩き出した。
そして、『お前らが今度のテストで全員平均以上だったら、夏の課題半分に減らしてやるよw』と言った教師は有言実行せざるを得なくなったのだ。
つまりはそう、瀬戸は我らが菩薩様なのである。
そして瀬戸は後に、『およそ40光年離れた星にある海の、深度5万メートルに体毛のある哺乳類が生息しているのを発見する』という動物学、海洋学、天文学を満たした前代未聞の偉業を成し遂げるんだけど……この時の俺は、まだ知らない。
●勇輝
……とうとう、この時がきた。
瀬戸は気負わなくて良いって言ってくれたけど…勇輝に、会うのだ。
慣れ親しんだ親友で、幼馴染み。
けど今は分からない。勇輝が、俺の事を性的な目で見てるって知っちゃったから。
『康治郎』
!! …なんだ、ゼロアか~。おどかすなよ~。勇輝かと思ったじゃん。
『最後に合う人間だが、少し特殊な事になっておる故に、康治郎が気の済むまでゆっくりと話せ』
特殊…うーん、まぁ特殊っちゃ特殊か。
あ、でも時間無制限は嬉しいな。
『それと…死後、強く望んだ者を康治郎のいる世界に転生させるのは構わんが、後悔せぬか?』
へ? 後悔??
『樹、柿沼、杉山、瀬戸、勇輝…、康治郎がそう呼んでいた者共は、皆お前を犯そうと企み、常日頃から隙を狙われるはめになるかも知れんぞ』
あー…でもそれは覚悟の上だぜ。尻を狙われてても、一緒にいたい奴らだし。
『……そうか…。うむ、よかろう。私も立ち会うぞ。置物のトロフィーとしてだが』
「ぶふっwww」
…俺は悪くない。
神様が置物になるって言ったら誰だって笑うし。
俺は悪くない…。
『…………………。………! 来たぞ』
ゼロアはそう俺に告げた後、ふよふよ浮くのを止めて、ただの置物になった。
白くて何も無い空間だから違和感ありまくりだけど。
それより、今は勇輝だ。俺が説得しなければいけない。
前方から、ふらふらと歩いてくる人影を発見。
そして、俺はその姿に絶句した。
髪が真っ白になったとは聞いていたが、それ以外も酷かった。
瞳はすっかり光を無くして、頬は痩けている。スポーツで逞しかった体はすっかり痩せ細り、今にも倒れそうだった。
「…あれぇ。……今日の康治郎、すっげぇ鮮明…」
俺が何も言えないでいると、勇輝がそう言って嬉しそうに笑い、俺に抱き付いてきた。
「うわぁ…。抱き心地も康治郎そっくりだぁ…」
本当に、嬉しそうに、楽しそうに笑う勇輝に、俺は泣きそうになった。
夢で、毎日のように俺を見ているんだ。でも、それも偽物だって分かってる。
こんなに悲しい事、ないかも知れない。
「ゆ…き……ゆぅき…」
「……!! 喋った!! 康治郎!! 俺の名前、もっと呼んで!!」
「ゆうき……勇輝…! 違うんだ…、俺、本物なんだよ…!」
「……………ほん、もの」
「ああそうだよ! お前がバカな事やってるって聞いたから来たんだよバカ!」
「……………………………本物の、康治郎?」
ちょっとだけど、勇輝の瞳に光が戻った気がした。
「こんな良い奴俺以外にいないだろ!」
「…あぁ………その言い方……本物だぁ…!!!」
俺、がばっと押し倒された。
そして体感時間的には…30分くらい? ずーっと抱き締められたり頭わしゃわしゃ撫でられたり頬をぷにぷに突かれたり頬擦りされたりたまにちゅってキスされて体がびくってしたり。
「……なぁ……勇輝…」
「………?」
わしゃわしゃぎゅっぎゅは止めずに、勇輝は涙目で微笑みながら俺の言葉に耳を傾けてきた。
「…なんで……自殺なんてしようとしたんだ?」
「…………………だって……一緒に…いたい……」
わぁおこんな弱気な勇輝初めて見たぁ…。うーんちょっと可愛い…けどそうじゃない。
自殺、ダメ、絶対…。
「俺が命を粗末にすんの嫌いだって知ってるだろ?」
「………………でも…俺、康治郎がいないと……生きていけない……。康治郎が俺の生き甲斐だったのに……」
「え、えぇ……。もっと他の生き甲斐見付けろよ…」
そんなに依存されてたとは……知らなかった…。
「…愛してるんだよぉ……。一緒にいたいじゃないかぁぁ……」
「谷川から聞いたよ。俺の事、そういう意味で好きなんだって?」
「…………うん…」
「んー……まぁ嬉しいぜ? 俺、異世界でホモ耐性付いたからな! 純粋な男友達が三島しかいなかったのは悲しいけど、好かれて悪い気はしねぇし」
俺がそう言って、勇輝を慰めようとした時。
勇輝の雰囲気が変わった。
「……異世界? ホモ耐性? どういうことだ?」
ギラギラとした眼差しで俺に問い詰めてきた勇輝に気圧されて思わず逃げようとすると、勇輝が片手で俺の両頬をむにぃっと掴んだ。
「どういう、事だ? 死んでもお前に会えないのか?」
「えっと…同じ世界に転生出来ても、会えるかは分からないし…」
「…………………………………ホモ耐性とは?」
「……その世界、男女比が8:2だから…男が圧倒的に多くて……、その…迫られる事もあったから……」
「!!! ……俺もそっちに行く。どうすれば行ける?」
「いやぁ~…分からん……」
「康治郎は転生じゃないのか? なんで15歳の身長なんだ?」
「えっ……何で15歳って……」
「ずっと側にいた俺をナメるなよ」
恐いです。この親友、恐いです。個人情報全部把握されたアイドルの気分です。
「ラノベ展開みたいに神様には会わなかったのか?」
「……会ったけど…」
「いるなら会わせろ。色々聞きたい事がある」
さっきまでのふらふら勇輝じゃなくて、恐めの雰囲気の勇輝に、助けを求めるような形でゼロア…いや、置物トロフィーの方を見る。
勇輝もその視線に気付き、2人でトロフィーを見詰めるいうシュール光景になってしまった。
そんな俺達に、置物トロフィーはやれやれといった様子で動き出す。
勇輝は俺の上から退いて、ふよふよ浮いたゼロアに近付いた。
「…神様?」
『いかにも』
「どうすれば康治郎のいる世界に行けるわけ?」
『………』
「………」
『………』
「……分かった。待ってる」
えっ。何、今の間に何があったの。
『ふっ…秘密だ。だが安心せい。これでこやつは自殺はせぬ』
「え……、俺の仕事……。…ん、ん~……まぁ、ありがとう…」
俺が説得するべきだったんだけど…、まぁゼロアが説得してくれたんなら……安心…か。
『ならばもう良いか?』
「「待って!」」
やだよ、もうちょっとだけ…。小学生からの親友なんだから、もうちょっとだけ一緒にいたい。
「勇輝…。…元気でな。みんな心配してたから、ちゃんと謝っとけよ。…あ、えっと…軽音部の先輩? にもな」
「…分かった。確かに俺、康治郎ロスでどうかしてたし。…でもあいつには謝らん。俺の宝物奪おうとしたからな」
「俺のタオルなんだよな…? 俺のだよな?」
「お前のものは俺のもの、ちなみにお前も俺のもの!」
「ふははっ! なんだよそれ! じゃ、勇輝は俺のものだな!」
「…!! ふへへ…!! なら、住む世界が違っても、俺達親友だよな?」
「当たり前だろ!! お前以上の親友なんているわけない!」
「そんで、恋人だよな?」
「ちょーし乗んな」
指でデコをぴんっと弾けば、いてっと言いながら俺の腕を掴んで、強制なでなでさせられた。
「好きだけど、恋愛対象は女の子だからな。男お断り!」
「ぐぬぬ…いつか自分から股開かせてやる…!」
「けっ、ケダモノー!」
そっから俺らは、たくさん話をした。
勇輝は『後々会うだろう』って言ってたけど、それが本当でもしばらくお別れなんだから、話はいくらでもしたい。
キスされたり、尻を揉まれたりの悪戯もされたけど、すごく楽しかった。
勇輝とお別れした後、ゼロアにお礼を言った。
『……満足したか…?』
勿論! 世界一豪華なプレゼントだった!!
補足
『高校2年生の夏……俺は、死んだ』って第1話の冒頭に書いてあるのにもうクリスマスなんですか?って疑問にお思いの皆様へ。
地球と異世界の時間の進みはちょっと違います。具体的には、地球の方がちょっと早いです。
それと、コージが異世界で住んでいる地域では、12月は秋頃の気候ですので、創造主ゼロアの使者は七分袖です。
……1万字以上とかエグくなってやっぱり3つに分けようと思ったけど、そうすると年明けると思ったので止めました…。
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●柿沼先生
…! あのだっさい白衣にジャージの組み合わせは……!!
「柿沼センセー!!」
「!? 康治郎くんですか!?」
久しぶりの柿沼先生、何にも変わってなかった。真っ黒のボサボサ髪に、黒渕眼鏡。確か今年で三十路って言ってたけど、どう見ても20代。眼鏡を外して髪をかき上げたらそこそこイケメンで、フツメンの俺からしてみれば、なんでそんなダサい格好してんのか不思議なところだ。
中2、3の時の担任で、誰かが『変な性癖持ってそう』って言ってたっけ…。その通りです。獣姦を愛する人々の集い『もふかん同盟』の盟友です。
「わ、私は……君を想うあまり、夢にまで…!!」
「夢だけど本物っすよ! 家にゴールデンレトリバーを飼っていた阿山康治郎ですっ!」
「♂? ♀?」
「♂♂♂♂!」
「♂♂♂♂!! そのノリはどう見ても康治郎くんですね!」
こんなに簡単に信じてもらえるっていうんだから、趣味の繋がりってスゴいよな…。
「柿沼先生…、今まで、ありがとうございました!」
「おや…? もしかして、別れの挨拶ですか…?」
「………はい」
「………………そうでしたか…」
しゅん、と肩を落とす柿沼先生。
分かるぞ。同じ性癖を持つ者同士として、語り合える相手がいなくなるのは寂しいもんだ…。
「……君が成人したら、同性間での性交を試そうと思っていたのですが……、…非常に残念です」
………ん?
「どうせいかんでの…せいこう? あれ、先生ってホモだったんですか…?」
「…いえ、君と、致したかったんです。同性愛者という訳ではありません。…嗚呼……犬や豚になって君を犯したい人生だった…」
「…………遠慮したいとこっすけど、ちょっと興味あります」
「君ならそう言うと思っていました」
名残惜しそうにふふ、と笑う柿沼先生。
色々と話したい事があるが、まず優先すべきは異世界に獣人がいる、という事だ。
「…柿沼先生。俺、異世界で変人に囲まれて楽しく暮らせてるんですけどね……、その異世界、獣人がいるんですよ」
「詳しく教えて頂けますか!」
ふふん! 柿沼先生ならそう言うと思ってました! 流石我が盟友!! 獣人は『もふかん同盟』の永遠の夢だからな!
「俺が会ったのはクマの獣人さんだけなんですけど、ウサギの獣人さんやバッファローの獣人さんも見ました!!」
「おおぉぉおおおぉおぉぉぉ!! ど、どんな様子でした!?」
「動物の特徴がハッキリ出てました! 今はちょっと別のところに旅行みたいな感じでいるんですけど、クマの獣人さんとは一緒に住んでるんです。大男で、茶色の熊耳がぴょこって出てて、牙と尻尾もありました! 尻尾握ったらふるふる悶えるんですー!」
「獣化は出来るんですか!?」
「出来ます!! 1度俺がプチ家出をした時、クマになって追っ掛けられたんですよ~」
「ぉぉおおぉぉぉおぉおおおっ!! どっ、どうすればそっちの世界に行けますか!?」
「あんたもか」
樹先輩、華原先輩、柿沼先生まで…。俺にはチートがあるから良いものの、この地球と比べれば命の価値が低い世界なんだぞ! 危険なんだぞ!
「行けるとしても数十年後。柿沼先生がお亡くなりになった時に、強く願えば可能性はなきにしもあらず…」
「くっ…! やはり今すぐという訳にはいきませんか……」
「しかも男が8割っすよ。獣人猫耳娘を襲うのは難しいです。人としてもアウトだし」
「……えっ………あ…」
俺の苦労を察したのか、柿沼先生は、黙って俺の肩にぽんっと手を置いた。
……うん…。同情だけでも、ありがたいです…。
「♂が8割…。……だがしかし! そんな事で諦めるようでは『もふかん同盟』の名が廃ります!! 私は必ずその異世界に行き、異世界特有の薬か何かでウサギ耳が生えてしまった康治郎くんを見つけ出してみせましょう!!」
「あれっ、なんか設定が出来上がってる!?」
「………だから……、どうか、お元気で。私が行くまで、死なないで頂きたい」
「……俺だって、死にたくないんで、頑張って生きます。柿沼先生も、生徒に手を出して逮捕、なんて事になったら俺、指差して笑いますからね」
「私が欲情する生徒は、君だけですよ」
「素直に喜べねぇ~…。…じゃ、一足先にもふもふあんあん楽しんできます!」
「ええ。待っててくださいね」
●杉山
……獣化して教え子を犯したいなんて、柿沼先生変態過ぎるだろ。
中2の時も、勉強教えるくらいしか教師らしい事してなくて、むしろ趣味の合う家庭教師みたいに思ってたけど、一応恩師でもある。
もしも柿沼先生が異世界に来た時は、盛大にもてなそう。会えたら、の話だけど。
さて、お次は……、はい来ましたプチいじめっ子の杉山くん!!
陽キャの発言力を使って俺に数々のプチいじめを仕掛けていた張本人!!
着替え中にいきなり押さえ付けてきて『お前筋肉無さすぎwwww女かよwww』って勇輝が止めるまでベタベタ触りまくってそれを女子生徒の前でぎゃははと笑いながら語ってくれたクソ野郎の登場です!! 最後なので文句言ってやろうと会う事にしました!!
「……阿山!?」
着崩した制服を纏ったうっすい茶髪の杉山くんご登場! どうだ! いじめてた奴が死んで出てきた気分は!!
「…あやま……」
ほほう!! 震えてるなくっくっく! 最後なんだから、盛大におどかしてやろう!
「スゥギィヤァマァァァァ………」
「あやまぁぁぁ………!」
ボロボロと涙を溢して、地に膝を付ける杉山。
…えっ、そんな泣くほど怖かった!? どっ、どうしよう…。チャラ男の泣き顔めっずらし……じゃなくて!
「おれ、おれっ、ずっと…阿山に、言いたいこと、あってぇ…!」
本人確認…しなくて良いの?
いやまぁ…俺も言いたい事あるし、それが言えれば別に良いんだけど…。
「あやまっ、おれ、ごめ、ごめんなさぃぃ…」
謝った!! あっぱらぱーでチャラ男の杉山が謝った!!! そ、そんなに俺の睨み怖かった…?
「おれ、ずっど、阿山のごどぉっ、ずぎだっだ!」
うんうん、分かったから落ち着いてまず涙拭け……、ううん? 俺、この歳で難聴かな?
「わ、わんもあぷりーず」
「ずぎだっだぁぁぁぁぁぁ!!」
「…………えっと……、ホモ、だったの?」
「びぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」
間。
「つまり、俺に構ってほしくていじめてたのかよ!?」
「いじめじゃないし。いじわるだし…」
「された側からしてみりゃ同じじゃボケ!!」
(時間がかかりそうだったので抱き締めるという荒治療で)杉山を1度落ち着かせて事情を聞いたところ、杉山は好きな子に意地悪しちゃうタイプのホモだったようだ。ただ、本人は『ホモじゃなくてお前が好きなんだばかぁぁぁぁぁぁ』と否定したけど。
「な、なんだよそれぇ…。気合い張っておどかそうとしてた俺が馬鹿みたいじゃねーか…!」
「こ、くはく、しとけば良かったって、何回も後悔したんだ…」
以前は憎かったこの顔も、俺に抱き付いてぐすぐす言ってる姿を見れば、もう憎いなんて思えなかった。
「ハァ…。お前俺のどこに惚れたんだよ…。自分で言うのも悲しいけど、俺平々凡々だろ。普通の奴だろ…」
そう、これは異世界で俺に求婚してるホモ共や、何故か俺を犯す計画を立てていた樹先輩、柿沼先生にも言える。
俺、普通。性癖はマニアックだけど、普通。
「お前、すっげー優しいだろ…」
優しい? ……まぁ、よく言われるけど…。優しい人なら俺以外にもいるだろ。
「多分、阿山は俺だって分かってないと思うけど…、俺1年とき、……その……も、漏らしちまって……、たまたま居合わせた阿山が、一緒に水被って…、一緒に怒られてくれただろ…」
「……えっ、あれ杉山だったっけ!!?」
確かに、記憶にある。
清掃場所が同じ中庭だった別クラスの男子生徒が隅っこの方で小便漏らしてて、今にも泣きそうな顔で座り込んじまってたからバケツひっくり返してホースで水巻いて『水遊びする男子高校生』って感じで証拠隠滅したんだ。
………けど、それがまさか杉山だったなんて。もうちょっと髪色暗かった気がするんだけど。
「お礼、言いそびれたから…タイミング見計らって言おうって阿山の事ずっと見てたんだよ…。そしたら……す、好きになっちまって…」
「あー……なるほどな、うん。事情は分かったし、一応納得もした…。…けど、俺もう地球にいないしなぁ…」
「!!? ゆ、幽霊って地球にいないのかよ!?」
「ばーかばーか。俺は別の世界に行ってチート能力で無双する(予定な)んだよーだ!」
「…………じゃあ、もうこうやって会えない…?」
「残念ながら。というか、今日はお別れに来たんだよ。挨拶無しでバイバイは寂しいし、偉い神様がクリスマスプレゼントくれるって言うからさ」
「…? ……?? …よく、分からないけど…、そっちの世界に行く方法ってないのか?」
「…………………………………数十年後、死んだ時に強く願えば来れるんじゃないか?」
「数十年後……それまで、会えないのか…」
大丈夫かな。こっちに来たがる人多いから気軽に誘ってるけど、こんなにぽんぽん誘ったらゼロアの仕事増えないかな。というか、そもそもこっちの世界に皆を来させてくれるのかな。
「…まぁ、無事に再会出来た時は今度は友達からよろしくな」
「……うん。…その、阿山。……出来れば、それまで恋人は作らないでほしい……」
「そりゃ分からん。中々女性とは巡り会えないが、巨乳エルフに迫られれば俺はプライド全部捨て去ってルパンの如くジャンピング巨乳ダイブかますだろうし」
「ぐっ…! な、なるべく早く行くから!!」
「おう。……じゃ、もう好きな子出来てもいじめんなよー」
●谷川
ふーむ…異世界転移する前も周りはホモだったな…。
でも、杉山に関してはもう許そう。てか、あんなに泣かれながら謝られたら許す他無いし。
あ、谷川来たら話そうかな…と、思っていたら来ました。お腐れ女子の谷川さん。
1年生後半ぐらいにいきなり俺に近付いてきて、開口一番は『私、腐女子ですから!』。
人の趣味を否定するつもりはないけど、そっから付きまとわれてちょっと恐かったんだ。しばらくしたら普通に仲良くなったんだけどね。
「よっ、谷川!」
「よっ、阿山!」
「軽っ! もっとなんか無いのかよ…」
「えぇ…いや別に……。あ、なんか縮んだ?」
「……俺今15歳なんだよ。んで、異世界でホモらに求婚されてんの」
「kwsk!!!」
流石趣味に生きる女。幽霊とか本物とかそんな事はどうでも良いらしい。
俺も谷川のそういうドライさは知ってるので、余計な話はせず、異世界での生活をちょろっと教えてやった。
「……という事で、俺は現在聖騎士団団長の部屋でくつろいでいます」
「~~~………っっっ!!!!! なにそれぇ…!!! めっちゃくちゃ萌えるんですけどぉ……!! つまり阿山はクマの獣人イケメンに処女を奪われてワイルドなおっさんイケメンにトイレで犯されて危険な色気爆発イケメンと5日も軟禁セックスして昨日銀色長髪ツンデレイケメンとほぼ合意セックスしたの!!? で、合計6人のイケメンに求婚されてるって!!? くっそ萌えるんですけどぉぉぉぉっ!!!」
ごろんごろんと白い床で転がりまくる谷川。見た目が普通の女の子だから、その光景は端から見れば異常だ。でも、俺達のクラスではこれが日常だった。
「最後だしなー。こんな事話せるの谷川くらいだし、せったくだから教えてやろうと思って」
「阿山さまぁぁぁぁぁ!! 私はそのお話だけで生きていけますぅぅぅぅ!!! このご恩は決して忘れませんっ!! 今描いてる夏コミ新刊、完成したら墓石にお供えしますねっ!!」
「やめろ…。切実にやめろ。BL本供えてあるとか同じ墓の先祖に申し訳ねェ。つかなんで俺に関係の無い本を供えるんだよ」
まったく意味が分からん。俺をネタにした訳じゃあるまいし…。………いや待て。コイツ…もしかして…。
「…あ~……、え~っとですね……。……そのぉ…、新刊……片想いの幼馴染みを亡くした男子高校生が…後を追うまでのお話でして……」
「俺だよな。どう考えても俺と勇輝だよな。何物騒なホモネタに使ってんだよ!!」
「だっ、だってさ!!? そりゃ悲しかったけどさ!!? ただでさえ阿山に執着してた吉川が髪真っ白で不気味に笑いながら阿山のタオルに顔を埋めてんの見たらさ!!? そりゃヤンデレ死ネタ描いちゃうよ!!!」
「開き直んな!! それと勇輝マジキモいな!!」
「本当、マジキモい!! 阿山の事狙ってた先輩がタオル寄越せって無理矢理奪おうとした時なんかもう地獄絵図だったよ!! ちなみにその先輩まだ退院出来てないよ!! 全治4ヶ月だって!!」
よく勇輝退学にならなかったな、と思ったが、俺のものと引き剥がしてそんだけ暴れるって事は、俺の机から引き離すともっと…って考えたのかも知れない。それか、自殺されて、その原因が学校からの退学、なんてマスコミに報道される事を恐れたか。
まぁどっちにしろどうでも良いんだ。
真の問題は………。
「……狙ってたってなに!?」
一体何なんだ。金か。命か。それとも尻を狙われていたのか。
「う~…ん。この際だから話すけど、阿山、あんた変な人にばっかりにモテてたんだよ? 勿論、恋情って意味でね」
「変な人限定!?」
「そ。まず筆頭してあんたに執着してた吉川でしょ? 天才の瀬戸に、変態の田中、全国模試100位以内常連の菊池先輩。あ、ボコボコにされたのは軽音部部長の大賀先輩ね。ツンデレ杉山もだしぃ、天文部で不思議くんの門司先輩…と、大手おもちゃ会社子息、1年の東くん。同じく1年の山田くんは弓道で全国大会行ってるし。あ、3年不良の田口先輩も。先生達も何人か……」
「………それってさ……全員…」
「イエースッ!! 男でーす!!」
「………まったく知らん奴もいるんだけど…」
「阿山が色んなところで優しさ振りまいてるからでしょ。あんたの笑顔は男を惑わせるんだから」
『何当たり前の事言ってんの?』みたいな顔で俺に言う谷川。
いやいや、お前も何言ってんの? ひどい…。俺がホモに尻を狙われてるって知ってて……あ? まさか…。
「お前……俺がホモに囲まれてるって知ってて近付いたのか……? というかそれが目的だった…?」
「っ! ……………えへっ★」
認めやがった…。コイツ、俺に近付いたのは俺がホモに狙われてるからだって認めやがった…!!
「だから最初に言ったじゃーん! 『私、腐女子ですから』って! あれで吉川とか瀬戸の警戒心落として、生BL間近で見ようと思って…。なのにあんた死ぬしさ!? もういい加減にしてほしいよ…」
「こっちの台詞なんですけど!?」
あんまりだ! 谷川がいたから女の子の友達がいるっていう(陰キャ内の)ステータス保ってられたのに!! 普通に友達として好きだったのに!! あんまりだ!!
「じゃっ、じゃあ元気でね!? 阿山の事はいつまでも良い友達だと思ってるから!!」
「おい副音声聞こえたぞ! ばっちりネタって聞こえたぞ!!」
「ばいばーい!!」
「待てや谷川ァァァァァァ!!」
●瀬戸
あいつ……マジか。そのまま消えやがった。雰囲気もクソもねぇ。…………でも…ま、それが谷川だしな。怒っても憤っても仕方ないか。
さて、残りは…勇輝と、瀬戸。
谷川によると、どっちも俺の尻を狙ってたらしい。勇輝によっては俺の後を追おうとするほど執着しているとか…。
………なんかもう疲れた。先に瀬戸来て。瀬戸ならいつも冷静で余裕で話が通じるから。
「…あぁ、やっぱじろちゃんだ」
わっ! この独特な呼び方は瀬戸だ!!
そう思って振り向くと、いつもの長身の落ち着いた感じの瀬戸がいた。
「瀬戸ぉ…!」
「あれ、何だか疲れてんね。もしかして他の奴にも会ったんだ?」
名前を呼んだだけで全てを察してくれる瀬戸流石です!
「さっき谷川とか杉山に会って…色んな奴が俺の尻を狙ってたって聞かされて……。……その、瀬戸も…」
「黙っててごめんね。じろちゃんなら拒絶しないって分かってはいたんだけど…誰かの告白を皮切りに、他のハエ共もじろちゃんに迫って来そうでさ」
変わんないなぁ。口調は丁寧なのに、たまにちょっと口悪くなるところとか。
「お心遣いに感謝しますっ…!! ……というか、全然驚いてないね。谷川以外は何かしらの反応あったのに」
「優しくて律儀なじろちゃんなら、死んでも何らかの手段で挨拶しに来ると思ってたからね。…でも、本当に来るなんて、やっぱりじろちゃんはじろちゃんだ」
「そんな予想してるなんて、瀬戸も瀬戸だな。………俺な、今、神様の取り計らいで異世界で暮らしてんだよ」
「………へぇ。無神論者だったけど、いたんだ。神様って」
「この挨拶も、神様からクリスマスプレゼントとして貰ったんだ」
「ふぅん。じゃあ、一応感謝しとかなきゃね」
瀬戸って、すごいんだぜ。まだ17歳の筈なのに、なんか色々大人っぽいんだ。
何でもそつなくこなしちゃうし、子供を諭すような口調はいつ聞いても安心する。
悩み事だって、瀬戸に相談すれば大体解決するって学校で噂になって、一時期は瀬戸に人が押し寄せたんだよ。
でも、瀬戸って面識無い人には割と冷たいから、結局生徒会が瀬戸を期間限定で引き入れて、相談ボックスを設置。そのおかげで、不登校の生徒が来るようになったっていう伝説も作ったんだ!
「じろちゃんが楽しいならそれで良いよ。欲を言えば俺もそっちに行きたいな。…じろちゃんとおんなじ、死んだら行けるかな?」
「…………強く願えば転生出来ると思う。……けど、自殺なんてするなよ」
「当然。今すぐにでも行きたいけど、じろちゃんが命の無駄遣い嫌いなの、知ってるしね。自然に逝くのを待つよ。…というより、そういう言葉は俺よりも勇輝に言ってあげた方が良いと思うよ」
「………この次に、勇輝に会うんだ。…説得しなきゃいけないんだけど……、俺に出来るかなぁ……」
ぽんっと、俯く俺の肩に瀬戸が手を置いた。
「説得出来るとしたら、それはじろちゃんだけ。でも、別に気負わなくて良いんだよ。最終手段で、施設に移すって手もあるんだから」
「………でもね、気を付けてじろちゃん。勇輝のじろちゃんに対する執着は、並大抵のものじゃない。多分だけど、勇輝はじろちゃんの私物と、じろちゃんの幻覚か何かを見てなんとか心を守ってる。じろちゃんだし大丈夫だろうけど、あんまり酷く拒絶したら、廃人みたいになっちゃうかも」
…幻覚…廃人……。そこまで、酷いんだ。そんなに悲しんでくれてるんだ。
「逆に、じろちゃんが襲われちゃうかも知れない。じろちゃん弱々しいんだから、出来る事なら神様に守って貰ってね」
「……うん。分かった。ありがとう瀬戸。…だが弱々しいは余計だ!」
あはは、と瀬戸が楽しそうに笑った。
吊られて俺も、笑ってしまう。
「…じろちゃん、俺ね、人を好きになるのは多分じろちゃんが最初で最後だと思う。だからね、待っててほしいんだ。俺、いっぱい勉強して、じろちゃんの好きな動物とか、深海とか、宇宙とか、色々研究して、じろちゃんがびっくりするような事実を教えてあげるからね」
「せ、瀬戸ぉ…! 我が友よぉ…!! …だが動物学と海洋学と天文学じゃ全然分野が違うぞ…!!」
「イケるイケる。じろちゃんの好きな猫とか犬とか兎だって、宇宙の星に住む生命体なんだから」
「…!! たっ、確かに…!! でも海洋学は?」
「なんとかなるよ。だって、俺だもん」
この、『俺だもん』。これを言った時の瀬戸は、本当になんでもやってのけてしまう。
テスト1週間前に俺達のクラスだけに特別授業を開いて、自ら範囲を予測して課題を作り、クラスメイト達に配ったのだ。
結果、まさかの全員が平均以上の点数を取って、見事学校1の偏差値を叩き出した。
そして、『お前らが今度のテストで全員平均以上だったら、夏の課題半分に減らしてやるよw』と言った教師は有言実行せざるを得なくなったのだ。
つまりはそう、瀬戸は我らが菩薩様なのである。
そして瀬戸は後に、『およそ40光年離れた星にある海の、深度5万メートルに体毛のある哺乳類が生息しているのを発見する』という動物学、海洋学、天文学を満たした前代未聞の偉業を成し遂げるんだけど……この時の俺は、まだ知らない。
●勇輝
……とうとう、この時がきた。
瀬戸は気負わなくて良いって言ってくれたけど…勇輝に、会うのだ。
慣れ親しんだ親友で、幼馴染み。
けど今は分からない。勇輝が、俺の事を性的な目で見てるって知っちゃったから。
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!! …なんだ、ゼロアか~。おどかすなよ~。勇輝かと思ったじゃん。
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俺は悪くない…。
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髪が真っ白になったとは聞いていたが、それ以外も酷かった。
瞳はすっかり光を無くして、頬は痩けている。スポーツで逞しかった体はすっかり痩せ細り、今にも倒れそうだった。
「…あれぇ。……今日の康治郎、すっげぇ鮮明…」
俺が何も言えないでいると、勇輝がそう言って嬉しそうに笑い、俺に抱き付いてきた。
「うわぁ…。抱き心地も康治郎そっくりだぁ…」
本当に、嬉しそうに、楽しそうに笑う勇輝に、俺は泣きそうになった。
夢で、毎日のように俺を見ているんだ。でも、それも偽物だって分かってる。
こんなに悲しい事、ないかも知れない。
「ゆ…き……ゆぅき…」
「……!! 喋った!! 康治郎!! 俺の名前、もっと呼んで!!」
「ゆうき……勇輝…! 違うんだ…、俺、本物なんだよ…!」
「……………ほん、もの」
「ああそうだよ! お前がバカな事やってるって聞いたから来たんだよバカ!」
「……………………………本物の、康治郎?」
ちょっとだけど、勇輝の瞳に光が戻った気がした。
「こんな良い奴俺以外にいないだろ!」
「…あぁ………その言い方……本物だぁ…!!!」
俺、がばっと押し倒された。
そして体感時間的には…30分くらい? ずーっと抱き締められたり頭わしゃわしゃ撫でられたり頬をぷにぷに突かれたり頬擦りされたりたまにちゅってキスされて体がびくってしたり。
「……なぁ……勇輝…」
「………?」
わしゃわしゃぎゅっぎゅは止めずに、勇輝は涙目で微笑みながら俺の言葉に耳を傾けてきた。
「…なんで……自殺なんてしようとしたんだ?」
「…………………だって……一緒に…いたい……」
わぁおこんな弱気な勇輝初めて見たぁ…。うーんちょっと可愛い…けどそうじゃない。
自殺、ダメ、絶対…。
「俺が命を粗末にすんの嫌いだって知ってるだろ?」
「………………でも…俺、康治郎がいないと……生きていけない……。康治郎が俺の生き甲斐だったのに……」
「え、えぇ……。もっと他の生き甲斐見付けろよ…」
そんなに依存されてたとは……知らなかった…。
「…愛してるんだよぉ……。一緒にいたいじゃないかぁぁ……」
「谷川から聞いたよ。俺の事、そういう意味で好きなんだって?」
「…………うん…」
「んー……まぁ嬉しいぜ? 俺、異世界でホモ耐性付いたからな! 純粋な男友達が三島しかいなかったのは悲しいけど、好かれて悪い気はしねぇし」
俺がそう言って、勇輝を慰めようとした時。
勇輝の雰囲気が変わった。
「……異世界? ホモ耐性? どういうことだ?」
ギラギラとした眼差しで俺に問い詰めてきた勇輝に気圧されて思わず逃げようとすると、勇輝が片手で俺の両頬をむにぃっと掴んだ。
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「康治郎は転生じゃないのか? なんで15歳の身長なんだ?」
「えっ……何で15歳って……」
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「………」
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「当たり前だろ!! お前以上の親友なんているわけない!」
「そんで、恋人だよな?」
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「ぐぬぬ…いつか自分から股開かせてやる…!」
「けっ、ケダモノー!」
そっから俺らは、たくさん話をした。
勇輝は『後々会うだろう』って言ってたけど、それが本当でもしばらくお別れなんだから、話はいくらでもしたい。
キスされたり、尻を揉まれたりの悪戯もされたけど、すごく楽しかった。
勇輝とお別れした後、ゼロアにお礼を言った。
『……満足したか…?』
勿論! 世界一豪華なプレゼントだった!!
補足
『高校2年生の夏……俺は、死んだ』って第1話の冒頭に書いてあるのにもうクリスマスなんですか?って疑問にお思いの皆様へ。
地球と異世界の時間の進みはちょっと違います。具体的には、地球の方がちょっと早いです。
それと、コージが異世界で住んでいる地域では、12月は秋頃の気候ですので、創造主ゼロアの使者は七分袖です。
……1万字以上とかエグくなってやっぱり3つに分けようと思ったけど、そうすると年明けると思ったので止めました…。
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