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足腰ガクブル★死神の吐息編
俺はトロフィーを許さない
しおりを挟む──知らない天井だ…。
…って、ちょっと待て。状況を整理しよう。うん、それが良い。
えーっと…、まず、俺はガレのお誘いを断った。うんそれで、ガレの雰囲気が一瞬変わって…、でもすぐに元通りになったよな? 日が暮れそうだったからガレが俺と手を繋いで地下遺跡前まで急ぎ足で来た…。……んで、ガレがいきなり俺の腕を黒い鎖で縛って……何かの草?を口元に押し付けられたら、急に眠たくなって…。
…あ、あれぇ? …俺…ガレに裏切られたのか…? このまま…殺されたり…売られたりするのか?
………………ガレは俺を騙してた…?
…あ、どうしよう。泣きそう…。
俺は、滲む目元を鎖で拘束された腕で器用にごしごし擦った後、ここから脱出するべく辺りを見渡した。
今、俺がいる場所はまさに地下牢。広さ的には大体10畳くらいの広い牢獄だ。周囲に人影はなし。物音もしない。
……不自然なのは、俺が寝ていたベッド。こんな薄暗くて冷たい場所なのに、ベッドだけは真っ白でふかふか。うーん、ぬくぬくだ…。出たくない…。
鉄格子は太く、折って出るのは不可能に近い。でも…熱でドロドロには出来そうだ。んじゃ、核熱魔法かな。
核熱魔法の神様! この鉄格子だけ溶かして下さい!
………シーン…………
………あ、アレ…? 核熱魔法の神様ー…? いらっしゃらないのー?
……シーーーン…………
…魔法が……、発動しない……?
…………これは……核熱魔法の神様に何かあったか、魔法が使えないかのどっちかだな。ふむ、魔法が使えないのは超ヤバイ。
「…灯せ 緋色の灯り ライター」
…ありゃ。
点かない。
魔力の流れすら感じない。
俺は頭を抱えた。
…いや、抱えられないんだけどね! 鎖付いてるからね!
…あっ、……というか、ガレに全部喋っちゃったんだから、対策されない方がおかしいか…。
『魔法封じの鎖が発動している為、魔法の使用に制限が掛かっています』
そして突如脳内に響くイケボ。
び、びっくりしたぁ…。ゼロアの通知か…。『魔法封じの鎖』…、あー……この鎖、魔道具かぁ…。
ぐぬぬ…。魔法が使えないとなると……脱出不可能?
まずいなぁ…。すごくまずいなぁ…!
カツン…カツン……カツン…
足音が牢獄に響く。
俺は息を飲み、布団に潜り込んだ。
隙間から覗くと、足が見えた。
黒い皮のブーツ…。
ガレの、靴だった。
「……起きてるんだろ、コージ」
やっぱりガレだ。
うー…顔見たら泣いちゃいそう…。
へ、返事くらいしないと駄目かな…。駄目だよな…。怒らせたらどうなるか分からないし…。
涙声になるなよぉ~俺の声音!
「………………起きてます」
「……悪かったな。こんな真似して」
「………」
そう思うんならこの鎖外してくれねェかな…。
もうっ! こんな冷たい鎖付けるなんて、コージくん凍えちゃうんだからねっ!
………あれ、笑えないや…。
「上の準備が出来たから移動するぞ。こんな暗い牢獄、コージには似合わねェ」
そう言いながら牢獄に入ってきたガレ。
後ずさって抵抗するも、両腕が縛られているので当然ながら焼石に水だ。
「こら、暴れるな。抵抗されると…燃えるだろ」
ひっ! が、ガレが本性を現した……!
こんな変態だったなんて…!
「う、上って…? なぁガレ、俺をどうするつもりなんだよ…。俺の事、…こ…、殺すのか……?」
「は?」
ぽかん…といった表現がジャストフィット。
今の『は?』は素なのだろう。
…え? てか、殺さないの………?
「じゃあ……売られるとか?」
「は?」
あっ…今のは怒った時の『は?』だな。
んー…殺す訳でも売る訳でもないとすると…。
……まさか……な…。
………いや……でも…………それしか……。
………………………。
「……まぁ、そうだよな。いきなり盗賊に拐われればそういう反応が普通だよな…。俺はコージを殺すつもりも売るつもりもないぜ。ただ俺の側にいてもらうだけだ。つまりは…嫁だな」
くぅぅっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! やっぱりかホモ5号ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!
えぇ!? なに俺呪われてんの? ゼロアの奴、俺を呪った? まぁ呪ってなかったとしても絶対許さねェけどさぁ!
「………俺、自分の事全部ガレに言ったよな…」
「ああ。心を開いてくれて嬉しかったぜ」
「じゃあ俺が同性愛に興味ない事もヤンデレが怖い事も知ってるよな」
「………それについてはすまねェと思ってるが、こうでもしねェとあの獣人らのとこに戻るんだろ?」
「………リイサスさんには助けられたし、ルークさんにはお世話になったし……恩を仇で返せないから……」
「つまりは戻るんだな」
ぐっ、ぐぬぬぅ…!
戻るけどさっ、戻るけどさぁ!
もっと何か他にあっただろ!監禁まっしぐらじゃなくても良かっただろぉ!
ガレだけならともかく、他の盗賊団員がいる場所で監禁とか絶対嫌だわ!! 恐いわ!!
「言いたい事は上のベッドの中で聞くぜ? たっぷと喘いでくれよ、俺のコージ…」
ひぁっ…!!
うぅ…! み、耳元で囁くなぁー!! 耳を舐めるなー!!
あ…くちゅくちゅいってる…。俺の耳、ガレに犯されちゃってる…。
「んん…。や、ぁ! ガレ…あっ、やめ…ッ!」
「感度は抜群…。処女じゃないのが残念で仕方ないが…、一生俺の物と思えば……」
こっ、恐いこと言うなよぉ!!
俺は物じゃないし、一生ガレのになるつもりもない!!
だからこの鎖を外せぇ! ふんがーっ!
「そんなに睨んだって、コージが俺の嫁になるのは確定事項だぞ」
文末に(笑)が見えるぞこらぁぁぁッ!!! つか(笑)ってなんだよ(笑)ってぇぇぇッ!
芋虫の如く這いつくばって逃げようとする俺を嘲笑ってんのか歩く18禁さんよぉぉぉ!!
お願いだからそんな妖しげな笑みでこっち見ないで! その気になっちゃうから! エッチなことしたくなっちゃうから!
必死にガレから目を反らし逃げようとする俺を、それはそれは簡単そうにガレは抱き上げた。
「うゎ軽……。もう少し肉付けような…」
うっさい! 余計なお世話じゃボケ!
…とは言えないので、ガレの腕の中でうごうごと抵抗する。
「こら、煽るな。他の団員の前でぐちゃぐちゃにされてェのか?」
「サーッセンッ!!」
何て恐ろしいことを言うんだ…! 思わず謝っちゃったじゃないか!
しかしガレは満足したように俺の顔にキスを落とす。
「分かればよろしい。上に移る途中、部下達と会うかも知れねェが…色々言ってあるから怯えんなよ」
無茶言うな!!
盗賊と会って怯えないわけないだろ!!
って…え。
まさかお姫様抱っこのまま行くの?
待って。お願い待って下さい。
あ、ちょ、やだ、ま、が、ガレぇぇぇぇぇぇ!!
********************
えっと、その………すっ、すみませんでしたぁぁぁぁっ!!
ほんっと申し訳ないです!
「続きマダー?」のコメントにハッとしました…。
すみませんすみません。
こんな話を待ってて下さってありがとうございます。これからも頑張っていきますすみませんでした……。
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